【更新2014-1-29、「農薬混入 阿部容疑者が供述始める」記事を後段に追加】 マルハニチロHDの子会社、アクリフーズ群馬工場で製造された冷凍食品から農薬が検出された問題で、群馬県警は、農薬の混入に関与した疑いが強まったとして、25日午後、40代の従業員の男を逮捕した▽偽計業務妨害の疑いで逮捕された契約社員・阿部利樹容疑者(49)は、2013年10月3日から7日ごろまでの間、4回にわたって、工場で出荷する冷凍食品に農薬を混入し、工場の業務を妨害した偽計業務妨害の疑いが持たれている▽阿部容疑者は「覚えていない」と容疑を否認している▽阿部容疑者は、1月14日から所在不明となっていたが、24日に埼玉・幸手(さって)市内で身柄を確保され、25日午後に逮捕された。
NHKニュースによると――
農薬混入事件 40代従業員の男逮捕
(NHK 1月25日18時57分)
品大手「マルハニチロホールディングス」の子会社の群馬県の工場で製造された冷凍食品から農薬が検出された事件で、警察は工場に勤める49歳の従業員の男が農薬を混入させた疑いが強まったとして偽計業務妨害の疑いで逮捕しました。男は「覚えていない」と容疑を否認しているということです。
逮捕されたのは「マルハニチロホールディングス」の子会社「アクリフーズ」の群馬県大泉町の工場の従業員で、同じ大泉町に住む阿部利樹容疑者(49)です。
この工場で製造されたピザやコロッケなど7品目の冷凍食品から殺虫剤などとして使われる農薬「マラチオン」が、最大で残留農薬の基準値の150万倍もの濃度で検出され、警察は工場内でこの農薬が使用されていないことから、何者かが意図的に混入させた疑いが強いとみて捜査を進めてきました。
その結果、阿部容疑者が去年10月3日から7日にかけて工場内で4回にわたって商品に農薬を混入させた疑いが強まったとして、25日、偽計業務妨害の疑いで逮捕しました。阿部容疑者は今月14日から行方が分からなくなり、24日、埼玉県内で見つかったということです。
警察は農薬を混入させた方法や動機などについて調べを進めることにしています。 調べに対し、阿部容疑者は「覚えていない」と容疑を否認しているということです。
■ ふだんから周囲に不満
阿部容疑者についてよく知る工場の従業員によりますと、阿部容疑者は8年ほど前から大泉町の工場に契約社員として勤めていて、主にピザの製造ラインで働いていたということです。
この従業員は、阿部容疑者について「ふだんから給料が安くてやってられないとしばしば周りの従業員に不満を話していた。事件が発覚してからは急におとなしくなるなど様子がおかしかった。みんな一生懸命に働いていたのにこんな事件があって本当に悔しい。早く工場が再開してほしいです」と話していました。
また、大泉町の工場の下請け会社で働く58歳の男性は「容疑者が捕まって、とりあえず安心しました。食品に対する信頼を失わせた責任は重いと思うので、会社や従業員の皆さんに謝ってほしいです」と話していました。そのうえで、「ふだんどおりの業務に早く戻ってほしいです」と話していました。
■ 会社「コメントできない」
工場の従業員が逮捕されたことについて、マルハニチロホールディングスは「まだ警察から逮捕の情報が確認できていないので今の段階では何もコメントできない」としています。
■ 農薬混入は工場内とみて捜査
農薬が検出された商品は、埼玉県など3か所の倉庫に分散して運ばれたあと、全国に出荷されていました。警察は3つのルートのいずれからも農薬が検出されたことから、農薬の混入は工場内とみて捜査を開始。今月4日、製造工程などを確認するため工場の現場検証を行うとともに、従業員およそ300人を対象に聞き取りを進めました。
これまでの調べで、農薬の混入が確認された7品目9つの商品は、3つのラインで別々に作られたあと、同じ部屋に集められて包装されていたことが分かっています。
さらに、製造されたのは去年10月から11月にかけてのおよそ1か月間にわたり、製造日はすべて異なっていたほか、袋に印字された記号から製造された時間帯が特定できることも分かりました。また、一部の商品は中の具材より外側の衣のほうが農薬の濃度が高く、衣からだけ農薬が検出されたものもありました。
こうしたことから、警察は、商品が加工されたあと包装されるまでの間に何者かが農薬を複数回混入させた疑いがあるとみて、商品が製造された日や時間帯に勤務していた従業員から話を聞くなどして捜査を進めていました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140125/k10014768291000.html
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JNNニュース(25日20:16)によると、警察はマラチオンが検出された商品の製造年月日や製造時間から従業員を絞り込み、捜査線上に阿部容疑者が浮上した。
また、NHKニュース(1月25日22時1分)によると――
● 阿部容疑者の周辺から農薬の「マラチオン」が検出された。
● 阿部容疑者は警察が一度話を聞いたあと、今月14日から行方が分からなくなり、24日午後8時すぎ、埼玉県幸手市内で見つかった。
● 路上に不審者がいると通報があり、警察が駆けつけたところ、自転車に乗っている阿部容疑者を見つけたということで、警察はいったん家族のもとに引き渡したあと、25日午後から警察署に任意同行を求めて取り調べていた。
● 阿部容疑者は平成17年10月からこの工場に契約社員として勤め、8年余り、ピザの製造ラインを担当していた。
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【ANNニュース|動画】 冷凍食品農薬混入で契約社員の49歳男を逮捕(14/01/26)
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【マルハニチロ冷凍食品農薬混入事件・容疑者逮捕、続き(1) 2014-1-26】
各メディアが色々報道しているが…民放TVのニュースを見ていると単発報道なのでいささか混乱してしまう。 阿部利樹容疑者(49)の逮捕翌日の大手紙の記事はそれなりに詳しく報道しているので、要点をまとめてみようと思います。
今回の阿部容疑者の逮捕で気になるのは、マルチオンが検出された冷凍食品は10品なのですが、逮捕容疑はそのうちの4品なことです。 残りの6品に関しては、取り調べと自供に頼っているということなのでしょう。
警察は起訴する自信があるから逮捕したのでしょうが、阿部容疑者が自供しなかった場合に農薬混入を立証できるのでしょうか? 今のところ報道から知りうることはこの3点だけです――
- 阿部容疑者が工場で着ていた作業着からマラチオンが検出された、
- マラチオンが検出された4品が製造され時の阿部容疑者の勤務時間が一致する、
- 工場作業員の事情聴取を行い、阿部容疑者も事情聴取され、その後、阿部容疑者が行方不明になった。
という事だけ。 この3点では阿部容疑者の農薬混入を立証しえないでしょう。 阿部容疑者が、「私がやりました」と自白し、その具体的方法を自供し、それを警察が検証して立件しうると証明しなければならないでしょう。 ということで、自供し立証されるまでは「推定無罪」…いや~、あくまで素人の独り言ですが….
逮捕された佐藤容疑者がスクーター・マニアで、ワンピース海軍のコスプレの衣装をまとった映像が民放TVニュースで繰り返し放送され、「こいつはヤバい。きっと犯人だ。」などと思い込んでしまいまう。 私もこれを見た直後はらそういう感じになったのですが――
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雑誌で改造愛車アピール 「人見知りの印象」(産経2014.1.26 17:30)
雑誌を発行する「造形社」(東京)によると、阿部容疑者は昨年12月22日、埼玉県川越市で開かれた撮影会に1人で参加。人気漫画「ワンピース」のキャラクターにふんしたコスプレ姿だった….
編集者によると、阿部容疑者の愛車は新車で購入すると約70万円。スピーカーを付けたり、ライトに凝った改造が施されたりしており「改造費用だけで100万円ぐらいかかっていた」と推測する。平成24年8月号と12月号には、背中に大きく「正義」と書かれた白の上着姿で登場していた。 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140126/crm14012617310015-n1.htm
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ネットでは「犯人ヤバすぎ..」と、容疑者ではなく「犯人」と言う言葉が飛び交い始めています。 しかし、ワンピース海軍のコスプレの衣装は犯行を立証するのとは全く無関係な話です。 ついつい「三億円事件」のモンタージュ写真による誤認逮捕の件を思い出してしまいました。 メディアも国民も警察発表を信じて「あいつが犯人だ!」と日本国中で思ったのですが、それが警察大失態の誤認逮捕でした。 今回の事件の阿部利樹容疑者(49)は契約社員ですが、妻と20代の息子の3人暮らしと報道されています。 給料が安いと不満を漏らしていたと報道されていますが、果たして家族を犠牲にしてまで事件を起こすほどの動機なのでしょうか? 立証の件といい、動機の件といい、疑問が湧く事件です。 では、報道されている事実をまとめてみましょう。
朝日新聞(2014年1月25日と26日)の記事から――
- 阿部容疑者が工場で着ていた作業着からマラチオンが検出された。
- 阿部容疑者の逮捕容疑は、群馬工場内で昨年10月3~7日に4回、冷凍食品計4袋にマラチオンを混入し、冷凍食品を回収させたり、操業を停止させたりして、工場の業務を妨害したというもの。 その4袋からは1ppm未満~430ppmの濃度でマラチオンが検出されおり、製造日が阿部容疑者の勤務日と一致したという。 4袋とは以下の製品――
「みなさまのお墨付きミックスピザ2枚入り」(10月3日製造)
「チーズがのび~る!チキンナゲット5個入り」(10月4日製造)
「チーズがのび~る!グラタンコロ!」(10月5日製造)
「とろ~りコーンクリームコロッケ」(10月7日製造)
- 阿部容疑者はピザの製造ラインで、生地を練ったり焼いたりする作業をしていた。
- 別々の部屋で加工されたピザ、フライ、コロッケなどの各商品から農薬が検出されたため、当初はすべてが集まる「包装室」が混入場所と疑われたが、実際には製造ライン間を行き来できる状態だった。
- 県警は今月10日にアクリ社から被害届を受理し、従業員の任意聴取を本格化。 阿部容疑者からも話を聴いたが、14日の勤務後に行方不明になっていた。 家族から捜索願を受けて24日夜、埼玉県警が同県幸手(さって)市の駐車場で阿部容疑者を発見。 群馬、埼玉両県警によると――
- 阿部容疑者は24日午後8時ごろ、自宅から南東に約40キロ離れた埼玉県幸手市中2丁目の駐車場で保護された。東武日光線幸手駅から東に約600メートルの国道4号に面した住宅街だった。 「駐車場に不審者がいる」との110番通報を受けて、駆けつけた埼玉県警の警察官が職務質問。身分を照会したところ、家族から捜索願が出ていたことがわかった。
- 阿部容疑者は警察官に「自分の家に帰る」と訴えたという。ただ、体調がすぐれない様子だったことなどから、警察官が自力での帰宅は困難と判断。群馬県警に連絡し、阿部容疑者の妻に引き渡した。
- 阿部容疑者は群馬県警の捜査線上に浮上しており、このときも詰めの捜査が続いていた。 逮捕は保護の約21時間後だった。
http://www.asahi.com/articles/ASG1T5QSHG1TUTIL01B.html
http://www.asahi.com/articles/ASG1T5K88G1TUTIL012.html
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次に毎日新聞の記事です。 毎日新聞の記事は逮捕に至った経緯を他紙より詳しく書いていると思います――
- アクリフーズ群馬工場(群馬県大泉町)製の冷凍食品に農薬が混入された事件は発覚から約1カ月、容疑者逮捕で大きく動いた。阿部利樹容疑者(49)が浮上した決め手の一つが、マラチオンが検出された冷凍食品の製造日時だった。マルハニチロホールディングス(HD)が混入を明らかにした9点は製造時間帯がバラバラだったことが判明。群馬県警は独自に検出した1点を含めて、従業員の勤務記録を精査した結果、阿部容疑者が混入させたとしても矛盾はないと結論づけた。
- マルハHDが農薬検出を公表した9点は、昨年10月4日~11月5日に製造された。関係者によると、パッケージの記号から製造時間帯が▽午前10時~正午=2点▽正午?午後2時=1点▽午後2~4時=2点▽午後4?6時=2点▽午後6~8時=1点▽午後8時~終業時=1点――だったことが判明した。
- 県警は商品が別々の倉庫から出荷されていることなどから、工場内で混入されたとの見方を強めた。任意提出を受けた阿部容疑者の作業服からマラチオンが検出されたうえ、任意の聴取後に行方不明になったことから、逮捕に踏み切った。
- 10点の製造ラインは、ピザとコロッケ、フライ関係と三つの部屋に分かれているが、いずれのラインの商品からもマラチオンが検出されている。三つのラインの製品がすべてベルトコンベヤーで流れ込むのが、加工後の食品を密封し、段ボール箱に詰める「包装室」だ。そのため、ここで混入されたとの見方が強まっていた。
- 県警によると、阿部容疑者はピザの生地の生成・焼成を担当。製造ラインには生地をねるミキサーや型抜きするカッター、オーブンなどがあり、阿部容疑者は包装前の段階での業務にあたっていた。従業員は各部屋を行き来することも班長の許可がなければ原則できないが、マルハHDなどによると、阿部容疑者が包装室で商品の品質確認をする場合もあったという。
以上のように逮捕に踏み切った最大の理由は、1)作業着からマラチオンが検出されたこと、2)任意の聴収後に行方不明になったことです。 農薬混入に関しては可能性の高い論理的推論が成り立つということであって、犯行を立証できる決定的証拠はないようです。 つまり、逮捕後の取り調べ⇒自供⇒立件という前提の逮捕のようです。 素人の独り言ですが、以下のアクリフーズの以下のような作業状況の画像を見ると「果たして、他の作業員に気付かれずに農薬の混入をできるものなのか?」「それも単独犯で?」などと思ってしまいます――
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次に、アクリフーズ群馬工場で製造された冷凍食品の製造時間帯の特定についてですが、NHKのニュースによると――
農薬混入 袋の印字で製造時間帯も特定
(NHK 1月26日4時8分)
食品大手「マルハニチロホールディングス」の子会社の群馬県の工場で製造された冷凍食品に農薬を混入させたとして、従業員の男が逮捕された事件で、事件が起きた工場の商品は、袋に印字された記号から、製造日だけでなく、製造された時間帯もおよそ2時間の幅で特定できることが、関係者への取材で分かりました。
これらの時間帯と逮捕された従業員の男の勤務時間は一致しているということで、警察は男が不審な動きなどをしていなかったか調べ、農薬混入の方法について捜査することにしています。
これまでに農薬が検出されている商品は、去年10月から11月にかけて製造され、製造日はすべて異なっていますが、工場の関係者によりますと、商品の袋にはアルファベットと数字の記号が印字され、製造日だけでなく、製造された時間帯もおよそ2時間の幅で特定できるということです。
これらの記号から、▽10月4日と5日の商品は、午前10時から正午の間、▽12日と23日は、午後4時から6時、▽25日は午後6時から8時、▽28日は正午から午後2時、▽29日と11月5日は午後2時から4時の間に、それぞれ製造されていたことが、工場の関係者への取材で分かりました。
この工場の関係者は「A1やB2などの記号があり、何時ごろに作られた商品なのかが分かる。そのときに作業をしていた人は絞り込める」と話しています。
警察によりますと、これらの時間帯と、逮捕された従業員の阿部利樹容疑者の勤務時間は一致しているということです。 警察は阿部容疑者が不審な動きなどをしていなかったか調べ、農薬混入の方法について捜査することにしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140126/k10014773141000.html
これによって、マラチオンが検出された4点の冷凍食品の製造時間帯と、逮捕された従業員の阿部利樹容疑者の勤務時間は一致しているということが警察の捜査で判明したようです。 ただし、阿部容疑者の犯行を立証するものではありません。 さらに、他の6点の冷凍食品は誰が何時したのでしょうか? その6点の製造時間と阿部容疑者の勤務時間の関連は?
ハッキリとした捜査結果の発表が待たれます。
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【続報 2014-1-29】
「アクリフーズ」の群馬県の工場に勤める従業員、阿部利樹容疑者(49)が農薬混入の関与を認める供述を始めたということです――
農薬混入 阿部容疑者が関与認める供述
(NHK 1月29日17時24分)
食品大手「マルハニチロホールディングス」の子会社の群馬県の工場で製造された冷凍食品に農薬を混入させたとして、従業員の男が逮捕された事件で、男が事件への関与を認める供述を始めたことが分かり、警察は、農薬をどのように混入させたのか詳しく調べるとともに、動機の解明を進めることにしています。
この事件で、「マルハニチロホールディングス」の子会社、「アクリフーズ」の群馬県の工場に勤める従業員、阿部利樹容疑者(49)は、去年10月、工場内で製造された4つの冷凍食品に農薬のマラチオンを混入させたとして、偽計業務妨害の疑いで警察に逮捕されました。
警察によりますと、阿部容疑者は当初、「覚えていない」などと容疑を否認していましたが、その後の調べに対し、事件への関与を認める供述を始めたということです。
阿部容疑者は「お客様や会社の従業員、家族に大変な迷惑をかけてしまい、本当に申し訳ないと思う」と話しているということです。
これまでに農薬の混入が確認されたのは、8品目10の商品で、阿部容疑者が製造を担当していたピザのほかにも、コロッケとフライの2種類あり、それぞれ別の製造ラインで作られていました。
また警察によりますと、阿部容疑者が工場内で身に着けていたものから同じ農薬が検出されているということで、警察は、農薬をどのように持ち込み商品に混入させたのか、詳しく調べるとともに、動機の解明を進めることにしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140129/t10014862561000.html
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(続報があれば、追加すると思います…..)
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