<南海トラフ地震・有識者検討会> 地震・津波の新想定発表 3月31日

政府の有識者検討会―「南海トラフの巨大地震モデル検討会」は今日、3月31日に新想定を発表した。

検討会(座長・阿部勝征東京大学名誉教授)は大震災で想定外の巨大地震と津波が起きた反省を踏まえ、同様の海溝型地震が起きる南海トラフの想定を見直してきた。トラフ付近で震源断層が大きく動き、津波が巨大化する大震災タイプの津波断層域(M9・1)を新たに導入したほか、断層面を東西方向や陸側に広げ、強い揺れを起こす強震断層域を従来のM8・7からM9・0に上方修正した。

検討会は今回の推計について、「最大級の地震を想定したもので、次に起こる地震の規模を予測したものではない。『何年間に何%』という発生確率を念頭に試算したものでもない」とし、慎重な対応を呼びかけている。

この新想定の詳細、解説はNHKニュースが詳しい。 以下の南海トラフ地震震度分布図新旧比較画像に続いてNHKニュースをクリップ。 電子版配信の新聞記事よりかなり充実した内容だと私は思う。 [追加情報 4月1日。 毎日新聞4月1日の「クローズアップ2012:南海トラフ津波想定 対策、根底から見直し」の記事が中々よかったのでNHK記事の後に追加した。(【追記2013-5-25南海トラフ巨大地震の確率公表、政府地震調査委員会5/24」(投稿日2013-5-25)を追加した。タイトルをクリックで記事へジャンプ。)

今回の新想定に基づく南海トラフ地震震度分布図 (画像クリックで拡大)
比較してみる

前回(9年前)の2003年中央防災会議による東海・東南海・南海地震の震度分布図

南海トラフ巨大地震・新想定震源域
南海トラフ巨大地震・新想定最大クラスの津波高

【政府公開情報】 詳細な内容は後ほど、内閣府の「南海トラフの巨大地震モデル検討会」のウェブページ http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/nankai_trough/nankai_trough_top.html
に掲載される。 31日の夜に下の画像のように掲載されていた。

上図のようにクリックすると南海トラフの巨大地震モデル検討会(第15回)平成24年3月31日(土)のページに行く。 以下のようなイメージ。

報道発表の資料一式が(1)から(12)までリストされているが、「(10)市町村別の最大となる震度」と「(12)都道府県別市町村別の最大となる津波高<満潮位>」あたりが一般的に関心のある資料かと思う。 直リンクは (10) http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/nankai_trough/15/kisya_10.pdf  (12) http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/nankai_trough/15/kisya_12.pdf

以下はNHKニュースのクリップ。 記事に先行する下記キャプチャー画像はクリックすると拡大する

    

         

         

         

「南海トラフ」地震・津波の新想定
(NHK 3月31日 17時56分)

東海から西の太平洋沿岸の「南海トラフ」付近で起きる巨大地震について、国の検討会は、各地を襲う最大クラスの揺れと津波の高さの想定をまとめ、新たに公表しました。 従来の国の想定の2倍近い680余りの市町村で震度6弱以上の激しい揺れが想定されているほか、四国などの23の市町村では、20メートル以上の巨大な津波が想定されています。

東海から西の太平洋沿岸の「南海トラフ」と呼ばれる海底付近では、東南海・南海地震などの巨大地震がおよそ90年から150年ごとに繰り返し起きています。 東日本大震災を受けて、国が設けた専門家による検討会は、去年12月、「南海トラフ」で起きる最大規模の巨大地震として、マグニチュード9.0の想定震源域などをまとめ、31日、新たに最大クラスの揺れと津波の高さの想定を公表しました。

このうち揺れの強さは、5つのパターンの地震の起こり方から市町村ごとに最大の震度を推計しています。 震度6弱以上の激しい揺れが想定されたのは、24の府県の687の市町村で、国が9年前までにまとめた東南海・南海地震などの想定に比べて2倍近くに増え、名古屋市の一部や、静岡市、和歌山市、徳島市、宮崎市など、10の県の153の市町村では、震度7の非常に激しい揺れが想定されています。

また津波の高さは、最新の研究成果に基づいて11の津波発生のパターンから最大の値を推計し、関東から九州にかけての11の都県の90の市町村では、高さ10メートル以上の大津波が想定されました。 さらに、高知県黒潮町で34.4メートルなど、四国や東海などの23の市町村では従来の国の想定にはなかった20メートル以上の巨大な津波が想定されています。

検討会は、来月以降、より詳細な地形のデータに基づく津波の高さや、東南海・南海地震などが一定の時間差をおいて発生した場合の津波への影響、それに浸水が予想される範囲などを検討する予定です。 これを受けて、国はことし6月ごろまでに被害想定をまとめ、この秋から冬にかけて総合的な防災対策を検討していくことにしています。

■ “堤防では抑えることができない”

検討会の会合のあと記者会見した中川防災担当大臣は「最大クラスの津波は堤防では抑えることができず、都市計画や避難の在り方、防災教育などを対策に組み込んでいく必要がある。自治体の既存の防災計画が否定されるものではなく、最大級の想定を加えて見直していくべきで、国としても計画の策定を支援していきたい」と述べました。

また、検討会の座長を務める阿部勝征東京大学名誉教授は「東日本大震災との違いは、大きな津波が早いところでは2分から3分で到達するということだ。どうすれば避難することができるのか、ソフト面の対策の強化を進める必要がある」と指摘しました。 そのうえで阿部座長は「今回の想定に関わらず、日本列島ではどこで地震が起きてもおかしくないということを念頭に置いて防災対策を進めてほしい」と述べました。

■ なぜ津波想定は高くなったのか

今回の想定で津波の高さが極めて高くなったのは、去年3月の巨大地震の最新の調査などに基づいて、津波発生についての考え方が大きく見直されたためです。

去年3月の巨大地震では、東北沖の「日本海溝」付近で陸側の岩盤が大きくずれ動いたため、巨大な津波が発生したとみられることが、専門家の調査から分かってきました。 このため検討会は、東北沖と同じように、「南海トラフ」付近の海底にも岩盤が大きくずれ動くと仮定して、11のパターンの津波を計算しました。

またこれまでの研究成果から、海側の岩盤が陸側の岩盤の下に沈み込む速度は「南海トラフ」の西側ほど速い傾向が見られることを踏まえ、地震の際岩盤がずれ動く量が西の地域ほど大きくなると推定して計算しています。 この結果、高知県で30メートルを超える巨大な津波が予想されるなど、従来の国や自治体の想定に比べて極めて高い津波が想定される結果となりました。

ただ、今回の想定の計算には比較的粗い50メートル四方の地形のデータが使われているため、検討会は来月以降、より精度の高い10メートル四方の地形データに基づいて改めて津波の高さを推計することにしています。

■ 自治体の独自想定上回る地域も

今回公表された最大クラスの津波の高さの想定は、従来国が示していた東海地震や東南海・南海地震の津波の想定を大きく上回りました。 関東から九州にかけての9つの府県では、東日本大震災以降独自に津波の高さの想定を検討していましたが、中には今回の新たな想定との間で大きな開きが出た地域もあります。

例えば、▽徳島県阿南市は、県が独自に想定した津波の高さが5.4メートルでしたが、今回の新たな想定はこの3倍近い16.2メートルとなりました。

また、▽三重県志摩市では県の想定の15メートル余りに対して24メートル、▽同じく三重県の尾鷲市では13メートル余りに対して24.5メートルなどと、それぞれ県独自の想定を10メートル前後上回りました。

こうした府県では、今回の新たな想定を受けて改めて想定や防災対策を検討することにしていて、このほかの自治体も今後対策などの見直しを迫られることになります。

■ 原発の沿岸での想定は

国の検討会は、原子力発電所が設置されていたり、建設が計画されていたりする4か所について、想定される津波の高さの最大値を公表しました。

それによりますと、▽静岡県御前崎市にある中部電力浜岡原子力発電所付近では、地震によって地盤が2.1メートル隆起すると予想される一方、地盤の隆起を考慮しても、津波の高さは最大で21メートルに達すると想定されています。

また、▽愛媛県伊方町の四国電力伊方原子力発電所付近では津波の高さが3メートル、茨城県東海村の日本原子力発電東海第二発電所付近では津波が2.6メートルと想定されています。

さらに、▽山口県上関町で中国電力が原子力発電所の建設を計画している付近では、津波の高さが2.9メートルと想定されています。

これら4か所の市町村の最大震度は、▽御前崎市が震度7、▽伊方町が震度6強、▽上関町が震度6弱、それに▽東海村が震度4と想定されています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120331/t10014114281000.html

[追加クリップ記事]

(毎日新聞 2012年4月1日 東京朝刊 より)

クローズアップ2012: 南海トラフ津波想定(その1) 対策、根底から見直し

東海から九州沖の「南海トラフ」で起きる地震について、内閣府の有識者検討会は31日、「最大クラス」で津波や震度を予想した。津波の高さはこれまでの想定の2~3倍。住民の命を守る対策は根底から見直しを迫られる。

 ◇浸水域の公共施設移転 自治体、財源に苦悩

東日本大震災では浸水域の学校や公共施設、職場で大勢の人が犠牲になった。しかし、現在も多くの学校などが浸水想定区域内にある。地元自治体は厳しい財政状況の中、住民の安全確保に苦悩している。

高知県南国市の市立大湊小学校(児童数約90人)に今年3月上旬、校舎屋上への外付け階段が設置された。同小は海から約1キロ。周辺にビルや高台はない。震災前は校舎2階フロア(海抜約8メートル)を避難場所に想定していたが、東日本大震災で根本的に変える必要に迫られ、200人収容できる屋上を避難場所にした。

だが、その屋上も海抜11・5メートル。坂本一美教頭は最大16・2メートルの津波予想に「厳しい。新たな避難場所を考える必要が出てきた」と打ち明ける。

市の担当者も頭を抱える。市は13年度末までに同小の敷地に津波避難タワー(高さ20メートル級)を建設する計画だが、西原三登・市危機管理課長は「津波の高さだけでは単純には決められない」といい、「16メートル以上の津波が来た時、本当に20メートル級タワーで全員が助かるのか。安全だと思っていた避難場所が津波にのみ込まれる事態だけは避けなければ」と強い口調で話した。

静岡県下田市の庁舎は東海地震の浸水想定区域内にある。老朽化もあり現在の場所で建て替える方針だったが、東日本大震災を教訓に高台移転を検討し始めた。これまで沿岸で想定されていた津波の高さは約7メートルだったが、今回の想定で25・3メートルと3倍以上になった。

移転には数十億円かかるが、現在の場所のまま建て替えたとしても、津波対策を講じると高層化などで同じくらいの事業費が必要になる。市施設整備室の担当者は「公共施設の高台移転に対する交付金のようなものがあればいいのに」と悩む。

静岡県は新年度予算に、各市町村の地震・津波対策への補助金として27億円を計上したが、公共施設の移転は想定されていない。県の担当者は「市町村がどう財源を確保するかは今後、難しい問題になる。県もできる限りのことをしたいが、大きい事業で借金を抱える自治体もあるだろう」と話す。

 ◇「予防」に補助制度なし

政府は防災・減災のための経費として3次補正と12年度予算に1兆円超の「全国防災対策費」を計上した。しかし、学校や役場などの予防的移転に対する補助制度はない。

一方、浸水区域内の集落については、自治体が指定した災害危険区域の住民が高台移転に合意した場合、住宅建設費を補助する「防災集団移転促進事業」が利用できる可能性がある。ただし、これも公共施設は対象外だ。

高知県や和歌山県など太平洋沿岸9県の知事らは3月29日、中川正春防災担当相に対策強化のため「南海トラフ巨大地震対策特別措置法(仮称)」の制定を求めた。徳島県の飯泉嘉門知事は「浸水域にある公共施設をどう移動させるか。補助制度を含めた新しい体系の法律が必要ではないか」と話す。   【小坂剛志、池田知広】

 ◇モデル試算に限界

「実際は(試算を)やや下回るかもしれないし、上回るかもしれない」。有識者検討会の座長を務めた阿部勝征東京大名誉教授は31日、記者会見で想定モデルの限界に言及した。

今回公表された震度分布と津波の高さは「あらゆる可能性を想定した最大クラス」(内閣府)を前提に試算した。国内外の地震・津波や地殻変動の観測データ▽西日本沿岸に残る過去の巨大津波の堆積(たいせき)物調査▽スーパーコンピューターによるシミュレーション--などを基に、プレート(岩板)境界が激しくずれ動いて強い揺れや高い津波を引き起こす領域の位置を、震源域内に複数のパターンで設定。各地の揺れや津波の高さは設定ごとに変わるため、震度分布は5パターン、津波の高さは11パターンの設定で試算し、それぞれの最大値を一枚の地図に重ね合わせている。

それでも、河田恵昭関西大教授は「提示されたケースは考えられるごく一部に過ぎない。本質的に想定外が起こることに対する解決には至っていない」とし、それぞれの現象が発生する確率を示す必要があると指摘する。

検討会委員の今村文彦東北大教授は「防災対策を考える際には、海底の地質調査などで新たな科学的知見が得られれば、想定が変わる可能性があることに注意してほしい」と話す。検討会は、原発を念頭に「より安全性に配慮する必要のある個別施設は、個別の設計基準に基づいた地震、津波の推計が改めて必要だ」としている。  【比嘉洋、八田浩輔】

http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20120401ddm003040139000c.html

クローズアップ2012:南海トラフ津波想定(その2止) 「浜岡」再稼働は困難

 ◇建設中の防波壁で防げず

「そこまで考えなければならないのなら、対策はきりがない」。中部電力浜岡原発を襲う津波が想定をはるかに上回り、最大21メートルにも達することを聞いた原子力関係者がうめいた。東京電力福島第1原発事故を受けた緊急安全対策で、中部電が建設している海抜18メートルもの防波壁を軽々と越える高さだ。再稼働の前提となる安全対策が根底から見直しを迫られるのは必至で、巨額の安全対策費と併せ、浜岡原発の再稼働は一段と厳しくなった。

中部電が浜岡原発で想定した津波は8・3メートル。福島第1原発で15メートル程度まで津波が遡上(そじょう)したことを考慮し、緊急安全対策では防波壁建設、扉の水密化や非常用電源増設などを進める。費用は当初見込みを超え、1400億円に膨らんでいる。

今回の津波想定は、こうした対策の前提条件を揺るがすものだ。安全対策の効果を確認し、再稼働の可否を判断する材料となる安全評価(ストレステスト)の作業も遅れることが確実となった。経済産業省原子力安全・保安院の森山善範・原子力災害対策監は取材に対し「浸水で全電源が失われる事態を考え、重大事故に至る前に取るべき対策をさらに検討するよう求める」と、追加対策が必要との考えを示した。

中部電広報部は「今21メートルの津波に襲われても、停止から約10カ月たって原子炉内の核燃料の発熱量は少ない。炉心が露出するまでには1週間以上余裕があり、炉心損傷は防止できる」と強調。今後の対策については「詳細データを入手し、適切に対応したい」とした。

これに対し、長沢啓行・大阪府立大名誉教授(生産管理システム学)は「そこまで大きな津波だと、建物に大きな力が加わって破壊される危険も出てくる。小手先の安全対策では無理で、立地そのものが問われなければならない」と指摘する。地元、静岡県の川勝平太知事は「18メートルの防波壁では(津波を)防げないと分かった。中部電は、対策についてもう一度考え直す必要があるだろう」と語った。

浜岡原発は1、2号機が廃炉手続き中。残りの3~5号機については、昨年5月に菅直人前首相が要請し、停止した。   【岡田英、西川拓、小玉沙織】

http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20120401ddm002040143000c.html

<首都直下地震> 文科省試算・震度分布図資料と各紙解説比較

文部科学省は30日、東京23区東部や川崎市などが最大で震度7の揺れに襲われるとする新しい首都直下地震の震度予測地図を公表した。これまでの国の想定では、23区内は震度6強が最大としていたが、最新の研究成果に基づいて計算し直した。

以下が文科省公表・首都直下地震「震度分布図」資料1~5。 この分布図の後に毎日、日経、NHKの記事を比較。

文科省公表・首都直下地震「震度分布図」 資料1 (画像クリックで拡大)
(ケース1 浅いプレート境界を反映した東京湾北部地震の震度分布)
文科省公表・首都直下地震「震度分布図」 資料2 (画像クリックで拡大)
(ケース2 浅いプレート境界を反映した東京湾北部地震の震度分布)
文科省公表・首都直下地震「震度分布図」 資料3 (画像クリックで拡大)
(ケース3 浅いプレート境界を反映した東京湾北部地震の震度分布)
文科省公表・首都直下地震「震度分布図」 資料4 (画像クリックで拡大)
スラブ内地震の震度分布
文科省公表・首都直下地震「震度分布図」 資料5 (画像クリックで拡大)
本プロジェクトと中央防災会議との震度分布図の比較

注1.この件についての文科省ウェブ・ページ
「首都直下地震防災・減災特別プロジェクトにおける震度分布図の公表について」 平成24年3月30日 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/24/03/1319353.htm

注2.文科省が公表しているPDF入手先。
首都直下地震防災・減災特別プロジェクトにおける震度分布図  (PDF:675KB)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/24/03/__icsFiles/afieldfile/2012/03/30/1319353_01.pdf

◇ 各紙の報道よりピックアップ ◇

首都直下地震:震度7、湾岸広範囲に 23区大半、6強--文科省試算
(毎日 2012年3月31日)

首都直下地震の想定見直しを進めてきた文部科学省の研究チームは30日、東京湾北部でマグニチュード(M)7・3の「東京湾北部地震」が発生した場合の揺れの強さを試算した新たな震度分布図を公表した。東京都区部~千葉市周辺にかけての震源域のうち、県境の東京湾岸で地震が発生したと仮定した場合、東京都江戸川区、江東区、品川区、大田区、川崎市など広範囲で震度7の揺れが予想された。国は今後、「最大震度7」を念頭に首都圏の被害想定や防災対策を見直す方針。首都圏の各自治体にも見直しが迫られる。

東京大地震研究所を主体とするチームは、首都圏296カ所に新設した地震計で地下構造を調査。その結果、地震を起こすプレート(岩板)境界が、国の中央防災会議の想定より5~10キロ浅いことが分かった。同じ規模の地震なら、震源までの距離が近いほど揺れは強くなる。

この結果を基に、東京湾北部に東西約63キロ、南北約31キロの震源域を設定。この中で、地震が始まる場所を(1)東京・千葉県境付近(2)千葉市周辺(3)東京23区西部の3パターンで震度分布を試算した。

震度7の領域が最も広くなったのは、中央防災会議と同じ想定の(1)の場合で、横浜市や東京・多摩地域東部などでは従来の震度6弱が6強になった。

(2)の場合でも、東京都の隅田川河口付近が震度7、(3)の場合には、隅田川河口付近に加えて川崎市なども震度7となった。

今回の想定見直しにより、従来は最大震度6弱だった東京23区西側を含め、23区の大半が3パターンすべてで震度6強以上と予想された。

チームの纐纈(こうけつ)一起東京大教授(応用地震学)は30日記者会見し、「多くの仮定に基づく試算なので、条件を変えると震度分布も大きく変わる。強い揺れが予測された地域だけ地震災害に備えれば良いのではない。南関東のどこでも直下地震の強い揺れに備えるべきだ」と強調。「試算の精度が甘い」ことを理由に、震度別の自治体名は公表しなかった。【比嘉洋、八田浩輔】

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■ことば  ◇首都直下地震

国の中央防災会議が04年、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で近い将来に起きると想定したM7級の地震で、発生場所別に18パターンに分類される。このうち「東京湾北部地震」は被害額が112兆円と最大。活断層などで起きる複数のパターンでは既に、震源近くが震度7に見舞われると予想されている。
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http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20120331ddm001040134000c.html

東京・神奈川で震度7も 首都直下地震で文科省試算
(日経 2012/3/30 22:12)

文部科学省の「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト」の研究チームは30日、首都直下で起こる東京湾北部地震の各地の揺れを再計算し、最新の震度分布地図を公表した。東京都江戸川区や大田区の一部などに、震度7となる地域が現れた。2004年時に比べて震度が上方修正された地域では、古い木造建物の耐震診断や補強などの必要性が一層高まる。

新しい震度分布地図で震度7になった東京都江戸川区や江東区、大田区、川崎市などの一部は、従来は最大でも震度6強だった。震度6強の地域も東京23区の大部分や横浜市、川崎市、千葉市などに広がり、面積で04年時の約2倍になった。

今回、震度分布地図の作製を担当した東京大学地震研究所の纐纈一起教授は30日の記者会見で「計算結果はあくまで試算で数キロメートルの誤差を含む。市区町村レベルでの震度がどうなるかは公表しない」とコメントした。

首都直下プロジェクトは07~11年度にかけ、首都圏の約300地点に地震計を設置。地震の震度や地震波の伝わり方から、首都圏の地下構造を分析した。日本が載る北米プレート(岩板)と、南から潜り込むフィリピン海プレートの境界面が、従来より約10キロメートル浅いことが分かった。

マグニチュード(M)7.3が想定される東京湾北部地震は両プレートの境界面で起こるとされ、震源の深さも20~30キロメートルと、従来より約10キロメートル浅く見直された。地震の規模が同じでも、南関東の広い範囲で想定震度が上ぶれした。

http://www.nikkei.com/news/headline/article /g=96958A9C93819695E1E2E2E69E8DE1E2E2E1E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2

首都直下地震 震度の分布を公表
(NHK 3月30日 16時14分)

東京湾北部を震源とする首都直下地震が起きた場合の揺れの想定を東京大学などの研究グループが公表しました。
従来考えられているよりも浅いところで地震が起き、最悪の場合、東京の湾岸地域や神奈川県の一部などで震度7の激しい揺れとなる想定となっています。

東京大学地震研究所の纐纈一起教授などの研究グループは、国から委託されて首都直下地震の研究を進めていて、30日、研究結果に基づいた揺れの想定を公表しました。 これまでの研究で、関東平野の地下に沈み込んでいる「フィリピン海プレート」と呼ばれる岩盤と陸側の岩盤との境目が、東京湾の付近で従来考えられていたよりも10キロほど浅いことが分かっています。
こうした結果を基に揺れの強さを分析したところ、国が首都直下地震の1つに挙げている東京湾北部を震源にマグニチュード7.3の地震が起きると、最悪の場合、東京の湾岸地域や横浜市、川崎市などの一部で震度7の激しい揺れになる結果となりました。

さらに、東京23区など東京湾の西側の広い範囲で震度6強の揺れになる想定になっています。 纐纈教授は「震源が少し移るだけで揺れの予想は大きく変わってくる。強い揺れが予測された地域だけでなく南関東のどこでも揺れに備えてほしい」と話しています。 国は来年の春までに首都直下地震の被害想定などを見直すことにしていて、今回の研究成果が新たな想定や対策に反映されることになっています。

国の想定との違いは

今回の想定では、東京湾北部を震源とした場合の揺れの強さを1キロ四方の単位で分析しています。

最悪の場合、震度7の激しい揺れが予想されているのは、東京では江戸川区、江東区、大田区などの一部、神奈川県では横浜市の沿岸部や川崎市の南部などとなっています。

首都直下地震の揺れの想定は、7年前に国の中央防災会議が、地震の震源や深さを変えた18のケースをまとめています。
このうち、東京湾北部を震源とする地震については、国の想定では最大の揺れが震度6強なのに対して、研究グループの想定では東京湾の沿岸部で震度7になるという結果になっています。

また、今回の想定では、震度6強の範囲も国の想定よりも広がっていて、東京では23区の大半が震度6強の揺れとなり、神奈川県と千葉県では沿岸部に広がっています。

<フォーブス・日本の富豪40人>日本語版・長者番付・一覧リスト2012年3月発表

日本の新聞は米・フォーブスが3月29日に発表した「日本の富豪40人」を記事にしているが、毎度のことだがなぜか40人の一覧リストを発表したためしがない。 怠慢だ! しょうがないから自分でフォーブスのリストから日本語版を作成、皆さんに提供する。

先ずは、日本の新聞日経の記事がどう報道していているかをクリップ。 それから、フォーブスのオリジナルのキャプチャーとリンク。 そしてHashigozakura 提供、日本版(Forbes Japan’s 40 Richest、issued 29 Mar 2012) 2012年3月29日発表「日本の富豪40人」を掲載し、英語版も併載する。

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追加情報、2013-3-6】 「<フォーブス世界の富豪2013>日本人ランクイン一覧リスト」を3月6日に投稿しました(記事題名クリックでジャンプ)。
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米誌フォーブス「日本の富豪40人」1位は柳井氏
(日経 2012/3/30 9:59)

米経済誌フォーブス・アジア版が29日発表した「日本の富豪」ランキングで、上位40人の資産総額が930億ドル(約7兆6600億円)と2010年の前回を13%上回った。11年は東日本大震災で見送ったため2年ぶりの発表。「海外進出で急伸する若手富豪がけん引役」(同誌)だった。

資産総額が増えたのは円高が主因だが、ドル建て資産が拡大した22人のうち、18人が円建てでも資産を増やした。

1位は前回同様、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長で資産額は106億ドル。増額が目立ったのは楽天の三木谷浩史社長で、前回比34%増の63億ドルだった。交流サイト大手グリーの田中良和社長の資産は35億ドルと2倍超に増え、18位から7位に上昇。

ファッション通販サイト「ゾゾタウン」のスタートトゥデイの前沢友作社長は初登場で30位入りした。

(シンガポール=谷繭子)

http://www.nikkei.com/tech/news/article /g=96958A9C9381959FE0EBE2E6958DE1E2E2E1E0E2E3E09790E0E2E2E2; da=96958A88889DE2E0E2E5EAE5E5E2E3E7E3E0E0E2E2EBE2E2E2E2E2E2

フォーブスのオリジナルのキャプチャー

リンク  http://www.forbes.com/lists/2012/73/japan-billionaires-12_rank.html

(名前、社名はWikipediaの該当項目にリンク済み(一部、企業家人物辞典へのリンク)。)

フォーブス 2012年3月29日発表「日本の富豪40人」一覧・日本語版

$1=Y82
順位  名前(漢字)  会社・役職 資産(億円)
1 柳井正 ファーストリテイリング社長(ユニクロ) 8,692
2 佐治信忠 サントリーホールディングス社長 6,478
3 孫正義  ソフトバンク創業者・社長 5,658
4 三木谷浩史  楽天社長 5,166
5 毒島邦雄 パチンコメーカー「三共」名誉会長 4,674
6 滝崎武光 キーエンス(KEYENCE )創業者・会長 3,280
7 田中良和 グリー(GREE)創業者 ・社長 2,870
8 森章 森トラストおよび森トラスト・ホールディングス社長 2,624
9 高原慶一朗 ユニ・チャーム会長  2,378
10 韓昌祐(ハン・チャンウ) パチンコ「マルハン」会長  2,296
11 山内溥 任天堂創業家・相談役 2,214
12 伊藤雅俊  セブン&アイ・ホールディングス名誉会長 2,132
13 糸山英太郎 新日本観光代表 2,050
14 三木正浩  ABCマート創業者  1,968
15 武井博子 武富士」創業者の夫人 1,640
16 多田勝美  大東建託会長 1,558
17 永守重信 日本電産創業者  1,476
18 岡田和生 パチンコ・パチスロ・ゲーム機の「ユニバーサルエンターテインメント」(旧アルゼ)会長 1,312
19 福武總一郎 ベネッセコーポレーション会長 1,230
20 金沢要求・ほか兄弟 パチンコ・パチスロメーカー「三洋物産」代表取締役 1,148
21 木下恭輔・ほか兄弟 アコム創業家  1,066
22 神内良一 プロミス創業者  1,025
23 似鳥昭雄  ニ トリ創業者 984
24 國分勘兵衛 国分社長 (K&K)
968
25 里見治  セガサミーホールディングス会長 943
26 島村恒俊 しまむら創業者 902
27 大塚実祐司 大塚商会創業家 861
28 船井哲良 船井電機会長 820
29 重田康光 光通信創業者 812
30 前澤友作 スタートトゥデイ創業者  (ZOZOTOWN)
779
31 稲盛和夫 京セラ創業者 771
32 安田隆夫 ドン・キホーテ会長 763
33 松井千鶴子・道夫 松井証券創業者一族 746
34 多田直樹ほか兄弟 サンドラッグ創業家 738
35 増田宗昭 TSUTAYA創業者 (CCC) 697
36 上原昭二 大正製薬名誉会長 656
37 杉浦広一 スギホールディングス会長 (スギ薬局) 607
38 石橋寛 ブリヂストン創業家 549
39 福嶋康博 スクウェア・エニックス名誉会長 541
40 小川賢太郎 ゼンショーホールディングス社長 (すき屋) 533

Forbes “Japan’s 40 Richest” List (issued on 29 Mar 2012)
(各自の名前はフォーブスのランクイン者の紹介・寸評ページにリンク済み。)

Rank Name                             Net Worth ($bil) Age
1 Tadashi Yanai & family 10.6 63
2 Nobutada Saji & family 7.9 66
3 Masayoshi Son 6.9 54
4 Hiroshi Mikitani 6.3 47
5 Kunio Busujima & family 5.7 86
6 Takemitsu Takizaki 4 66
7 Yoshikazu Tanaka 3.5 35
8 Akira Mori & family 3.2 75
9 Keiichiro Takahara 2.9 81
10 Han Chang-Woo & family 2.8 81
11 Hiroshi Yamauchi 2.7 84
12 Masatoshi Ito 2.6 87
13 Eitaro Itoyama 2.5 69
14 Masahiro Miki 2.4 56
15 Hiroko Takei & family 2 70
16 Katsumi Tada 1.9 66
17 Shigenobu Nagamori 1.8 67
18 Kazuo Okada & family 1.6 69
19 Soichiro Fukutake 1.5 66
20 Kanazawa brothers 1.4
21 Kinoshita brothers 1.3
22 Ryoichi Jinnai 1.25 85
23 Akio Nitori 1.2 68
24 Kanbei Kokubu & family 1.18 72
25 Hajime Satomi 1.15 70
26 Nobutoshi Shimamura & family 1.1 86
27 Minoru & Yuji Otsuka 1.05 89
28 Tetsuro Funai 1 85
29 Yasumitsu Shigeta 0.99 47
30 Yusaku Maezawa 0.95 36
31 Kazuo Inamori & family 0.94 80
32 Takao Yasuda 0.93 62
33 Chizuko Mastui and Michio Matsui 0.91 57
34 Tada Brothers 0.9
35 Muneaki Masuda 0.85 61
36 Shoji Uehara 0.8 84
37 Hirokazu Sugiura & family 0.74 60
38 Hiroshi Ishibashi 0.67 63
39 Yasuhiro Fukushima 0.66 64
40 Kentaro Ogawa & family 0.65 64


フォーブズの「日本の富豪40」一覧リストへのリンク
  http://www.forbes.com/lists/2012/73/japan-billionaires-12_rank.html

[追加]

グリー田中氏急伸、DeNA南場氏は圏外  日本の富豪ランキング
(2012年3月28日 Forbes.com by Nikkei)

昨年の悲惨な大震災や長引く景気低迷にもかかわらず、「日本の富豪」上位40人の合計純資産はフォーブス・アジア版が2010年1月に発表した前回調査と比べて13%増加し、930億ドル(約7兆6000億円)となった(本誌は東日本大震災を受けて2011年調査を見送った)。この間ドルに対して11%の円高が進んだことも増加の一因だが、ドル建てで資産を増やした22人のうち18人は円建てでも資産を増やしている。

特に大きなけん引役となったのは、海外進出を急ピッチで進める若手経営者だ(同時に国内では慈善活動で功績を残している)。ここ2年で最も飛躍した1人が、アマゾンに対抗する日本の切り札ともいえる楽天の創業社長、三木谷浩史氏(47歳、第4位)で、資産は34%増えた。三木谷氏は社内公用語を英語に変え、若手管理職に権限を与えて登用した。さらに米国のバイ・ドットコム、英国のプレイ・ドットコム、ドイツのネットモール会社トラドリア、カナダの電子書籍サービス会社コボなど、海外の電子商取引(EC)事業者を次々と買収した。事業以外では、楽天グループ各社が地震後に多額の寄付をしている。政治面では、日本の主要な経済団体である経団連が原子力支持の姿勢を打ち出したことに抗議して、三木谷氏は経団連を脱会している。

携帯電話とネット事業大手のソフトバンクの創業社長、孫正義氏(第3位)は資産を23%増やした。原動力の1つは、中国のEC最大手アリババ集団や交流サイト(SNS)最大手人人網(レンレンワン)を運営する人人(レンレン)、オンラインテレビサービスの網絡電視(シナキャスト)をはじめとする何百社というアジアのネット企業への出資だ。また東日本大震災後には日本の個人として最大の1億2300万ドル(約100億円)の寄付をした。昨年11月の経団連の理事会では、原子力問題をめぐって74歳の米倉弘昌会長にたてついた。そして有言実行とばかりに、日本国内に4カ所の大規模な太陽光発電所を建設しようとしている。

もう1人、意気盛んだったのがファーストリテイリング創業者の柳井正氏(第1位)だ。同社は2012年に「ユニクロ」の海外出店に力を入れる。そして、最も資産を増やしたのはソーシャルゲームのグリーの創業社長、田中良和氏(第7位)で、増加率は119%だった。グリーは現在グループ全体で、世界の1億9000万人の利用者を抱え、最近では世界的な販促活動やコンテンツ確保での協力を目的に日本最大の広告代理店、電通との業務提携を発表した。昨年にはカリフォルニア州バーリンゲームのオンラインゲーム・ネットワーク会社オープンフェイントを1億400万ドル(約85億円)で買収。このほど同社が開発したソーシャルゲーム「Zombie Jombie(ゾンビ・ジョンビ)」の配信を全世界向けに開始した

一方、11人が2年前の前回調査に比べて資産を減らした。不動産業界の有力者である森トラスト社長の森章氏は、震災や不動産市場の低迷が響き、資産の減少幅が47%と最も大きかった。新日本観光社主の糸山英太郎氏も保有するゴルフ場の価値が下落し、資産を27%減らした。任天堂創業家の山内溥氏の資産は、同社が海外のビデオゲームメーカーとの激しい競争にさらされたことで29%減少した。日本の富豪(一族)40人のうち、28人が純資産が10億ドルを超えるビリオネアだった。

今回調査で初登場となったのは3人で、衣料品のネット通販サイト「ゾゾタウン」を手掛けるスタートトゥデイ創業社長の前沢友作氏(第30位)、タイヤメーカー、ブリヂストン創業者の孫にあたる石橋寛氏(第38位)、牛丼チェーン、ゼンショー創業者で会長兼社長の小川賢太郎氏(第40位)だ。一方、返り咲きしたのは1人だった。展開するドラッグストアチェーンが好調だったスギホールディングス会長、杉浦広一氏である。

仮に本誌が昨年も調査を実施していたら、ソーシャル・ゲーム大手のディー・エヌ・エー(DeNA)の創業者で前社長の南場智子氏がランクインしていたはずだ。だが今年に入って同社の株価は27%下落し、業界の利益水準は急低下しているため、今回はトップ40最低ラインの6億5000万ドル(約530億円)に届かなかった。同じく2010年にはランクインしていたSNSのミクシィの笠原健治社長も今回は圏外となった。かつてミクシィは日本でフェイスブック以上のユーザー数を抱えていたが、ここ1年で同社の株価は34%下落した。おもしろいことに、DeNAとミクシィは共同でネット通販サイトを立ち上げることを発表している。

このほか前回調査でランキング入りし今回は圏外となった人の中にはトヨタ自動車創業者一族の豊田章一郎氏がいる。今回8位に入った森章氏の兄の森稔氏と、自動車部品業界の大物、高田重一郎・タカタ前会長はこの間に死去した。

http://www.nikkei.com/biz/world/article/g=96958A9C93819499E3E3E2E29D8DE3E3E2E6E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2; p=9694E3E7E2E0E0E2E3E2E6E1E0E0

<厚労省・年金積立金試算> 「17基金、10年で年金枯渇。79基金、10~20年で枯渇。60基金、20~30年で枯渇。」と朝日が報道しているが… この試算にはAIJ年金消失分は含まれていない。

この報道は今のところ朝日だけ、この試算にはAIJ年金消失分が含まれていないが…..

17基金、10年で年金枯渇 
年金積立金 厚労省が試算
(朝日 2012-3-30 朝刊)

厚生年金基金が国から預かって運用している年金の積立金に大きな穴があいている問題で、10年以内に積立金が枯渇しかねない基金がげあることが29日、厚生労働省の調査でわかった。 運用の悪化に加え、年金給付を支えている現役世代が少なくなり、積立金の取り崩しが進んでいるためだ。

昨年3月に決算をした595基金のうち、29日現在で残っている578の基金の財政状態を分析した。労使の掛け金だけでは年金の給付をまかなえず、積立金を取り崩している基金は314にのぼった。

厚労省は、今のペースで取り崩しが続いた場合、積立金か何年でなくなるかを試算。実際に枯渇するかどうかは今後の給付の増減などに左右されるが、計算上、枯渇までの期聞が最も短いのは、愛知県の繊維業界でつくる「尾西毛織厚生年金基金」の4.3年だった。

尾西毛織基金の積立金は25億円で、将来の年金給付のために必要な額の6割にとどまる。年金受給者1800人を現役世代300人が支えており、年間の取り崩し額は5億8千万円に及ぶ。同基金は「取材には応じられない」としている。

17基金をみると、繊維のほか、タクシーや金属加工など、構造的に経営環境が厳しい業界が多い。積立金が10~20年で枯渇
するのは79基金、20~30年は60基金あった。ただ、今回の試算は、まだ損失額が確定していないAIJ投資顧問による年金消失の影響は反映されていない。これを含めれば、積立金の枯渇が早まる基金が増える。

基金の積立金がなくなり年金を給付できなくなることは制度上、想定されていないJ厚労省は、給付減額や掛け金の引き上げなど企業や従業員の負担増を求めている。だが、民主党内には、企業の「自助努力」には限界があるとして、税金や厚生年金全体の掛け金で救済する案もでている。

http://www.asahi.com/politics/update/0330/TKY201203290826.html

年金枯渇17基金の一覧リスト

10年以内に積立金が底をつく厚生年金基金
基金名 積立金がな くなるまで の期間
尾西毛織(愛知) 4.3年
大綱連〔大阪) 5.2年
広島県乗用自動車 (広島) 5.8年
福岡県乗用自動車 (福岡 6.5年
岐阜県繊維工業 (岐阜) 6.7年
住友大阪セメント販 売連合(東京) 7.5年
東日本段ボール (東京) 8.3年
曰本交通連合(東京) 8.6年
京都織物卸商(京都)  8.8年
東示都鉄二(東京) 8.9年
大阪既製服(大阪) 9.0年
常磐交通(福島) 9.0年
関東鍍金(めっき)工業(東京) 9.2年
神奈川県乗用自動車 (神奈川) 9.4年
北海道乗用自動車 (北海道) 9.5年
東京乗用旅客自動車 (東京) 9.9年
西日本自転車(大阪) 10.0年
(厚生労働省調べ。2011年3月末現在)

<消費税法案閣議決定へ> 国民新党・亀井代表は「連立離脱」、6人は「残留」宣言、事実上分裂状態に陥った。 野田政権は、30日午前の閣議で消費税率引き上げ法案を決定する予定。 (NHK 3月30日 4時7分)

消費税法案閣議決定へ 与党内亀裂
(NHK 3月30日 4時7分)

野田政権が、30日に予定している消費税率引き上げ法案の閣議決定を巡り、国民新党の亀井代表は29日夜、野田総理大臣に連立政権を離脱する考えを伝えましたが、下地幹事長は連立にとどまると明言し、自見郵政改革・金融担当大臣も閣議決定に署名することにしています。

一方、民主党内では、小沢元代表に近い複数の政務三役や党役員が、役職の辞任を検討しており、与党内の亀裂が表面化しています。

野田政権は、30日午前の閣議で、消費税率引き上げ法案を決定することにしています。

これを前に、国民新党の亀井代表は29日夜、野田総理大臣と、およそ2時間会談し、法案の閣議決定は認められないとして、連立政権を離脱する考えを伝えた一方で、郵政改革や震災復興などには引き続き協力するとして、自見郵政改革・金融担当大臣ら3人が無所属となり閣内に残る案を提案しました。

これに対し、野田総理大臣は、国民新党として連立政権にとどまるよう求め、30日午前7時半から、改めて会談することにしています。

こうしたなか、国民新党の下地幹事長は29日夜、亀井代表から野田総理大臣との会談の内容について説明を受けたあと記者会見し、「亀井代表が野田総理大臣と会談している間に、自見大臣らとともに議員総会を開き、8人の議員のうち6人は連立を離脱しないと決めた。亀井代表の提案は承服しかねる。連立離脱も、無所属になることもありえない」と述べました。 そして、自見大臣も記者団に対し、国民新党の閣僚として閣議決定に署名することを明言し、こうした意向を藤村官房長官にも伝えました。

一方、民主党の小沢元代表は29日夜、みずからが会長を務める勉強会で「増税だけの閣議決定となれば筋道が通らない。国民の声と自分の信念に従って頑張ってほしい」と述べ、法案が閣議決定された場合には、反対の意思を明確に示すべきだという考えを明らかにしました。 これを受けて、小沢氏に近い複数の政務三役や党役員が、閣議決定のあとに役職の辞任を検討しており、30日午前、会合を開き、対応を協議することにしています。

野田総理大臣は、公約どおり、年度内に消費税率引き上げ法案を閣議決定することを受けて、夕方に記者会見し、成立に向けて自民・公明両党の協力を改めて求めることにしていますが、与党内の亀裂が表面化しており、法案の先行きにも影響を与えることになりそうです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120330/k10014073331000.html

国会議員情報  [削除。 下地 幹郎 (しもじ みきお)代議士の写真・略歴等の情報をここに掲載しておりましが、「不愉快、消して~」との声があり、再度見たところ私も「ナールホド」と思いましたので4月1日10:14削除しました。]

<スルガ銀・IBM裁判> 東京地裁判決 = ITベンダーの責任を重く認定、IBMに74億円の支払い命令。 システム開発に失敗したIBM、だが「開発局面ごとの個別契約は履行している」と主張していた…

スルガ銀・IBM裁判、東京地裁はITベンダーの責任を重く認定
(日経 2012/3/29 19:05)

システム開発が失敗した責任の所在を巡り、ユーザー企業とITベンダーが司法の場で争ったスルガ銀行と日本IBMの裁判。東京地方裁判所の高橋譲裁判長は、ITベンダー側である日本IBMの責任を重く認定し、74億1366万6128円をスルガ銀行に支払うよう命じた。

2012年3月29日時点で東京地裁が公開したのは判決の主文のみ。判決理由は明らかになっていない。判決に先立ち、日本IBMが東京地裁に判決書の閲覧制限を申し立てたためだ。

東京地裁が主文で示した訴訟費用の負担割合は、スルガ銀行の1に対して日本IBMが5である。スルガ銀の主張を全面的には認めなかったものの、開発失敗の責任の多くを日本IBMに求めた東京地裁の判断が読み取れる。

今回の裁判の発端は、スルガ銀行が勘定系システムを全面刷新するため、2004年9月に日本IBMと「新システムを95億円で開発する」との基本合意書を交わしたことにある。勘定系パッケージ・ソフト「Corebank」を日本向けにカスタマイズするという日本IBMの提案を採用した。1回目の要件定義を経て、両社は2005年9月に「89億7080万円で新システムを開発する」との最終合意書を交わした。

裁判の争点の一つは、2005年9月に交わした最終合意書の法的拘束力にあった。スルガ銀は「89億7080万円」という開発金額と「2008年1月」という稼働時期を明記したこの合意について「完成したシステムに対し代金を支払う請負契約だ」と主張。システムが完成できなかったのは日本IBMが債務を履行しなかったためとし、個別契約に基づき支払い済みの60億円超を含む111億700万円の損害賠償を請求した。これに対して日本IBMは、「開発局面ごとの個別契約は履行している。契約上の義務は果たした」と主張していた。その後、スルガ銀行は損害額を精査し直し、賠償請求額を115億8000万円に引き上げている。

http://www.nikkei.com/tech/business/article /g=96958A9C93819499E0EBE2E38A8DE0EBE2E1E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2; dg=1;p=9694E3EAE3E0E0E2E2EBE0E7EBEB

“スルガ銀-IBM裁判”を振り返る  (IT Pro  http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20110804/363621/?ST=cio より)

「約111億円」という巨額の損害賠償を求めて、スルガ銀行が日本IBMを提訴したのは2008年3月のことだ。 システム開発に多少のトラブルは付きものだが、これほど大きな損害賠償請求に至ったのはどうしてか。 ここで、裁判で示された問題を振り返ってみよう。

■ プロジェクト破綻までの経緯と裁判の様子

スルガ銀行は勘定系の次期システムとして、IBMのパッケージ「NEFSS/Corebank」の導入を決め、2004年9月にプロジェクトがスタートした。だが、要件定義を3回繰り返すなどシステム開発は難航。2008年1月の稼働予定を延期した。日本IBMはスコープの大幅な縮小や追加費用を要求したが折り合わず、2007年5月にスルガ銀はプロジェクトの中止を決断した。

スルガ銀が日本IBMを提訴、システム開発の債務不履行による損害など111億円超を賠償請求

スルガ銀行と日本IBMのシステム開発失敗を巡る裁判がスタート

スルガ銀と日本IBMの「動かないコンピュータ」裁判の訴状内容が判明、要件定義を3回繰り返す

「改変を強要された」、スルガ銀-IBM裁判で日本IBM副会長

「日本IBM副会長の証言は失当だ」、スルガ銀裁判に関してJTBのIT部門長が反論

スルガ銀-IBM裁判、終盤戦へ

■ 銀行向けパッケージ「NEFSS」と発表当時の国内商戦の模様

「NEFSS/Corebank」は、J2EE準拠のオープン勘定系システムで、サービス指向アーキテクチャ(SOA)に基づくシステム構築が可能だ。顧客単位で複数の金融商品の口座をまとめて管理するなどの特徴を備え、当時の邦銀の勘定系システムと比べて新規性があった。

米IBMがCSTの新版を発表,金融機関のビジネス・トランスフォーメーションを支援

米IBMがSOA指向の次世代銀行システムを発表、中核に日本IBMの「NEFSS」を採用

大手銀の次期システム争奪戦が本格化

■ 日本IBMが関係する訴訟

高まる契約がらみのリスク

「退職を強要された」、社員3人が日本IBMを提訴

IBMとソースネクスト、HP作成ソフトの販売権裁判で一部和解も平行線

デジタルデザインが日本IBMとネットマークスを提訴

ネットマークス、実体のない取引に関する訴訟でデジタルデザインなど2社と和解

[追加記事4・14]

「スルガ銀が事実上の全面勝訴 IBMの責任認めた判決の深層」
(日経コンピュータ2012年4月12日号の緊急特集抜粋)

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勘定系システムの開発失敗を巡りスルガ銀行が日本IBMを訴えた裁判で、東京地方裁判所は3月29日に約74億円の賠償を日本IBMに命じる判決を下した。スルガ銀が事実上、全面勝訴したともいえる内容だ。4年間にわたった裁判は、ITベンダーとユーザー企業にどのような教訓を残したのか。弁護士やIT業界の有識者への取材から、スルガ銀-IBM裁判の深層を探った。
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「ある程度は過失相殺が認められると思ったが」。システム開発をめぐる紛争に詳しい、ある弁護士は、驚きを隠さない。勘定系システムの刷新プロジェクトが頓挫したことによって損失を受けたとして、スルガ銀行が委託先の日本IBMに約115億円の損害賠償を求めた裁判の判決についてだ。東京地方裁判所は2012年3月29日、日本IBMに約74億円の支払いを命じた。

金額だけを見ると、スルガ銀の請求のうち64%しか認められなかったように見える。だが実態は、スルガ銀の全面勝訴に限りなく近い。なぜなら、64%というのはスルガ銀がシステム開発のために支出した費用のうち、開発中止で無駄になったと同行が主張する金額に相当するからだ(図1)。

 言い換えると、東京地裁はスルガ銀が主張する実損害分の金額を賠償額として100%認定したことになる。東京地裁は同時に、日本IBMがスルガ銀に約125億円の損害賠償を求めた反訴を棄却した。

■ IBMの「不法行為」を認定

東京地裁はなぜ約74億円の支払い命令を下したのか。日本IBMが判決内容に対して閲覧制限を申請しているために、2012年4月4日時点で判決理由は公開されていない。このため詳細は不明だが、裁判関係者などへの取材を総合すると、判決では日本IBMのプロジェクトマネジメントに不備があったと認定されたとみられる。

東京地裁は日本IBMがシステム開発の「契約上の付随義務」に違反したとみなし、民法第709条の「不法行為」に当たると認定した(図2)。

 システム開発プロジェクトを巡る最近の判例では、開発契約に付随して「プロジェクトマネジメント義務」や「協力義務」などが生じる。前者はITベンダーがユーザー企業との共同プロジェクトを適切に管理する義務。後者はユーザー企業が業務フローの洗い出しなどでITベンダーに協力する義務だ。

東京地裁はスルガ銀と日本IBMの双方が提出した資料を精査した上で、スルガ銀は協力義務を果たしていた一方、日本IBMはプロジェクトマネジメント義務を十分に果たしていないと認定したとみられる。

■ 製品選定の責任も問われる

今回のシステム開発がパッケージソフトの導入を前提にしていたことも、日本IBMの過失を重く認定した理由の一つといえそうだ。

JTBのシステム子会社、JTB情報システムの野々垣典男常務取締役は、「一般論としてパッケージソフトを使った開発では、スクラッチ開発[注1]と比べてITベンダーの負う責任は重くなる」と指摘する。野々垣常務はJTB時代にITベンダーとの訴訟を経験している。その立場から「ITベンダーはパッケージの中身を熟知している前提でユーザー企業に導入を勧めたとみなされる」と説明する。

日経コンピュータ誌が入手した日本IBMの反訴資料によれば、スルガ銀と日本IBMのプロジェクトは邦銀標準の金融パッケージを開発する「NEFSSプロジェクト」の一環だった。中核部分に米フィデリティ・インフォメーション・サービス(FIS)のソフトウエア「Corebank」を活用したことから、邦銀標準パッケージは「NEFSS/Corebank」と呼ばれた。

スルガ銀の勘定系システム刷新は、NEFSS/Corebankの第1号案件だった。日本IBMはスルガ銀のプロジェクトを通じてNEFSS/Corebankに邦銀の標準的な業務プロセスを組み込み、広く邦銀に販売する計画だった。

だが、スルガ銀の旧システムのリバースエンジニアリング[注2]を含めた3回の要件定義を経ても、要件を確定できなかった。今回の裁判でスルガ銀側から意見書を提出したAITコンサルティングの有賀貞一代表取締役は、「そもそも海外製パッケージであるCorebankは、邦銀の業務とかい離がありすぎた」と指摘する。Corebankの選定そのものに失敗の要因が潜んでいたという見方だ。

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[注1]パッケージ製品を使わず、ユーザー企業の要望に合わせて、新規にシステムを開発すること。
[注2]既存のソフトウエア製品の開発工程を逆にたどり、その構造や機能を解析して、新たに開発する製品に機能を反映させること。特定ソフトと互換性のあるソフトを開発するために行う。ソフトは著作権で保護されているが、そのベースとなっているアイデアは保護の対象外となっている。アイデアを参考にすることで、競合他社はその製品と互換性を持つ製品を開発できる。
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■ 契約形態は争点にならず

判決は、プロジェクトの失敗につながる過失がユーザー企業とITベンダーのどちらにどれだけあったかという事実に基づき、ITベンダーの不法行為を認定した。一方で、スルガ銀と日本IBMが交わした契約の位置付けについては、結果的に判決を左右する争点にはならなかった。

判決が出るまでの間、裁判の争点は、2005年9月に両社が交わした最終合意書の法的拘束力にあると思われていた(表1)。スルガ銀はこの合意を根拠に一括請負契約を主張。システムを完成できなかったのは日本IBMが債務を履行しなかったためとした。
 これに対して日本IBMは、開発局面ごとの個別契約に基づき「個別契約は履行している。契約上の義務は果たした」と反論。議論は平行線をたどった。

ある弁護士は判決について、次のように推測する。「契約上は多段階の個別契約であっても、システム開発は実際にはユーザー企業とITベンダーによる共同プロジェクトというのが実態だ。東京地裁はこうした実態を重視したのだろう」。

■ 紛争の芽は早期に摘む

判決がITベンダーに与える影響は小さくない。今回のケースを踏まえると、たとえ個別契約を結んだとしても、システム開発の失敗につながる過失がITベンダーの不法行為とみなされれば、ユーザー企業から受け取った費用の全額返還を裁判によって命じられる可能性がある。ITベンダーにとっては、開発工程ごとの「多段階契約」や免責条項などによってリスクを回避しようとしても、失敗の原因がITベンダーにあると認定されれば賠償は免れない。

ユーザー企業にとっては、判決内容こそ有利なものとなったが、そもそも支払った費用を取り戻せるメドがついただけだ。システム開発の頓挫により売り上げ機会損失が発生し、見込んでいたコスト削減効果は得られなくなる。

つまり、曖昧な契約をなくすことは、トラブルを防ぐための必要条件でしかない。しっかりとした契約を結んだ上で、双方がプロジェクトの過程でトラブルにつながる芽をできるだけ早期に摘む体制を構築する。これが、判決が示す警告だ。

システム開発現場では、ユーザー企業とITベンダーの担当者が対立するのは珍しくない。「良いシステムを作るために、本音で意見を戦わせるのは悪いことではない」。JTB情報システムの野々垣常務はこう語る。「ITベンダーが遠慮して本音で話さないようでは、成功は遠のく」と続ける。

本音でぶつかり合えば、時には双方の関係が悪化することもあるだろう。情報サービス産業協会(JISA)の浜口友一会長(NTTデータ相談役)は、「そのときこそ、経営陣の出番だ」と話す。

浜口会長は「現場が衝突したときに備えて、ユーザー企業とITベンダーの幹部クラスが協議するステアリングコミッティーを設けるのが有効だ。話がこじれないうちに、双方の経営陣が会社を代表して議論することが大切だ」と説く。ステアリングコミッティーの会合にあたっては、議事録を正確に残し、内容を両社で承認するプロセスも不可欠だ。

判決翌日の3月30日、日本IBMは東京高等裁判所に控訴した。今後も裁判は続く。紛争の芽を摘むことができなかったツケは、ユーザー企業とITベンダーの双方に重くのしかかる。

「AIJ事件の再発を防ぐため本質的に必要なこと」(WSJ コラム)。 ごもっともな御高説であり、一読に値する。 しかし、今の日本の政治では問題は解決できない。 政治の貧困という根本的問題があるからには…

尾崎教授のご意見はごもっともである。 的を射ているが、問題は今の日本の政治があまりにも幼稚で自己解決能力がないということだ。 その政治を作り出したのは一義的に国民の責任である、なぜなら資質のない国会議員を国政に送り出した犯人は他ならぬ一票入れた投票者なのだから。 国民が賢くなり、衆愚政治から脱却しなければ所詮、堂々巡りを繰り返すことになる….

AIJ事件の再発を防ぐため本質的に必要なこと
尾崎教授のグリーンビジネスコラム
(WSJ 2012年 3月 28日)

■ 遅過ぎたAIJへの強制調査

3月23日、金融庁は、金融商品取引法に基づくAIJ投資顧問(以下AIJ)の投資運用業者の登録を取り消し、AIJの投資信託を販売していたアイティーエム証券も、6カ月間の業務停止処分にした。また、同日、証券取引等監視委員会はAIJの強制調査にやっと乗り出した。金融庁は、残った資産が不正に使われることがないよう、両社に対し、資産の保全を円滑に進める業務改善命令も出した。

当局のこの事件への対応はゆっくりし過ぎていると言わざるを得ない。何せ証券取引等監視委員会の調査によって、AIJ運用の資産の大半が消失していることが発覚したのは1月の下旬である。金融庁は2月23日にAIJへ業務停止命令を出したといっても、強制調査まで2カ月もかかっている。2月下旬には投資顧問会社265社の一斉調査を悠長に行っているが、本来、一斉調査など後回しにして、年金資産の棄損を速やかに防ぐことが先決ではないだろうか。何せ、詐欺事件が疑われている事案である。AIJグループは残余財産を当局の手が届かない国に移す可能性が高い。それとも、金融庁は、AIJの取引先から財産を取り戻すことは不可能という判断を既にしているのかと勘繰りたくなる。

■ AIJ事件の原因と思われていること

AIJ事件が起きた根源的な問題は何だろうか。これまで、各所でコメント、解説されているポイントを整理すると、運用体制や運用の中味に関する問題と企業年金制度に関わる問題に大別できる。

1)運用体制、運用の中味に関する問題

――独立系投資顧問という「怪しい」運用会社を年金が使っていること

――年金運用に適しないハイリスク投資が行われていること

――金融庁による投資顧問業界への検査体制が不備であること

――運用成果の第三者による監査が徹底していないこと

2)企業年金制度に関する問題

――企業年金が公的年金運用の代行部分返上、解散を簡単に行えないこと

――機動的な意思決定ができない「総合型」年金が多く残っていること

――企業年金担当者のうち運用の素人が多いこと

――年金運用担当者が年金受給者の利益を守るために十分に機能していないこと

AIJ事件の発生には、これら2種類の問題が複雑に絡んでおり、前者の運用問題の所管は金融庁、後者の制度問題の所管は厚生労働省である。2つの官庁が微妙に絡んでいることで、問題解決が不十分、または遅くなることが懸念される。

■ ヘッジファンドをやめれば本当に運用リスクは減るのか?

運用問題の解決策として一般的に言われているのは、リスクが高い運用を行わない、運用会社への監視、検査を強めることの2点である。これらを実行すれば問題は解決すると思われがちだが、実はそうでもないのだ。

まず、ヘッジファンドへの委託をやめれば、運用リスクは下がるだろうか。実はそうとは言い切れず、むしろ逆である。現在のような超低金利下で年金資産を国債だけで運用すれば、毎年大きな逆ザヤ(国債利回りより年金が従業員に約束している利回りが低い)が発生し、長期で年金資産は棄損する。

そもそもヘッジファンドのような「代替資産」(株式や債券などの伝統的な運用と異なる手法)は、年金運用の構造的な欠陥を解決するために生まれた。年金運用は「ベンチマーク運用」が基本である。ベンチマークとは、例えば「債券5割、株式3割、外国資産2割」のように運用資産構成をあらかじめ決めて、その構成の市場リターンをモニターすることである。投資顧問会社はベンチマークを上回るリターンを出せば業界で評価される。ということは、株価が暴落すれば当然年金資産は目減りするが、「市場の下げよりはマシ」な運用をした投資顧問会社は評価され、成功報酬をもらうこともできるのだ。

運用を任せる側には何ともやり切れない仕組みであり、これでは運用の逆ザヤ解消に役立たない。実は、この不満を解消しようと作られたのがヘッジファンドである。ヘッジファンドにも様々な運用スタイルがあるが、投資のロング(買い)とショート(売り)を複雑に組み合わせて、市場が上がっても下がってもある程度の利益を目指すものが多い。市場の上下の影響が少なく、ベンチマーク運用の欠点を補うのがヘッジファンド型運用である。これをリスクが高いと一律に排除するのは間違っている。

■ 当局の投資顧問への監視を強めれば済むのか?

報道によると、AIJの経営自体はでたらめだ。今後もこのような運用会社が出現するかもしれないが、被害を防ぐ最良の方法が当局の規制や監視を強めることと言われると首をかしげざるを得ない。

運用業界における規制の意義は「投資家保護」である。保護が大事という名目でプロ投資家を素人投資家なみに保護すれば、過剰保護となり運用コストが上昇して、最終的に年金加入者の負担になってしまう。プロ投資家は素人投資家ほどの保護は不要というのは金融市場の基本原理である。プロのはずの年金運用担当者が旧社会保険庁からの天下りの素人ばかりということの方が大問題であり、過剰規制によって事態は解決しない。

独立系投資顧問を「怪しい」という理由で排除することも問題である。投資顧問業界は規制緩和が進み、2007年に「認可制」から「登録制」に変わった。つまり、参入ハードルが下がり、実績を積めば「投資一任業者」として年金運用を受託できるようになったのである。規制緩和以前は、基本的に大手金融機関の子会社しか年金運用をできなかったが、緩和後は小所帯の独立系でも年金運用が可能になったのである。この規制緩和の背景には、大企業のサラリーマン的な運用者だけではなく、真剣なプロの運用者にも門戸を開放した方が年金受給者の利益になるという考え方がある。この原点を忘れてはならない。また、大企業に運用を任せれば安心かというと、オリンパス事件、大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件(1995年)、住友商事巨額損失事件(1996年)など、そうでもないことが分かる。

■ 総合型企業年金の構造的な問題

AIJ事件の背景には企業年金の構造的な問題が横たわっているが、その点はあまり問題にされず、もっぱら、投資顧問の資質や金融庁の規制の問題として議論されていることには注意を要する。

企業年金、特にAIJ事件の「被害」を受けた「総合型」という同一の業種や地域の中小企業が集まる企業年金は構造的な矛盾に満ちている。年金を解散しようと思えば、母体企業が運用損失を埋めなければならないので解散もできない。損失の原因は市場実勢をはるかに上回る5.5%の利回りを年金加入者に約束して(逆ザヤが発生)、約束した利回りを変更できないからである。穴埋めに耐えられない企業が倒産すると、残った損失は総合型年金の他加入企業の負担となる。これでは、悲惨な「ドミノ倒産」が起きるのも当然である。

企業年金の運用は公的年金の「代行運用分」が含まれるので、逆ザヤだからといって容易に解散は認められない。ただ、公的年金を守るという目的でこのルールを厳格に適用し続けると、母体企業が倒産して雇用が失われる。結果として、公的年金の保険料支払いが減るという本末転倒な悪循環が起きる。この構造を放置したままでは、投資顧問への規制を強めても、第二、第三のAIJ事件が起きるだろう。

過去に企業年金を導入する企業が増えたのは、現在より金利が高く株価が好調な時で、約束した年金利回りを大幅に上回るリターンが続いたためである。今と正反対である。本来、予定利回りは市場実勢に応じて柔軟に変更できるようにして、運用利益が出た場合は、保養所などへ余計な投資をせずに、総て加入者である従業員に現金として還元するべきである。公的年金も余ったお金でサンピアなど作らず、国民に現金として還元するべきだった。

■ 年金運用の受託者責任と柔軟な制度変更が不可欠

では、これからどのような対策を講じるべきか。まず、年金運用者の受託者責任(忠実義務、善管注意義務、分散投資業務、法令順守義務)を法律や規制によって明確に規定するべきである。米国には「エリサ法」と呼ばれる法律があり、年金運用担当者は企業の取締役並に厳しい責任が課せられている。日本もそうなれば、「われわれは素人だからAIJにだまされました」などという恥ずかしいセリフを運用担当者は言えなくなる。そのセリフ自体が法律違反だからだ。運用のプロを雇う余裕のない企業年金はどうするべきか。そういう企業は企業年金自体をやめるべきである。従業員も素人に大事な年金を任せる不安から解放される。

また、同時に、企業年金の解散や支給の減額をある程度柔軟に行える制度変更が不可欠である。この場合、制度変更が企業経営者によって恣意的に行わないよう、第三者の厳格な監査をセットにすることが重要である。ここでは厚生労働省の認可を前提としないことがポイントである。

ところで、AIJのファンドは第三者の監査が行われておらず、AIJの利害関係者がお手盛りの監査を行っていたようだ。プロの年金運用者であれば、こんな投資顧問など警戒して近寄らない。また、AIJの不自然に高い運用利回りを疑い、運用委託を行わなかった年金が多かったことを忘れてはならない。

http://jp.wsj.com/Business-Companies/node_415798