クローズアップ現代<あなたの町は守れるか~消防団の危機~>5/16夜7:30、東日本大震災で消防団員254人の犠牲。なぜ消防団員に大きな犠牲が出たのか?その後、地域の消防団はどうなっているのか?

私なんぞが言う立場ではないのは重々承知ではあるが、東日本大震災での消防団員の活躍と犠牲を知った時こう思った――「まだまだ日本には責任感が強く、自己犠牲を当然として行動する日本人がこんなに多くいるのだ」と。 自らが生まれ育った地域が故に、使命感はひとしおだったのだろう。 しかし、多くの犠牲者を出した後、震災1年、日本の少子高齢化は消防団を再生はおろか存続さえも危ぶまれる状況に追いやっている…

クローズアップ現代 No.3198 2012年5月16日(水)放送

あなたの町は守れるか ~消防団の危機~

東日本大震災で犠牲となった消防団員は254人。その多くが最後まで危険地域で避難を呼びかけ、そして地域住民を守るため水門を閉めている最中に大津波に飲み込まれた。一方、プロの消防士の犠牲者は27人。なぜ消防団員にこれほど大きな犠牲が出てしまったのか、そしてその後、地域の消防団はどうなっているのか。今回番組では被災した東北沿岸地域の消防団へのアンケートを実施。現状ルポも交えて、大規模災害時に自分たちの町を守るにはどうしたらいいのか、地域防災の要であった消防団を通して考える。

http://www.nhk.or.jp/gendai/yotei/index.html

消防団が伝える尊い教訓、救助・捜索活動の証言集出版
(河北新報 2012年05月13日)

東日本大震災の被災地で活動した消防団員の証言集「消防団の闘い」が出版された。日本消防協会(東京)が編さんし、必死に救助・捜索活動などに当たった団員の姿が生々しく記録されている。

証言集はA4判、310ページ。消防協会の「記録制作委員会」のメンバーが青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の6県32市町村の消防団員らから当時の活動の様子や課題を聞き取った。団員の声は1人当たり4ページほどを使い詳細に紹介されている。

被災自治体で団員の犠牲者数が最多だった岩手県陸前高田市消防団に所属し、妻も亡くした分団長は、襲い掛かる津波を「戦車と競争しているようなもので勝てるわけがない」と表現した。消防団活動からの撤退基準を設けるよう訴える。

捜索活動にも触れ、「津波警報が続いて3日間は沿岸に近寄れなかった。遺体はあちこちにあったが、1週間は生存者の救助が優先だった」と悔しさをにじませる。

気仙沼市消防団の副団長は、震災直後に起きた市街地火災を東京消防庁の緊急援助隊とともに消火した事例を紹介した。高台に向かう避難道路が狭く車が渋滞したことなど、避難する上での課題も提起した。

南相馬市小高区で津波や原発事故の「多重災害」に遭った団員の証言も盛り込まれた。震災発生から古里への立ち入りが制限されるまでの心の葛藤や、家族が内陸部に避難する中で消防団員としての責任感から市内に残り捜索活動を続けた経過を詳細につづっている。

証言集にはこのほか、昨年11月末にあった政府主催の全国慰霊祭の様子や、殉職した消防団員、消防職員計227人の名簿も記載した。日本消防協会は「被災現場で懸命の活動を続けた消防団員への敬意を込めて取りまとめた。これからの消防団活動を考える上で貴重な教訓であり、私たちはこれを生かさなければいけない」としている。

全国の書店で販売中。2000円(税込み)。被災市町村や消防団には無料で配布した。近代消防社03(3593)1401。

http://www.kahoku.co.jp/news/2012/05/20120513t75008.htm

消防団員減少加速 被災で域外転居背景 岩手、宮城沿岸自治体
(河北新報 2012年05月12日)

東日本大震災で被災した岩手、宮城両県の沿岸部の自治体で、消防団員数の減少が加速していることが、河北新報社の調べで分かった。団員の自宅や職場が被災し、地域外へ移ったことなどが背景にある。新規入団者の確保も難しく、地域での消防団機能の先細りが懸念される。

両県の26市町村の団員は震災直後と比べ計318人(2%)減った=表=。震災後に各市町村が把握した時点と、多くの消防団で人事の入れ替えがあったことし4月1日現在を比べた。

団員が減ったのは19市町村で、6市町村は微増。宮城県女川町は人数を把握していないため対象から除いた。震災で犠牲になった団員254人の大半は、減少数に含まれていない。

減員数が最も大きかったのは岩手県大船渡市の63人(5.9%減)。3月末に81人が一挙に退団した。大船渡消防本部は「震災で引退を先延ばししていた団員が退団し、市外への転居者も増えた。働く場もなく、新規入団者で減少幅を補いきれなかった」と説明する。

岩手県大槌町(9.0%減)や宮城県東松島市(5.2%減)でも減少幅が大きい。両県では震災前の数年間、1%未満の微減で推移しており、震災が退団を加速させたことが浮き彫りになった。

宮城県気仙沼市や岩手県陸前高田市は人事期が4月末以降のため、今回の集計時点で大きな変動はない。しかし気仙沼市は「団に籍があっても市外に出てしまい、連絡が取れない団員もいる」と明かす。

震災前は宮城県内で最多の2293人が所属した石巻市は震災被害が大きく、昨年9月にようやく団員の数を把握した。犠牲者を除いて102人減り、ことし3月末までの半年でさらに25人が団を去った。

石巻市消防団のうち、約220人が所属する牡鹿地区団では昨年10月、被災後初めての消防演習を実施した。演習は、実際に活動できる団員を把握する目安とされる。例年は8割が参加していたが、集まったのは5割程度にとどまった。前牡鹿消防団長で、4月に石巻市消防団長に就任した高橋和俊さん(64)は「多くが町外の仮設住宅に入っている。半分でもいい方だ」と受け止める。

一方で「団員の減少や今後の高台移転に伴い、分団の再編が必要だ。ただ、復興の道筋が付かない段階で着手すれば、地域外に住む団員が退団するきっかけにもなりかねない」と頭を悩ませる。

組織を見直す時期

<消防団の在り方を検討する総務省消防庁のワーキングチームメンバー、後藤一蔵東北福祉大兼任講師(宮城県美里町)の話> 仮設住宅の入居時期や立地という要素に加え、復興の遅れが消防団員の分散につながっている。数字に出ている退団者は実態よりはるかに少ない。全国的に減員傾向にあった消防団だが、震災で拍車がかかり、在り方を見直す時期に来ている。都市部は消防本部の人員・機能の増強、山間部などは消防団と自主防災組織との連携強化といった方向に改めるべきだ。

http://www.kahoku.co.jp/news/2012/05/20120512t73020.htm

女性消防団員、10年で26%増
(中國新聞 2012-5-7)

山口県内の消防団に女性団員が増えている。団員総数は少子高齢化などで1万3千人台に落ち込んでいるが、女性は逆にここ10年間で26%増え、昨年4月現在で387人になった。1980年には県内に4人しかいなかったが活動の場は着実に広がりつつある。

「万一の時に地元に貢献したい」。4月22日、下関市秋根西町の消防訓練センターであった女性団員の研修会で、入団したスポーツインストラクター田上裕佳さん(26)が抱負を述べた。

初めて活動服を身に着け「東日本大震災で人のために働くことを考えた。愛着のある地元のために活動したい」と意気込む。

同市の消防団には大学生や主婦など21~53歳の女性団員53人が所属。初めて女性が入団したのは2002年4月、会社員の冨田真生さん(37)たち7人だった。祖父と父が団員だった冨田さんは「現場への抜け道など地元の強みがある。被災者のケアなども大切な仕事でやりがいがある」という。

県防災危機管理課によると、県内の消防団員は1万3547人(昨年4月現在)。ここ10年で7%約940人減ったが、女性団員は約80人も増えた。消火活動のほか消防機材の点検やイベントでの防火指導などにも活躍の舞台を広げている。

消防庁によると、全国の女性団員数は1万9577人(同)で全体の2・2%。県内の女性団員は2・9%に達しているが、消防庁は女性を10%にすることが目標。同庁防災課は「女性の方が地域に詳しく、人や地域とつながりが強い場合が多い。時間にゆとりのある自営業者の減少や少子高齢化で団員総数が減る中、より女性団員の力が求められる」と話している。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201205070036.html