ブラック「すき家」に深夜1人体制の廃止を提言⇒第三者委員会は、深夜時間帯に1人で勤務する体制を早急に廃止すべきだとする報告書をまとめ会社に手渡した…

牛丼チェーンの「すき家」がアルバイト不足などで店舗の一時休業を余儀なくされたことを受けて、会社側が設けた第三者委員会は、深夜時間帯に1人で勤務する体制を早急に廃止すべきだなどとする報告書をまとめました。

ブラック「すき屋」に深夜1人体制の廃止を提言_画像1牛丼チェーンの「すき家」を全国で展開する「ゼンショーホールディングス」は、アルバイトの人手不足が深刻化するなどして、ことし4月までに、123店舗で一時休業をしたり、124店舗で深夜営業をやめたりする事態となっていました。

ブラック「すき屋」に深夜1人体制の廃止を提言_画像2これを受けて、会社側は、従業員の労働環境の改善を検討する第三者委員会を設置し、31日、委員長の久保利英明弁護士が改善策をまとめた報告書を会社側に手渡しました。

ブラック「すき屋」に深夜1人体制の廃止を提言_久保利 英明弁護士・すき屋第三者委員会委員長_画像1報告書では、慢性的な労働力不足に陥っていて、アルバイトの中には1か月の労働時間が400時間から500時間に上る人がいるなど、過酷な労働環境があり、経営陣にも過重労働に対する意識が足りなかったと指摘しています。

ブラック「すき屋」に深夜1人体制の廃止を提言_久保利 英明弁護士・すき屋第三者委員会委員長_画像2そのうえで、第三者委員会は、会社側に対して、長時間労働を絶対に禁止するルールを策定するとともに、「深夜時間帯に複数が勤務する態勢を確立すべき」として、深夜に1人で勤務するこれまでの態勢を廃止するよう提言しています。 また、経営陣に対しても、「強制的な研修」を行うなどして意識の改革を求めています。

ブラック「すき屋」に深夜1人体制の廃止を提言_久保利 英明弁護士・すき屋第三者委員会委員長_画像3ゼンショーはここ数年、急速に店舗網を拡大し、全国でおよそ2000店舗を出店していますが、今回の提言を受けて、これまでの出店戦略やすべての店舗で24時間営業するという業態の見直しも迫られそうです。

報告書を受けて「ゼンショーホールディングス」の小川賢太郎社長は「一緒に働いているアルバイトやパート、それに社員に労働力不足で過重な負担をかけ、経営者としても遺憾で、本当に反省している。労働時間という観点からの従業員の管理が甘かった」と述べました。

小川賢太郎社長・ゼンショーホールディングス(画像)1_NHKニュース「すき屋に深夜1人体制の廃止を提言」 小川賢太郎社長・ゼンショーホールディングス(画像)2_NHKニュース「すき屋に深夜1人体制の廃止を提言」

NHKニュース 「すき家 深夜1人体制の廃止を提言」(7月31日18時12分)ソース: NHKニュース 「すき家 深夜1人体制の廃止を提言」(7月31日18時12分) http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140731/t10013443121000.html


すき家・第三者委員会の調査報告書_画像

記事にある「すき家」第三者委員会の調査報告書のPDFをこのリンクから閲覧できます――

⇒ http://www.sukiya.jp/news/tyousahoukoku%20A_B.pdf

小川賢太郎

☛ 2012年は40位(資産533億円)、2013年は43位(資産708億円)、2014年は48位(資産546億円)にランキングされている(参照: 小川賢太郎・フォーブス日本の富豪50人|Hashigozakura)。

☛ 1948年7月29日生まれ。 すき家などを展開するゼンショーの創業者で、現会長兼社長。 石川県出身。 東京都立新宿高等学校を経て東京大学に進学するも、全共闘運動に関わり中退。1978年吉野家に入社。吉野家の倒産などをきっかけに独立し、1982年にゼンショーを創業。ランチボックス(弁当店)、すき家などを開業。その後、M&Aで外食チェーンを次々と傘下に収め、同社を急成長させた。ゼンショーの名は『全勝』『善意の商売』『禅の心で商売を行う』に由来するという。 (参照: Wikipedia 「小川賢太郎」)

 【ゼンショー

☛ 株式会社ゼンショー(ZENSHO CO., LTD.)は牛丼を中心とする「すき家」(すきや)等を運営する企業。親会社の株式会社ゼンショーホールディングス(旧・株式会社ゼンショー)により各種外食チェーンを展開している。 2011年3月期連結売上高は日本の外食産業トップ。 現在の法人は2011年5月27日に分割準備会社として設立され、10月の持株会社「ゼンショーホールディングス」発足に伴う吸収分割で、すき家等のゼンショー直営事業を承継し称号を変更した2代目である。 (参照: Wikipedia 「ゼンショー」)

すき家

☛ 株式会社ゼンショーが経営する、日本国内店舗数最多の牛丼チェーン店。 2012年9月時点で、47都道府県・合計1,856店舗[1]を展開している。店舗の看板には屋号とともに、「牛丼」と「カレー」の文字が使われており、牛丼とカレーが主力商品となっている。 1982年7月に開店した弁当店「ランチボックス生麦店」をルーツとして、同年11月に牛丼業態のビルイン[4]型店舗1号店「すき家生麦駅前店」を開店した。「すき家」の名前は「すき焼き」が由来のひとつであり、実際に創業初期の1983年には「すき焼ディナーセット」といったメニューも扱っていたという。 社長の小川賢太郎は牛丼チェーン吉野家に1978年から1982年まで在籍していた[7]が、近年まで「公式にはそのような話はない」と否定してきた。 駅前や繁華街の省スペースに店を構える従来の牛丼店に比べると、車での利用客を想定した郊外の幹線道路沿いなどに立地する郊外型店舗を展開の主軸としている。またカウンター席だけでなく、テーブル席を設けるなど、従来の個人客を中心にしたスタンダードな牛丼店のスタイルに比べ、ファミリーレストランのような家族連れの客を想定した形態になっている。2000年代以降はドライブスルーの設置や、ショッピングセンターのフードコート内への出店に積極的である。 全店舗が直営で、フランチャイズは一切ない。 最大の特徴は、牛丼の上に各種トッピングが可能な点であり、さらにカレーライスや各種丼ものなどが存在するなど、多くのメニューを取り揃えている。 店舗ごとの連絡先は非公開で、レシートに書かれている電話番号は本社お客様相談室のもののみである。従業員募集の求人応募も集中受付センターのみ。 (参照: Wikipedia 「すき家」)

バイトが逃げ出し、営業停止に追い込まれた店舗が急増した5月に日経が掲載した記事をクリップ。 読んでみて下さい――

消える明かり 「すき家」、バイト反乱で営業不能
(日経 2014/5/20)

景気低迷に覆い隠されていた日本経済の弱点が、白日の下にさらされた。労働力の供給が細る中、景気が回復して構造的な人手不足が露呈している。その影響をもろに受けたのが、牛丼チェーンの「すき家」。店舗が相次いで営業時間の短縮や休業に追い込まれた。人手が足りない上に業務量の増加が追い打ちをかけ、アルバイトが逃げ出した。多くの小売りや外食企業に、採用難の問題は野火のように広がる。

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それは異様な光景だった。

4月中旬の午後7時、東京都世田谷区にある牛丼チェーン大手の「すき家」桜新町駅前店。周囲の飲食店やコンビニエンスストアの照明が煌々(こうこう)と夜空を照らす中、この店だけは電気が消え、暗闇の中に沈んでいた。もちろん本来は年中無休・24時間営業の店舗だ。

「本日の営業は終了しました。申し訳ございません」。入り口の自動ドアに目を凝らすと、殴り書きのような貼り紙の文字が浮かび上がった。

消える明かり「すき家」、バイト反乱で営業不能 (日経記事)画像1飲食店が1日で最も繁盛する夕食時で、人通りが多い好立地。牛丼を好みそうなサラリーマンや学生らしき人が次々に通り過ぎる。にもかかわらず、この店舗は営業していない。実は2014年3月以降、全国各地のすき家で、同じような異変が相次いで起きている。

原因は人手不足だ。すき家の店舗には正社員はほとんどおらず、アルバイトが運営を担う。店員を確保できず、約2000の店舗のうち、一時は123店が、閉店や営業時間の短縮に追い込まれた。

「近所のすき家、人手不足で閉店しているよ」。3月頃からツイッター上では店舗の貼り紙の画像とともに消費者のつぶやきが飛び交い始めた。「ほかの店舗が24時間営業を諦めたなら、うちだって止めたい」。ツイッターで情報が拡散するのに従い、営業時間を短縮する店舗がドミノ倒しのように増えた。

なぜ店員が足りなくなったのか。景気回復でアルバイトの採用が難しくなる中、2014年2月に発売した「牛すき鍋定食」が引き金を引いた。店舗ごとに牛肉を煮て、野菜や豆腐などの具材を切り、1人前ずつ小分けし冷蔵庫で保管するなど仕込みに手間がかかる。

トータルの仕込み時間は、牛丼の15分に対し、牛すき鍋は1時間かかるという。「本部からは20分でできると言われたが絶対無理」。東日本のすき家の店舗で働くアルバイト店員の石川康子さん(仮名)はこう断言する。

すき家の売り物は、「吉野家」などの競合と比べて豊富な約30種類ものメニュー。メニューが多いと当然、店員への負荷も高まる。そこに、手間がかかる牛すき鍋が加わった。アルバイトを増やそうと募集しても集まらない。

「もう限界」。鍋メニューの投入で不満が爆発し、すき家を去るアルバイトが相次いだ。「忙しさに耐え切れなくなって辞めていく。私が働き続けるのは、店の仲間に迷惑をかけたくないだけ」。前出の石川さんはこう話す。

集客につながる上、単価が牛丼(並盛で税抜き250円)の2倍以上になるからと、新商品を導入した経営陣。現場の負荷がどれだけ高まるかを十分考えなかったことが、バイトの離反を招いた。

「鍋の乱」。すき家の営業時間の短縮・休業はインターネット上などでこう呼ばれている。

“ワンオペ”では、トイレ休憩もままならない

実は鍋の乱以前にも、すき家の店員が不満を募らせるメニュー改定があった。2014年1月にメニューを拡充した朝定食だ。ご飯やみそ汁のほか3つの小鉢が付く。牛丼と比べて、洗い物が多く業務量が増えた。「何とかやりくりしていたのに、さらに面倒な鍋メニューが増えた」。首都圏のすき家店舗で働く近藤和也さん(仮名)はこう嘆く。

鍋メニューは、吉野家が2013年12月、すき家に先駆けて投入した。鍋は、50代など新しい顧客層の開拓に寄与。客単価も上昇し、吉野家ホールディングスは2014年2月期、前期比16%の営業増益を確保した。各店に、社員1人を含む最低2人の店員を配置する吉野家では、バイトの離反は見られない。

2014年2月に牛すき鍋定食を投入したすき家も、鍋がけん引役となって既存店売上高が30カ月ぶりに前年同月を上回った。しかし、現場の悲鳴を受けて、すき家は準備していた新しい鍋料理の投入を断念。3月いっぱいで鍋メニューの休止に追い込まれた。

消える明かり「すき家」、バイト反乱で営業不能 (日経記事)画像2そもそも、相次ぐメニュー改定の前からすき家のバイトは激務で知られていた。とりわけ過酷なのが、1人で勤務する「ワンオペレーション(ワンオ ペ)」だ。会計から掃除、接客、洗い物、仕込みまでを1人でこなさないといけない。ゼンショーは、売り上げが一定の水準に達しない店舗にワンオペを導入 し、コストを徹底的に抑えて利益を確保してきた。

「厨房や店頭を離れられず、トイレ休憩さえままならない。バイト中、喉は渇くが水分を控えている」(近藤さん)

ワンオペは店舗運営のコストを抑えられる一方で、防犯が手薄になる。これに目を付けた強盗が相次いだため、2011年には社会問題となった。

警察庁の指導を受けたすき家は、防犯設備の増強とともに、採用を強化。人員を増やすことで一時ワンオペの店舗数を2割弱までに減らした。しかし、バイトが相次いで逃げ出した今では、事件発生時と同じ5割程度の店舗がワンオペで運営している。

店員が逃げ出す中、石川さんの忙しさは極限に達している。4月だけで25日間働き、勤務時間は300時間を超えた。勤務表には「0~14」という文字が並ぶ。午前0時から午後2時まで、14時間ぶっ通しで働くことを意味する。

昼夜が逆転しているため帰宅後もなかなか寝付けず、睡眠薬を服用し無理やり、数時間眠る。家事やペットの世話をこなすと出勤時間になり、また夜通し店に立 つ。過酷な勤務で体調が悪化し、3つの病院に通う。勤務時間を減らしたいが、代わりの人はいない。ほかの職を探す時間も気力もない。

消える明かり「すき家」、バイト反乱で営業不能 (日経記事)画像3この忙しさに、「パワーアップ工事」が追い打ちをかけた。同工事は、厨房などを改装し顧客満足度を高めるためとして、全国で実施されている。中に は、6月まで閉める店舗もある。「人が足りないので苦し紛れに『工事中』としている店も多い」。3月までアルバイトとして働いていた白河達彦さん(仮名) はこう証言する。

 白河さんが勤めていた店の近隣にはすき家が6店舗あったが、3店舗はパワーアップ工事中。このため営業中の店舗にお客が集中し、より忙しくなった。「パワーアップしてほしいのは店ではなく人手。でも本部は分かってくれない。だから辞めた」(白河さん)。

すき家のアルバイト店員が集まらないのは時給が安いからではない。むしろ近隣のコンビニエンスストアや飲食店よりも高い場合が多い。

消える明かり「すき家」、バイト反乱で営業不能 (日経記事)画像4冒頭に紹介した桜新町駅から2駅先にある三軒茶屋駅。商店街に並ぶ店は、どこも軒先でアルバイト募集の貼り紙を掲げている。時給は多くの店舗で1000円を超えるが、その中でもすき家は1250円(深夜)と高い部類に入る。都内では時給が1600円(深夜)を超える店舗すらある。だが「時給が高い働き口は、ほかにたくさんある中で、強盗に遭う可能性も否定できないすき家で働く理由はないでしょうね」と前出の石川さんは諦め顔でこう話す。

本社は店員不足の深刻さに気付かず

「まさかこんなことになっているとは…」。3月上旬、すき家の本社では、各地から上がってくる店員不足に関する報告を聞いた経営陣が頭を抱えた。これほど深刻化するまで、本社は正確に状況を把握できなかったのだ。

この反省を踏まえ、すき家は2014年6月に全国7つのエリアに分社化する。現場の情報を迅速に把握する体制を整えると同時に、従来は本社決裁を経ないと決められなかった時給や手当の支給、勤務形態の変更などの権限を、各エリアのトップに移管する。

さらに5月、久保利英明弁護士を委員長とする第三者委員会を設置した。第三者委員会の報告を待って、労働環境の改善にも乗り出す。

現状や今後の対応について、経営トップはどう考えているのか。すき家を運営するゼンショーホールディングスの小川賢太郎社長に再三取材を申し込んだが、「第三者委員会に任せているので、現時点で私が答えることはない」と、応じることはなかった。

「すき家は特殊な事例」。そう受け止める人も少なくないだろう。だが、多くの小売り・外食企業も深刻な人手不足に直面している。パート・アルバイトに無理を強いる経営は、もはや継続することが困難になりつつある。鬱積する非正規の不満が、多くの企業に戦略転換を迫っている。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK14035_U4A510C1000000/