やった~! ノーベル医学・生理学賞に「iPS細胞」の山中伸弥・京大教授

ノーベル医学・生理学賞に山中伸弥さん
(NHK 10月8日 18時39分)

ことしのノーベル医学・生理学賞の受賞者に、体のさまざまな組織や臓器になるとされる「iPS細胞」を作り出すことに成功した京都大学教授の山中伸弥さん(50)が選ばれました。 山中さんは、特定の4つの遺伝子を皮膚の細胞に組み込んで心臓の筋肉や神経などさまざまな細胞に変化するまったく新しい「iPS細胞」を作り出すことに世界で初めて成功しました。 日本人のノーベル賞受賞は19人目で、医学・生理学賞は昭和62年の利根川進さんに続いて25年ぶり2人目です。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121008/t10015593171000.html

山中・京大教授にノーベル賞 iPS細胞の作製
(日経 2012/10/8 18:34)

スウェーデンのカロリンスカ研究所は8日、2012年のノーベル生理学・医学賞を京都大学教授の山中伸弥iPS細胞研究所長(50)とジョン・ガードン英ケンブリッジ大教授の2人に贈ると発表した。

日本のノーベル賞受賞者は10年に化学賞を受けた根岸英一・米パデュー大学特別教授と鈴木章・北海道大学名誉教授以来2年ぶり。生理学・医学賞では1987年の利根川進・理化学研究所脳科学総合研究センター長以来2人目となる。

授賞理由は、生物のあらゆる組織や細胞に成長できる能力を持つiPS細胞の作製。山中教授は2006年に世界で初めてマウスの皮膚細胞からiPS細胞を作り、世界を驚かせた。翌07年には人間でもiPS細胞の作製に成功した。

授賞式は12月10日にスウェーデンのストックホルムで開く。賞金800万クローナ(約9500万円)。賞金は昨年まで1000万クローナだったが、ノーベル財団の財政難から今年は減額された。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG0301P_Y2A001C1000000/?dg=1

山中 伸弥(やまなか しんや、1962年9月4日 – )は、日本の医学者。京都大学教授/京都大学iPS細胞研究所所長。博士 (医学)(大阪市立大学、1993年)。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E4%B8%AD%E4%BC%B8%E5%BC%A5

■ iPS細胞の研究

大阪市立大学大学院で薬理学研究を開始。博士研究員としてグラッドストーン研究所へ留学しiPS細胞研究を始める。その後、帰国して日本学術振興会特別研究員(PD)を経たのち、日本の医学界に戻るが、その研究環境の酷さに絶望し、ノイローゼ・うつ病状態になる。基礎研究を諦め、研究医より給料の良い臨床医へ戻ろうと半ば決意した中、公募で見つけた奈良先端科学技術大学院大学へ応募したところ採用に至り、アメリカ時代と似た研究環境の中で再び基礎研究を再開する。

奈良先端科学技術大学院大学でiPS細胞の開発に成功し、2004年に京都大学へ移籍。

■ iPS細胞の開発

2006年8月25日の米学術雑誌セルに京都大学再生医科学研究所教授である山中と特任助手だった高橋和利(現、助教)らによる論文が発表された。論文によると山中らはマウスの胚性繊維芽細胞に4つの因子(Oct3/4、Sox2、c-Myc、Klf4)を導入することでES細胞のように分化多能性を持つマウス人工多能性幹細胞(iPS細胞:induced pluripotent stem cell)を確立した。

2007年11月21日、山中のチームはさらに研究を進め、人間の大人の皮膚に4種類の発癌遺伝子などの遺伝子を導入するだけで、ES細胞に似たヒト人工多能性幹(iPS)細胞を生成する技術を開発、論文として科学誌セルに発表し、世界的な注目を集めた。

また同日、世界で初めてヒト受精卵からES細胞を作成したウィスコンシン大学教授のジェームズ・トムソンも、山中のマウスiPS細胞生成の研究成果を基に、人間の皮膚に発癌遺伝子などの4種類の遺伝子を導入する方法でヒトiPS細胞を作製する論文を発表した。

山中らが作り上げたのは、大人の皮膚細胞に発癌遺伝子などの4種類の遺伝子を導入するだけで、がん細胞と同じようにほぼ無限に増殖し、神経や筋肉、骨などのあらゆる細胞に変わる胚性幹(ES)細胞(万能細胞)に似た「人工多能性幹(iPS)細胞」である。

これまで、ES細胞は卵子や猿などの動物の胚などを利用するしか作る方法がなかった。女性から卵子を取り出すのは危険であり、また生命(もしくは、これから生命となる物)を扱う事に対して倫理的にも問題があったため、研究は進まなかった。しかし、山中らが開発したこの方法では、人間の皮膚から作られるため、危険性や倫理的な問題などを回避する事ができ、論争に関わりなく研究が進められる。

これらの功績により、韓国のソウル大学教授黄禹錫の論文捏造によって一時停滞していた幹細胞研究が、一気に進むことが期待されている。アメリカ合衆国大統領ジョージ・W・ブッシュは、研究が発表された2007年11月21日、すぐさまウィスコンシン大学の研究に支持を表明するなど世界中で注目を集めた。日本も遅れまいと、2007年11月23日、5年で70億円を支援する事を決定。さらに、早期の臨床応用のための枠組みを早急に策定し、国内での研究を加速する「オールジャパン」体制を構築する方針である。

しかし、この技術を使えば男性から卵子、女性から精子を作るのも可能となり、同性配偶による子の誕生も可能にするため、技術適用範囲については大いに議論の余地が残っている。

さらには、iPS細胞は発癌遺伝子を導入するなどしてがん細胞と同じように無限増殖性を持たせた人工細胞であり、遺伝子導入の際に使用しているレトロウイルスなどが染色体内のランダムな位置に発癌遺伝子などの遺伝子を導入してしまうため、元々染色体内にある遺伝子にも変異が起こって内在性発癌遺伝子を活性化してしまう可能性があるなど、実際に人体に移植・応用するには大きな課題が残っている。

ノーベル賞の本命、山中伸弥京大教授が成し遂げたこと
(日経 2011/9/24 7:00)

 「数カ月前には皮膚の細胞だったものから、ドクドクと拍動する心臓の細胞を作り出すことができます。これがiPSの技術であります」。7月、神戸市での京都大学教授(iPS細胞研究所長)、山中伸弥の講演。スクリーンには培養皿に入った細胞の塊が動く様子が映し出される。ホールを埋めた聴衆は山中の話に熱心に耳を傾け画面に見入った。ノーベル生理学・医学賞の発表は10月3日。ストックホルムで山中の名前が読み上げられる可能性は十分ある。(文中敬称略)

山中らがマウスのiPS細胞の開発を発表したのは2006年。心臓だけでなく骨、神経、肝臓、血液など、およそ動物の体を構成するどんな細胞にも分化できる能力を持つことから人工多能性幹細胞と名付けた。iPSは、その英語表記に由来する。その翌年にはヒトのiPS細胞を作り、医療応用に道を開いた。

それまで万能性を備えた細胞がなかったわけではない。受精卵をもとにした胚性幹細胞(ES細胞)がある。受精卵が育ち、胚盤胞と呼ばれる状態になったところで、その内部の細胞を取り出して培養する。すると万能性を維持したまま、体外で長期間培養できるようになる。1981年に英チームがマウスのES細胞を作製、後にノーベル生理学・医学賞を受賞。98年には米チームがヒトのES細胞を作ったと発表した。

受精卵にはもともと、全身の細胞や組織に成長する能力が備わっている。そこから作ったES細胞が万能性を持つことは特に意外ではない。一方、山中らが作ったiPS細胞は、もとはマウスや成人の皮膚細胞だ。いったん完全に分化した細胞が、わずか4つの遺伝子を導入するだけで、受精卵と同様の万能性を獲得した。

1個の受精卵が多様な細胞に分化して手足や骨、皮膚、神経など様々な臓器や組織を作り、個体を形成する。それが発生のシナリオだ。山中はこのシナリオを逆転させ、皮膚の細胞から万能細胞を作り出した。わずかな遺伝子を組み込むことで生命のプログラムを巻き戻せることを示し、生物学の常識を覆した。

医療へのインパクトは計り知れない。患者の皮膚などからiPS細胞を作り、そこから必要な臓器を育て、機能不全に陥った臓器の代わりに移植する、いわゆる再生医療への応用に熱い視線が注がれている。山中は6月、iPS細胞を再生医療に応用する際の最大の懸念となっていた発がんリスクを大幅に下げる手法を開発したと発表した。研究は着実に進んでいる。

http://www.nikkei.com/article/DGXBZO35006700S1A920C1I00000/