中国・上海福喜食品公司、期限切れ肉使用事件⇒儲けるためなら何でもありの中国、今さら驚きはしないが…その倫理観の無さにはホトホト呆れてしまう。【更新7月25】

更新7月25】 中国・上海にある米系食肉加工会社「上海福喜食品有限公司」( Shanghai Husi Food Co., Ltd.)が、マクドナルドやケンタッキーフライドチキン(KFC)などに、品質期限の切れた鶏肉などの加工食品を納入したり、工場で床に落ちたハンバーガー用のパテを素手で生産ラインに戻したりしていた、と中国メディア(上海のテレビ局「東方衛視」)が20日、伝えた。報道によると、上海市郊外にある同社工場では、品質期限を半月近く過ぎた鶏肉を混ぜてナゲットなどを生産。不合格品も5%の割合で生産ラインに戻して再びミンチにしていた。品質期限を7カ月過ぎて変色した牛肉を使ったケースもあった。出荷の際には生産日時も改ざんしていた。中国マクドナルドは全国のチェーン店に対し、「上海福喜食品」製の加工肉の使用停止を指示。また、KFCは、福建省の一部店舗以外では問題の加工肉は使っていない、と中国版ツイッター「微博」で説明した。「上海福喜食品」は、米食肉加工大手「OSI」グループ傘下にある中国現地法人。 同グループが中国で主に外資系ファストフード向けに展開する生産拠点の一つ。

中国・上海にある米系食肉加工会社「上海福喜食品有限公司」( Shanghai Husi Food Co., Ltd.)画像1  中国・上海にある米系食肉加工会社「上海福喜食品有限公司」( Shanghai Husi Food Co., Ltd.)画像2

中国メディアが報じた「上海福喜食品」による使用期限切れ牛肉・鶏肉の混入作業の写真「上海福喜食品」による期限切れ肉使用事件を中国中央テレビ(CCTV)はYoutube動画ニュースで以下に掲載のように伝えている(英語版)。 食肉加工工場での混入の様子を生々しく伝えている、ちなみに、日本のメディアで報道しているのはこの動画ニュースが元ネタのようだが……

動画ニュース|中国中央TV(CCTV)】 Shanghai: KFC, McDonald’s supplier shut down

中国中央TVは以下の画像のように、中国で上海福喜食品から加工肉を仕入れているファースト・フード会社を伝えている…吉野家、マクドナルド、サブウェイ、セブンイレブン、スターバックス、イケア、ピザハット、ケンタッキーフライドチキンなどである――

中国中央TVは報道した「中国で上海福喜食品から加工肉を仕入れているファースト・フード会社の一覧」日本は食材の多くを中国から輸入している。 当然この事件は日本にも飛び火した。 日本マクドナルドやファミリーマートは上海福喜から仕入れている。

日本マクドナルドの場合は――

☛ 販売するナゲットの約2割を上海福喜から調達していた。取り扱い店舗は全店の約4割に当たる約1340店で、店舗がある場所は、東京、千葉、埼玉、神奈川、茨城、栃木、群馬、新潟、山梨、長野、静岡の1都10県だ。期限切れ食肉使用が発覚したことを受けて21日に販売を停止し、他社製への切り替えを進めている。

☛ このうち、在庫がすべて上海福喜製だった最大約500店では全面的にナゲットの販売を停止した。他社製を配送して、遅くとも23日には販売を再開する方針だ。現時点で健康被害を訴えた購入者は出ていないという。

ファミリーマートの場合は――

☛ 上海福喜から仕入れ、約1万店で販売していた「ガーリックナゲット」と、21日に東京都内など10店で試験販売を始めた「ポップコーンチキン」の取り扱いを22日に中止した。現在のところ健康被害の報告は出ていないという。

ファミマとマクドナルド、チキンの一部販売停止_日経2014年7月22日
(ソース: 日経「ファミマとマクドナルド、チキンの一部販売停止  中国製、期限切れ疑いで」(2014/7/22 23:09) http://www.nikkei.com/article/DGXNASDC2200H_S4A720C1MM8000/ )

上海のテレビ局「東方衛視」公開した動画のキャプチャし解説入れると、こういう具合になる(画像をクリックで拡大)――

中国・食肉問題_上海のテレビ局「東方衛視」公開した動画のキャプチャ画像(日本語解説入り)_1   中国・食肉問題_上海のテレビ局「東方衛視」公開した動画のキャプチャ画像(日本語解説入り)_2

FNNのTVニュース「中国期限切れ肉 ファミリーマートもナゲットなど販売中止」(7/23)をちょっと抜粋してみよう――

中国期限切れ肉_ファミリーマートもナゲットなど販売中止_FNN7月23日工場内の床に落ちた肉の塊を、そのまま機械の中に放り込む。
散乱しているナゲットらしきものも、拾って投げ入れた。
普通ではあり得ないずさんな衛生管理。
作業員は「(原料生産日が5月30日で、保存期間が6日間なのに、きょうこれ使って大丈夫?)問題ない、運んで」と話した。
使用期限が2週間ほどすぎた鶏肉を使って加工するなど、不正を行っていた。
工場内にあった段ボールに貼られた紙。
そこには、日本向けマックチキンナゲット不良品の文字があった。
この食品加工会社の輸出先の1つが、日本マクドナルド。
国内で使用するチキンナゲットの2割を、この会社から輸入していたとして、21日、一部店舗で販売を中止した。
工場では、鶏肉以外にも、期限切れの牛肉を原料として利用していた。
その肉は、青く変色していた。
作業員は「これは全て期限切れの肉だ。青くなっている」と話した。
7カ月ほど期限がすぎた牛肉を細かくし、包装し直して、保存期間を新たに1年強と偽装したケースもあるという。
マクドナルドのほかにも、ファミリーマートもこの会社から鶏肉を輸入。
ガーリックナゲットとポップコーンチキンの販売を、22日から中止した。
期限切れの肉は、上海にある工場から出荷された。
上海市の当局は、徹底的に実態を解明するとコメントを発表。
警察も調査に乗り出した。 当局は会社に対し、加工食品などの生産停止を命じた。

(http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00273114.html)

さて、このFNNのニュースに「中国 “ずさん” 食品管理」という題字が出てくるが、何をいまさらである。 その国民性として杜撰(ずさん)なのだから、厳しい品質管理ををしなければ中国製は危ない、危ないなのは世界の常識ではないか。 ここで問題なのは、上海福喜食品有限公司が米食肉加工大手「OSI」グループ傘下にあるということだ。 OSIはどんな管理をしていたのかということだ。 米OSIはほとんど管理せず上海福喜食品有限公司の好きなようにやらせていたのではないか? この点に言及しているのは7月23日の時点では、ウォールストリート・ジャーナルの記事ぐらいだ。 それを以下に抜粋する――

中国で米現法が期限切れ食肉を卸売り―マックなどが納入停止(WSJ_7月22日)OSIは1991年に中国に本格進出し、現在8都市で食肉の生産・販売を行っている。同社はマクドナルドには92年から、ヤム・ブランズ傘下のKFCとビザハットには2008年から食肉を販売している。 (中略) 食肉業界の専門家によれば、消費期限が切れた食肉は、安全上の問題ではなく品質の問題となる恐れが大きい。ただ、中国では輸入ブランドや外国製品は国内製品よりも品質が良いとみる向きが多く、外資系企業の品質管理のずさんさが明るみに出たことは、中国の消費者にショックを与えるとみられている。

米ジョージア大学食品安全・品質強化センター部長のマイケル・ドイル教授は、「今回のスキャンダルは米国の食品加工業者全体に対する疑念を呼び起こすだろう」とし、「食品業界ではどう見られているかが、そのまま現実にはね返る」と警告する。

(WSJ 「中国で米現法が期限切れ食肉を卸売り―マックなどが納入停止」(7月22日)http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303828304580044251362242816)

更新・記事追加 7月25日

中国・上海の「上海福喜食品有限公司」で発覚した食肉問題は「現代の”ジャングル”だ!」と言いたい。 ”ジャングル”とはアメリカの作家・アプトン・シンクレア(Upton Sinclair)が1906年に出版した小説『ジャングル』(The Jungle)のことで、当時のアメリカ精肉産業での実態を告発したものだ。 いま中国で起きている食肉問題と同じことが、いやそれより酷いことが当時のアメリカで日常茶飯事おこなわれていたのだ。 私は40年前に大学の授業で小説『ジャングル』の内容をを聴いて「ホントかよ、アメリカが!?」とかなりびっくりした。 当時のアメリカ精肉産業での実態とはこうだったのだ――

  • 食肉工場作業員が肉を煮る大鍋に落ちたのに、そのまま処理され、人肉が市場に出回ってしまった。
  • 腐っているとクレームがついて回収されたハムやソーセージに薬品を注入して再出荷した。
  • 倉庫内のハムやソーセージ製品の上にネズミの糞(ふん)が大量にたまっていた。

この『ジャングル』が告発した精肉産業の実態を読んだアメリカ国民は驚愕し、こんなものを食べさせられていたのかと怒りを爆発させた。 そして、食肉産業と当局へ抗議や非難が殺到した。 さらに、これは有名な話なのだが、この『ジャングル』を当時のアメリカ大統領だったセオドア・ルーズベルトが日課にしている朝の読書の時に読む、そして激怒し、食卓にあったソーセージを窓からぶん投げたのだ。 大統領は精肉業界の実態調査を行い、世論の批判に押された議会と共に、食肉検査法Federal Meat Inspection Act)と純粋薬品製造法Pure Food and Drug Act)を成立させた。 アプトン・シンクレアの『ジャングル』出版からたったの半年後のことである。 これらの法律によって現在のアメリカの食肉の衛生と安全は確保する基礎となった。

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関連事項】  ☛ Wikipedia 「アメリカ食品医薬品局(FDA = Food and Drug Administration)
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習近平と中国国民にそれができるだろうか? 何れにしても、現在の中国の実情と国民の倫理観は先進国から100年遅れているというのが実態なのだ。

上記のような背景があるが故に「上海福喜食品有限公司」の親会社である米OSIは何をしていたのかというのが私の素朴な疑問だ。 アメリカ本国は法律が厳しいからできないが、法律規制の緩い海外だたら100年前のやり方をやっても構わないのか? 利益優先のアメリカ資本と利益のためなら何でもする中国の組み合わせは、実は最悪の組み合わせだと思うのだが。

ところで、米食品卸売会社OSIグループ傘下の中国企業・上海福喜食品が使用期限切れの食肉を出荷していたとされる問題を受けて、ケンタッキーフライドチキン(KFC)などを運営する米ヤム・ブランズはOSIとの取引関係を打ち切った。 一方、米マクドナルドはOSIとの取引を恵贈するという。 なぜ、マクドナルドは取引を停止しないのか? 実はマクドナルドとOSIは深い関係にある。 以下のロイターの記事によると(抜粋)――

OSIの中国・河北省の工場の写真マクドナルドは23日、ヤム・ブランズ(ケンタッキーフライドチキン(KFC)などを運営)とは異なり、OSIとの関係を維持するとの声明を発表した。 OSIのシェルドン・ラビン会長兼最高経営責任者(CEO)は、主にマクドナルドとの取引を礎に過去20年にわたって中国でのビジネスを拡大させてきた。 OSIとマクドナルドの協力関係は60年近く続いている。 ラビン氏は元バンカーで当初はOSIのコンサルタントだったが、マクドナルドの要アジアにあるOSIの事業所と施設のマップ_OSIグループの売上高グラフ請で1970年代にOSIに常勤として加わった。

昨年61億ドルを売り上げたOSIは17カ国に50カ所以上の設備を保有している。 中国では、マクドナルドが最初のレストランをオープンした2年後の1992年に最初の工場を開設した。OSIのウェブサイトによると、同社は2008年の北京五輪で食品供給業者の1社だった。

マクドナルドは23日、OSI傘下の上海福喜食品は閉鎖されるとし、OSIの他の中国部門から食品を調達する方針を明らかにした。 OSIは 米穀物メジャーのカーギルなど大手企業から食肉を仕入れ、ハンバーガーのパテやチキンナゲットにし、レストランに販売している。

(ロイター「中国食肉問題に揺れる米親会社、マクドナルドとの深い関係」(2014年7月24日) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0FT0VJ20140724?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0)

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