<日本の大陸棚拡大、国連が認定> 国土面積の8割に当たる拡大!

日本政府が海底資源の権益確保をめざす4海域の大陸棚延伸が27日(現地時間26日)、米ニューヨークにある国連・大陸棚限界委員会で認められた。日本が排他的経済水域(EEZ)を設定できる「島」と主張する日本最南端の沖ノ鳥島を基点とした海域も含まれる。▼同委員会は国連海洋法条約に基づいて設置され、地質学や地球物理学などの専門家がメンバー。海底の地形が自然に延びていると認められれば、沿岸国が最大350カイリまで大陸棚の限界を延長できる。延長した分の大陸棚はその国の権利が及ぶ。▼日本は2008年、太平洋の7海域を申請。このうち沖ノ鳥島が基点の2海域について、中国と韓国はEEZを設定できない「岩」だと主張する口上書を同委員会に提出した。今回の審査では島北側の海域は認められたが、南側は結論が先送りされた。(朝日4/28)  http://www.asahi.com/politics/update/0428/TKY201204280012.html

海底の鉱物資源などを採取できる国際法上の日本の大陸棚として、小笠原諸島の東などの太平洋の海域、約31万平方キロメートルが国連の委員会から認められた。 日本の大陸棚の拡大が認められたのは初めてだ

国 連海洋法条約では、原則として海岸線から200海里=およそ370キロまでの海域を、鉱物資源などを採取できる、その国の大陸棚としており、その外側につ いても、海底の地形や堆積岩の厚さなど一定の条件が満たされれば、大陸棚として認められる事になっている。 日本は2008年、それまでの約405 万平方キロに加え、日本の大陸棚として新たに約74万平方キロを認めるよう、国連の大陸棚限界委員会に申請した。 沖ノ鳥島を基点とする「四国海盆海域」と「九州パラオ海嶺南部海域」、と日本最東端の南鳥島の周辺の 計7海域、約74万平方キロだ。 沖の鳥島を基点としたEEZは日本の国土面積を上回り、豊富な漁場だが、沖の鳥の陸地面積は10平方メートルに満たず、コンクリート製護岸などで守っている。

日本の申請に対し中国と韓国は「沖ノ鳥島は島ではなく岩だ」と主張して異議を唱え、「四国海盆海域」と「九州パラオ海嶺南部海域」の2海域を認めないよう口上書を国連・大陸棚限界委員会へ提出した。 今回、国 連は同島南方海域(九州パラオ海嶺南部海域)については判断を先送りし、日本が申請した7海域のうち四国海盆海域を含む4つを認め残りの2海域は却下した。 結局、国連の大陸棚限界委員会は日本最南端の沖ノ鳥島の北方など太平洋の4海域約 31万平方キロメートルを日本の大陸棚として新たに認める勧告を採択した。 31万平方キロメートルとは日本の国土の約8割に当たる面積だ。

国連の委員会が大陸棚の拡張を認めたのは「四国海盆海域」「小笠原海台海域」「南硫黄島海域」「沖大東海嶺南方海域」の4海域の一部。いずれも沿岸から200カイリの排他的経済水域(EEZ)の外にある。 今回、沖ノ鳥島を基点とする「四国海盆海域」を認められた意義は大きい、なぜなら沖ノ鳥島が「岩」ではなく「島」だと国連の委員会から認められたということになるからだ。 国連海洋法条約第76条8で「委員会決定は最終的で拘束力を持つ」とされている。

(注:上図の「海域」表示では小笠原海台海域で今回認められた以外の部分も含まれる表示になっているので注意。 小笠原海台海域で認められた大陸棚は最初の図参照。)

国連海洋法条約は海底の地形・地質が領土と続いていれば、EEZ外でも大陸棚の海底や地下にある資源の探査・開発権を沿岸国に認めている。 今後、政府は条約を批准していない米国などと調整しながら国内手続きを進め、境界を画定。 その後、国連に連絡すれば正式に拡張部分の開発権などの効力が生じる。

国土面積の8割強に当たる海域が新たに認定され、日本はレアメタル(希少金属)や次世代の天然ガス資源であるメタンハイドレートなどの採掘権を主張できる範囲が大幅に広がる。 認定された大陸棚では、レアメタルを多く含む「海底熱水鉱床」や、電子部品に使用されるコバルトを豊富に含む「コバルトリッチクラスト」が発見される可能性が指摘されている。

日本海や東シナ海などについては、ロシアや中国など6カ国・地域とEEZの境界が重なっており、政府は大陸棚の拡大申請対象としていない。

[日本が申請した7海域とはどこなのか、どこにあるのか?]

私の読み方が悪いのかも知れないが、電子版の報道を読んでも日本が申請した7海域全ての名前と場所を見つけられなかった。 そうなると調べないと気が済まない。 その結果こういう事が分かった。 日本が申請した7海域とは茂木海山海域 (Mogi Seamount region)、小笠原海台海域 (Ogasawara Plateau region)、南鳥島海域 (Minami-Tori Shima Island region)、南硫黄島海域 (Minami-Io To Island region)、九州・パラオ海嶺南部海域 (Southern Kyushu-Palau Ridge)、沖大東海嶺南方海域 (Southern Oki-Daito Ridge region)、四国海盆海域 (Shikoku Basin region)。

却下された二つは茂木海山海域南鳥島海域、審査が先送りされたのが九州・パラオ海嶺南部海域 、それ以外は認められたわけだ。 申請した7海域の場所はこうなる(画像クリックで拡大)。

(領海基線、大陸棚の限界、日本の領土に関しては次項の「日本の領海と大陸棚….」参照)

却下された二つのうちの茂木海山海域は拡大地図でもよく分からないぐらい範囲が狭い。南鳥島海域はこうなっている。

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[参考]

首相官邸――総合海洋政策本部会合(第4回)議事次第

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kaiyou/dai4/4gijisidai.html

参考1 「大陸棚の限界に関する委員会」に提出する大陸棚の限界(案)の概要

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kaiyou/dai4/sankou1.pdf

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[日本の領海と大陸棚のお勉強]

今回のこの大陸棚の件に関しては「領海」と「海域」の概念の理解が必要です。 海上保安庁と外務省のサイトを当たって理解の役に立つものを集めてみました。 先ず、日本の領海はこうなっています

(海上保安庁「日本の領海等概念図」より)

国土面積 約38万km2
領海(含:内水) 約43万km2
接続水域 約32万km2
領海(含:内水)+接続水域 約74万km2
排他的経済水域(EEZ) 約405万km2
領海(含:内水)+排他的経済水域(EEZ) 約447万km2

■ 「海域」とは何か? この「各種海域概念図」(外務省)が役に立つようです。

*1 通常の基線は、沿岸国が公認する大縮尺海図に記載されている海岸の低潮線され、その他一定の条件を満たす場合に直線基線、湾の閉鎖線および河口の直線などを用いることが認められている。
*2 領海、接続水域及びEEZの範囲は図中に示された幅を超えない範囲で沿岸国が決定する。
*3 国連海洋法条約7部(公海)の規定はすべて、実践部分に適用される。 また、航行自由をはじめとする一定の事項については、点線部分に適用される。
*4 大陸棚の範囲は基線から原則として200海里までであるが、大陸縁辺部の外縁が領海基線から200海里を超えて伸びている場合には、延長することができる。 ただし、基線から350海里あるいは2500メートル等深線から100海里を超えたはならない。 基線から200海里を超える大陸棚は、国連海洋法条約に基づき設置されている「大陸棚の限界に関する委員会」の行う勧告に基づき設定する。 深海底は、大陸棚の外の海底及びその下である。

(外務省・わかる!国際情勢「海の法秩序と国際海洋法裁判所」、参考)

[用語の解説]

内水

  • 領海の基線の陸地側の水域で、沿岸国の主権が及びます。 但し、直線基線が従来内水とは見なされていなかった水域を内水として取り囲むこととなる場合に、外国船舶は無害通航権を有します。

領海

  • 領海の基線からその外側12海里(約22km)の線までの海域です。 沿岸国の主権は、その領土及び内水に接続する水域で領海に及びます。また、領海の上空並びに領海の海底及びその下にも及びます。 但し、外国船舶は無害通航権を有します。

接続水域

  • 領海の基線からその外側24海里(約44km)の線までの海域(領海を除く)で、沿岸国が、領土・領海の通関上、財政上、出入国管理上(密輸入や密入国)、衛生上(伝染病等)の法令違反の防止及び違反処罰のために必要な規制をすることが認められた水域です。

排他的経済水域 (EEZ = Exclusive Economic Zone)

  • 領海の基線からその外側200海里(約370km)の線までの海域(領海を除く)並びにその海底及びその下です。 なお、排他的経済水域においては、以下の権利が認められています。 1.天然資源の開発等に係る主権的権利   2.人工島、設備、構築物の設置及び利用に係る管轄権  3.海洋の科学的調査に係る管轄権  4.海洋環境の保護及び保全に係る管轄権

公海

  • いずれの国の排他的経済水域、領海若しくは内水又はいずれの群島国の群島水域にも含まれない海洋のすべての部分です。

大陸棚

  • 領海の基線からその外側200海里(約370km)の線までの海域(領海を除く)の海底及びその下です。  なお、大陸棚において、以下の権利が認められています。 1.天然資源の開発等に係る主権的権利   2.人工島、設備、構築物の設置及び利用に係る管轄権     *大陸棚は原則として領海の基線から200海里ですが、地理的条件等によっては海洋法条約の規定に従い延長することが出来ます。

深海底

  •      人類共同の財産であり沿岸国の主権、主権的権利は及びません。

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[参考]
外務省・わかる!国際情勢「海の法秩序と国際海洋法裁判所」

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol61/index.html#mm05

海上保安庁「領海に関する用語」

http://www1.kaiho.mlit.go.jp/JODC/ryokai/zyoho/msk_idx.html

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[関連ニュース記事]

■ 海洋権益の確保へ前進 国連の大陸棚拡張認定で (日経 2012/4/28)

大陸棚の追加認定について、日本政府は「海洋権益の確保に向けた極めて大きく貴重な第一歩」(内閣官房の担当者)と歓迎している。レアメタルなどの海底資源は自動車や電子部品といった製造業にも不可欠。認定により日本独自の海洋開発に弾みがつきそうだ。

日本政府が大陸棚調査に乗り出したのは、約30年前の1983年10月。当時は海上保安庁による単独調査だった。関係者は「時代と政府の危機感が変わってきた。探査エリアは広ければ広い方がいい」と今回の認定の意義を強調している。

実際、追加で認められた大陸棚は「レアメタルが多量に存在する場所」(関係者)との指摘がある。南鳥島海域は新たな大陸棚としては認められなかったが「200カイリ内に十分な資源がある」(別の関係者)という。

課題は開発のスピードだ。次世代の天然ガス資源とされるメタンハイドレートの掘削試験が愛知県渥美半島沖でようやく始まったが、商用化は早くても2020年以降。採掘コストの高さもネックとされる。

中国、韓国との海洋権益争いは激しい。官民の知恵を集め、大陸棚の開拓を急ぐ必要がある。

http://www.nikkei.com/news/category/related-article/g=96958A9C889DE6E2EBE2E6E0E5E2E0EAE2E6E0E2E3E09C9CEAE2E2E2; at=DGXZZO0195570008122009000000

■ メタンハイドレートで資源国に? 近海に豊富、本格利用は遠く (日経 2012/3/4)

将来の天然ガス資源と期待される「メタンハイドレート」を海底から採掘するための予備試験が愛知県渥美半島沖で進んでいる。日本近海の埋蔵量は豊富で、国内の天然ガス需要の10年分以上を賄えるとの試算がある。なぜ近海に大量に眠っているのか。また、日本はこれを活用して資源国になれるのか。


メタンハイドレートは都市ガスの原料になるメタンがカゴ状の水分子に包まれてできている。見た目はシャーベットに似ているが、容易に火がつき、“燃える氷”とも呼ばれる。

独立行政法人・石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の推定では、和歌山―静岡県沖の海底にとりわけ濃度の高い場所があり、資源量は推定5700億立方メートル。ここだけで国内の天然ガス消費量の7年分を賄える計算だ。

なぜこの海域に豊富なのか。メタンハイドレートの基になるメタンがどのように生まれたかは実はよく分かっていない。(1)動植物の遺骸などの有機物をメタン生成菌と呼ばれる微生物が分解した(2)地中深くの熱で有機物が化学反応した――の2説があり、場所によっても違うとみられる。

四国―東海沖に眠る資源では、微生物説が有力になってきた。この海域は海底の巨大な岩板がぶつかって沈み込み、有機物がたまりやすい「貯蔵庫」ともいえる。そこで微生物が長年かけてメタンをつくり、水とくっついて安定的に蓄えられてきたらしい。

海底の微生物を生きたまま採るのは難しいが、同機構のチームはメタン生成菌に特有の有機物を見つけ、菌の痕跡を突き止めた。同機構の佐伯龍男メタンハイドレート開発課長は「海底の地下ににすむ微生物は謎に包まれており、科学の研究テーマとしても注目されている」と話す。

一方、メタンハイドレートの資源としての実力はどうか。経済産業省などは、輸入天然ガス価格の数倍以内で商業生産するのは可能とみている。それには海底まで多くの井戸を掘り、地下の圧力を下げてメタンだけ採る技術がカギを握るが、低コストで採掘できるかはまだ手探りだ。

同機構はエンジニアリング会社などの協力を得て、来年1月にも世界で初めてとなる海底からの産出実験に挑み、2018年度までに商業生産の可能性や経済性を探る。安全で環境への影響が少ない採掘法の開発といった課題もあり、本格利用は早くても10~20年先になりそうだ。