<大飯原発再稼働>その舞台裏―主導する「チーム仙石」、追随する首相・閣僚。 「答えありき」の再稼働…経産省筋書きの茶番劇を見せられているに過ぎない。 

昨日、4月14日、枝野経産相は福井県を訪れ西川知事、大飯原発の地元おおい町の時岡町長と会談し関西電力大飯原発運転再開の理解を求めた。 枝野経産相の福井訪問と時を同じくして、民主党の仙谷由人政調会長は福井市内で民主党所属・県議ら地方議員への説明会を行い、さらに民主党の前原政策調査会長は京都府舞鶴市の講演会で「夏までの運転再開」という考えをしめしている。 原発再稼働推進を民主党は鮮明にしてきたわけだ。

野田首相は原発政策は丸投げだそうで、誰に丸投げしているかというと枝野経産相と仙谷由人氏だが、仙谷由人氏が決定権を握っているようだ。 仙石氏は5人からなる「チーム仙石」を主導して原発再稼働ありきで原発政策を決め、野田首相からなる首相・閣僚4者協議はそれを追認しているだけなのだそうだ。 これをスクープしたのは4月11日の東京新聞で、今日の朝日朝刊も「再稼働の裏側」という特集記事を掲載し同様に「仙石氏主導による答えありきの再稼働」をすっぱ抜いている。

前原氏は始めから原発推進派なのは周知のことだが、仙石由人氏も電力業界と太い繋がりがあり原発推進派なのだ。 チーム仙石の5人のメンバーとは、仙石氏を含めて、枝野経産相、細野豪志原発事故担当相、古川元久国家戦略担当相、斎藤勁官房副長官だそうだ。 脱原発よりと思われていた枝野経産相、「住民の安全」を強調していた細野豪志原発事故担当相…やはり民主党の本質は節操のない「政策無き烏合集団」なのだ。

結局、原発の安全確保とか住民の安全とかは単なるお題目ではないか。 原発立地県に住む一人として民主党政権に対する不信は募るばかりだ。 細野豪志原発事故担当相の政治スタンスの節操の無さには大いなる怒りを覚える。 全ては、経産省の筋書・シナリオ通りに事が進んでいるということか…

以下、上述の東京新聞の記事と朝日新聞の記事を掲載する。 前座として二、三、クリップ記事を掲載。

[4/18追記。 これも読んで欲しいい、「<福島第1原発・危険な燃料棒> ワイデン米上院議員が藤崎一郎駐米大使にあてた書簡…なぜ日本のメディアは大きく取り上げない、指摘されている潜在的危険性を!」(4/18 ブログ投稿)]

大飯原発運転再開 地元理解求める
(NHK 4月14日 19時17分)

枝野経済産業大臣は14日、福井県を訪れ、西川知事らと相次いで会談し、野田政権が必要性があると判断した関西電力大飯原子力発電所の運転再開に理解を求めた。 これに対し西川知事は、電力を供給してきた努力に対し、関西地方などからの理解が得られるよう国の対応を求めるとともに、県議会などの意見を聞いたうえで県の判断をまとめたいと述べた……(下のアイコンクリックで記事全文を読める。 「大飯原発 周辺自治体への説明が焦点」(NHK 4月15日 6時42分))

同じ日、民主党の前原政策調査会長は京都府舞鶴市であいさつし、関西電力大飯原子力発電所について、関西経済への影響を踏まえ、夏までに運転を再開する必要があるという考えを示した….. (下のアイコンクリックで記事全文を読める。 「前原氏“夏までに運転再開を”」(NHK 4月14日 22時16分)

同じ日、民主党の仙谷由人政調会長は福井市内で民主党所属・県議ら地方議員へ「大飯原発再稼働」の説明会を開きいた。

仙谷氏表舞台に 地方議員説得「拙速ではない」
(東京新聞 2012年4月15日)

政府が関西電力大飯原発3、4号機の再稼働方針を決めたのを受け、民主党の仙谷由人政調会長代行は十四日、地元の福井県を訪れた。政府・民主党内の再稼働に向けた議論を水面下で主導してきた仙谷氏が地元の説得という難しい局面で表舞台に乗り出してきた。

「拙速と言われるが、政府は判断を避け、逃げ回っているという非難もある。安全基準は原子力安全・保安院が考え、拙速な作られ方はしていない」

仙谷氏は福井市内で開かれた民主党所属の県議ら地方議員の説明会に出席。議員の一人から政府の再稼働方針を「拙速だ」と批判されると、語気を強めてこう反論した。

仙谷氏は政府・民主党で再稼働問題を実質的に議論してきたチームのリーダー。会合では、政府が十三日に大飯原発の安全性や必要性を確認した経緯について、一時間にわたって説明。枝野幸男経済産業相が西川一誠知事らと会談したのに合わせ、仙谷氏は地方議員を説得した。

仙谷氏は「(地球温暖化対策として)二酸化炭素(CO2)削減を目指す脱化石燃料と、脱原発の両立は至難のわざだ。再稼働に向け政治決断せざるを得ない」と理解を求めたが、議員の賛否は真っ二つに分かれた。

説明会後の記者会見で、仙谷氏は全国の他の原発に関し「安全性が確認され、必要性があれば再稼働をお願いする」と強調。政府の再稼働方針を批判する大阪市の橋下徹市長について「全国の原発が止まれば関電管内の電力供給量も落ちる。(工夫次第で電力不足を乗り切れるという)その考え方は臆測に基づく考えだ」と批判した。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012041502000094.html

◇  東京新聞の4月11日のスクープ記事はこうだ。 ◇

「チーム仙谷」再稼働主導 首相・閣僚4者協議 形だけ
(東京新聞【政治】 2012年4月11日 07時10分)

関西電力大飯(おおい)原発の再稼働問題で、野田佳彦首相と関係三閣僚が頻繁に会合を開き、議論している。 だが、再稼働問題は実質的には仙谷由人党政調会長代行が中心となる通称「五人組」が、水面下で議論を仕切っている。 そして首相らの四者の協議は、それを追認するような形だ。まさに政府・与党、さらに財界、霞が関が一体となって「再稼働ありき」を進めようとしている構図が浮かび上がる。(城島建治、関口克己)

野田首相、藤村修官房長官、枝野幸男経済産業相、細野豪志原発事故担当相。この四人の協議が再稼働を決める。

だが四者協議の議論を先導し、事実上政権内をまとめる枠組みが、昨年秋、非公式に出来上がっている。

四者協議のメンバーでもある枝野、細野の両氏と、仙谷氏、古川元久国家戦略担当相、斎藤勁官房副長官の五人組。リーダー格は仙谷氏で「チーム仙谷」とも呼ばれている。

仙谷氏は国家戦略担当相、官房長官、党代表代行などの要職を歴任。枝野氏、古川氏も一員の前原誠司政調会長を支持するグループを束ねている。 昨年八月の党代表選では決選投票で野田氏支持に回り、首相誕生の立役者となった。その政策力と政治的腕力には野田首相も一目置く。

仙谷氏は菅政権で官房長官、副長官としてエネルギー政策を担当し、官邸を去った後も仕切り役を続ける。野党時代から電力会社とのつながりがあり、霞が関や党内ににらみが利く仙谷氏が頼られ続けている格好だ。

野田首相と藤村氏は昨年末以来、消費税増税問題に忙殺されてきた。そのこともあり再稼働問題は長い間、五人に任されてきた。

五人の議論は人目につきにくいホテルなどが選ばれる。東京電力をどう再建するか。 電力会社の地域独占体制をどう破るか。そして再稼働問題。政府の新成長戦略の旗振り役を担ってきた仙谷氏は、電力不足は経済成長の阻害要因になると考えている。早い再稼働を前提に議論を進めてきた。 そして、一連の議論は党内でも、知る人は少数にとどまる。

五人が出す方向性を正式に認める形の四者協議も再稼働を前提として生まれた。

昨年七月。九州電力玄海原発2、3号機(佐賀県玄海町)の再稼働が政治日程に上っていた時だ。

当時の菅直人首相は閣内に根回しなく「新たなルールを作って、国民が納得できる判断が出るよう指示する」と表明。 再稼働を考えていた他の閣僚と衝突した。当時の菅氏は、脱原発を進めて延命を図る野心もあり、衆院解散も頭をよぎっていた。

この時は当時官房長官だった枝野氏が、再稼働の決定は、首相だけでなく官房長官、経産相、原発相を含めた四人で決定することを提案。菅首相にのませた。つまり四者協議は脱原発に走る菅氏を止めるためにできた。再稼働のツールだった。

四者の協議は四月三日の初会合後、九日までに計四回、慌ただしく回数をこなしているが、各回の所要時間は平均約一時間。 首相が枝野氏に求めた新しい安全基準も、関西電力に求めた安全対策の工程表も、指示を待っていたかのように次の会合までに提出されるなど、出来レースを思わせる展開が続いている。

経団連の米倉弘昌会長ら財界首脳は「安定した電力供給がなければ、生産拠点の海外移転が加速する」などと、政府に圧力をかけ続けている。

そんな経済界の動きを、経産省は歓迎している。監督官庁として稼働する原発をゼロにしたくない。 五月五日、北海道電力泊原発3号機が停止するまでに大飯原発が再稼働しなければ全国で五十四基ある原発は一基も動かなくなり「原発なしでも大丈夫」という機運が高まる。

その事態を避けたいという利害では財界と一致する。

経産省だけでなく財務省も後押ししている面がある。総合特別事業計画で、政府は今夏に一兆円規模の公的資金を投入する方針だが、再稼働しなければ、東電は安定経営ができず、さらに税金投入が必要になると想定しているからだ。 財務省の勝栄二郎事務次官も野田首相に直接、再稼働を働きかけている。

オール財界、オール霞が関が、もともと再稼働をめざす政権を後ろから押している。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012041190071035.html (残念ながらこのリンクは4月15日にチェックした時点でリンク切れとなってしまっていた。)

◇  朝日新聞の4月15日特集記事のすっぱ抜きはこうだ。 ◇

原発列島ニッポン
再稼働の裏側(上)
(朝日新聞紙面版2面 2012-4-15)

<再稼働に突き進む>

野田政権が14日、関西電力大飯原発(福井県おおい町)の再稼働を地元に要請した。 東京電力福島第一原発事故から1年あまり。水面下で再稼働への道のりを敷いてきたのは、政権と地元の2人のキーマンだ。

■ 仙石氏が旗振り

14日午後の福井市。 枝野幸男経済産業相が県庁で西川一誠知事と会談しているころ、民主党の仙谷由人政調会長代行が党県連の議員を集め、こう訴えた。

「脱化石燃料と脱原発を一緒にやらなければいけないが、至難の業だ。 現時点では再稼働に向けて政治決断せざるをえない」
議員が批判しても、仙谷氏は「我々は電力なしには成り立たない生活にいる」と一歩も引かなかった。

仙谷氏は閣僚ではないのに、大飯原発の再稼働をめぐる関係閣僚会合に毎回出席している。 政府の肩書はなく「オブザーバー」だ。 13日の朝、同僚議員にこう耳打ちした。

「ごちゃごちゃ言うやつはいるが、今晩決める。 あす枝野を福井にやる」

その予告通り、13日夜の閣僚会合で再稼働は妥当と判断され、枝野氏の福井県訪問日程も決まった。

なぜ仙谷氏なのか――

昨年5月。 当時の菅直人首相が中部電力浜岡原発(静岡県)の停止を決断した直後、官房副長官だった仙谷氏はテレビ番組で早くも「地震確率をみると、日本海側、瀬戸内の原発はまず心配ない。 私どもは原発政策を堅持する」と明言していた。 翌6月、「エネルギー・環境会議」では「再稼働をやらなければ電気が足りなくなるんだ」と力説した。 東京電力をはじめ財界とのパイプを持ち、党内にもにらみが利く仙谷氏は再稼働に向け主導権を握った

菅政権は当時、九州電力玄海原発(佐賀県)の再稼働の判断を迫られていた。 仙谷氏は官房長官だった枝野氏とともに、早期再稼働に消極的な菅氏を説き伏せ、ストレステスト(耐性評価)実施と関係閣僚会合という再稼働に向けた政治判断の枠組みを受け入れさせた。

野田佳彦首相になると、再稼働問題を仙谷、枝野両氏に丸投げする。 細野豪志原発相、官邸との橋渡し役である斎藤勁官房副長官を加えた4氏が水面下で議論を重ね、道筋をつくるようになった。

仙谷氏は東電の経営改革も取り仕切る。 東電の総合特別事業計画は柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を前提としており、再稼働しなければ火力燃料費が収益を圧迫し、国民負担の増加につながりかねない。

「安全対策では比較的優等生」(再稼働慎重派の議員)とされる大飯原発を再稼働しないまま今夏の電力不足を乗り切れば、相崎刈羽原発の再稼働も遠のきかねない。 野田首相が進める消費増税の理解を得るためにも、負担増は避けたいところ。 そのためにも「再稼働は自明の理」(仙谷氏周辺)だった。

かづて人権派弁護士でならした仙谷氏は、14日の記者会見で「弱者の味方ではなかったのか」と問われると、「極めて失礼な話」と反発し、こう続けた。 「私はいまだに弱者の昧方だ。 電力業界の味方ではない。 ミクロでなく、マクロで考えるのが政治家だ」

■ 知事巧みに条件闘争

京都府や滋賀県、大阪市といった周辺自治体が大飯原発の再稼働に反発を強める中、沈黙を守っていた福井県の西川知事は14日の会見で、「最終的には立地の県が判断すべきものだと思う」と強調した。

周辺自治体の反発も影響し、初の関係閣僚会合でョ「政治判断」が先送りになった今月3日。 西川知事はブログで、北陸でも吹き荒れた暴風に触れ、こうつづった。 「南からの強風に翻弄されている」

政権が暫定的な安全基準を決めた6日のブログでは「おぼろ月である」。 安全基準は西川知事が再稼働の条件として求め続けたもので、本来なら「満月」。 だが、安全基準は世論の「拙速」批判を浴びたからだ。

全国最多のは14基の原発を抱える福井県は、財政も経済成長も地場産業化している原発に頼っている。 西川知事には、「脱原発」が進んで県内の基盤が揺らぐことへの懸念があった。

そこで昨年4月19日、海江田万里経産相(当時)に「定期検査中のプラントの再稼働は喫緊の課題だ」と訴えた。 将来的には安全規制の抜本改革の必要性を説く一方、国の責任で暫定的な安全基準をつくることを提案。 だが政権は、提案を踏まえず再稼働に進んだ。 海江田氏は5月9目、電力会社による緊急安全対策を根拠に「運転再開には安全上支障がない」と宣言。 国際原子力機関(IAEA)に報告書を出したことで6月18日には再び安全宣言をしたが、原子力安全・保安院から説明を受けた満田誉副知事は当時、「専門家が審査した形跡がない」と突き放した。

専門家によるお墨付きがなければ、県民の理解も得にくい。 風向きが変わったのは、昨年10月に全国の停止中の原発に先駆け、関電が大飯原発のストレステストを提出してからだ。

保安院は地震や津波、老朽化などで複数の意見聴取会を開き、専門家による福島原発事故の検証も始めた。 昨年11月に大飯原発を訪れた細野原発相は「国はできる限り責任を持って知事の要請に応える必要がある」と強調。 西川知事は12月の県議会で「国は県の要請を受けて意見聴取会を設置し、事故の知見を安全対策に反映する検討をようやく始めた」と答弁した。

県への支援も潤い出す。 悲願の北陸新幹線の県内延伸が昨年末に決定。 おおい町長らが「再稼働の条件」と明言していた原発周辺道路の整備も、422億円の総事業費を国と事業者が全額負担すると確約した。

西川知事は2月23日、県庁に牧野聖修経産副大臣を呼んで伝えた。 「政府の真剣な姿勢と安全確保対策があるなら、地元として協力は惜しまない」。 政権が「再稼働は妥当」と判断する1ヵ月以上前に、早くも前向きな姿勢を伝えていたのだ。

原発列島ニッポン
再稼働の裏側(中)
(朝日新聞紙面版2面 2012-4-16)

<経済界必死の攻勢>

野田政権が、関西電力大飯原発(福井県おおい町)の再稼働に正式なゴーサインを出す1週間前の今月6日。 ある経済人には、政権の決断がいち早く伝えられていた。

「決めました。枝野大臣も同じ考えです」

連絡してきたのは、仙谷由人政調会長代行だった。

この日は、野田佳彦首相や枝野幸男経済産業相ら関係閣僚が原発の再稼働を話し合う3回目の会合があった。 安全対策の暫定基準を決めただけで、再稼働の判断は先送りしていた。

電力需給を見極めるためとして、閣僚会合をその後3回重ね、国民に「熟慮」を演出し続けた ……..

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