中国海軍、宗谷海峡越え日本一周し実力誇示…日本の参院選の隙を突いて中国海軍は日本を一周しその海軍力の成長を誇示した。圧勝した自民・安倍政権は「断固たる態度」を貫けるか!?

日本の参院選の隙を突いて中国海軍はオホーツク海・宗谷海峡を通過し太平洋に展開、日本を一周しその海軍力の成長を誇示した。 圧勝した自民・安倍政権は「断固たる態度」を貫けるか!?
中国海軍、宗谷海峡越え日本一周1中国海軍、宗谷海峡越え日本一周47月14日、防衛省統合幕僚監部は、ロシア海軍のミサイル巡洋艦など計16隻の艦艇が13日正午ごろから午後7時ごろにかけて、北海道の宗谷海峡をオホーツク海に向けて東方向に通過したのを確認したと発表した。また14日午前5時ごろ、中国海軍のミサイル駆逐艦やフリゲート艦など艦艇5隻が同じ海域を通過したのを確認した。 この海域で中国海軍の艦艇の活動が確認されたのは初めてた。 中ロ両国の海軍は5~12日、ロシア極東ウラジオストク沖で合同演習をしていた。
中国海軍、宗谷海峡越え日本一周3中国海軍の艦船5隻は、中国軍艦として初めて宗谷海峡からオホーツク海に入った後、太平洋に出て、日本列島を一周するように航行していた。 日米両国に対して中国海軍の力をを誇示したものと思われるが、朝日新聞朝刊(7/23)13面「国際」欄にこのような記事が載っていた――

中国海軍、宗谷海峡越え日本一周2中国軍太平洋に展開力 宗谷海峡越え日本一周

● オホーツク海に初進出

日本の自衛隊関係者らが明らかにした。5隻はミサイル駆逐艦2隻とフリゲート艦2隻、補給艦1隻の計5隻。中国の北海艦隊(司令部・山東省青島)に所属するとみられ、補給艦をのぞく4隻は2006年以降に就役した最新鋭艦だ。

この5隻と南海艦隊(司令部・広東省湛江)のミサイル駆逐艦2隻を加えた計7隻は12日まで、ウラジオストク沖で行われた中ロ合同軍事演習「海の共同作戦2013」に参加していた。日本海での初の中ロ軍事演習だった。

演習終了直後の14日早朝に宗谷海峡を通過し、オホーツク海の南部に入った。その後、太平洋に抜け、日本周辺を巡回するように航行した模様だ。

中国メディアは、太平洋北西部で18日に海上補給訓練などを行っている様子を報道。このまま南回りで帰還すれば、「中国海軍による初の日本列島一周が実現する」(国営の中国中央テレビ)と戦略的意義を強調する論調も出始めた。

海洋進出を強化する中国海軍が太平洋で演習する場合、沖縄県の宮古島沖を抜けるルートが大半だった。今回、中国艦船が対馬海峡から日本海を通り、宗谷海峡から太平洋にも抜けられることを示した。自衛隊幹部は「中国海軍が日本をぐるりと回り、外洋に出るだけの力を持ったとみることができる」と分析する。

中国海軍が戦略的に行動範囲を広げていく動きは、ロシア海軍との軍事演習でも明らかだった。ロシア極東の外交筋によると、準備段階で中国側はより日本に近い海域での演習を提案したが、ロシア側は慎重姿勢を崩さずウラジオストク沖になったという。

2日、中国の7隻が対馬海峡を北へ通過した後、中国中央テレビは連日、「最大規模のロシアとの軍事演習」と大々的に報じ、ロシア軍との緊密さをアピールした。尖閣問題で対立する日本を牽制する意図があるとみられる。

また、中国軍艦がオホーツク海に進出したのも初めて。中国は昨年8月、初めて砕氷船が北極海を横断するなど北極をめぐる新航路開発に強い関心を表明。今年5月には、北極海の沿岸国らが開発や環境保護を話し合う「北極評議会」にもオブザーバーとして参加が認められた。ロシア側もこうした中国の「北方進出」に神経をとがらせている模様だ。

尹卓・海軍少将も共産党機関紙・人民日報(電子版)に対して「インド洋北部、フィリピン以東の海域にも足を延ばし、北極海にも注目しなければならない」と主張。特に、北極海は氷が解ければ戦略的に欧州への最短距離になると指摘し、「我が国の科学調査、探査の重要海域だ」とも強調した。

安倍首相は「断固たる態度」を貫けるか!? 参院選大勝利の裏で拡大する中国との”領土戦線”

安倍首相は「断固たる態度」を貫けるか日曜日の参院選は、まさに安倍・自民党の歴史的大勝となった。安倍首相は「勝利宣言」を行い、これで立法府と行政府を抑え込んで、国内では敵なしの状態となった。

だが、安倍首相の”戦い”は、これで終わりではない。”国内試合”で勝利したあとは、中国との”アジア選手権”が控えているからである。

このところ日本では参院選の話題ばかりで、領土問題を巡る中国との”衝突”に目が行かなくなってきているが、摩擦が止んだわけではまったくない。むしろ、”戦線”は拡大していると言える。

■ 東シナ海で進む中国のガス田開発計画

7月14日未明、中国海軍の艦艇5隻が、北海道とサハリンの間の宗谷海峡を、初めて通過した。中国海軍は前日まで、ロシア海軍との大規模な合同軍事演習を行ったばかりである。今回、中国艦艇が通ったルートは日本の領海ではないが、北海道近海には違いない。今後の中国海軍の東アジア展開を占う意味で、大変気になる動きである。

続いて17日には、中国が現在、東シナ海で新たなガス田計画「黄岩2期」「平北1期」「平北2期」を進めていると、ロイター通信が伝えた。計7つの計画のうち、「黄岩2期」の二つのガス田は、日中中間線付近だという。

日中中間線は、日本が沖縄諸島と中国大陸の中間に引いたもので、排他的経済水域の境界線であると主張しているが、中国は沖縄トラフまでを自国の排他的経済水域であるとして、日中中間線を認めていない。

この新たなガス田問題は、7月始め頃から明らかになったが、ようやくその全貌が分かってきた。中国は、いつまで経っても尖閣問題で日本が譲歩して来ないため、「切り札」の一つを切ったものと見られる。

これに対して菅官房長官は、18日午前の記者会見で、「現在、政府として調査中であり、仮に一方的に開発を進めるということであれば認められない」として、中国への反発を露わにした。そこである日本政府の専門家に確認を取ると、次のように答えた。

「そもそも東シナ海にそれほどのガス田は眠っていません。それほど大きなガス田があるなら、あれだけエネルギーに貪欲な中国は、とっくに掘りまくっているに決まっています(笑)」

安倍首相も、17日と18日に急遽、沖縄入りし、17日には「選挙応援」の名のもとに、尖閣諸島に近い石垣島と宮古島の海上警備現場を視察。「尖閣は歴史的にも国際法的にも日本固有の領土で、領土問題はない。われわれは一歩たりとも譲歩する考えはない!」と力説したのだった。

これに対して中国は、18日の外交部定例会見で、「釣魚島は中国固有の領土であり、徹底して守り抜く」と改めて語った。

北京2大紙の一角である『京華時報』も、同日付で、「日本列島は新たな戦争の悪夢に突入した」と題する物騒な記事を載せた。

同紙報道によれば、「安倍首相は1972年の沖縄復帰以後、石垣島と宮古島を両方訪れた初の首相であり、戦後最も好戦的な首相」だという。そして「両島は釣魚島から180㎞しか離れておらず、今回の安倍首相の沖縄パフォーマンスは、戦争動員の準備だと思われても不思議ではない」と一刀両断している。最後には、「沖縄戦で市民の4人に一人が戦死した沖縄人は、”危険な政客”安倍首相の”悪夢の催眠術”にかかってはならない」と警告したのだった。

同日の中国国営新華社通信も、「安倍の”登島”と再度、釣魚島を語った意図はどこにあるのか?」と題する長文の記事を出した。そこでは3人の日本専門家たちがコメントを寄せ、「安倍首相の意図=参院選のパフォーマンス」と分析しながらも、「こうした行為が、中国のみならずアジア諸国の不安を煽っている」と批判した。

■ スカボロー礁の領有権を争うフィリピンと中国

だが、いま中国と一触即発という意味では、実は日本よりもフィリピンの方がよほど激しい。

7月2日にブルネイで行われたARF(アセアン地域フォーラム)では、フィリピンのデルロサリオ外相が、いわば中国・フィリピン間の尖閣のような存在である南シナ海のスカボロー礁(中国名:黄岩島)の帰属問題について、「ハーグの仲裁裁判所で決着をつけるべきだ」として、中国の王毅外相を非難した。これに日本から参加した岸田文雄外相も同調する格好となり、にわかに日本&フィリピンvs中国の大論戦となったのだった。

この新たなガス田問題は、7月始め頃から明らかになったが、ようやくその全貌が分かってきた。中国は、いつまで経っても尖閣問題で日本が譲歩して来ないため、「切り札」の一つを切ったものと見られる。

これに対して菅官房長官は、18日午前の記者会見で、「現在、政府として調査中であり、仮に一方的に開発を進めるということであれば認められない」として、中国への反発を露わにした。そこである日本政府の専門家に確認を取ると、次のように答えた。

「そもそも東シナ海にそれほどのガス田は眠っていません。それほど大きなガス田があるなら、あれだけエネルギーに貪欲な中国は、とっくに掘りまくっているに決まっています(笑)」

安倍首相も、17日と18日に急遽、沖縄入りし、17日には「選挙応援」の名のもとに、尖閣諸島に近い石垣島と宮古島の海上警備現場を視察。「尖閣は歴史的にも国際法的にも日本固有の領土で、領土問題はない。われわれは一歩たりとも譲歩する考えはない!」と力説したのだった。

これに対して中国は、18日の外交部定例会見で、「釣魚島は中国固有の領土であり、徹底して守り抜く」と改めて語った。

北京2大紙の一角である『京華時報』も、同日付で、「日本列島は新たな戦争の悪夢に突入した」と題する物騒な記事を載せた。

同紙報道によれば、「安倍首相は1972年の沖縄復帰以後、石垣島と宮古島を両方訪れた初の首相であり、戦後最も好戦的な首相」だという。そして「両島は釣魚島から180㎞しか離れておらず、今回の安倍首相の沖縄パフォーマンスは、戦争動員の準備だと思われても不思議ではない」と一刀両断している。最後には、「沖縄戦で市民の4人に一人が戦死した沖縄人は、”危険な政客”安倍首相の”悪夢の催眠術”にかかってはならない」と警告したのだった。

同日の中国国営新華社通信も、「安倍の”登島”と再度、釣魚島を語った意図はどこにあるのか?」と題する長文の記事を出した。そこでは3人の日本専門家たちがコメントを寄せ、「安倍首相の意図=参院選のパフォーマンス」と分析しながらも、「こうした行為が、中国のみならずアジア諸国の不安を煽っている」と批判した。
スカボロー礁の領有権を争うフィリピンと中国

だが、いま中国と一触即発という意味では、実は日本よりもフィリピンの方がよほど激しい。

7月2日にブルネイで行われたARF(アセアン地域フォーラム)では、フィリピンのデルロサリオ外相が、いわば中国・フィリピン間の尖閣のような存在である南シナ海のスカボロー礁(中国名:黄岩島)の帰属問題について、「ハーグの仲裁裁判所で決着をつけるべきだ」として、中国の王毅外相を非難した。これに日本から参加した岸田文雄外相も同調する格好となり、にわかに日本&フィリピンvs中国の大論戦となったのだった。

(現代ビジネス 2013年07月22日 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36494)