【更新2014/4/20 記事追加】 韓国旅客船「セウォル号」沈没事故で亡くなった方々には心から哀悼の意を表し、また、未だ生死不明の方々が生存され救助される事を切に願う。今回の沈没事故は人災であり、その背景には韓国という国と国民性に内在する杜撰(ずさん)さが大きな原因になっている…私が言っているのではない、韓国大手紙の朝鮮日報や中央日報などの論調がそうなのだ。日本でベストセラーになっている「嫌韓論」や「反韓論」に書かれているようなことを、韓国大手紙が報道しているのだ。事ここに至って、自国がプライドだけが高いだけで内実は“張りぼて国家”であると認めざるを得なくなったようだ。 「責任持つべき人間が真っ先に逃げ出す国」、「基本を無視する韓国社会、繰り返される人災」、「韓国社会にごまんといる『セウォル号の船長』」、「韓国は三流国家だった」…私が言っているのではない、それらは韓国の新聞の見出しなのだ。 記事の中には自国を称して「韓国はキムチスタン」などと自虐的な呼称が出てきている――「キムチスタン」とはおそらく「キムチしか取り柄のない後進国」を指しているのだろう。 「アフガニスタン」、「ウズベキスタン」、「タジキスタン」と「スタン」が国名に付く国は総じて後進国だ。 韓国の自慢できるものと言えばキムチしかない、そして後進国なのだ、だから「キムチスタン」…。
さて、韓国の実態を知っている日本人の多くが、韓国海洋警察や韓国海軍による救助活動の報道をみて、こう思ったと思う―「果たして、韓国海洋警察や韓国海軍が救助任務を迅速かつ効果的にできるだろうか?」。 案の定、救助は遅々として進まず、韓国国民は「韓国は所詮この程度の国だったのだ」と落胆している。そして、韓国国民の非難はオバハン大統領―朴槿恵(パク・クネ)大統領とその無能な政府に向けられ始めている。 では、韓国マスコミがどのように報道しているのかその日本語版記事をクリップして紹介したい。例えば朝鮮日報日本語版の記事タイトルで行くと――
- 【社説】 旅客船沈没、先進国ではあり得ない大惨事だ 04/17
- 朴大統領が不明者家族を激励 一部から怒声も=旅客船沈没 04/17
- 【コラム】 責任持つべき人間が真っ先に逃げ出す国 04/18
- 【コラム】 基本の大切さを悟らせてくれた惨事 04/18
- 旅客船沈没: 韓国の安全軽視は「持病」、米紙が指摘 04/18
- 旅客船沈没: タイタニック並みの救助率に世論沸騰 04/18
- 旅客船沈没: 乗務員には「逃げろ!」、乗客には「逃げるな! 04/18
- 不明者の家族 政府のずさんな対応に激怒=韓国客船沈没 04/18
- 旅客船沈没: 09年に日本で同様の事故、死者はゼロ 04/19
- 旅客船沈没: 貨物量少なく報告、固定に問題も 04/19
- 【社説】 基本を無視する韓国社会、繰り返される人災 04/19
- 旅客船沈没: 操船していた3等航海士、名前偽り脱出か 04/19
- 旅客船沈没: 乗員たちのあきれた言い訳に国民激怒 04/19
- 【社説 】 国民に不信感を抱かせる韓国政府の対応 04/19
- 旅客船沈没: 大統領の視察に賛否両論 04/19
- 旅客船沈没: 大統領の叱責恐れもたつく官僚 04/19
- 【コラム】 韓国社会にごまんといる「セウォル号の船長」 04/19
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【追加情報 2014-420】 (詳細は後段に追加)
☛ 沈没した「セウォル号」(歳月:SEWOL)の船会社「清海鎮海運」は、信徒たちが集団自殺した「五大洋事件」というのを起こしたキリスト教系カルト(グウォン派)の創立者の息子が経営する海運会社。 清海鎮海運はグウォン派信徒たちが多数関わる会社と言われている。
☛ 逮捕されたイ・ジュンソク船長(68)は一年契約雇用の契約船長だった。19日朝、法廷審問の後、メディアとの記者会見の質疑の中で判明したと朝鮮日報韓国語版(2014.04.20 08:11)が報じている。
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ではそれぞれの記事(抜粋の場合もある)を掲載し、全文が読めるようにクリップ画像を添付しよう。記事のURLを付けておくが、朝鮮日報の記事の閲覧期間は1週間だけだという事をお忘れなく――
【社説】 旅客船沈没、先進国ではあり得ない大惨事だ
(朝鮮日報 2014/04/17 10:16)
… 事故が最初に報じられた直後の時点では、これほど多くの人命被害が発生するとは誰も予想していなかった。旅客船は座礁後、船体が左に90度傾いたが、2時間近く沈まず持ちこたえていた。海上警察と海軍は数十隻の救助船と18機のヘリを現場に派遣して今も救助活動を行っており、また救助の様子の一部はテレビでも放映された。京畿道教育庁(教育委員会に相当)は午前11時が過ぎた時点で、船に乗っていた高校生の保護者たちに「壇園高校の生徒を全員救助」というメールを一斉に送付した。しかし午後になって救助された人数に誤りがあったことが分かり、直後に安全行政部(省に相当)と海上警察が行方不明者の数を修正して発表するなど、政府の対応も右往左往するばかりだった。
…. 中でも最もひどかったことは、「ドーン」という音とともに船が傾き始めた直後、船内放送で乗客たちにその場で動かず待っているよう指示したという事実だ。しかし放送の指示に従わず迅速に救命胴衣を着用し、船室から出た乗客たちはほとんどが救助された。今も数百人の乗客が脱出できていない中、船長や乗組員の多くはすでに救助されている。
…. 今回の事故は運航から救助のプロセスに至るまで、多くの初歩的ミスや過失が重なってしまったというわけだ。
1990年代の初めから半ばにかけての時期、韓国では西海フェリー事故の他にも32人が死亡した聖水大橋崩落事故(94年)、101人が死亡した大邱地下鉄ガス爆発事故(95年)、501人が死亡した三豊百貨店崩壊事故(95年)など、後進国型の大惨事が相次いだ。ちなみに西海フェリーが沈没した93年当時の国民1人当たりGDP(国内総生産)は8422ドル(約86万円)だった。災害が相次いだ1990年代は、1年が過ぎるたびに「後進国から中進国になるのはこれほど大変なことなのか」という嘆きの声が相次いでいた。
韓国の今年の1人当たりGDPは、1993年のほぼ3倍に相当する2万6000ドル(約270万円)となる見通しだ。これはほぼ先進国になったと言ってもよいほどの数字であり、また「韓国こそ世界一」と誇れる分野も決して少なくない。しかし「世界一」という派手な外見の内実がどの程度のものかについては、今回の旅客船沈没事故が如実に示している。政府も行方不明者の数さえ把握できず慌てるばかりだった。船舶や携帯電話、自動車などを製造する技術は一流になったが、それを取り扱うソフト分野は相変わらず後進国レベルにとどまっているわけだ。国民は何よりも今回の事故を通じ「もしかすると韓国は人間の命を大切とは考えない国ではないか」と骨の底から感じたはずだ。いずれにしてもこのままだと、韓国が真の先進国になるのはまだ難しい。たとえ経済的には先進国の一員になったとしても、国民の意識や社会制度、慣行などが今のレベルから抜け出せないのであれば、今回の事故以上の悲劇が今後もわれわれを待っているかもしれない。これが単なる杞憂(きゆう)で終わることを願うばかりだ。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/04/17/2014041700990.html
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☛ 韓国の日本語版新聞を読んでいると「世界一」、「経済強国」、「先進国第X位」なる言葉が頻繁に出てくる。言わせてもらえば、日韓基本条約を締結した1965年当時、韓国は世界の最貧国の一つだった。 韓国の経済発展を称して「漢口の奇跡」などと韓国ではいっているが、韓国の経済発展は日韓基本条約締結によって得た日本からの莫大な経済援助、技術援助なくして韓国の経済発展はなかったのだ。韓国がした努力といえば「パクリ」のしまくりだろう。見かけの経済発展はしたが、社会構造をなおざりににしたものだった。だから「張りぼて国家」と言われるのだ。韓国軍の欠陥兵器のオンパレードは韓国の実態を如実に物語っている。(参照: <不良品だらけの韓国軍装備、有事の際どうなるのか(朝鮮日報・社説)...>(投稿日: 2013/10/25); <韓国軍:K2戦車用パワーパック問題、いまだ解決せず…>(投稿日: 2013/04/23)
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朴大統領が不明者家族を激励 一部から怒声も=旅客船沈没
(朝鮮日報 2014/04/17 22:12)
韓国南西部の全羅南道・珍島沖で16日午前に旅客船が沈没した事故を受け、朴槿恵(パク・クネ)大統領は17日午後、行方不明者の家族が待機している珍島の体育館を訪れ、家族を激励した。 しかし、行方不明者の家族は、この2日間で救助が進んでいないことに強く抗議し、朴大統領がいる場面としては珍しく一部で怒鳴り声やののしる声が聞かれた。
…. 家族が乗船者名簿や救助作業の状況通知などを要求すると、「現場も最善を尽くしているが、家族も知らなければならない」として、情報を伝えることを約束した。 その約束を行方不明者の家族が信じようとしない反応を見せると、約束が守らなければ関係者に責任を取らせると伝えて家族らを安心させた。
しかし、一部の家族は朴大統領に対し大声で怒鳴り、政府が救助に消極的だと批判した。 朴大統領が体育館に入ると、ある家族は泣きながら「うちの子が冷たいところに閉じ込められている。助けてくれ」と叫び、あちこちから「ここに来ないで、はやく対策を立てろ」との声が聞かれた。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/04/17/2014041703311.html
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【コラム】責任持つべき人間が真っ先に逃げ出す国
(朝鮮日報 2014/04/18 10:18)
最後まで残るべき船長が船と乗客を捨てて真っ先に脱出
誤った案内放送で犠牲増やす
…. 女性と子どもを優先する理由は、弱者だからだ。20世紀初めまで世界の秩序を主導した英国は、強者が弱者に配慮するのが「文明」と考えた。船の中で最も力を持っているのは、船の事情をよく知る船員だ。(1)女性・高齢者(2)男性(3)船員の順で定められた脱出の順位は、100年前であろうと今であろうと変わらない。世界共通の客船避難マニュアルにも「船員は最後まで乗客を援助すべき」と書いてある。しかし「セウォル号」では、順序が逆だった。「文明」ではなく「野蛮」な状況だった。
関係者の証言を総合すると、乗員乗客475人のうち、脱出第1号だった可能性が高いとみられるのは船長だ。船長は、午前9時ごろに遭難信号を発信してから、わずか30分で船を捨てた。船員の多くも同様だった。脱出の列の最後にいるべき船員たちが、一番先頭にいたわけだ。船が完全に沈没したのは、船員たちが逃げ出してから1時間50分もたった後のことだった。乗組員には、乗客を避難させる時間が2時間近くもあった。しかし船員たちは、そうしなかった。
乗客を救うどころか、逆に死の道に追いやることさえした。自分たちは船を離れていながら「居場所から動かないように」という案内放送を流し続けたのだ。放送を信じた人は船内に閉じ込められ、信じなかった人は助かった。案内放送の通り客室にとどまっていた檀園高校の生徒たちは、まだおよそ250人が戻ってきていない。おそらく生徒たちは、大人たちが言った通りにすれば大丈夫だと思ったのだろう。大人を信じる純真さが、子どもたちを犠牲にした。
セウォル号の船長は、明らかに資質に問題のある人物だったようだ。しかしそんな人物を、475人が乗る客船の船長にしてしまうのが、韓国のシステムだ。船長だけでなく、他の多くの船員も早々と船を捨てた。こんな無責任な人々に数百人の乗客の命を任せる韓国は、一体どういう国なのか。
残念なことに韓国には、危機が起こるたびに、責任を持っていて力もある人々が先に逃げ出すという不名誉な記憶がある。6・25戦争(朝鮮戦争)のとき、権力層の子どもたちは避難し、庶民の青年たちは戦場に行って戦った。高官の息子が兵役を免除される比率は、一般人の平均をはるかに上回る。地方の実力者などは、1日5億ウォン(約4900万円)という特等の日当で、監獄の労役を務めた。100年前の英国の船員にも劣る韓国は、文明国と自負できるだろうか。
セウォル号の乗組員29人の中で、乗客の脱出のために最善を尽くしたのは、下級船員のパク・チヨンさん(22)だった。パクさんは最後の瞬間まで駆け回り、ついには遺体で発見された。生徒たちに救命胴衣を渡しながら、当の本人は着用の準備もしていなかったという。父親を亡くして家計のために社会に飛び込んだ、貧しい家の出身の休学生だった。
乗務歴の長い船長や航海士、機関士、操舵(そうだ)手は早々と船を捨て、乗船したばかりの下っ端の新人が最後まで船を守った。危機の責任者は逃げ出し、保護されるべき弱者が次々と犠牲になった。これで果たして、韓国は文明国といえるだろうか。
朴正薫(パク・チョンフン)デジタル担当副局長
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/04/18/2014041801084.html
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旅客船沈没:韓国の安全軽視は「持病」、米紙が指摘
(朝鮮日報 2014/04/18 08:56)
海外メディアは、旅客船「セウォル号」沈没事故について「韓国で20年ぶりに起こった最悪の海難事故だ。韓国はこの20年間に起こった大規模な事故から何の教訓も得なかった」と報じた。
米紙ニューヨーク・タイムズは17日「まだ多くの乗客が船内に取り残されている可能性がある。(6・25戦争〈朝鮮戦争〉以降の)平時に発生した事故としては最悪の大惨事になるのではないかとの見方が広がっている」と報じた。ロイター通信も、1993年に発生した西海(黄海)フェリー沈没事故を例に挙げ「この20年間、韓国で発生した海難事故としては最悪」と報じた。
米紙クリスチャン・サイエンス・モニターは「今年2月、慶尚北道慶州市のマウナ・オーシャン・リゾートで体育館の屋根が崩落し、100人を超える学生が死傷する事故が起こってから2カ月足らずで、今度は船の沈没事故が発生し、300人近くの人が行方不明になった」と報じた。その上で今回の事故を、1994年の聖水大橋崩落事故や95年の三豊百貨店倒壊事故にみられる、韓国の「安全不感症」を思い起こさせる、と指摘した。
海外メディアは事故直後、韓国政府の発表の過程で情報が混乱したことを皮肉った。米紙ワシントン・ポストは「韓国政府当局が一時『368人を救助した』と発表しながら、後になって誤りが判明し、一日中混乱が続いた」と報じた。政府の後手後手な対応が、韓国国民の不信感や怒りを増大させているというわけだ。
一部のメディアは、韓国で過去に発生した海難事故を列挙し「韓国では旅客船の事故が、まるで持病のように繰り返されている」と指摘した。ニューヨーク・タイムズは「1970年代のナムヨン号沈没事故、93年の西海フェリー沈没事故でも、数百人の死者が出ている」と報じた。
一方、米国の外交専門紙「フォーリン・ポリシー」は17日「バングラデシュやフィリピン、インドネシアなどの開発途上国でたびたび発生する旅客船沈没事故が、21世紀の韓国で発生した」と報じた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、過去10年間にアジアで発生した大型旅客船の沈没事故は、大部分がフィリピンやパプアニューギニアなどで発生したものだという。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/04/18/2014041800716.html
朝鮮日報は上記のように海外メディアの報道を引き合いに出して、今回の旅客船「セウォル号」沈没事故が海外でどのように見られているかを報道しているが、韓国で事故が起きる度に海外メディアは韓国に内在する問題を指摘する。 内在する問題は何か? それは韓国の文化と国民性という根本的問題なのだ。 昨年7月6日、アシアナ航空機がサンフランシスコ国際空港で着陸失敗事故を起こした件では、アメリカは「原因は韓国文化にある」と指摘し韓国が反発しのだが、今回の沈没事故も突き詰めれば同根の問題だろう。 (参照: <アシアナ航空機事故、「原因は韓国文化にある」と米メディア>(投稿日2013-7-14)。)
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旅客船沈没:タイタニック並みの救助率に世論沸騰
(朝鮮日報 2014/04/18 11:08)
「100年前と同レベルとは」
珍島沖で起きたセウォル号沈没事故で、乗船者の救助率は17日までに37.8%にとどまっている。1912年に北大西洋で沈没した豪華客船タイタニック号の事故では生存率が32%だった。このため、国民からは「(陸の近くに沈没した)セウォル号の救助率は(大西洋の真ん中で沈没した)100年前のタイタニック号の事故と同じ水準だ」「今の韓国でこんなことが起きるなんて信じられない」といった怒りの声が上がっている。
乗船者475人のうち、179人が脱出、救助されたセウォル号の救助率は、2224人中710人が救助されたタイタニック号事故の救助率を5ポイント上回っているだけだ。「無能な大韓民国はいまだに後進国だ」という嘆きと自嘲(じちょう)が聞かれる中、韓国を「キムチスタン」などと皮肉る表現も登場した。
今回の惨事が典型的な「後進国的人災」だった状況が続々と明らかになり、インターネット上は「2時間にわたり沈みゆく船を眺めているだけで、子どもたちを失った国に希望はない」といった嘆きの声であふれた。
ソウル大のインターネットコミュニティーで、ある学生は「『事故共和国』だった1990年代に時計が逆戻りした。聖水大橋と三豊百貨店の崩壊、大邱地下鉄放火などを経験しても、人災を繰り返すわれわれに答えはない」と憤った。会社員Lさん(28)は「韓国は惨事を経験しても、その場の収拾が精一杯で、何の教訓も得ない。経済的には少々成長したかもしれないが、社会システムは後進国レベルだ」と書き込んだ。
事故当時、乗客に「船室で待機するように」と船内放送を行った後、乗組員とともに船を脱出したイ・ジュンソク船長(69)が17日午前、ぬれた紙幣を乾かしながら、「自分は乗組員だ。何も知らない」と語ったことが報じられると「あいつらは正気か」「自分の息子が乗っていてもああいう態度を取れたか」などと厳しい批判が集まった。
あるネットユーザーは「壬辰倭乱(文禄・慶長の役)では(日本が攻めてくる前に)王が土城を捨てて逃げ、6.25(朝鮮戦争)のときには指導部が漢江の橋を落として逃げ、今回は船長が乗客を捨てて逃げた」と書き込んだ。
こうした中、タイタニック号の沈没事故で、船長、航海士、船舶設計者らが最後まで乗客の救助に当たり、船と最期を共にした事実も話題に上った。
「これが1912年の英国と2014年の韓国の差だ」「為政者がいつも口にしていた『国格(国の品格)』が実際この程度だった」といった皮肉が相次いだ。
セウォル号に常備されていた救命ボート46艘(そう)のうち使われたのは1艘だけだった理由について「引き揚げてみなければ分からない」と説明した船会社、清海鎮海運に対しても「乗客の生死を決定づける救命ボートに異常がなかったかどうか、引き揚げてみなければ分からないなんて、船会社が言うせりふか」「それさえも確認せずに出航したのではないか」という非難が相次いだ。
タイタニック号の事故では、乗組員は乗客の半分しか収容能力がなかったものの、救命ボート20艘を全て使い、救助に当たった。
ネットユーザーは、事故直後に安全行政部(省に相当)、海洋警察、教育庁が被害規模や救助者数をめぐり混乱したことについても「三流政府の仕事はこんなものだ」「朝には『全員救助』というので安心していたら、現実は大惨事だ」「安全行政部は看板を下ろせ」などといった書き込みが相次いだ。
ソウル大社会学科の鄭根埴(チョン・グンシク)教授は「韓国人の『パルリパルリ』(急げ、急げ)という民族性のおかげで短期間に高度成長を成し遂げたが、その裏で短期で物事を完成させようとしたり、安易な方法を選んだりすることを当然と考える『テチュンテチュン』(適当に、だいたいの意)の傾向があった。セウォル号の惨事も船長と乗組員が原則通りに行動していれば、被害を最小化することができたはずだ」と指摘した。
鄭教授は「船長ら責任者数人を処罰するだけでなく、われわれ全体が『テチュンテチュン』の文化を深く反省すべきだ」と呼び掛けた。
ウォン・ソンウ記者
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/04/18/2014041801308.html
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旅客船沈没:乗務員には「逃げろ!」、乗客には「逃げるな!」
(朝鮮日報 2014/04/18 10:22)
乗客は逃げ遅れ、乗務員は大半が脱出
珍島沖の旅客船セウォル号沈没事故で、イ・ジュンソク船長(69)と乗組員の大半が事故後すぐに船を脱出していたことが分かった。乗組員が救助されているころ、乗客は「船室から動くな」という船内放送を聞いていた。乗客が逃げ出せないようにしておいて、自分たちだけ先に逃げたと言われても仕方ない状況だ。
中央災害安全対策本部によると、17日午後11時現在、セウォル号の乗組員29人のうち、約7割に当たる20人が救助された。一方、檀園高校の修学旅行生325人のうち救助されたのは23%の75人にとどまった。同校の教員14人のうち救助されたのはわずか2人だ。生徒らに比べ、救助された乗組員の割合がはるかに高いのは、乗組員らが船内放送には従わずに動いていたからとみられる。
16日午前8時52分、「ゴン」という音とともに船が左側に急に傾き、乗客が動揺すると、乗組員は3分後から「外に出ると危険なので船室から動かないように」と船内放送を数回行った。指示に従い、乗客が船室にとどまる間、船長や航海士は船から逃げ出し、真っ先に救助された。
生存者のJさんは「船が沈没する前、真っ先にヘリコプターで救助されたのが乗組員だった。彼らが救助された当時、乗客には船室で待機しろというばかりで、外に避難しろという放送はなかった」と証言した。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/04/18/2014041801102.html
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不明者の家族 政府のずさんな対応に激怒=韓国客船沈没
(朝鮮日報 2014/04/18 10:27)
【珍島聯合ニュース】 韓国南西部の珍島沖合で16日午前に起きた旅客船沈没事故の行方不明者の家族は18日、事故処理に対する政府のずさんな対応を非難し、国民に支援を訴える発表文を出した。
家族の代表が珍島郡の室内体育館で発表文を読み上げ、「皆が救助されたという発表を聞き、子どもに会うため現場に到着したが、(現場の)状況はひどかった。責任を持って状況を判断できる人がおらず、状況室も設置されなかった」と指摘し、「こうした状況で子どもたちは冷たい水の中で『助けて』と叫んでいたはずだ」と述べた。また、「きのう事故現場を訪れたが、ヘリ2機、軍艦2隻、警備艇2隻、ボート6隻、(救助隊員は)200人以下だったが、政府は555人、ヘリ121機、船69隻を投入しているとうそをついている」と主張した。
家族らは「強い潮流で船体の捜索が遅れ、多くの遺体が見つかっているにもかかわらず、関係当局の対応は不十分だ」と抗議している。一部の家族は遺体の状態が良い点を指摘し、「船内で生存していたが死亡した可能性が高い」と、早急に船体内の捜索に取り掛かるよう要求した。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/04/18/2014041801115.html
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今から15年前、今回沈没したセウォル号とほぼ同じ大きさのフェリー「ありあけ」が三重県沖で沈没するという事故があった。事故の状況も似ているのだが、フェリー「ありあけ」の沈没では死亡者はゼロであり全員が救助された。 これが日本と韓国の違いである、私が言っているのではない…以下の朝鮮日報記事にそう書いてある――
旅客船沈没:09年に日本で同様の事故、死者はゼロ
(朝鮮日報 2014/04/19 10:22)
フェリー「ありあけ」、荷崩れで沈没
セウォル号と同じ林兼造船が建造、船体が大きく傾くなど状況も類似
日本で関連マニュアルを変更する契機に
2009年11月13日、マルエーフェリー(鹿児島県)が運航するフェリー「ありあけ」が、東京から沖縄に向かう途中、三重県沖で沈没した。マルエーフェリーは「セウォル」号がかつて日本で「フェリー・なみのうえ」として運航されていた当時の運航会社でもある。「ありあけ」は、「なみのうえ」を建造した林兼造船が、同船と同時期に建造した。排水量は、セウォル号(6825トン)に比べやや大きい7910トン。旅客定員は426人だが、沈没当時は閑散期だったため、乗客はわずか7人だった。乗組員は21人で、コンテナ・自動車など3249トンの貨物を積んでいた。「ありあけ」は、09年11月13日午前5時ごろ、6.9メートルの高波を受けて船体が急激に傾いた。これで貨物の固定が解けてしまい、大型コンテナが荷崩れを起こした。最終的に「ありあけ」は90度近く傾いた状態で漂流、沈没した。最初に傾いた原因は異なっても、その後の経過はセウォル号の事故とよく似ている、というのが専門家らの見方だ。
しかし「ありあけ」の事故では人命被害は発生しなかった。船が傾くと、船長はマニュアルに従って海上保安庁に救助を要請した。乗組員は、衝撃で船体がゆがみ、客室のドアが開かなくなる恐れがあると考えて、乗客らを客室から避難させた。船が大きく傾いていたため脱出は容易ではなく、消防用のホースをロープ代わりにして乗客を甲板に引っ張り上げた。甲板に待機していた乗客らは、およそ2時間後、ヘリで救助された。乗客が救助された後、乗組員が順番にヘリに乗った。最後まで船を守った船長・1等航海士ら6人は、浸水が続いたため、救命ボートを降ろして海に飛び込んだ。この6人も全員救助され、死者は1人も出なかった。
国土交通省は1年以上かけて事故原因を調査し「フェリーが波の衝撃で右舷に25度ほど傾き、固定の解けた貨物が片側に崩れて復元力を失った。同様の事故はいつでも起こり得る」という結論を下した。事故後の2011年5月、国土交通省は▲強力な固定装置の設置▲管理マニュアルの作り直し―などを海運業界に指示。客船は一般の商船に比べ重心が高く、いったん傾いてしまうと脱出は困難という点を考慮し、貨物の積載や固定装置の設置には特に注意すべきとした。
東京= 車学峰(チャ・ハクポン)特派員
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/04/19/2014041900438.html
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【フェリー「なみのうえ」】
☛ マルエーフェリー株式会社がかつて鹿児島航路で運行していたフェリー。 1994年6月竣工、6,586総トン、速力21.5ノット、旅客定員804名。 「フェリー波之上」(2012年9月就航)と入れ替わりで2012年10月1日那覇発で退役し韓国の清海鎮海運へ売却。 客室追加などの改修を受けた後「SEWOL(セウォル)」として就航していた。
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旅客船沈没:貨物量少なく報告、固定に問題も
(朝鮮日報 2014/04/19 10:23)
いい加減な船積みも沈没の原因か
セウォル号常連客「普段から荷物をきちんと固定していなかった」
貨物が一方に偏り船が破損、浸水した可能性も
旅客船「セウォル号」が15日に出港した際、船に積み込んだ貨物量と車両台数を少なく報告していたことが分かった。特に車は海洋警察から許可を受けた積載台数に比べ32台も多かった。専門家は「報告内容より多く積んだ貨物や車両をきちんと固定しなかったため、船体が一方に傾いた可能性が高い」と指摘している。
海洋警察と韓国海運組合によると、セウォル号は15日に貨物657トン、車両150台を載せたと出航前の点検報告書に記載して同組合に提出したという。しかし、事故発生3日目の18日、同号を運航する清海鎮海運は「実際には貨物1157トンと車両180台を船積みしていた」と発表した。貨物は500トン、車は30台分を少なく報告して出港したということだ。
車は海洋警察から許可を受けていた積載台数を超過していた。セウォル号の運航管理規定によると、セウォル号は乗用車88台とトラック60台、合計最大148台の車両を積むことができる。しかし、今回の出港時には乗用車124台と貨物トラック56台、合計180台を載せていた。許可を受けた148台を32台上回っていた計算になる。セウォル号が積み込んだトラック56台のうち、半分以上の34台は大型自動貨物車両だ。自動貨物とはトラックが荷物を積んだまま船に載せることで、大型トラックが使用されることが多い。
セウォル号側がいい加減な貨物量と車両台数を報告したのにもかかわらず、海運当局はこれに気付かなかった。点検報告書は出航前、海運会社の集まりである韓国海運組合に提出されるだけで、海洋警察や海洋港湾庁には送られないからだ。これについて海洋警察は「車やコンテナなどを合わせて計算した場合のセウォル号出荷可能総和量は3963トンだが、実際には3608トンを船積みしたことが調べで分かっているため、大きな問題はない」と話している。
だが、問題は文書上より多く積んだ貨物と車が事故原因の一つになっている可能性が高いということだ。専門家は、セウォル号が事故時に急激に方向転換したことできちんと固定されていなかった車やコンテナが一方に偏ったため船体が傾いた可能性を指摘している。セウォル号を頻繁に利用する人々の中には「普段からセウォル号は車やコンテナを載せてからきちんと固定していなかった」と証言する人もいる。
海洋警察もこうしたずさんな船積みが沈没の決定的な原因になったとみている。専門家によると、自動車を含む全ての貨物は船に固定しなければならない。重い車や貨物は船の下の方に、軽い物は上の方に載せることで重心を低くしなければならないという。
しかし、業界関係者は「これを行うには時間も費用もかかるため、荷物や車が来た順に上下の区別なく載せ、しっかりと固定しないことも多い」と話す。木浦海洋大学のイム・グンス教授は「セウォル号の状況を見ると、船が大きく傾いた(外方傾斜した)とき、正しく固定されていなかった貨物が全て一方に偏ったことから船がさらに傾き、その部分に水が入ってきたものとみられる」と述べた。
崔在鎔(チェ・ジェヨン)記者
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/04/19/2014041900439.html
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【社説】 基本を無視する韓国社会、繰り返される人災
(朝鮮日報 2014/04/19 11:14)
今回の事故で沈没した旅客船「セウォル号」を運航していた清海鎮海運は、1994年に日本で建造された旅客船を日本の海運会社から2012年に買い取り、セウォル号と名前を変えて、3-5階に客室を増築するなどの改造を行っていた。この改修により、乗船定員は840人から956人へと116人増え、また船の重さは6586トンから6825トンと巨大化した。どう考えても無理が伴う改造だった。
事故当時、セウォル号は180台のトラックや乗用車と1157トンの貨物を積んでいた。50トン以上の大型トレーラーも3台積まれていたという。セウォル号のような旅客船は、いわば船体の上にビルを建造したようなものだ。そのため一般の貨物船に比べ船の重心が高かったはずで、しかも改造や過積載の影響で船全体がさらに不安定な状態となっていた可能性も高い。そのため船体が傾いたときにそれを元の状態に戻す復元力が大きく低下していたと考えられる。
積載されていたコンテナやトラック、トレーラーなどの貨物をしっかりと固定していたかどうかも疑わしい。乗務員や乗客の証言によると、セウォル号は事故当時、急旋回した瞬間に貨物を固定する安全装置が外れたか、あるいはコンテナが船の一方に片寄ったものと考えられ、それによって船体が傾き始めたものとみられている。乗客の多くが「ドーン」という音を聞いたと証言しているが、この音もおそらく貨物が片寄ったときに互いにぶつかり合って出たものだろう。出港当時、セウォル号には100個以上のコンテナが3段か4段に積み上げられていた。これについても、ある乗務員は「鉄の鎖ではなく、通常のロープでずさんに固定されていた」と証言している。乗務員が乗客に「船室から出ず待機してください」と指示した理由も、船の構造や積み荷の固定の仕方に問題があり危険だったことを知っていたため、乗客が一方に押し寄せるのを防ごうとしていた可能性がある。
セウォル号には46隻の救命ボートが設置されていた。これは、水圧を関知すれば自動的に膨らむ25人乗りのものだ。もし自動的に膨らまなければ、乗務員がピンを外して海に落とせば良いはずだった。ところがこれら救命ボートのうち、実際に膨らんだのはわずか1隻だけだった。これについて乗務員らは「船が大きく傾いていたため救命ボートに近づけなかった」と証言している。旅客船の乗務員は、救命ボートの取り扱いを含む非常時のための訓練を10日ごとに受けなければならない。これは法律でも定められている。もしこの法律を守って訓練さえ行っていれば、救命ボートの異常はあらかじめ把握できていたはずであり、またもし非常時に膨らまなかったとしても、何らかの対応ができたはずだった。
先進各国では、旅客船に乗客が乗ると同時に、それぞれの船室で救命胴衣がある位置を確認させ、また甲板に来させて1時間ほどかけて非常事態に備えた教育を行う。非常時に船の中からどの経路を通れば外に出られるか、またどの救命ボートに乗るべきか、さらにボートの中にある煙幕や照明弾はどのように使うかなどがこの時に教えられるのだ。ところがセウォル号の船長と乗務員はこれらの指示を行うどころが、船が浸水し始めると「われ先に」と船から脱出した。船員法には「船長は乗客の全員が船から降りるまで船から離れてはならない。船舶が危険な状況となったときには、人命救助に必要な措置を尽くさなければならない」と定められているが、これは法で定める以前の職業倫理の問題だ。セウォル号の船長も乗務員も、このような当然の倫理さえ守らなかったのだ。
韓国国内には99の沿岸航路があり、173隻の旅客船が行き来している。そのうち5000トン以上の大型カーフェリーはセウォル号を含めて7隻ある。これらが果たして違法な改造を施していないのか、あるいは救命ボートは容易に使用できるようになっているのか、乗務員に対してしっかりと教育が行われているのかについては、実のところ把握できていない。政府は全国の旅客船を対象に、直ちに緊急の安全点検を行わなければならない。
基本的なルールや常識というものは、それぞれを細かく見れば実際は大それたことではないように感じられる。しかし基本というのは建物でいえば、全体を支える土台となる礎石のようなものだ。これが不安定になれば建物はいつか崩壊するだろう。われわれは大惨事が起こるたびに、よく「人災」という言葉を使って嘆く。これはつまり関係者が基本的なルールを守らないために起こったということだ。韓国社会には基本、規則、基礎、ルールを大切に考える人間に対し、何か世間知らずの堅物のように見下すような雰囲気がある。それどころか、ずる賢い手口を駆使できる人の方が有能な人間のように扱われる。今回のセウォル号沈没事故の根底には、基本を無視する韓国社会のこのような病弊があるのだ。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/04/19/2014041900510.html
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旅客船沈没:操船していた3等航海士、名前偽り脱出か
(朝鮮日報 2014/04/19 11:16)
生存者名簿に本名「パク・ハンギョル」掲載なし
船長も救出時に身分偽る
旅客船「セウォル号」沈没事故が起こった当時、操船権を握っていた3等航海士のパク・ハンギョル容疑者(26)=女性=が、救助されたとき身分を隠そうとしたのではないかとの疑惑が浮上した。
パク容疑者に操船権を渡し、操舵(そうだ)室を出ていたイ・ジュンソク船長(69)=逮捕済み=も、16日午前11時ごろに全羅南道珍島郡の彭木港に到着したとき、職業欄に「一般人」と書き、身分を偽っていた。
乗客より先に救助されたパク容疑者も、イ船長とほぼ同じ時間に彭木港に到着していたことが分かった。だが、事故発生から3日がたっても「セウォル号沈没事故生存者名簿」に「パク・ハンギョル」という名前はなかった。その代わり、発音が似ている「パク・チャンギル」という乗組員の名前が載っていたが、本紙がセウォル号を運航する清海鎮海運に対し、乗組員の名前を照会したところ、「パク・チャンギル」という名前の社員はいなかった。だが、検察と警察の合同捜査本部は18日午後7時10分、生存者名簿に名前がない「パク・ハンギョル」に対する逮捕状を請求した。合同捜査本部の関係者は「救助された直後に名簿を作成したとき、パク容疑者が自ら『パク・チャンギル』と記載したのか、あるいは別の人物がパク容疑者の名前を聞き間違えて『パク・チャンギル』と記載したのか、または実務担当者のミスで生存者名簿にパク容疑者の名前を記載できていないのか、正確には分からない」と説明した。
パク容疑者は木浦海洋大学を卒業後、S国際フェリーで10カ月間実習を行い、昨年12月に清海鎮海運に入社した。海洋警察の関係者は「入社して4カ月しかたっていない上、慣れていない航路を航行したため、事故を起こした蓋然性が高い」と話した。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/04/19/2014041900512.html
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【木浦海洋大学】 http://www.mmu.ac.kr/
☛ 木浦海洋大学校は韓国南西部黄海に面する木浦にある国立大学である。1950 年に前身である水産海洋高等学校(Fisheries and marinehigh school)が設立される。1993 年、現在の木浦海洋大学校となる。二隻の訓練船を保有する。 (出典: http://www.kaiyodai.ac.jp/docs/r_guidebook/r_tebiki.pdf 大学案内より)
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旅客船沈没:乗員たちのあきれた言い訳に国民激怒
(朝鮮日報 2014/04/19 11:17)
脱出した乗員たちが本紙に語った弁解の数々
生存者たちの証言によると、「左に傾いた感じ」がしたセウォル号の乗客に対し、船から脱出するようアナウンスがあるまで1時間23分かかったという。このとき、操舵(そうだ)室で何があり、なぜ救出時間が確保できず乗客の生死を分けることになってしまったのか、疑問が残る。また、船が90度に傾くまで乗員はどこにいて、なぜ乗客の救助に当たらなかったのだろうか。
そうした疑問に、生き残った乗員たちは「状況が瞬く間に悪化して手を打つ間もなかった」と弁解に終始した。
オ・ヨンソク操舵手(58)は本紙取材に「船で一番高いブリッジにいたときに船が傾き、やっとのことでブリッジから脱出した」と語った。事故当日の16日午前4時まで勤務し、船室で寝ていたオ操舵手は、船が傾いていることに気付くとすぐに操舵室に向かった。午前8時54分ごろ、乗員8人と、ブリッジ近くの船室で寝ていたフィリピン人歌手2人の合計10人が操舵室に集まったという。事故当時に2人1組で運航に当たっていたパク・ハンギョル3等航海士(26)とチョ・ジュンギ操舵手(55)は「ヒーリング・ポンプ・スイッチ(船のバランス装置)」に待機していた。イ・ジュンソク船長(69)は慌てて海図機(海図を読む機械)をつかみ、「ヒーリング(heeling=排水ポンプで船のバランスを取る機械)しろ」と叫んだという。しかし、ヒーリング機を操作しようとしたとき、船はすでに60度傾いていた。
パク・キョンナム操舵手も本紙の取材に「すでにコンテナや貨物が全て一方に偏った状態なのに、ヒーリング機が作動させられるのだろうかと思った。さらに悪いことに、発電機が切れて全く動かなかった」と証言した。その間、案内係のパク・チヨンさん(22、女性)=死亡=ともう一人の案内係が「船内から動かないで待機していてください」と数回にわたり放送した。
60度に傾いていた船は約40分後に90度とほぼ垂直にまで傾いたという。「この40分間になぜ乗員たちは乗客の救助に当たらなかったのか」という批判の声も上がっている。オ操舵手は「ブリッジは船で一番高い所にあるので、まるで崖の上のような状況だった。速やかに降りて乗客を助けたかったが、ホースをつかんで下りていこうとしたもののうまくいかなかった」と弁解した。
また、乗員たちは救命ボートを広げようとしたが、船がひどく傾いた状態だったためボートのある場所まで近づけなかったという。突然、絶壁にしがみつくような状況になったため、救命ボートは46艇のうち1艇しか出せなかったとのことだ。
1等航海士が「左舷・右舷とも救命ボートの投下が不可能な状況だ」と報告すると、船長はやっとのことで9時40分ごろ、「脱出命令」を出した。船はすでに85度まで傾いた状態だった。オ操舵手は「85度から90度になるまで10分ほどかかったが、それくらいあれば船から脱出することは十分できる。脱出命令が乗客たちにも伝わっていたかどうかは確認できなかった」と話した。
ブリッジから脱出した船長と航海士約10人はちょうど現場に到着した海洋警察の救命ボートに全員乗った。しかし、乗員が脱出してからかなり時間がたった10時15分になってようやく、乗客に対して脱出命令のアナウンスがあったという。
「沈没しそうだ」と通報を受けた済州海洋管理団の海上交通管制センター(VTS)は9時ごろ、無線交信でイ船長に「救命胴衣を着用し、船を捨てる準備をせよ」と指示していた。これについてイ船長は「船内放送システムが(浸水のため)故障して放送できない」と答えた後、交信が途絶えた。
だが、船の中では10時15分ごろ、パク・チヨンさんが「海に飛び込んでください」と最初にアナウンスしていた。それまで乗客に対して脱出命令は伝えられていなかったことになる。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/04/19/2014041900514.html
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【社説】 国民に不信感を抱かせる韓国政府の対応
(朝鮮日報 2014/04/19 11:52)
朴槿恵(パク・クンへ)大統領は17日午後、旅客船「セウォル号」沈没事故による行方不明者家族が集まる珍島室内体育館を訪問した。このとき現場にいた男性が朴大統領に「私たちは(政府から)だまされすぎた」と言いながら、携帯電話の番号が書かれたメモを手渡した。この男性は今も行方不明となっている檀園高校の女子生徒の父親(M氏)だった。M氏が事故当日に現場へ駆けつけたとき、娘の名前は政府が公表した救助者リストの中にあったという。ところがM氏は病院に娘がいなかったことから、ほかの家族が待機する珍島の彭木港や周辺の海岸、病院周辺の下水口まで娘を捜し回ったという。後に、娘は救助されていなかったことが分かったとき、M氏がどれだけがっかりしたか、われわれには想像もできない。海洋警察は17日未明に檀園高校の女子生徒Bさんの遺体を発見したと発表したが、その日の夜遅くになって「遺体の身元は不明」と訂正するなど、家族の心情を逆なでし続けている。18日には安全行政部(省に相当、以下同じ)が「救助隊員がセウォル号の食堂に入った」と発表したが、5時間後にはこの発表も訂正した。
政府当局者は事故直後から右往左往するばかりだった。沈没直後には乗客のほとんどが救助されるものと甘く判断し、船内で積極的に救助活動を行おうとはしなかった。乗客の数も477人から始まり、その後459人→462人→475人と何度も訂正した。当初368人と発表された救助者の数は、2時間後には200人以上少ない164人へと減った。安全行政部は、救助者の数を集計する際のミスは海洋警察の責任と主張したが、これに海洋警察が反発したため、後に自分たちの計算ミスだと説明を変えた。
300人近い乗客が船と共に海底に沈んでいる緊迫した状況で、2日以上にわたり救助隊が船内に入れない現実を目の当たりにしながら、世界のどの国が大韓民国を「世界最先端の携帯電話を製造し輸出する国」だと信じるだろうか。国民は政府当局が事故原因について明確な説明もできず、乗客の数や救助された人の数、またそれが誰なのかについてさえ把握できずおろおろする様子を見ながら、政府関係者の事故対応能力がいかに低レベルかをあらためて知った。国民の安全が最優先ということで「行政安全部」を「安全行政部」に変更した政府の現状が、まさにこのざまだ。
しかも、行方不明者の家族たちは18日「政府の対応があまりにも情けなく怒りがこみ上げてくるので、国民の皆さんに(支援を)訴えたい」という内容のメッセージを全国民に向けて発表した。家族たちは「17日に現場を訪問したが、(救助作業を行う)人員は200人もいなかった。ところが政府は555人が現場で救助活動に当たり、121機のヘリコプター、69隻の船を動員して子どもたちを救出する作業を行っている、とうそをついた」と主張している。海洋警察は17日朝から数回にわたり「セウォル号の船内に空気を注入する準備が完了した」と発表したが、実際に作業が行われたのはそれから30時間近くたった18日午前10時50分だった。政府は誰よりも行方不明者の家族にまず救助作業の状況について説明すべきだが、家族たちは「誰1人として責任を持って語る人間はいなかった」と訴えている。
安全行政部の対策本部と海洋警察、海軍、海洋水産部も、それぞれ連携せず独自に動いている。大統領だけが孤軍奮闘しているかのような印象を国民に与えるだけで、誰が全体を指揮する司令塔なのかも明確でなく、大統領の分身として現場で迅速に決断を下す人間も見当たらない。潜水士たちは命懸けで海の中に潜っているが、政府関係者の多くは大統領の前でだけ作業に当たるふりをしているだけだ。
国家であれ組織であれ個人であれ、本当の能力とは非常事態のときにこそ表れるものだ。今回のセウォル号沈没事故を通じ、国民が大韓民国政府とそこで働く公務員の能力について完全に不信感を抱いたことだけは間違いない。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/04/19/2014041900580.html
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韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は4月17日、旅客船「セウォル」号が沈没した珍島を訪れて救助活動を激励するとともに、行方不明者の家族と会った。 さて、細かいところにまで口を出すオバハン大統領のこの視察が韓国内でも賛否両論を巻き起こしている。 私に言わせると、民意、民意といってその場しのぎパフォーマンスをするポピュリズム政治家の典型に思える。東日本大震災の時の菅直人元首相のやったことを思い出していただきたい。 彼の行動によってどれだけ現場が混乱したか、朴槿恵(パク・クネ)大統領の行動もしかり。 彼女の行動はすべからく国民の受けを前提にしたポピュリズム政治家のパフォーマンスだ。 今回は、救助が遅々として進まないので非難の矢面に立つことになる、藪蛇(やぶへび)でしたなオバハン! 彼女の高支持率もこれを契機に下降して行くだろう。 韓国の統治機構は日本が韓国を併合した時代のものを受け継いでいる。 しかし、日本統治終焉と共に行政機構の機能は低下している。 日本が去った後の最大の弊害は、李朝時代の両班(ヤンパン)的身分意識が官僚、役人らに復活したことだ。 韓国の官僚、役人らの体質は李朝時代の両班(ヤンパン)と同じで責任を取らない。 見た目は近代国家だが、中身は李氏朝鮮時代と何ら変わらない国、それが韓国なのだろう。 何か事が起きる度に韓国が混迷するのはそういう体質が原因だろう――
旅客船沈没:大統領の視察に賛否両論
(朝鮮日報 2014/04/19 11:45)
「大統領が逐一取りまとめなければ官僚組織が動かない」
政府全体での協力システムが必要
韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は今月17日、旅客船「セウォル」号が沈没した全羅南道珍島を訪れて救助活動を激励するとともに、行方不明者の家族と会った。この行動については「家族を慰め、現場の関係者に緊張感を持たせたという点では良かった」という評価もあるが「朴大統領が全ての面にいちいち関わると、最終的にはシステムが動かなくなる」という指摘も少なくない。「大統領が全てやるのではなく、国政がシステムによって回るような体制を構築するのが先」というわけだ。
大事故の初期段階から被害者の家族と会い、要求事項を聞き、政府当局者に指示を下すなど大統領が現場指揮に直接乗り出すのは、韓国の歴代大統領の中では異例だ。林采正(イム・チェジョン)元国会議長は18日、電話インタビューに対し「大統領には大統領としてすべきことがあり、政府のほかの官僚にも相応にすべきことがあるが、今回の訪問で、大統領が過度に上から下まで関与するという印象を与えた。こうなるとシステムが動かず(公務員は)いつも上ばかり見るようになる」と語った。チョン・ユンチョル元監査院長は「朴大統領が今回現場を訪れたのは良かったと思う」と述べつつも「こうしたことが繰り返されると、大統領が何も言わなければ官僚組織は動かなくなり、重大な事態が発生するたび、いちいち大統領が全ての面を取り仕切って目配りしなければならなくなる」と語った。朴明浩(パク・ミョンホ)東国大学教授は「現場で当たり前に解決されるべきことが大統領の一言で政治的に解決される、という場面は、良いようには見えない。政府全体にわたる協力システムを開発し、それに慣れるべき」と語った…….
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/04/19/2014041900551.html
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旅客船沈没:大統領の叱責恐れもたつく官僚
(朝鮮日報 2014/04/19 11:49)
海洋水産部長官「乗船者名簿を確保」…大統領に不正確な報告
過ちを犯せば全責任を取らされる…消極的な公務員
旅客船「セウォル号」沈没事故への対応に当たる公務員たちが、国民のことは眼中になく大統領の顔色ばかりうかがう姿をあからさまに見せている。「韓国政府には大統領1人しかおらず、責任を持って働く官僚はいない」という嘆きの声が、行方不明者の家族はもちろん国民の間でも高まっている。
■ 大統領の前でも不正確な報告
行方不明者の家族が集まる全羅南道珍島の体育館を朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が訪れた今月17日、海洋水産部(省に相当、以下同じ)の李柱栄(イ・ジュヨン)長官は「乗船者名簿を確保している」「名簿は海洋警察と海洋水産部が既に確保した」と語った。行方不明者の家族は17日、朴大統領に「正確な乗船者名簿を教えてほしい」と要請し、朴大統領は「大勢の方が望んでおられるので、速やかにお伝えしなければ」と語った。
行方不明者の家族は17日夜に乗船者全員の名前が載ったリストを要求したが、韓国政府が確保した名簿には個々の名前が記載されておらず「○○氏一行」などと書かれた不十分なリストだった。家族の要求に応じて正確に確認することは不可能だった。
安全行政部は事故初日から、大統領の叱責(しっせき)を恐れ、乗船者数の誤りすらすぐには修正しなかった。事故直後の今月16日午前から、乗船者の数は477人、459人、462人、475人(17日午前2時現在)と変わり続けた。
ある公務員は16日の夜、本紙に対し「大統領から『なぜ何度も統計を間違えるのか』と指摘されるので、大統領に報告した人数(462人)が誤っていると分かっても、直ちに修正して発表するということができない」と語った。大統領からのさらなる叱責を恐れ、事実関係すら訂正できないというわけだ。安全行政部は18日午後10時ごろ、乗船者数を再び訂正し、476人と発表した。
現場での対応にもたついた官僚たちだが、大統領の言葉には素早く反応した。行方不明者の家族は事故直後から「捜索現場をリアルタイムで見たい」とテレビモニターの設置を要求していたが、朴大統領が珍島の体育館を訪問した17日夜、直ちにモニターが設置された。大統領の一言であっという間に設置されたテレビモニターを見て、行方不明者の家族は「このように簡単なことを、どうして今までしなかったのか」と官僚を非難した。
■ 大統領が指示しなければ動かない
官僚が大統領の顔色ばかりうかがうという病弊は、今に始まったことではない。先月20日に韓国大統領府(青瓦台)で規制改革の討論会が行われた際、フードトラック(トラックの屋台)の改造を手掛けるメーカーの社長が、朴大統領の前で「食品偽装法の規制で、フードトラックの営業活動自体が違法になっている」と請願を行った。韓国政府の複数の部処(省庁)に対し9年にわたって提起し続けた問題だった。関連部処の長官たちは、その場で直ちにフードトラック関連の規制改革を約束した。9年間も「違法事業者」を量産していた規制が、大統領の指示により、わずか10分で解決の糸口をつかんだというわけだ。
大統領の前では規制改革に前向きな各部処だが、実際は「作心三日(決心が三日と持たない)」だった。海洋水産部は先月23日、コンテナの荷役料金を申告制から認可制に変更する規制を設け、農林畜産食品部は、ニンジンの検査機関の条件を強化した。大統領が見ている前では腕まくりをして規制緩和に臨んでいるようでも、陰では別の規制を設けているのだ。
■ 「過ち犯せば全責任」、消極的になる公務員
政府や与党の関係者は「今回のセウォル号沈没事故で、専門性を備えた公務員が現場で積極的に動けずにいるのは『過ちを犯せば自分が全ての責任を負わされる』と恐れているためだ」と語った。現場を訪れた与党セヌリ党の関係者は「公務員は『自分ばかりが出て行って過ちを犯せば、責任を負わされる』と考えているため消極的だ。事態が終息したら誰も責任を取らない、ということを経験的に知っている」と語った。
安全行政部・海洋水産部など韓国政府の各部処と韓国軍・警察が合同作業を行っているため、形式的には首相が責任者になっているが、実際にはどの部処も責任を負わないシステムで運営されている、という指摘もある。
韓国政府の関係者は「責任者が現場にいないため、十分な情報の得られない実務担当者が小さなうそを繰り返し、それが大きなうそにつながっている」と語った。政府レベルの対策会議も、現場の特性を全く反映しないまま、国務会議(閣議に相当)と同様に各部処・機関が順に状況報告を行うのがほとんどだと批判されている。
趙儀俊(チョ・ウィジュン)記者 , 珍島= ソン・ウォンヒョン記者
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/04/19/2014041900568.html
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【コラム】 韓国社会にごまんといる「セウォル号の船長」
(朝鮮日報 2014/04/19 12:15)
ニューヨークのタクシーは運転が乱暴なことで有名だ。スピードを出し過ぎ、料金をごまかすこともある。だがバスは違う。客が乗り込むと、座席に座るまで待っている。体の不自由な客がいる場合には、発車まで十数分かかることすらある。運転手が降りて車椅子を持ち上げ、車内に固定して、安全を確認して発車するのだ。
東京のバスも同じだ。車線を変更せず、スピードを出すことも、急ブレーキをかけることもない….
バスがタクシーと違う点は、多くの人を乗せるということだ。多くの乗客の安全に責任を持つため、守るべき義務も異なる。ニューヨークや東京のバスは、運行に際して細かいマニュアルが定められている。これを守らなければ運転手は解雇される。実際のところ、座席に座る前にバスが発車したからといって、客が転倒するようなケースはまれだ。車椅子を固定していないからといって、ひっくり返るというケースもめったにない。それでもマニュアルを守るのは、最悪の事態を常に念頭に置いているためだ。
日本の旅客船会社「マルエーフェリー」は、今回の事故を起こした「セウォル号」を日本で18年間運航していた。その間、事故を起こしたことは一度もなかった。この会社の海難事故対策マニュアルを見ると、人命の安全を確保することや、事態を楽観視せず、常に最悪の状況を念頭に置いて措置を講じることなどが、最も重要な項目として挙げられている。「船長の判断を尊重する」という項目もある。もちろん、上記の2項目をきちんと認識した船長を指すものだ。今回の事故について、海外の専門家たちは「常に最悪の状況を考える」というマニュアルを無視した船長が、早い段階で楽観視していたことが悲劇を招いた、と指摘している。そのために「船内で待機するように」という指示を出し、その指示に従った純粋な高校生たちを死に追いやったのだ。
世界銀行が韓国を「開発途上国」リストから除外したのは1997年のことだ。1人当たり国民所得が1万ドル(現在のレートで約100万円)を超え、「先進国クラブ」と呼ばれる経済協力開発機構(OECD)に加盟したことが反映されたのだ。この年には厳しい経済危機に見舞われたが、結果的に危機が刺激となり、韓国は先進国に分類されることになった。そのスピードはあまりにも速かった。未熟な人々は「成功神話」によってつらい過去を忘れた。崩落事故で数十人が犠牲になった聖水大橋や、倒壊事故で数百人の犠牲者を出した三豊百貨店の跡地に造られた新たな建造物を見ているうちに、教訓を忘れてしまった。セウォル号の船長は、20年前の聖水大橋の管理者や、三豊百貨店の経営者と何ら変わらない。そして今、韓国社会の安全に責任を持つべき地位に、セウォル号の船長のような人物がいくらでもいる。
国連のコフィー・アナン前事務総長は「先進国」についてこう定義している。「全ての国民が安全な環境の下、自由で健康な生活を送れる国」。この点で韓国は依然、途上国のままだ。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/04/19/2014041900589.html
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ではここからは韓国・中央日報の記事を2本、クリップして掲載したい。
- 【社説】 韓国は「三流国家」だった 04/19
- <韓国旅客船沈没>「朴槿恵政権の危機管理能力が試験台に」外信も集中報道 04/20
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【社説】 韓国は「三流国家」だった
(中央日報 2014年04月19日10時15分)
旅客船「セウォル号」沈没事故4日目。韓国社会は今、「集団アノミー」または「集団メンタル崩壊」に陥ったも同然だ。みんな魂の抜けた状態だといっても過言でない。政府は信頼されず、怪談は乱舞し、疑惑は増幅している。17日に朴槿恵(パク・クネ)大統領が珍島事故現場を訪れ、行方不明者の家族の絶叫を聞き、一線の公務員に最善を尽くすよう命令した後、この行き詰まった災難の局面でやや疎通が生じるするようだった。大統領の訪問後、無説明で一貫していた当局は、行方不明者の家族がいる珍島体育館に大型スクリーンを設置するなど動き始めた。
18日。ようやく船内に空気を注入し、この日午後、救助隊が船内に進入して本格的な行方不明者の安否確認作業に入った。現場救助作業で一段階進展があったのだ。しかしこうした進展も大統領の約束も「集団メンタル崩壊」を落ち着かせることはできなかった。
この日午前から私たちの社会は民間潜水士というある女性の嘘に振り回された。「救助作業をする民間潜水士に、救助隊員が適当に時間をつぶして行けと話した」などの発言だった。これをテレビのニュース番組が報道し、ネットユーザーは非難を浴びせた。嘘であることは直ちに明らかとなり、該当放送局は速かに謝罪した。問題はこうした全くでたらめな主張まで一瞬のうちにSNSに乗って社会全体を揺るがすほど、私たちの共同体には深い不信感が広まっているという点だ。こういう時であるほど分別力を発揮すべき政府や報道機関までが冷静さを失う状況であり、市民はもう頼れるところがない。
修学旅行へ行く途中に災難にあった安山檀園高校の行方不明者の家族はこの日、「政府の態度に怒りを感じる。責任者もいないし、ずっと嘘をつく」と国民に訴えた。また、セウォル号から救出された檀園高の教頭が首をつって自殺した。相次ぐ悲劇の中で「乗客になぜ非常時の行動守則も知らせなかったのか」「救助現場に出動した救助隊はなぜ1時間ほど誰も船内に入って現場救助をしなかったのか」「日本が寿命を終えて転売した20年経った旅客船は無理な改造までしたが、どのように安全検査に通過したのか」など多くの疑問と疑惑が新たにあふれている。
不信感ばかりが支配する社会。しかしこれを収拾する政府の姿は見られない。むしろ空回りする政府の姿ばかり随所で突出している。中央災害安全対策本部は18日、「海洋警察が船室に入った」と発表したが、しばらくして発表を覆した。事故初日に救助された人と乗船者の数さえ集計できなかった政府の混乱は、大統領が最善を尽くすよう命令した後にも続いた。現場の記者は話した。「中央災害安全対策本部は掌握力もなく、海洋水産部と安全行政部は疎通せず、派遣公務員は弁解ばかり…、見ていて我慢できないほどだ」。
珍島の現場記者はこう述べた。「パンモク港には119救急車が並び、、企業など民間人ボランティアメンバーが集まり、ふとんから下着まで家族が必要な物品を与えて待機している。問題は意欲と気持ちはあるが、みんな何をすればよいのか分からないという点だ。対策機構は一元化されず、対応マニュアルがないため、現場は効率的に動けない」。
この超大型災難の前で、私たちは「安全政府」に対する期待と希望までが沈没してしまった、もう一つの悲しい現実に直面した。世界7位の輸出強国、世界13位の経済大国という修飾語が恥ずかしく、みすぼらしい。木と草は強風が吹いてこそ見分けることができるという。一国のレベルと能力も災難と困難が迫った時に分かる。韓国のレベルは落第点、三流国家のものだった。あたかも初心者の三等航海士が操縦したセウォル号のように、沈没する国を見る感じであり、途方に暮れるしかない。私たちの社会の信頼資産までが底をつき、沈没してしまったも同然だ。この信頼の災難から大韓民国をどう救助するのか、いま政府から答えを出さなければならない。
http://japanese.joins.com/article/378/184378.html?servcode=100§code=110
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<韓国旅客船沈没>「朴槿恵政権の危機管理能力が試験台に」外信も集中報道
(中央日報 2014年04月20日12時07分)
セウォル号沈没から4日目の19日も国際社会の耳目は事故現場に集中した。外信はイ・ジュンソク船長拘束、遺体追加収容と犠牲者の葬儀、航海士の経験不足などのニュースをリアルタイムで報道し、今回の事故は人災だと伝えた。ニューヨークタイムズ、ウォールストリートジャーナルなどはアジア地域に駐在する特派員全員を珍島(チンド)の事故現場に急派した状態だ。ウォールストリートジャーナルは、「この事故は朴槿恵(パク・クネ)政権の危機管理能力に対する試験台になるだろう」と伝えた。
事故原因に対する分析も続いている。CNNの記者は18日に珍島の現場から、「大人の言葉には服従する韓国の文化的特性により学生たちの犠牲が大きくなった」と分析した。「船があっという間に沈没したのではないのに救助人数はなぜ少ないのか」というアンカーの質問に対して答えたものだ。記者は「(船内に)そのままいるように」という案内放送の内容に言及し、「韓国の学生は大人が『中にいろ』と言えばその言葉を聞く。大人が子どもよりもわかっているというのが常識の社会だ」と説明した。
韓国の危機対応の混乱に対する批判も出ている。中国国営人民日報姉妹紙の環球時報は、「発展した国も安全危機に直面する」という題名の社説で、今回の事件は「韓国の近代化水準が問われる試験」とし、「韓国の生活水準は先進国に近いが、危機への対処の姿は先進国と距離がある。今回の災害は韓国の近代化の脆弱性を見せた鏡だ」と指摘した。香港の文匯報はちょうど102年前の1912年4月15日に発生したタイタニック号の事故を取り上げ、「複合的事故原因の中で船長の職業的道徳意識欠如が最も大きい」と報道した。日本のメディアもやはりセウォル号が日本で建造された船という点と合わせ、珍島海域の潮の流れなどをリアルタイムで伝えるなど熱い関心を見せている。
韓国メディアに対する叱責の声も高まっている。マイクロソフトを創立したビル・ゲイツ氏やグーグルのエリック・シュミット会長らが寄稿するオンラインメディアのワールドポストは17日付で「どたばたする政府も問題だが、これをそのまま受けるばかりの韓国メディアも問題」と指摘した。
外信は先月発生したマレーシア航空機の行方不明事件よりも大きなニュースと受け止めているとソウル外信記者クラブの澤田克己会長は伝えた。澤田氏は「マレーシア航空機が目の前から消え“ミステリー”として関心を集めたとすれば、今回の沈没は目の前に見えるセウォル号が沈没するのに手出しできなかったという点でもっと大きいニュースだ」と分析した。ウォールストリートジャーナルのアラステア・ゲール特派員は、「幼い命が数百人閉じ込められているのがさらに衝撃であり、本部編集局でも関心が熱い」と伝えた。
一方、各国首脳から慰労も続いた。17日に哀悼の意を伝えたオバマ米大統領に続き、英エリザベス2世女王は19日に朴槿恵大統領に「セウォル号のニュースに深い衝撃を受けた。英国国民は犠牲者と遺族を哀悼し不明者の無事帰還を祈っている」という慰労のメッセージを送ったと駐韓英国大使館は明らかにした。
http://japanese.joins.com/article/390/184390.html?servcode=400§code=400&cloc=jp|main|top_news
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【追加情報 2014-4-20】
<清海鎮海運について>
☛ 清海鎮海運(チョンヘジンかいうん)は、1999年に設立された大韓民国(韓国)の海運会社である。 仁川-済州、仁川-白ニョン島、麗水-巨文島などで定期航路を運航している。2010年2月、ソウル特別市で漢江の水上タクシー事業に進出した。
☛ 韓国の全国紙「京郷新聞」(キョンヒャンシンムン)4月17日掲載記事によると、清海鎮海運は 1997年不渡り処理されたセモ海運(経営者はユピョンオン氏)を前身として1999年 2月に設立され、ユピョンオン氏の2人の息子が最大株主であるアイウォンアイホールディングスが事実上支配する会社であることが明らかにされた。ユピョンオン氏はキリスト教福音浸礼会(別名、救援派)の牧師で 1987年終末論を立てて信徒たちが集団自殺した ‘五大洋事件’の背後にいる人物と目され検察捜査を受けたことがある。救援派関係者たちの間では “清海鎭海運は救援派信徒たちが多数関わっている会社”という証言が出ている。 キリスト教系カルトの会社なのか? (右サムネイルは、「京郷新聞」(キョンヒャンシンムン)4月17日記事のグーグル日本語翻訳版。クリックで拡大。) http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=201404172146295&code=940202
謝罪する会社の代表者-沈没した客船の船会社・清海海運ギムハンシク代表。17日、仁川沿岸旅客ターミナルで記者会見を開き、泣きながら対国民謝罪をした。朝鮮日報4/18
<逮捕されたイ・ジュンソク船長(68)について>
☛ 朝鮮日報韓国語版(2014.04.20 08:11)http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2014/04/20/2014042000098.html?newsplus によると、沈没した「セウォル号」(歳月:SEWOL)の担当船長(正社員)はシン船長だったが休暇を取ったため、待機船長であるイ・ジュンソク船長(一年雇用の契約船長)に船を任せた。 清海海運は、イ・ジュンソク船長が30年以上のベテランだと述べたが、「セウォル号を運転したキャリアがどれくらいになるのか」というメディアの質問には「1年くらい」と答えた。 一方、担当船長のキャリアはどれくらいかという質問に清海海運関係者は口をつぐんだ。 調査の結果、この担当船長は1995年に船舶の位置を正しく報告していなかったため一ヶ月間の業務停止処分を受けたことがあることがわかった。
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