高速ツアーバス7月末で廃止、8月1日どう変わる高速バス?

8月10日更新】 去年4月の関越自動車道の高速ツアーバス事故のあと、国は安全対策を強化し、高速ツアーバスの制度は7月末で廃止される。 8月1日より新制度「高速バス」が始まる。 その一方で、事業からの撤退が相次ぎ、この夏の帰省ラッシュにバスが不足し、路線によっては予約が取りづらいといった影響が出ることも予想されている。 なにがどう変わるのか?

高速ツアーバス7月末で廃止4
乗客を乗せて高速道路を走るバスはこれまで次の3タイプだった――

● 高速ツアーバス
● 観光バスや以外の貸し切りバス
● 路線バス

関越自動車道事故を受け、国土交通省は高速ツアーバスを対象に安全基準を厳しくし、去年7月、運転手が夜間1人で乗務できる距離を670キロから、原則400キロに見直した。 さらに去年12月には、観光バスやそれ以外の貸し切りバスも厳しい安全基準が適用された。 今年8月1日からは路線バスも対象となり、乗客を乗せて高速道路を走るバスは全て厳しい安全基準が適用されることになった。

なぜ、運転手が夜間1人で乗務できる距離が400キロなのか? それは、国交省が安全基準の見直しに先立って2700人余りの運転手を対象におこなったアンケート調査の結果を踏まえたものだ。 調査に対し約80%の運転手が、「夜間、安全に運転できる距離」について、「400キロまで」と回答した。

さらに、国交省が高速ツアーバスの運行会社を調べたところ、全体の64%の会社が、運転手に必要な休憩をとらせなかったり、長時間運転させたりしていたというこが判明した。 このため、国交省は前述の3タイプのバスを「高速バス」に統一し、ツアーを企画し客を集める会社が運転手の健康管理といったバスの運行についても責任を持たせることにした。

しかし、新制度の「高速バス」で認可を受けるには、これまで高速ツアーバスを手がけてきたバス会社にとっては、運転手の増員などを迫られ、新たな経費が必要になる。 また、停留所の設置も義務づけられたためハードルが高くなった。 このため、事業からの撤退が相次いでいる。 国土交通省によると、高速ツアーバスを手がけていた合わせて286社のうち、高速バスとして事業を継続するのは、今の時点で111社と、全体のおよそ40%にとどまっている。

このため、多くの高速ツアーバスが運行されてきた東京と、大阪や名古屋、それに仙台を結ぶ路線は、この夏の帰省ラッシュにバスが不足し、予約が取りづらいといった影響が出ることも予想されている。

(参照 NHKニュース「高速ツアーバス廃止 影響も」(7月23日21時1分)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130723/k10013244643000.html)

要点や問題をまとめると――

高速ツアーバスは、旅行会社が乗客をツアー客として集め、バス会社に運行を委託する事業形態。 旅行会社が安全責任を負わないため、その安全性が問われた。 一部で、安全管理体制がずさんなバス会社へ委託していた実態も明らかになった。

高速ツアーバス7月末で廃止1制度の改正で、都市間の輸送をする高速バスの運行は、国から許可を得たバス会社に限定される。 全て路線バスに変更される。

高速ツアーバス7月末で廃止2
新制度でバス会社には、

● バス停の設置が義務づけられる
● 運賃や便数なども事前に届け出が必要
● 一人の運転手が夜間運転できる距離は、原則400キロまでに制限
● 運転手の体調管理も求められる
● バスの運行を記録する装置(デジタルタコグラフなど)の設置が設置が奨励されている
高速ツアーバス7月末で廃止3

☛ 高速バス運行を断念したバス会社の多くが出くわした問題がバス停の確保だった。 路線バスを運行するには、採算の見合う場所でバス停を確保しなければないのだが、そのためには警察の許可や周辺住民の同意などが必要になる。 しかし東京駅や横浜駅など、都市部でバス停を確保するのは不可能だという。

☛ 高速ツアーバスを運行してきた286社のうち6割が撤退する。 また、事業を継続するバス会社でも大幅に便数を減らさざるを得ない。 NHKが報道した例でいうと、8月の1か月間で953台の運行実績があった会社が今年8月に設定している便数は186台、と運行するバスは5分の1なっている。 なぜなのか? それはこういう事だそうだ――

「高速ツアーバス」は、路肩などにバスを止めて、何便ものバスを発着させてきた。 それが出来なくなる、なぜなら、制度の改正でバス停を使うことが義務づけられたからだ。 この会社では、他の旅行会社4社と、大手バス会社が持つ停留所を使わせてもらう契約を交わした。 しかし、バス停は空いている時間しか使うことができない。 そのため、1日6便の枠しか確保できなかった。 限られた便数で利益を上げるため、値上げに踏み切りざるを得なくなり、平日3,500円だった路線の8月運賃はは4,370円。 2割の値上げとなっている。

(参照 NHK特集まるごと「どう変わる?高速バス」(2013年7月23日)http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2013/07/0723.html)

国交省の高速バスの新制度に関する資料を抜粋して掲載しよう(画像クリックで拡大)――

高速乗合バスと高速ツアーバス(国交省資料)

高速乗合バスと高速ツアーバス(国交省資料)

高速ツアーバスの問題点(国交省資料)

高速ツアーバスの問題点(国交省資料)

新たな高速乗合バスへの移行(国交省資料)

新たな高速乗合バスへの移行(国交省資料)

新たな高速乗合バス規制による安全の確保(国交省資料)

新たな高速乗合バス規制による安全の確保(国交省資料)

(出典: 国交省資料 http://www.mlit.go.jp/common/000210606.pdf)

続報 8月10日

国土交通省によると、高速ツアーバスを手がけていた合わせて286社のうち、およそ200社が撤退し、高速バスとして事業を継続するのは80社にとどまっている。 多くの高速ツアーバスが運行されてきた東京と、大阪や名古屋、それに仙台を結ぶ路線は、この夏の帰省ラッシュにバスが不足し、予約が取りづらくなると懸念されていたが… 制度変更での高速ツアーバス会社の苦戦をNHKニュース(8月10日)はこのように伝えている――

「高速ツアーバス」制度変更で苦戦
(NHK 8月10日17時25分)

格安の運賃が魅力で帰省客にも人気があった高速ツアーバスは、安全対策を強化するため高速道路を走る路線バスと統一され、今月から新たな制度で運行されています。 路線バスと同じように停留所の設置が義務づけられ、高速ツアーバスを手がけてきた会社の中には、利便性の高い場所に停留所を確保できず、利用客を思うように集められないところが出ています。

10日午前8時すぎ、東京・新宿の高速バスの停留所では、帰省客が名古屋や仙台に向かう便に次々に乗り込んでいました。 この高速バスを運行しているバス会社は、これまでは新宿駅の西口近くにバスを横付けして乗客を乗り降りさせていましたが、新たに停留所の設置が義務づけられたため、新宿駅からおよそ1.5キロ離れた場所に停留所を確保しました。

10日は厳しい暑さのなか、新宿駅から大きな荷物を抱えて停留所に向かう人たちの姿が見られ、名古屋行きのバスに乗って帰省する41歳の男性は「暑くて荷物が重いのに、停留所が遠くて分かりづらく、以前より不便になりました。価格も上がっているので、新幹線で帰ればよかったかなと思います」と話していました。 この会社には利用客から不便になったという声が相次いで寄せられていて、お盆の期間中の予約が埋まらない状況になっているということです。

また、別のバス会社は、これまで東京から地方に向かうバスの出発場所にしていた新宿駅周辺に停留所を確保できず、出発場所を東京駅近くに変更した結果、固定客が離れてしまったということです。 さらに安全基準が強化され、夜間に運転手が1人で運転できる距離が短くなったことなどに対応するため、この時期の価格を平均で10%程度上げたことも影響し、予約が埋まらない状況が続いているということです。 このバス会社の天野正幸社長は「帰省ラッシュのピークの11日も予約が埋まらず、大変です。サービスを充実させて何とか集客を図りたい」と話していました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130810/t10013690571000.html

中国海軍、宗谷海峡越え日本一周し実力誇示…日本の参院選の隙を突いて中国海軍は日本を一周しその海軍力の成長を誇示した。圧勝した自民・安倍政権は「断固たる態度」を貫けるか!?

日本の参院選の隙を突いて中国海軍はオホーツク海・宗谷海峡を通過し太平洋に展開、日本を一周しその海軍力の成長を誇示した。 圧勝した自民・安倍政権は「断固たる態度」を貫けるか!?
中国海軍、宗谷海峡越え日本一周1中国海軍、宗谷海峡越え日本一周47月14日、防衛省統合幕僚監部は、ロシア海軍のミサイル巡洋艦など計16隻の艦艇が13日正午ごろから午後7時ごろにかけて、北海道の宗谷海峡をオホーツク海に向けて東方向に通過したのを確認したと発表した。また14日午前5時ごろ、中国海軍のミサイル駆逐艦やフリゲート艦など艦艇5隻が同じ海域を通過したのを確認した。 この海域で中国海軍の艦艇の活動が確認されたのは初めてた。 中ロ両国の海軍は5~12日、ロシア極東ウラジオストク沖で合同演習をしていた。
中国海軍、宗谷海峡越え日本一周3中国海軍の艦船5隻は、中国軍艦として初めて宗谷海峡からオホーツク海に入った後、太平洋に出て、日本列島を一周するように航行していた。 日米両国に対して中国海軍の力をを誇示したものと思われるが、朝日新聞朝刊(7/23)13面「国際」欄にこのような記事が載っていた――

中国海軍、宗谷海峡越え日本一周2中国軍太平洋に展開力 宗谷海峡越え日本一周

● オホーツク海に初進出

日本の自衛隊関係者らが明らかにした。5隻はミサイル駆逐艦2隻とフリゲート艦2隻、補給艦1隻の計5隻。中国の北海艦隊(司令部・山東省青島)に所属するとみられ、補給艦をのぞく4隻は2006年以降に就役した最新鋭艦だ。

この5隻と南海艦隊(司令部・広東省湛江)のミサイル駆逐艦2隻を加えた計7隻は12日まで、ウラジオストク沖で行われた中ロ合同軍事演習「海の共同作戦2013」に参加していた。日本海での初の中ロ軍事演習だった。

演習終了直後の14日早朝に宗谷海峡を通過し、オホーツク海の南部に入った。その後、太平洋に抜け、日本周辺を巡回するように航行した模様だ。

中国メディアは、太平洋北西部で18日に海上補給訓練などを行っている様子を報道。このまま南回りで帰還すれば、「中国海軍による初の日本列島一周が実現する」(国営の中国中央テレビ)と戦略的意義を強調する論調も出始めた。

海洋進出を強化する中国海軍が太平洋で演習する場合、沖縄県の宮古島沖を抜けるルートが大半だった。今回、中国艦船が対馬海峡から日本海を通り、宗谷海峡から太平洋にも抜けられることを示した。自衛隊幹部は「中国海軍が日本をぐるりと回り、外洋に出るだけの力を持ったとみることができる」と分析する。

中国海軍が戦略的に行動範囲を広げていく動きは、ロシア海軍との軍事演習でも明らかだった。ロシア極東の外交筋によると、準備段階で中国側はより日本に近い海域での演習を提案したが、ロシア側は慎重姿勢を崩さずウラジオストク沖になったという。

2日、中国の7隻が対馬海峡を北へ通過した後、中国中央テレビは連日、「最大規模のロシアとの軍事演習」と大々的に報じ、ロシア軍との緊密さをアピールした。尖閣問題で対立する日本を牽制する意図があるとみられる。

また、中国軍艦がオホーツク海に進出したのも初めて。中国は昨年8月、初めて砕氷船が北極海を横断するなど北極をめぐる新航路開発に強い関心を表明。今年5月には、北極海の沿岸国らが開発や環境保護を話し合う「北極評議会」にもオブザーバーとして参加が認められた。ロシア側もこうした中国の「北方進出」に神経をとがらせている模様だ。

尹卓・海軍少将も共産党機関紙・人民日報(電子版)に対して「インド洋北部、フィリピン以東の海域にも足を延ばし、北極海にも注目しなければならない」と主張。特に、北極海は氷が解ければ戦略的に欧州への最短距離になると指摘し、「我が国の科学調査、探査の重要海域だ」とも強調した。

安倍首相は「断固たる態度」を貫けるか!? 参院選大勝利の裏で拡大する中国との”領土戦線”

安倍首相は「断固たる態度」を貫けるか日曜日の参院選は、まさに安倍・自民党の歴史的大勝となった。安倍首相は「勝利宣言」を行い、これで立法府と行政府を抑え込んで、国内では敵なしの状態となった。

だが、安倍首相の”戦い”は、これで終わりではない。”国内試合”で勝利したあとは、中国との”アジア選手権”が控えているからである。

このところ日本では参院選の話題ばかりで、領土問題を巡る中国との”衝突”に目が行かなくなってきているが、摩擦が止んだわけではまったくない。むしろ、”戦線”は拡大していると言える。

■ 東シナ海で進む中国のガス田開発計画

7月14日未明、中国海軍の艦艇5隻が、北海道とサハリンの間の宗谷海峡を、初めて通過した。中国海軍は前日まで、ロシア海軍との大規模な合同軍事演習を行ったばかりである。今回、中国艦艇が通ったルートは日本の領海ではないが、北海道近海には違いない。今後の中国海軍の東アジア展開を占う意味で、大変気になる動きである。

続いて17日には、中国が現在、東シナ海で新たなガス田計画「黄岩2期」「平北1期」「平北2期」を進めていると、ロイター通信が伝えた。計7つの計画のうち、「黄岩2期」の二つのガス田は、日中中間線付近だという。

日中中間線は、日本が沖縄諸島と中国大陸の中間に引いたもので、排他的経済水域の境界線であると主張しているが、中国は沖縄トラフまでを自国の排他的経済水域であるとして、日中中間線を認めていない。

この新たなガス田問題は、7月始め頃から明らかになったが、ようやくその全貌が分かってきた。中国は、いつまで経っても尖閣問題で日本が譲歩して来ないため、「切り札」の一つを切ったものと見られる。

これに対して菅官房長官は、18日午前の記者会見で、「現在、政府として調査中であり、仮に一方的に開発を進めるということであれば認められない」として、中国への反発を露わにした。そこである日本政府の専門家に確認を取ると、次のように答えた。

「そもそも東シナ海にそれほどのガス田は眠っていません。それほど大きなガス田があるなら、あれだけエネルギーに貪欲な中国は、とっくに掘りまくっているに決まっています(笑)」

安倍首相も、17日と18日に急遽、沖縄入りし、17日には「選挙応援」の名のもとに、尖閣諸島に近い石垣島と宮古島の海上警備現場を視察。「尖閣は歴史的にも国際法的にも日本固有の領土で、領土問題はない。われわれは一歩たりとも譲歩する考えはない!」と力説したのだった。

これに対して中国は、18日の外交部定例会見で、「釣魚島は中国固有の領土であり、徹底して守り抜く」と改めて語った。

北京2大紙の一角である『京華時報』も、同日付で、「日本列島は新たな戦争の悪夢に突入した」と題する物騒な記事を載せた。

同紙報道によれば、「安倍首相は1972年の沖縄復帰以後、石垣島と宮古島を両方訪れた初の首相であり、戦後最も好戦的な首相」だという。そして「両島は釣魚島から180㎞しか離れておらず、今回の安倍首相の沖縄パフォーマンスは、戦争動員の準備だと思われても不思議ではない」と一刀両断している。最後には、「沖縄戦で市民の4人に一人が戦死した沖縄人は、”危険な政客”安倍首相の”悪夢の催眠術”にかかってはならない」と警告したのだった。

同日の中国国営新華社通信も、「安倍の”登島”と再度、釣魚島を語った意図はどこにあるのか?」と題する長文の記事を出した。そこでは3人の日本専門家たちがコメントを寄せ、「安倍首相の意図=参院選のパフォーマンス」と分析しながらも、「こうした行為が、中国のみならずアジア諸国の不安を煽っている」と批判した。

■ スカボロー礁の領有権を争うフィリピンと中国

だが、いま中国と一触即発という意味では、実は日本よりもフィリピンの方がよほど激しい。

7月2日にブルネイで行われたARF(アセアン地域フォーラム)では、フィリピンのデルロサリオ外相が、いわば中国・フィリピン間の尖閣のような存在である南シナ海のスカボロー礁(中国名:黄岩島)の帰属問題について、「ハーグの仲裁裁判所で決着をつけるべきだ」として、中国の王毅外相を非難した。これに日本から参加した岸田文雄外相も同調する格好となり、にわかに日本&フィリピンvs中国の大論戦となったのだった。

この新たなガス田問題は、7月始め頃から明らかになったが、ようやくその全貌が分かってきた。中国は、いつまで経っても尖閣問題で日本が譲歩して来ないため、「切り札」の一つを切ったものと見られる。

これに対して菅官房長官は、18日午前の記者会見で、「現在、政府として調査中であり、仮に一方的に開発を進めるということであれば認められない」として、中国への反発を露わにした。そこである日本政府の専門家に確認を取ると、次のように答えた。

「そもそも東シナ海にそれほどのガス田は眠っていません。それほど大きなガス田があるなら、あれだけエネルギーに貪欲な中国は、とっくに掘りまくっているに決まっています(笑)」

安倍首相も、17日と18日に急遽、沖縄入りし、17日には「選挙応援」の名のもとに、尖閣諸島に近い石垣島と宮古島の海上警備現場を視察。「尖閣は歴史的にも国際法的にも日本固有の領土で、領土問題はない。われわれは一歩たりとも譲歩する考えはない!」と力説したのだった。

これに対して中国は、18日の外交部定例会見で、「釣魚島は中国固有の領土であり、徹底して守り抜く」と改めて語った。

北京2大紙の一角である『京華時報』も、同日付で、「日本列島は新たな戦争の悪夢に突入した」と題する物騒な記事を載せた。

同紙報道によれば、「安倍首相は1972年の沖縄復帰以後、石垣島と宮古島を両方訪れた初の首相であり、戦後最も好戦的な首相」だという。そして「両島は釣魚島から180㎞しか離れておらず、今回の安倍首相の沖縄パフォーマンスは、戦争動員の準備だと思われても不思議ではない」と一刀両断している。最後には、「沖縄戦で市民の4人に一人が戦死した沖縄人は、”危険な政客”安倍首相の”悪夢の催眠術”にかかってはならない」と警告したのだった。

同日の中国国営新華社通信も、「安倍の”登島”と再度、釣魚島を語った意図はどこにあるのか?」と題する長文の記事を出した。そこでは3人の日本専門家たちがコメントを寄せ、「安倍首相の意図=参院選のパフォーマンス」と分析しながらも、「こうした行為が、中国のみならずアジア諸国の不安を煽っている」と批判した。
スカボロー礁の領有権を争うフィリピンと中国

だが、いま中国と一触即発という意味では、実は日本よりもフィリピンの方がよほど激しい。

7月2日にブルネイで行われたARF(アセアン地域フォーラム)では、フィリピンのデルロサリオ外相が、いわば中国・フィリピン間の尖閣のような存在である南シナ海のスカボロー礁(中国名:黄岩島)の帰属問題について、「ハーグの仲裁裁判所で決着をつけるべきだ」として、中国の王毅外相を非難した。これに日本から参加した岸田文雄外相も同調する格好となり、にわかに日本&フィリピンvs中国の大論戦となったのだった。

(現代ビジネス 2013年07月22日 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36494)

風立ちぬ⇒堀越二郎⇒零戦⇒宮崎駿監督「零戦設計者の夢」

「風立ちぬ」興行収入100億円突破更新9/12、記事追加】 <「風立ちぬ」興行収入100億円突破> 今月引退を発表した宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」が、邦画としては5年ぶりに興行収入100億円を突破した。映画を配給する東宝によりますと、ことし7月に公開されてから810万人を超える観客を動員していて、11日までの54日間の興行収入が100億円を突破したという。国内で上映された映画で100億円を突破したのは、邦画では平成20年に公開された宮崎監督の「崖の上のポニョ」以来5年ぶりで、洋画を含めると、平成22年のディズニー映画「トイ・ストーリー3」以来3年ぶりの記録。「風立ちぬ」は公開から8週連続で観客動員数が1位を記録していて、今月6日に宮崎監督本人が引退を発表したことから、さらに観客数が伸びている。東宝では「夏休みが終わった平日でも好調を維持していて、このままいくと今月中にも動員数1000万人突破も見えてきた。ぜひ一人でも多くの人に最後の宮崎作品を見てほしい」と話してる。 (出典: NHKニュース 9月12日 20時15分) http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130912/t10014497641000.html

以下は更新前の投稿記事――

風立ちぬ⇒堀越二郎⇒零戦⇒宮崎駿監督「零戦設計者の夢」> スタジオジブリ・宮崎駿監督の新作「風立ちぬ」が7月20日に劇場公開された。 第二次世界大戦屈指の名戦闘機・零戦、「風立ちぬ」は太平洋戦争前半無敵を誇った日本の零戦の設計者・堀越二郎を主人公にした作品だ。 宮崎駿監督は映画づくりの傍ら、戦争や兵器のリアルな漫画を数多く描き続けてきた。 なぜ、兵器に魅了され、その設計者を描こうとしたのか。 その複雑な胸中を聞いたインタビュー記事が朝日新聞(7月20日、17面「オピニオン」欄)に掲載されていた。 このインタビュー記事「零戦設計者の夢」が非常にいい、個人的には―「機体の構造も大量生産向けではなかった。欧州の航空史家は『こんなややこしい飛行機を1万機以上も作ったことが驚きだ』と書いているぐらいです」―という一節が好きだが…

私にとってはうれしい事だが、アニメーション映画「風立ちぬ」をきっかけに「零戦」とその設計者「堀越二郎の生涯」が若い人たちに注目されている。 ウーン、このインタビュー記事「零戦設計者の夢」、一読をすすめたい。 宮崎駿監督新作アニメーション映画「風立ちぬ」を知らない人もいるかも知れないので、産経の紹介記事『「風立ちぬ」 宮崎駿監督 5年かけ大人のファンタジー』を朝日のインタビュー記事の前にクリップして掲載する――

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☛ 【2013/9/2追加・割り込み情報】 宮崎駿監督がアニメ「風立ちぬ」を最後に引退するという発表が9月1日にあった。引退理由は明らかにされていないが、スタジオジブリの星野康二社長は「『風立ちぬ』の中で創造的な期間は10年しか続かないという意味のせりふがあるが、宮崎さんは『自分の10年はとっくに終わっている』と語っていた」と話している。 詳しくは、当ブログ投稿記事「宮崎駿監督が引退! アニメ「風立ちぬ」が最後の作品に…」(投稿日:2013/09/02)を参照されたい。———————————————————————————————–

「風立ちぬ」宮崎駿監督5年かけ大人のファンタジー1「風立ちぬ」 宮崎駿監督 5年かけ大人のファンタジー
(産経 2013.7.19)

宮崎駿監督(72)の新作アニメーション映画「風立ちぬ」が20日、全国公開される。大正から昭和にかけて活躍した実在の飛行機技師、堀越二郎の生涯と堀辰雄の同名の小説とをより合わせた作品で、激動の時代を生き抜いた人々を美しく、繊細に描いた。宮崎監督は「困難な時代に力を尽くして生きる人々を描きたかった」と語っている。(櫛田寿宏)

主人公の堀越二郎は、避暑地の軽井沢で菜穂子と恋に落ちる。二人は婚約するが菜穂子は当時は不治の病だった結核を患っていた。飛行機の設計に心血を注ぐ日々を過ごす二郎。自分は長く生きられないと悟った菜穂子は、療養所を抜け出して二郎のもとに駆けつける。そして二人は結婚し、残された時間を共有する。

大空を印象的に描くのは過去の宮崎作品と共通するが、これまでの作品にはない大人の恋愛を正面から描いている。イタリア飛行機技師、カプローニとの時空を超えた友情も描かれ、監督の空への尽きない憧れを感じさせる。

宮崎監督の作品は平成20年の「崖の上のポニョ」以来。「5年ぶりではなく、5年かかった。悪戦苦闘してしまったが、アリバイみたいな描き方は一切やらなかった」と説明する。大群衆など、大変な労力をつぎ込んで丁寧に描いている。「飛行機を作っていた連中は体を壊すくらいの思いをしていた。こちらは描いているだけですから、苦労しなければならないんです」

堀越二郎を主人公にしているが、「評伝を作るつもりはなかったので何も調べなかった。二人が暮らした離れは社員旅行で行った先で見た建物がヒントになっている」という。それでも「堀越二郎のご子息が見て納得してくれたので、ほっとした」と話す。

鈴木敏夫プロデューサー(62)は「理想主義を描くのもファンタジーの重要な要素で、あの時代の代表的な日本人を描けたのではないか。実在の人を使ってのファンタジーもあるなと思っている」と自信を見せた。

この作品を宮崎監督の「遺言」といい続けてきた鈴木プロデューサーは、「格好いいかなと思ってそう表現したが、決してこれが最後という意味ではない。でも、次が撮れる保証なんてないんですよ」と語った。

「風立ちぬ」宮崎駿監督5年かけ大人のファンタジー2堀越二郎の声は、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」などで知られる監督の庵野秀明さん(53)が担当した。声優の話があったときは「冗談かと思った」という。作品については「72歳でよく作れるなあと感激した。特にラストが好き。セリフを当初予定しているものから大幅に変えたが、変えて納得できました」と振り返った。

主題歌は松任谷由実さん(59)の「ひこうき雲」が使われている。松任谷さんは「宮崎監督の魂がこもっています。日本人ひとり残らず見てほしい」と話している。

http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/130719/ent13071907500005-n1.htm


では、朝日のインタビュー記事「零戦設計者の夢」のクリップ――

零戦設計者の夢_映画監督・宮崎駿(朝日インタビュー記事2013-7-20)「零戦設計者の夢」 (映画監督・宮崎駿インタビュー記事
(朝日7月20朝刊17面「オピニオン」欄)

映画監督・宮崎駿さんの新作「風立ちぬ」の劇場公開が、20日から始まる。太平洋戦争を戦った日本の戦闘機・零戦の設計者として知られる堀越二郎を主人公とする作品だ。宮崎さんは映画づくりの傍ら、戦争や兵器のリアルな漫画を数多く描き続けてきた。なぜ、兵器に魅了され、その設計者を描こうとしたのか。複雑な胸中を聞いた。

――かつて、米国にある本物の零戦を買おうとしたそうですね。

「飛行機は空中にある時が一番美しい。飛んでいるのを見たい、と思ったんです。それもアメリカ人ではなく、日本人が操縦しているのを。スタジオジブリの横の高圧線の下を飛んで欲しいとか夢見ていたんですが、女房に『バカもいい加減にしなさい』と一喝されて終わりました」

――そこまで思い入れる零戦の魅力とは何でしょうか。

「僕自身を含め、日本のある時期に育った少年たちが、先の戦争に対して持つ複雑なコンプレックスの集合体。そのシンボルが零戦です。日本は愚かな思い上がりで戦争を起こし、東アジア全域に迷惑をかけ、焦土となった。実際の戦いでも、ミッドウェー海戦など作戦能力が低かったとしか思えないような歴史しか持っていない。そんな中で『負けただけじゃなかった』と言える数少ない存在が零戦です。開戦時に322機あった零戦と、歴戦のパイロットたちは、すさまじい力を持っていた」

「零戦を一流機にしたのは、設計した堀越二郎のただならぬセンスです。零戦と同時期、別の設計者が手がけた『隼(はやぶさ)』という戦闘機があった。ほぼ同じ大きさで同じエンジンを積み、徹底的に軽量化した点も同じ。ただし武装は零戦の方が重い。なのに、並んで飛ぶと零戦の方が速く、はるかに遠くまで飛べた。不思議です。言葉では説明できない空気力学の謎を彼はつかんだんです」

「零戦、零戦と騒ぐマニアの大半は、コンプレックスで凝り固まり、何かに誇りを持たないとやっていけない人間です。思考力や技術力を超えた堀越二郎の天才的なひらめきの成果を、愛国心やコンプレックスのはけ口にして欲しくはない。僕は今度の映画で、そういう人々から堀越二郎を取り戻したつもりです」

――戦争を批判する一方で、零戦という兵器に愛着を持つ。矛盾していませんか?

「矛盾の塊です。兵器が好きというのは、幼児性の発露であることが多い。だが、大学の財政学の講義で、戦争経済がどれほど国民経済を破壊するか、という話を教授が余談として滔々(とうとう)と述べられた。これは衝撃でした。僕が集めていた兵器の本や模型は無駄遣いの山だったと思って、全部捨てました」

「それでも、数年たってそういう本に出会うと、ついまた買ってしまう。そしたら自分の見方が全然変わっていた。工業力と資源を持っている国と戦う時、どういうことになるか。それは日本と米英が戦争中にどれだけの数の飛行機をつくったか、比較すれば一目瞭然なんです」

「零戦も戦争の中盤以降は消耗戦に巻き込まれ、優秀なパイロットをみるみる失った。それからは敗戦一方でした。機体の構造も大量生産向けではなかった。欧州の航空史家は『こんなややこしい飛行機を1万機以上も作ったことが驚きだ』と書いているぐらいです」

■     ■

――映画では敗戦後、飛行機の残骸の山を前に立ち尽くす堀越二郎の姿が描かれます。

「彼はずたずたになったと思います。美しい飛行機を作りたい、という夢に向けて力を尽くし、1930年代に、映画に登場する九六式艦上戦闘機と、それに続く零戦を設計しピークに達した。だが、戦争中は技術者不足の中、新型機の開発や零戦の改良に忙殺された。ジブリが『1年に5本新作映画をつくれ。ただし人手は今のまま』と命じられたようなもの。懸命にやったが、ほとんどものにならなかった。でも、『自分が負けたのではない』という自負はあった。『自分にも戦争責任があると言われているようだが、私はないと思う』とはっきり書いています」

――堀越二郎を補佐した技術者の曽根嘉年は、零戦が特攻に使われるのを見て「情けなくて、こんなに大勢の人が死ぬのなら、作らない方が良かった。設計しなければよかった」と思ったそうです。堀越二郎の思いは違うのでしょうか?

「彼もそう感じたかもしれませんが、同時に『それは自分の関わることではない』とも思っていたはずです。無論、堀越二郎も一人の日本国民としての戦争責任は背負っていますが、一人の技術者が歴史全体に責任を持つ必要はない。責任を問うのはくだらない、と思います」

「曽根さんの『作るんじゃなかった』という気持ちは分かりますが、作らなかったら、もっとつまらない人生だったと思います。映画の中でも言いましたが、飛行機は『美しくも呪われた夢』です。作りたかったものを作って、呪われ、傷を負う。でも、後になって曽根さんは『仕方がなかった』と思ったに違いないんです。そうやって、時代の中で精いっぱい生きた方がいい。これが良くてこれが悪いなんて、時代の中では誰も偉そうに言えないんですから」

――お父さんは、軍需工場を経営し零戦の部品を製造していたそうですね。震災や空襲を体験し、ニヒリズム的な考え方を身につけていたと聞いています。

「ニヒリズムというと、クールで斜に構えて、という安っぽいイメージですが、オヤジは違う。『家族が一番大事だ』と思っていただけです。世界が崩壊するような壮絶な経験をしたことで、『この価値観が大事』とか、『人間はかくあらねば』という大言壮語を放棄した。家族や知人。守れる範囲は守ろうとしたが、国家や社会全体にまで責任を持てるはずがない、と考えていた。『損をするな』が口癖でした」

■     ■

――ご自身も、今はそういう考えなのでしょうか。

「半径30メートルか100メートルか。それが自分のできる範囲の限界で、それでいい、と思うしかない。以前は世界のためか人類のためか、何かしなきゃいけない、と思っていたが、ずいぶん変わりました。社会主義運動にも興味がなかったわけではありませんが、甘かった。かつて毛沢東の写真を最初に見た時、なんて嫌な顔だろう、と思いました。周囲が『大きな温かい人だ』と言うから、たまたま写りが悪かったんだ、と思おうとしたけど、その勘を信じればよかった。他にも色々、判断の間違いがありました。実によく間違える人間だと思います」

――映画の舞台となった大正末から昭和の初めにかけては、関東大震災があり、世界恐慌があり、国際間の緊張も高まっていました。

「今とそっくりです。ただ、あの頃の人々は、健康で長生きしよう、などとは考えていなかった。東京はかつて、世界で一番結核患者の多かった街です。若者がどんどん死んでいった。将来の保障は何もないから、生きられる間に力を尽くして生きねば、と思っていた」

「去年から今年にかけて、一緒に仕事をした40、50代の友人が何人か死にました。順番じゃない。本当に死は後ろにあると思うしかない。僕自身、精神的にマイナスになると死ぬのが怖くなる。自分が生産的だと、どうでもよくなるんですけど」

宮崎駿監督の愛車_30年以上前のフランス製――「身近な範囲しか責任は持てない」と言いつつも、映画を通じて多くの人に影響を与えていますね。

「僕は文化事業ではなく仕事として映画を作っている。それがたまたま売れただけ。客が入らなかったら一瞬にしてつぶれる。最近ジブリに入社した人は安定企業と錯覚しているが、ちゃんちゃらおかしいです」

――アニメーションの業界でも人件費の安い海外に仕事を発注することが増え、空洞化が進んでいますが、ジブリは国内で多くの正社員を雇い続けている。なぜですか?

「ちゃんとしたものをつくるためです。社員化のきっかけは二十数年前につくった『魔女の宅急便』です。当時は作品ごとにアニメーターたちと契約し、出来高払いでやっていました。だが、画面の密度を上げると作画ペースがその分落ちて、みんな貧乏になってしまった。出来高制では、労働者は損耗してしまう。社員化すれば経営のために次々と新作を作らねばならず、能率も下がるでしょう。大変になるのは分かっていましたが、映画を作り続けるにはそれしかなかった」

「今度の映画では、3年前に入社した人たちが本当に戦力になりました。泣き出したくなるぐらい複雑な群衆シーンを手を抜かずにやった。自分たちで見ても圧倒されます」

「国内で一定数の社員を抱えているアニメーションの会社は、ジブリ以外では『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督が経営する『カラー』ぐらいでしょう。彼とは30年来のつきあいですが、作品づくりに力を尽くし、次世代の人材を育成しようと、塗炭の苦しみを味わっている。今度の映画では堀越二郎の声を演じてもらいました。庵野は飾らず、時代を精いっぱい生きている。現代で、堀越二郎に一番似ているのは彼だな、と思ったんです」

(聞き手・太田啓之)

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みやざきはやお 41年生まれ。学習院大卒。63年東映動画に入社し、労働運動にも積極的に参加。85年スタジオジブリ設立に参加。「紅の豚」など作品多数。
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南鳥島沖のレアメタル、日本・15年間独占探査へ

<南鳥島の沖合の海底に存在するレアメタル(希少金属)>15年間にわたって日本が独占的に探査を行うことが国際機関である国際海底機構に承認された! 探査鉱区の面積は3,000平方キロメートル。 以下、NHKニュースのクリップと経産省報道発表のクリップ(後段に南鳥島沖レアメタル探査鉱区位置図を掲載)――

南鳥島沖のレアメタル探査へ
(NHK 7月20日12時27分)

南鳥島沖のレアメタル探査へ1経済産業省は南鳥島の沖合の海底に存在する希少金属=レアメタルついて、国際機関から探査の承認が得られたと発表し、今後、15年間にわたって日本が独占的にレアメタルの探査を行うことになりました。

南鳥島沖のレアメタル探査へ2経済産業省によりますと、南鳥島の南東の沖合、およそ600キロメートルの公海には、深さ1000メートルから2000メートルの海底に、コバルトやニッケルといったレアメタルを含む鉱物が多く存在していることがこれまでの調査で分かっているということです。

南鳥島沖のレアメタル探査へ3これについて、経済産業省からの委託を受けたJOGMEC=石油天然ガス・金属鉱物資源機構は、公海で、埋蔵量などの本格的な探査を行うのに必要な手続きを、専門の国際機関である国際海底機構に申請していました。 その結果、19日、あわせて3000平方キロメートルの海域で日本が今後、15年間、探査を行うことが承認されました。

レアメタルはリチウムイオン電池や自動車のエンジンなどに使われ、日本は海外からの輸入に依存しています。

南鳥島沖のレアメタル探査へ4これについて、茂木経済産業大臣は「日本の資源開発の可能性を高めるうえで極めて意義深い。深海の鉱物資源の開発は、世界でも商業化の例がなく、技術開発など克服すべき課題は多いが、将来的な可能性を積極的に追求したい」というコメントを発表しました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130720/t10013173391000.html


経産省・資源エネルギー庁の7月20日の報道発表資料によると――

南鳥島沖の公海域におけるコバルトリッチクラストの探査鉱区が承認されました

経済産業省の委託を受けたJOGMECは、南鳥島の南東沖約600 ㎞の公海域におけるコバルトリッチクラストの探査鉱区(面積3,000平方㎞)について、国連海洋法条約に基づき深海底の鉱物資源を管理する国際海底機構から承認を得ました。今回の承認は、我が国が海外に供給の太宗を依存するコバルト、ニッケル、白金等のレアメタル資源について、今後の我が国による探査活動の実施、将来の資源開発の可能性を高める観点から、極めて意義深いものです。

1.概要
経済産業省は、JOGMEC(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)を通じて、昭和62 年から西太平洋の公海域の深海底で、コバルトリッチクラストの賦存状況調査を実施してきました。

平成24年7月、国際海底機構でコバルトリッチクラスト鉱区の探査規則が採択され、鉱区申請が可能となったことを受け、直ちに南鳥島の南東沖の深海底で探査鉱区(面積3,000平方㎞)の申請を行い、今年2 月の国際海底機構法律・技術委員会の審査を経て今回承認されました。

今後、JOGMEC は、国際海底機構との調整を経て、本年度中を目途に同機構と契約を締結し,同機構から15 年間にわたり当該鉱区を探査する排他的な権利を取得した上で、コバルトリッチクラストの資源量を把握するための本格的な調査や環境保全に配慮した開発技術等の調査研究に取り組む予定です。

(参考1)コバルトリッチクラスト
水深1,000~2,000m の海山の頂部や斜面を厚さ数cm~数10cm でアスファルト状に覆っている、コバルト、ニッケル、白金等のレアメタルを含む鉄・マンガン酸化物です。 (画像クリックで拡大)
南鳥島沖のレアメタル探査へ6(参考2)深海底
国連海洋法条約第1 条に定義され、国の管轄権の及ぶ区域の境界の範囲の外の海底及びその下をいいます。

2.経緯の詳細
公海域の海底である深海底における鉱物資源の探査・開発は、国連海洋法条約及び同条約第11 部の実施協定に基づき、国際海底機構の定める規則に従って、鉱区の申請、活動の実施が求められています。

金属鉱業事業団(現:JOGMEC)は、日本政府が同条約に署名した翌年(昭和62 年)から、コバルトリッチクラストの調査を開始し、将来採択される探査規則に備え、有望海山の選定、賦存状況評価等を行い、鉱区申請の準備を行ってきました。

平成24年7月、国際海底機構が、マンガン団塊(平成12年)、海底熱水鉱床(平成22年)に続いて、コバルトリッチクラストの探査規則を採択したことから、JOGMECは、直ちに探査鉱区の申請書を同機構事務局に提出しました。

その後、JOGMEC が申請した探査鉱区については、平成25 年2 月に行われた同機構の法律・技術委員会の審査を通過し、同委員会からの承認勧告を得て、今回の国際海底機構理事会での正式承認に至りました。なお、我が国 の企業等が、国際海底機構から深海底における排他的探査権を取得すれば、昭和62 年にハワイ南東沖でマンガン団塊鉱区(面積75,000平方㎞)を取得して以来、26年ぶりとなります。

南鳥島沖のレアメタル探査へ7

<南鳥島沖のレアメタル>探査鉱区の位置図

南鳥島沖のレアメタル探査へ8南鳥島沖のレアメタル探査へ9南鳥島沖のレアメタル探査へ10(出典: 経産省・エネルギー庁7月20日報道発表「「南鳥島沖の公海域におけるコバルトリッチクラストの探査鉱区が承認されました」 http://www.meti.go.jp/press/2013/07/20130720001/20130720001.pdf

米デトロイト市が財政破綻、負債1兆8千億円 ⇒ 市は崩壊した、次はどこか?

アメリカの自動車産業を象徴する大都市として知られる中西部のデトロイト市が、18日、慢性的な財政難で資金繰りに行き詰まり、連邦破産法9条の適用を申請した。 負債の規模は日本円にして1兆8000億円を超え、アメリカの自治体の財政破綻としては史上最大。デトロイトは、アメリカ最大手の自動車メーカー、GM=ゼネラル・モーターズが本社を構えるなど、アメリカの自動車産業を象徴する大都市として知られている。

しかし、地元の経済を支えてきた自動車産業の衰退が長期化し、2009年にはGMが経営破綻に追い込まれたこともあって人口の減少が続き、1950年のピーク時には180万人を超えていた人口は現在、70万人以下に落ち込んだ。このため税収の減少に歯止めがかからず、慢性的な財政難に陥っていて、18日、デトロイト市当局はミシガン州の裁判所に連邦破産法9条の適用を申請した。

米デトロイト市・財政破綻1負債総額は180億ドル(日本円で1兆8000億円)を超え、アメリカの自治体の財政破綻としては史上最大だ。 裁判所がデトロイト市の申請を認めた場合、裁判所の管理下で再建計画が作られ、債権者との調整など負債の削減に向けた手続きが進められることになり、行政サービスに影響が出ることも懸念されている。 デトロイト市から財政支援の要請を受けていたミシガン州のスナイダー知事は「財政に持続可能性はなく治安の悪化にも歯止めがかからない現状を踏まえると、デトロイト市は崩壊していると言える。」と語っている。

アメリカではこれまでに600以上の自治体が連邦破産法9条の適用を申請し、財政破綻している。 次はどこか….  以下、NHKニュース、日経記事、ロイターの記事をクリップ掲載――

米デトロイト財政破綻 「市は崩壊」
(NHK 7月19日 12時0分)

アメリカの自動車産業を象徴する大都市、中西部のデトロイト市が資金繰りに行き詰まり、18日、アメリカの自治体としては史上最大規模の財政破綻に陥りました。 景気の回復と自動車産業の復活が鮮明となるなかで起きた、かつて繁栄した大都市の破綻はアメリカ社会に大きな衝撃を与えています。

米デトロイト市・財政破綻2アメリカ中西部に位置するデトロイトは、アメリカ最大手の自動車メーカーGM=ゼネラル・モーターズが本社を構えるなど、アメリカの自動車産業を象徴する大都市として知られています。 しかし、地元の経済を支えてきた自動車産業が長期にわたって衰退し、治安も悪化したことから人口の流出が続き、デトロイト市は税収が大きく落ち込んで慢性的な財政難に陥っていました。
米デトロイト市・財政破綻3米デトロイト市・財政破綻4こうした状況を受けてデトロイト市当局は18日、自力での財政再建を断念して、裁判所に連邦破産法9条の適用を申請しました。 負債総額は180億ドル(日本円にして1兆8000億円)を超え、アメリカの自治体の財政破綻としては史上最大となります。

米デトロイト市・財政破綻5デトロイト市から財政支援の要請を受けていたミシガン州のスナイダー知事は、「財政に持続可能性はなく治安の悪化にも歯止めがかからない現状を踏まえると、デトロイト市は崩壊していると言える。困難でつらい決断だが再生のためにはこの選択肢しかなかった」と述べました。

デトロイト市は今後、裁判所の管理下での再建を目指すことになりますが、金融機関からの借り入れや退職した市の職員の医療や年金に充てる費用などの削減について調整を進めるものとみられます。 景気の回復と自動車産業の復活が鮮明になるなかで起きた大都市の財政破綻は、アメリカ社会に大きな衝撃を与えています。

■ GM「事業や業績への影響なし」

米デトロイト市・財政破綻6デトロイト市の財政破綻について、デトロイトに本社を構えるアメリカ最大手の自動車メーカー、GM=ゼネラル・モーターズは、「日々の事業や業績への影響は全くないと考えている。こうした日が来ることを誰も望んでいなかったが、この日がデトロイト市の再生に向けた新たな出発になると信じている。デトロイト市の再生には犠牲が伴うことをすべての当事者に理解してほしい。自動車産業が堅調であることは再生につながると考えており、GMは、これに貢献している」という声明を出しました。

■ ホワイトハウス「大統領は事態を注視」

米デトロイト市・財政破綻7デトロイト市が慢性的な財政難で資金繰りに行き詰まり、連邦破産法9条の適用を裁判所に申請したことについてホワイトハウスは18日、「オバマ大統領は、この事態を注視している。われわれはデトロイト市が再建し、アメリカの大都市の1つとしての地位を維持できるよう協力していく」とする声明を発表しました。

■ 過去最大の財政破綻

アメリカではこれまでに600以上の自治体が連邦破産法9条の適用を申請し、財政破綻しています。 このうちおととし11月には南部アラバマ州にある人口70万人のジェファーソン郡が、下水道処理施設の改修工事費が大幅に膨らみ、日本円で4100億円余りの負債を抱えて財政破綻しました。 また去年6月、西部カリフォルニア州にある人口30万人のストックトン市が、リーマンショックのあと、住宅市場の低迷などで税収が大幅に減ったため、日本円でおよそ550億円の負債を抱え財政破綻しました。 今回のデトロイト市の破綻は、負債総額でこれらの財政破綻を大幅に上回り、過去最大となっています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130719/k10013145751000.html

米デトロイト市財政破綻、車海外生産で税収増えず
(日経 2013/7/19 10:53)

世界的な自動車の街として知られる米ミシガン州デトロイト市が18日、米連邦破産法第9条を裁判所に申請し、財政破綻した。負債総額は180億ドル(約1兆8千億円)超で、米自治体の破綻としては過去最大。市内に本社を置く米ゼネラル・モーターズ(GM)は復活したが、生産の海外移転などにより大量の人口流出と雇用縮小は止まらず税収は落ち込んでいた。

米自治体の破産規模では、2011年に破綻したアラバマ州ジェファーソン郡の総額40億ドル強を大幅に上回った。

ミシガン州のリック・スナイダー知事は18日、デトロイト市の破産申請を認可し「負債の規模は持続不可能な水準だ」とする声明を出した。スナイダー知事は同市の歳入のうち38%が負債の支払いや、「レガシーコスト」と呼ばれる年金、医療費負担などに費やされていると説明。対策を講じない場合、その比率は17年までに65%へ高まると指摘した。

スナイダー知事は3月、デトロイト市の財政悪化に伴い財政非常事態を宣言した。企業再生で実績がある弁護士のケビン・オーア氏を緊急財務管理者に任命。破綻回避に向けて債権者と交渉を続けてきたが、6月に一部債務の返済が不履行となった。

今後は裁判所の管理下で、債務カットなどを通じて再建を目指す。スナイダー知事は警察や消防、ゴミ収集、街灯を例に挙げ、行政サービスへの投資は続ける意向を示した。だが、すでに市民向けのサービスは一部を圧縮している。これから策定する再建案に、市職員の削減や「レガシーコスト」の一部カットなどを盛り込む可能性もある。

デトロイトにはGMのほか、米フォード・モーター、米クライスラーも近郊に本社を置く。GMは09年の経営破綻から急ピッチで復活。クライスラーもデトロイト市内の工場で増産投資を計画するなど、自動車産業の回復が鮮明だ。

だが、経営破綻に伴う税制優遇などもあり、デトロイト市の税収増加への寄与は大きくなかったもよう。同市は1960年代に起こった暴動以降の治安悪化もあり、白人を中心に近隣の自治体への人口流出が続いた。

50年前後の人口は200万人近かったが、近年は約70万人にまで縮小。自動車工場で働く中流階級も多くが郊外に居を構えており、近隣自治体と同市の税収格差が顕著になっていた。  【ニューヨーク=杉本貴司】

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1900Z_Z10C13A7MM0000/

米デトロイト市が財政破綻:識者はこうみる
(日経 2013年07月19日 08:11)

[ニューヨーク 18日 ロイター] – 米ミシガン州のデトロイト市は18日、連邦破産法9条の適用を申請した。米地方自治体の財政破綻としては過去最大規模となる。

市場関係者のコメントは以下の通り。

他都市の先例に、さらなる破綻も

<BMOプライベート・バンク(シカゴ)の最高投資責任者、ジャック・アルビン氏>

大きなサプライズではないが、問題は今後の展開だ。他の自治体の先例となる可能性がある。シカゴやカリフォルニア州の一部都市などについて懸念を抱いている関係者にとっては、デトロイトの破綻をきっかけに、州が自治体への支援を取り下げる傾向が加速する可能性があり、デトロイトほどの規模ではないにせよ、さらなる破綻申請が出る可能性があるということだ。

地方債市場は不動産市場のような面がある。多数の種類が存在し、それぞれかなり異なることから、個人的に地方債市場全体に対する見方は悪化していない。

多種類の債券処理という点で重要例

<ウエスタン・アセットのポートフォリオ・マネジャー、ロバート・アモデオ氏>

きっと単独ケースであることを願いたいだろう。市場にとっては予想外なことではないはず。この状況が織り込み済みだと思いたいだろうが、明日の動きを見極める。

異なる種類の債券、担保と無担保、年金関連の支払いなどをどう処理していくのかという意味で重要なケースだ。極めて複雑な状況で、地方債の投資家に注視されることになる。

債券利回り急上昇にはつながらず

<HJ SIMSのクレジット分析ディレクター、リチャード・ラーキン氏>

デトロイトの破綻は2011年1月から予想していたため、驚きはないが、問題解決に向けた取り組みへのミシガン州の関与がなかったことには驚いている。

デトロイトが困難に陥ったことはサプライズではない。大きなサプライズはミシガン州が支援に乗り出さないことだ。そう考えるのは私だけではないだろう。ミシガン州はこれまで、困難に陥った自治体の支援で高い評価を得ていたが、今回は手を差し伸べることを望んでいないようだ。投資家はこれを記憶にとどめるだろう。

しかし、これによって市場に衝撃が走り、債券利回りが急上昇するかというと、そうは思わない。なぜなら大方の人が予想していたためで、(破綻は)すでに市場に織り込まれている。ただ、私が間違っている場合もあるかもしれない。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE96H09F20130718?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0