ブラック「ワタミ」と渡辺美樹氏らを提訴⇒過労自殺した娘の両親、懲罰的慰謝料1億5千3百万円の損害賠償を求めて東京地裁に…

居酒屋「和民(ワタミ)」社員過労自殺、遺族が渡辺美樹氏ら提訴> 平成20年4月に、ブラック企業とは知らずに、居酒屋チェーン「ワタミフードサービス」に入社し、2ヶ月後の6月に過労が原因で飛び降り自殺した新入社員・森美菜さん(当時、26歳)。その両親が今日(12月9日)、同社や親会社の「ワタミ」、ワタミ元社長の渡辺美樹参院議員らを相手に「懲罰的慰謝料」を含む約1億5300万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。
ブラック「ワタミ」と渡辺美樹氏らを提訴⇒過労自殺した森美菜さんの両親、懲罰的慰謝料を求めて訴えによると、森さんは平成20年4月に入社し、神奈川県横須賀市の店舗で調理を担当。月約140時間に及ぶ時間外労働の末、手帳に「体が辛いです。誰か助けて下さい」と書き残し、6月に飛び降り自殺した。 神奈川労働者災害補償保険審査官は昨年(平成24年)2月、過労自殺による労災と認定している。 ワタミ側に両親が「懲罰的慰謝料」を求めた背景には、ワタミによる原因調査や遺族対応への不信感がある。

ブラック「ワタミ」と渡辺美樹氏らを提訴⇒過労自殺した森美菜さんの両親、懲罰的慰謝料を求めて_2このブログでも「ブラック企業」問題はたびたび取り上げているが、「ワタミ」は真っ黒ではないか。 反省のかけらも無く参院議員になった創業者・渡辺美樹氏に対して、自殺した森美菜さんの両親は怒り心頭なのだろう。 放っておけば、第二、第三の美菜さんのようなことが起きかねない、というのが両親の心中ではないか…敢えて「懲罰的慰謝料」を前面に出す理由はそこにあると思う。 以下、この件に関するニュース記事のクリップ――

「体が辛いです」過労自殺の女性社員両親 ワタミを提訴 異例の〝懲罰的慰謝料〟
(産経 2013.12.9 18:49)

ブラック「ワタミ」と渡辺美樹氏らを提訴⇒過労自殺した森美菜さんの両親、懲罰的慰謝料を求めて_3居酒屋チェーン「ワタミフードサービス」の新入社員だった森美菜さん=当時(26)=が過労自殺したのは、会社と経営陣が安全配慮義務を怠ったためなどとして、両親が9日、創業者の渡邉美樹参院議員ら会社側に「懲罰的慰謝料」を含む約1億5300万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。

代理人弁護士によると、懲罰的慰謝料の請求は過労死・過労自殺をめぐる民事訴訟では異例。被告は同社と持ち株会社「ワタミ」の法人2社、当時ワタミグループを率いていた渡邉氏ら個人3人としている。

訴えによると、森さんは平成20年4月に入社し、神奈川県横須賀市の店舗で調理を担当。月約140時間に及ぶ時間外労働の末、手帳に「体が辛いです。誰か助けて下さい」と書き残し、6月に飛び降り自殺した。過労自殺として24年2月に労災認定されている。

渡邉氏には、全従業員に「24時間働け」などとげきを飛ばす言動があったとして「労働者の安全や健康に対する配慮がみられない」と指摘。懲罰的慰謝料を求める理由を「全従業員の過重労働でまかなえる程度の慰謝料では、悪質な過労死を防げない」と説明した。

都内で記者会見した父の豪さん(65)は「なぜ娘が亡くなったのかを答えてほしいという一点で提訴した」と話した。

ワタミ広報グループの話 「社員が亡くなったことは大変悲しく、重く受け止めている。ご遺族とは調停で和解の提案をしたが、残念ながら合意に至らなかった。訴状を確認のうえ、誠実に対応していく」

<http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/131209/waf13120919000026-n1.htm&gt;

「ブラック企業の要素全部」「全く反省していない」不信、無念…ワタミ提訴で両親会見
(産経 2013.12.9 19:05)

ブラック「ワタミ」と渡辺美樹氏らを提訴⇒過労自殺した森美菜さんの両親、懲罰的慰謝料を求めて_4「助けて下さい」というSOSを残した森美菜さんの過労自殺は、若者に過酷な労働を強いる「ブラック企業」の問題がさまざまなところで取り上げられる中で、反響を呼んだ。ワタミ側に両親が「懲罰的慰謝料」を求めた背景には、原因調査や、遺族対応への不信感がある。

「ワタミ側には『ブラック企業』の要素が全部あてはまっている気がする」。提訴後の記者会見で父の豪さん(65)はそう語り、母の祐子さん(59)は「全く反省していないから、娘の死と向き合ってくれないのだろう」と無念をにじませた。

生前の森さんは、渡邉美樹氏の著書を課題図書としたリポートや、240ページ以上にのぼる「理念集」を暗記するために休日をつぶした。新卒研修は全員参加が義務付けられていたが、ワタミ側は当初「業務ではなく、自己啓発の時間だった」と説明していた。

また、渡邉氏は平成24年2月の労災認定を受け、短文投稿サイト「ツイッター」に「労務管理ができていないとの認識はない」という趣旨の書き込みをしたほか、参院選への出馬を表明した今年5月には、自身のホームページで「ワタミグループをブラック企業と呼ぶことは、到底受け入れられない」と主張した。

両親は渡邉氏らとの面会を再三求めたが、ワタミ側は無条件での面会を拒否し、損害賠償の金額を確定させるよう逆に民事調停を申し立てた。調停は今年11月に決裂し、提訴にいたったという。両親の目的は真相究明だ。豪さんは「なぜ娘が亡くなったのかを答えてほしいという一点で提訴した」と話した。

<http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/131209/waf13120919150027-n1.htm&gt;

入社2カ月で過労自殺した「ワタミ」の26歳女性社員…手帳に「気持ちが沈む。早く動けない。誰か助けて」
(産経 2013.7.26 07:07)

ブラック「ワタミ」と渡辺美樹氏らを提訴⇒過労自殺した森美菜さんの両親、懲罰的慰謝料を求めて_2「体が痛いです。体が辛いです。気持ちが沈みます。早く動けません。どうか助けて下さい。誰か助けて下さい」

居酒屋チェーン大手「ワタミフードサービス」の新入社員で、平成20年6月に過労自殺した森美菜=当時(26)=がのこした手帳の文面だ。日付は5月15日。美菜は入社後1カ月半でこれを書き、1カ月もたたずに亡くなった。

調理研修がほとんど行われないまま神奈川県横須賀市の店舗に配属され、刺し身などを作る最もハードな「刺場」を任された。開店前の午後3時までに出勤し、平日は午前3時、週末は午前5時の閉店後も働いた。しかも与えられた社宅が店から遠く、始発電車まで待機を余儀なくされた。

ボランティア研修や早朝研修が組み込まれ、休日に心身を休める暇もなかった。調理マニュアルに加えて経営理念集も暗記せねばならず、リポートの提出まで課せられていたという。

手帳に「SOS」を記すころまでの残業は月140時間。そして手を差し伸べる「誰か」は、会社の中にいなかった。父、豪(つよし)(64)は、ワタミが抱える欠点を指摘してこう悔やむ。

 「労働組合があれば、娘は救われたはずだ」

■ 研修なし、勤務14時間超、経営理念集…「労使一体で改善」

厚生労働省の24年の統計では、従業員千人以上の大企業で労組に加入している労働者は45・8%。千人未満の企業になると5・5%と極端に低いが、ワタミはグループ従業員数6157人でありながら、労組が存在しない。

労働者が労組を結成する権利は、憲法で保障されている。が、美菜と同期入社の女性は、豪に宛てた手紙の中で、入社時に会社から「労組を作ってはならない」という趣旨の説明を受けたことを明かした。なぜかという質問に、担当者は「不満があれば、すぐ上に伝えるから」と答えたともいうのだ。

神奈川労災保険審査官はこの手紙を証拠として採用し、昨年2月に美菜の過労自殺を労災認定している。

ワタミグループの広報担当者は、取材に「そのような説明をした事実は確認できない」と回答し、労組がない理由をこう述べた。

 「弊社では労働条件の維持・改善は、労使一体となって検討し決定する方針、風土であり、結果として円滑に実施できている。今後もこの考え方を踏襲する」

■ 分断された職場

美菜の上司に当たる店長は、年下の女性社員だった。社内制度で決められた「カウンセリング」を週1回行い、休日に体力の回復や気分転換ができないと美菜から打ち明けられていたが、労働基準監督署の聴取には「どうして自殺したのか分からない」と答えた。

美菜のパソコンには死の直前、会社に提出したリポートが保存されている。

 「120%の力で、どんなにひどい状況でも無理やりにでも乗り越えろと?」「日々の業務が終わると、皆へとへとである。それとも、へとへとになっているのは、私だけか?」-。疑念を直接、ぶつけていた。

入社前、過労死の心配を口にした母親に、美菜は「大丈夫。変だと思ったら、すぐ辞めるから」と応じたのだという。

労使一体を強調することで、会社は美菜から冷静な判断力を奪ったのではないか。労組が存在すれば、会社との協定によって残業に歯止めがかかっていたのではないか-。豪はそう考えずにはいられない。

 「だれもが追い立てられ、互いを気にかける余裕さえなく、職場が分断されていた。労組は、やはり必要だ」

豪の悲痛な思いを受け止められる労組は、果たして存在するのか。ある労組で書記長を務めていた若者が自らの試行錯誤を語った。

(敬称略)

<http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130726/waf13072607070002-n1.htm&gt;

以下のWikipediaの情報も、ぜひ読んで頂きたいのだが――

☛ Wikipedia 「渡邉美樹」の「ワタミ女性従業員の過労自殺問題」の項

☛ Wikipedia 「ワタミ」の「ワタミ女性従業員の過労自殺」の項

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成長か、死か~ユニクロ 40億人市場への賭け~(NHKスペシャル)⇒未踏の40億人貧困層市場に打って出た、売上高世界一を狙うユニクロ社長・柳井正の野望…

NHKスペシャル「成長か、死か~ユニクロ 40億人市場への賭け~」11・17夜9時> 今年、売り上げ1兆円を超えたユニクロ。 ZARA、H&Mとのし烈な競争に勝つため、未踏の40億人貧困層市場に打って出た。 売上高世界一を狙うユニクロ社長・柳井正の野望…

ユニクロを展開し、今年初めて売り上げ1兆円を超えたファーストリテイリング。 柳井正社長は世界一のアパレル企業を目指し、新たな戦略に打って出た。 その一つが世界で40億人といわれる「貧困層」をターゲットとしたビジネス。 この夏、ライバルに先駆けバングラデシュに出店し、Tシャツ1枚230円という破格の安さで勝負に出た。 2006年にノーベル平和賞を受賞した「グラミン銀行」と手を組んだ出店戦略に密着しつつ、新たな市場を切り開こうと、グローバル市場で苛烈な競争にしのぎを削る日本企業の代表として、「2020年に世界4000店舗、売上高5億円」の目標を掲げるユニクロの姿を追うドキュメント。

柳井氏はバングラデシュで成功すれば、アフリカなど世界中商売できると豪語する。

成長か、死か~ユニクロ 40億人市場への賭け~(NHKスペシャル)01NHKスペシャル 「成長か、死か~ユニクロ 40億人市場への賭け~」
初回放送 2013年11月17日(日)午後9:00~午後9:50(50分)NHK総合
☛再放送 2013年11月21日(木)午前0時40分~1時29分(20日深夜)

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☛ ― 新卒社員の3年内離職率は実に5割にも及ぶユニクロ。 ブラックと呼ばれようが全く意に介さず、「泳げない者は沈め」「成長か死か!」を標榜し、ひたすら利益追求の道を歩むファーストリテイリング代表取締役会長兼社長・柳井正…フォーブス・日本の富豪で2009年、2012年、2013年にトップとなっている。 税金の安いオランダに基金を作り、節税と相続税対策に励む。 柳井一族は富み、社員は疲弊する。 誰のための企業成長か? 今日のNHKスペシャル「成長か、死か~ユニクロ 40億人市場への賭け~」は必見。 NHKは何をどのように放送するのか? 離職率3年で5割、5年で8割超の人材“排出”企業・ユニクロの社長・柳井正の野望をとくと拝見しよう。 ― By Hashigozakura
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成長か、死か~ユニクロ 40億人市場への賭け~(NHKスペシャル)02今年、初めて売上高1兆円を超えたファーストリテイリング。衣料品チェーン「ユニクロ」を展開し、年々売り上げを伸ばしている。 その原動力となっているのが海外での大量出店。年間150店舗という驚異的なペースで出店を続けている。ユニクロがグローバル展開を急ぐ背景には、世界で激化するファストファッション競争がある。日本ではトップのユニクロも、ZARA(スペイン)やH&M(スウェーデン)といったライバルに及ばず現在世界4位。

柳井社長は、同じことをしても追いつけないと新たな戦略に打って出た。

成長か、死か~ユニクロ 40億人市場への賭け~(NHKスペシャル)02その一つが「ベースオブピラミッド(BOP)」と呼ばれる世界最貧国市場への進出。今年7月、ユニクロは競合他社に先駆けてバングラデシュに店をオープンさせ、Tシャツ一枚230円という破格の安さで勝負に出た。最貧国の一つバングラデシュでビジネスを成功させることができれば、アフリカなど世界中どこでも商売ができると語る柳井社長、「2020年に世界4,000店舗、売上高5兆円」という目標を掲げ、世界ナンバーワンを目指す。

番組では、ユニクロのバングラデシュ出店戦略に密着。新たなマーケットを切り開く最前線を追い、グローバル市場での苛烈な競争にしのぎを削る日本企業の姿をドキュメントする。

成長か、死か~ユニクロ 40億人市場への賭け~(NHKスペシャル)03成長か、死か~ユニクロ 40億人市場への賭け~(NHKスペシャル)04成長か、死か~ユニクロ 40億人市場への賭け~(NHKスペシャル)05成長か、死か~ユニクロ 40億人市場への賭け~(NHKスペシャル)06成長か、死か~ユニクロ 40億人市場への賭け~(NHKスペシャル)07世界最貧国バングラデシュにユニクロをオープンし、Tシャツ一枚230円で売る…

成長か、死か~ユニクロ 40億人市場への賭け~(NHKスペシャル)08

ユニクロ関連の記事リンクを掲載しましょう――

  • 「過酷労働」記事、ユニクロが敗訴 東京地裁判決 (日経 2013/10/18 19:05)
    従業員に過酷な労働をさせているとの週刊誌の記事などで名誉を傷つけられたとして、「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングなど2社が、文芸春秋に計2億2千万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁(土田昭彦裁判長)は18日、ユニクロ側の請求を退けた….
  • ユニクロ、世界最大店を上海で開店 日経 2013/9/30 10:13
    カジュアル衣料品店「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは30日、同社として世界最大の旗艦店を中国上海市で開店した。ユニクロ以外の傘下ブランドもそろえた総合型店舗。中国での販売拡大を目指す….

成長か、死か~ユニクロ 40億人市場への賭け~(NHKスペシャル)09

  • ファストリ、バングラデシュで貧困層向け衣料販売…グラミン銀と協力日経 2010/7/13 19:44) カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは13日、バングラデシュで貧困層向けの融資を手掛けるグラミン銀行と協力し、同国で衣料の製造・販売を手掛ける新会社を設立すると発表した。1着平均1ドル(約88円)のTシャツや下着などを貧困層向けに販売する…
  • ユニクロ、バングラデシュに出店 社会貢献型の格安店日経 2013/7/5 20:56) 衣料品「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは5日、バングラデシュの首都ダッカに、社会貢献型の格安衣料品店を2店舗オープンした。「世界の縫製工場」と呼ばれるバングラデシュだが、ユニクロは同国に進出した初の世界的衣料品チェーンとなる。 店名は「グラミンユニクロ」…
  • バングラデシュにユニクロ 社会貢献型2店、7月に日経 2013/6/17 20:32) 「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは7月、バングラデシュに社会貢献型の格安衣料品店を2店開く。世界的な衣料品チェーンが同国に店舗を開くのは初めてという。独自開発した肌触りの良い合繊の衣料品など「高品質の衣料品を品ぞろえする」(同社)としている…
  • ユニクロ、バングラに社会貢献店 200~300円で販売日経 2013/4/26 23:45) 「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは年内にもバングラデシュに格安の衣料品店を開く。社会的な課題をビジネスの手法で解決するソーシャルビジネスの一環。現地工場で縫製した衣料品を200~300円程度で販売する。地元の若者を販売員に雇うなど雇用も創出し、貧困層の生活水準の向上に貢献する。1号店は首都ダッカの繁華街に出店し、将来の多店舗化も検討する。現地のグラミン銀行と2010年に設立した共同出資会社が運営し、店名は「グラミンユニクロ」にする予定。吸汗性に優れた合繊のTシャツやポロシャツ、肌着を扱い、子供服もそろえる。高温多湿のバングラデシュで機能性衣料を格安で販売し、「快適に過ごせる服が気軽に買える楽しみを提供する」(ファストリ)。 ファストリは08年にバングラデシュに進出し、現地の縫製工場で衣料品を生産している。「その国にとって良い企業でなければならない」(柳井正会長兼社長)との狙いから、現地では10年に農村部を対象に衣料品の訪問販売を始めている。

以下はイチオシ(最初のは私の投稿記事ですが….)――

2010年5月15日放送の番組ですが、動画 NHK 追跡!A to Z 「ユニクロは世界で勝てるのか」
Pideoにあるようです ⇒ http://www.pideo.net/video/pandora/5d95a9f3e845e009/
NHK 追跡A to Z_ユニクロは世界で勝てるのか_PideoDiamond Online では「ユニクロは世界で勝てるのか」書き起こし版記事が掲載されています
⇒ 「成長することは、生き残ること。ユニクロ・柳井会長が選んだ「世界進出」という覚悟
――ユニクロは世界で勝てるのか?」 http://diamond.jp/articles/-/8188

大学新卒の離職率⇒3年以内31%、宿泊・飲食業では51%⇒新卒の離職率は若者を使い潰す「ブラック企業」の判断材料

厚生労働省は今日(10月29日)、平成22年(2010年)3月に卒業した高校生、大学生など新規学卒者の3年以内の離職率を公表した。 大学を卒業して就職した若者のうち、3人に1人が3年以内に勤め先を辞めているとデータは示している。 業種別では宿泊や飲食業の離職率が最も高く、2人に1人が辞めていた。

離職率の高い業種の表

離職率の高い業種の表

大卒者の離職率は31%(前年比2.2ポイント増)、短大などが39.9%(同0.6ポイント増)、高卒者39.2%(同3.5ポイント増)、中卒者62.1%(同2.1ポイント減)で、中卒以外で離職率が上昇した。 新卒者の離職率は、若者を使い潰すと批判が出ている「ブラック企業」の判断材料になるとして注目されている。

厚生労働省による離職率は、ハローワークに提出される雇用保険加入届、離職届のデータから分析されている。 平成22年(2010年)3月に卒業した大学生の場合、365,500人が就職し、そのうち一年目までに13.4%(48,945人)、2年目までに23.3%(85,001人)、3年目までに31.0%(113,390人)が離職していると推計される。 (参照: 厚生労働省「新規大学卒業就職者の事業所規模別離職状況」表、下の画像クリックで拡大)

厚生労働省・新規大学卒業就職者の事業所規模別離職状況(表)

厚生労働省・新規大学卒業就職者の事業所規模別離職状況(表)

NHKのニュースの報道はこう伝えている――

大卒若者の離職率 宿泊・飲食業で51%
(NHK 10月29日12時5分)

大卒若者の離職率 宿泊・飲食業で5割(NHK2013-10-29)1大学を卒業して就職後、3年以内に仕事を辞めた人の割合は31%で、業種別では宿泊業や飲食サービス業で51%に上っていることが分かりました。 厚生労働省は「社会に出た若者を育てていくような雇用管理ができていない企業もあるとみられ、改善が必要だ」と話しています。
大卒若者の離職率 宿泊・飲食業で5割(NHK2013-10-29)2厚生労働省は、高校や大学などを卒業し新卒採用された若者の離職率を調べていて、去年からは業種別の割合を公表しています。 それによりますと、平成22年に就職した若者のうち3年以内に辞めたのは、大学を卒業した人で31%、高校卒業でおよそ39%に上りました。
大卒若者の離職率 宿泊・飲食業で5割(NHK2013-10-29)3大学卒業の若者の離職率を業種別に見ますと、最も高いのは宿泊業・飲食サービス業で、51%と去年の調査を2.5ポイント上回りました。 次いで、教育・学習支援業が48.9%、生活関連サービス業・娯楽業が45.4%となっています。

一方、離職率が最も低かったのは、電気やガスなどのライフライン産業で8.8%、次いで鉱業・採石業などで13.6%、製造業が17.6%となっています。

大卒若者の離職率 宿泊・飲食業で5割(NHK2013-10-29)4厚生労働省は、離職率が極端に高い企業などは「若者の使い捨て」が疑われるとして、集中的に立ち入り調査を行って対策に乗り出していて、「社会に出た若者を育てていくような雇用管理ができていない企業もあるとみられ、改善が必要だ。なぜ離職率が高いのか、業種ごとの分析を進めたい」と話しています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131029/k10015637021000.html

他メディアの報道記事リンク

上記にリンクした新聞社の記事、どれも厚生労働省の発表した資料がどこに行けば見れるのかは書いていない。 電子版ならなおさらの話だが、資料へのリンクぐらい付けておくぐらいのことはするべきではないか? この発表資料は厚生労働省HPのかなり階層の深いところに掲載されていて、慣れた人でないとたどり着けないと思うが。 このように階層は深い――

厚生労働省HP・ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 雇用・労働 > 雇用 > 若年者雇用対策 > 新卒者・既卒者の皆様、事業主の皆様へ > 若年者雇用対策に関するデータ・調査 > 若者雇用関連データ > 新規学卒者の離職状況に関する資料一覧

ま~、「大卒離職率」で検索するとヒットするのは確かだが…..

資料が掲載されている厚生労働省HP・新規学卒者の離職状況に関する資料一覧ページへの直リンクはこれ ⇒ http://www.mhlw.go.jp/topics/2010/01/tp0127-2/24.html

そのページ行くとデータ表やグラフのPDFが一杯載っているが、その中からこのグラフを抜粋して掲載(画像クリックで拡大)――

厚生労働省2013年10月29日発表
「新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移」のグラフ

新規大学学卒就職者の在職期間別離職率の推移グラフ

新規大学卒就職者の在職期間別離職率の推移グラフ

新規短大卒就職者の在職期間別離職率の推移グラフ

新規短大卒就職者の在職期間別離職率の推移グラフ

新規高卒就職者の在職期間別離職率の推移グラフ

新規高卒就職者の在職期間別離職率の推移グラフ

(出典: 厚生労働省「新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移」のグラフ

では、「ブラック企業」とは何なのか?

Q) ブラック企業。最近、よく耳にするが・・どのような企業なのか?

A) インターネットなどで生まれた言葉と言われていて、正確な定義はないが、今、特に問題になっているのは、「若者を使い捨てにする」企業。

では、「ブラック企業」とは何なのか 01Q) 若者を使い捨てにする・・とはどういうことなのか?

A) 若者を正社員として大量に採用するが、結果として、大量に辞めてしまう。 逆に言えば、大量に辞めることを前提に、大量に採用している企業。 まさに、若者の使いすてといえる。 主に二つのタイプがあるといわれている――

● 低賃金で長時間労働を強いる企業
● 社員を選別する企業

では、「ブラック企業」とは何なのか 02Q) 低賃金で長時間労働を強いるとはどういうことか?

A) 例えば、毎日、終電ぎりぎりまで働いても、業務が終わらない。 残業が一か月で80時間とか、100時間に及んで、休みたいと思っても、「有給休暇はない」と言われたり、土日も出社しなければいけなかったりするケースなど..。 それでも、残業代が出ればまだいいが、出ない。 月給の中に、以下の図のように一定時間分の残業代が組み込まれているケースもあるようだ――

では、「ブラック企業」とは何なのか 03Q) 昔から長時間労働は、問題になっていたはずだが?

A) ハイ。 それでも、まだ、昔は、「終身雇用」そして「年功序列型の賃金」が保証されていたので、ある程度、希望は持てた。 また、辞めても、次の就職先が見つかっていた。 しかし、今は、それも期待できない。 就職が厳しい時代に、せっかく正社員になれたということで、なんとかがんばり続けようとして、その結果、体を壊したり、精神を病んだりして、辞めざるをえなくなる若者が増えているという現状がある。

Q) では、社員を選別する企業というのは?

A) 大量に採用した後、働き方を見て、企業が優秀だとみなした人だけ残して、あとは、辞めてもらう。

Q) 解雇するのか?

A) いや。 日本では、正社員は、そう簡単に解雇できない。 自分から辞めるよう追い込むような手口を使う。 例えば、上司が「きみの同期は、成果を出しているけれど、君は、向いていないね」「他の仕事の方がいいのではないか」といったことを言う。 繰り返し、繰り返し、呼び出して言うケースもある。 結局、「自分が悪いのかな」「向いていないのかな」と思って、辞めざるを得ない状態に追い込まれてしまい、「自己都合」の退職という形になってしまう。

では、「ブラック企業」とは何なのか 04Q) そういうのは違法ではないのか?

A) サービス残業など、違法なケースもあるが、ただ、労使で、長い残業時間を協定で容認していたり、残業代こみの賃金を契約に盛り込んでいたり、たくみに退職に追い込んだりと、明らかな違法と言えないケースも多くある。

では、「ブラック企業」とは何なのか 05
Q) どれだけ辞めるのか?

A) このブログに書いてある通り、厚労省の10月29日の発表によると3年以内に3割が辞めていると推定される。 また、業種によっては5割の離職率にもなっている。

Q) そんなに辞めてしまって、企業は困らないのか? なぜ、そのようなことをするのか?

A) 昔は、企業は、採用した人材を、じっくり育てようとしてきた。 しかし、デフレで、安さが求められるようになったり、企業が短期の利益を重視するようになった結果、「人件費の削減」を最優先にする企業が増えた。 特に、新興企業の場合、すぐに成果を出せない社員をじっくり育てる余裕はない。 人事担当者も少なくて、採用の段階でじっくり人材を見極める余裕もないという状況がある。 就職難で、応募してくる学生は多いという状況もあり、とりあえず大量に採用して、一部、残せばいい。 と考える企業がでてきている。 労働組合すらない企業も多い。

では、「ブラック企業」とは何なのか 06Q) 就職前には、ブラック企業かどうか、わからないの?

A) 就職難で、必死な学生が多いので、なかなか、事前に見抜くのは、難しいようだ。 賃金や残業の実態について、契約書に小さく書かれてあったり、説明すらなかったり。 あるいは、入社したら、事前に受けていた説明とまったく違ったというケースも多いようだ。

Q) 入社した後、しまったと思っても、辞めてもなかなか、次の仕事につけないのではないか?

A) その通り。 その結果、安定した仕事につけない若者、精神的に病んでしまう若者を大量に生んでしまうことになりかねない。 それは、社会にとっても大きな問題であり、なんとかしなければ大変なことになる。

(参考: 「“ブラック企業”被害 電話相談」 – NHK解説委員室ブログ

「年収100万円も仕方ない」ユニクロ・柳井会長に聞く(朝日)|君は彼の発言を黙ってみているか? グローバル化と言う名の詭弁、自分さえ儲かればなんでもありと言っているんだよ、ブラック・柳井君は…

国民が疲弊して国家は成り立たない。そういう国は亡びる、と歴史は語る。社員が疲弊した会社は潰れる。かつてはそれは事実だった、しかし、グローバリズムの名のもとグローバル化した会社は疲弊した社員のいる国からはさっさと引き揚げ次の国に移る。 世界を渡り歩きながら延命する。 労賃の一番安い国での生産に重点を置き、搾取を繰り返し利益の最大化を図る――この単純明快な経営方針がグロ―バル化だ。

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長がインタビューに答えて言っていることは「私は正真正銘の搾取企業だ、そして紛れもないブラックだ」と言っているに等しい。 ただ、4年連続日本一の総資産を誇る勝ち組の頂点にいる御仁なので、もうなにも見えないし、もうなにも聞こえなくなっている。 自社の社員が疲弊しようが「うつ」になろうが、グローバル化という「Grow or Die」(成長か、さもなければ死か)と言う状況では問題ではないそうだ。 「一生懸命かせげ」、そうしないと生き残れないぞ! だそうだ。

柳井正入社3年以内の離職率5割を超える、ブラック企業の最高峰「ユニ黒」。
社員は疲弊し、うつになりながらひた向きに働く「ユニ黒」。
その間に総資産日本一を4年連続でひた走る、柳井クン。

こういうのを「一将功成りて万骨枯る」という。 (成功を収めた人の影には、それを支えた無数の人の努力・犠牲がある)

栄華の頂点を極めながら歴史から消えた「平家」の栄枯盛衰を「平家物語」はこう教える――

祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響あり
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす
驕れる者久しからず ただ春の夜の夢の如し
猛き人もついには滅びぬ ひとへに風の前の塵に同じ。

柳井君のブローバリズムの詭弁、自分だけ儲ければ何でもアリ――勝利と富は敗者の屍の上に築かれる。 何でもアリだ、去年の尖閣国有化騒動の中国の暴動では「尖閣は中国の領土です」と掲示したのは「ユニ黒」に他ならない。 そんなに中国が好きならば、本社を中国に移しなさい。 ついでに、鳩山君と一緒に、中国に国籍を取得した方がいい。 中国からグローバル経営をやればいい。 日本の若者を疲弊させ、富を搾り取り、柳井家の蓄財にしか関心のない似非経営者に告ぐ――「日本の若者の将来を考える経営をできないのであれば、さっさと日本から出て行け!」。

以下、朝日の記事クリップ――

ブラック・ユニ黒「年収100万円も仕方ない」ユニクロ柳井会長に聞く
(朝日 2013年04月23日)

「世界同一賃金」は、社員のやる気を生むものなのか、はたまた「現場の疲弊」をさらに強めるものにならないのか。導入の狙いや、社員を酷使する「ブラック企業」との批判に対する見解を、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長に聞いた。

――「世界同一賃金」を導入する狙いは何ですか。

「社員は、どこの国で働こうが同じ収益を上げていれば同じ賃金でというのが基本的な考え方だ。海外に出店するようになって以来、ずっと考えていた。新興国や途上国にも優秀な社員がいるのに、同じ会社にいても、国が違うから賃金が低いというのは、グローバルに事業を展開しようとする企業ではあり得ない」

――中国などに比べて賃金が高い日本は下方圧力がかかって、逆に低い国は賃金が上がるわけですか。

「日本の店長やパートより欧米の店長のほうがよほど高い。日本で賃下げをするのは考えていない。一方で途上国の賃金をいきなり欧米並みにはできない。それをどう平準化し、実質的に同じにするか、具体的な仕組みを検討している」

――いまの離職率が高いのはどう考えていますか。

「それはグローバル化の問題だ。10年前から社員にもいってきた。将来は、年収1億円か100万円に分かれて、中間層が減っていく。仕事を通じて付加価値がつけられないと、低賃金で働く途上国の人の賃金にフラット化するので、年収100万円のほうになっていくのは仕方がない

――付加価値をつけられなかった人が退職する、場合によってはうつになったりすると。

「そういうことだと思う。日本人にとっては厳しいかもしれないけれど。でも海外の人は全部、頑張っているわけだ」

「僕が心配しているのは、途上国から海外に出稼ぎにでている人がいる、それも下働きの仕事で。グローバル競争のもとで、他国の人ができない付加価値を作り出せなかったら、日本人もそうやって働くしかなくなる。グローバル経済というのは『Grow or Die(グロウ・オア・ダイ)』(成長か、さもなければ死か)。非常にエキサイティングな時代だ。変わらなければ死ぬ、と社員にもいっている」

「ブラック企業の批判は誤解」

――「グローバル企業」として成功していますが、社員を酷使する「ブラック企業」だとの批判もでています。

「我々が安く人をこき使って、サービス残業ばかりやらせているイメージがあるが、それは誤解だ」

「大半が途中で辞めた人などの一部の意見だ。作業量は多いが、サービス残業をしないよう、労働時間を短くするように社員には言っている。ただ問題がなかったわけではなかった。グローバル化に急いで対応しようとして、要求水準が高くなったことは確か。店長を育てるにしても急ぎすぎた反省はある」

――売り上げは増やせ、その一方で残業はするな、では生身の人間は壊れませんか。

「生産性はもっと上げられる。押しつぶされたという人もいると思うが、将来、結婚して家庭をもつ、人より良い生活がしたいのなら、賃金が上がらないとできない。技能や仕事がいまのままでいいということにはならない。頑張らないと」

――ユニクロ的なビジネスモデルの成功が、賃金が低く抑えられている元凶という批判もありますが。

「それは原因と結果を逆にしての批判だ。安い労働力を活用し、製品価格を下げて売っているのは欧米のカジュアル衣料のH&MやGAP、中国の企業も同じだ」

――結局、日本の働き手も途上国や新興国が作る製品やサービスと同じものしか生み出せないなら、同じ賃金でやるしかないと。

「先進国は同じ問題に直面している。戦略やマーケティングとか、もうかる付加価値の高い部門を日本におくことだ。世界中の企業が最適地企画、最適地生産、最適地販売に移っている」

「日本の電機の一番の失敗は日本に工場を作ったことだ。安くて若い圧倒的な労働力が中国などにある。関税も参入障壁になるほどの高率ではないから、世界中にもっていける。本当は(安い労働力を使って世界中の企業から受託生産する)鴻海(ホンハイ)精密工業のような会社を日本企業が作らないといけなかった。個人も国内で仕事をしたいなら、付加価値をつけないといけない。単純労働で時間給の仕事でいいのか、それだと下がる可能性もあるのだから」

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〈ファーストリテイリング〉 1949年「メンズショップ小郡商事」として創業。カジュアル衣料の「ユニクロ」ブランドを中心に、世界で衣料の生産・販売を手がける企業グループ。「セオリー」などの高級ブランドを買収するなど積極的な事業展開で知られる。13カ国・地域に出店し、2012年8月期のグループ売上高は9286億円。正社員やアルバイトも含めた従業員は、13年2月末で4万2431人に上る。柳井正会長兼社長は、米TIME誌の13年版「世界で最も影響力のある100人」に選ばた。
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実は、ブラック・柳井君へのインタビュー記事は既に日経BPの4月15日電子版でも配信されている。 それを読めば、勝ち組は言いたい放題というのが素直な感想だ。 だが、待てよ、皆さん思い出してみよう、いつの時代も勝ち組の時代の寵児がいた。 だが、彼らは今もいるか? 柳井君、「奢れるものも久しからず、ただ春の夜の夢の如し、猛き人もついには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ」――

日経BP ⇒ 「甘やかして、世界で勝てるのか――ファーストリテイリング・柳井正会長が若手教育について語る」 http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130411/246495/?P=1

激務の割には低賃金。過大なノルマと軍隊的社風に支配され、離職率は常に高止まり――。劣悪な労働環境の企業が、ネット上で「ブラック企業」と呼ばれ始めたのは、10数年前からだという。匿名掲示板の隠語の1つとして生まれた言葉はその後、若年層に急速に浸透していった。厳しい社員教育や猛烈営業をモットーとするスパルタ系企業、さらには若者の目に「時代遅れ」に映る古い体質の企業までもが、今では「ブラック」呼ばわりされている。企業が「ブラック」と呼ばれないためには、採用や教育をどう変えるべきなのか。日経ビジネス4月15日号特集「それをやったら『ブラック企業』~今どきの若手の鍛え方~」では、「ブラック」と呼ばれないための、企業の新人教育、採用方法などについて紹介している。 日経ビジネスオンラインでは、同特集との連動連載をスタート。初回は、ここ数年で突如として「ブラック企業」と言われ始めたファーストリテイリングのトップ、柳井正・会長兼社長が登場。インタビューを通して、「ブラック企業」と呼ばれる原因を分析。柳井会長の考える若手の育成方針などを改めて語った。(聞き手は本誌編集長・山川龍雄)

ユニクロ、政界統一賃金ユニクロ、世界で賃金統一
(朝日朝刊1面 2013年04月23日)

「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、店長候補として採用した全世界で働く正社員すべてと役員の賃金体系を統一する「世界同一賃金」を導入する考えを明らかにした。海外で採用した社員も国内と同じ基準で評価し、成果が同じなら賃金も同水準にする。

社員間の競争激化

すでに役員や上級部長らは実施し、今後、一部の店長まで広げる。企業のグローバル展開が加速するなかで、賃金体系の統一にまで踏み込む企業が出てきた。

日本の働き手たちは、新興国や欧米の社員と共通の土俵で働きぶりが評価され、世界規模の競争を強いられることになる。新制度が根づけば、給与水準が全世界で均一化していき、比較的高い日本の給与が下がる「賃金のフラット化」につながる可能性もある。

ユニクロ、政界統一賃金2新制度では、欧米や中国など13カ国・地域で店長候補として採用した社員すべてと役員を「グローバル総合職」とし、職務内容で19段階に分けた「グレード」ごとに賃金を決めた。

このうち上位7段階に入る執行役員や上級部長は、どの国でも同じ評価なら報酬や給与を同額にした。対象は約50人(海外採用は10人)で、年収は最低でも平均約2千万円になる。各グレードの賃金は、日本より高い欧米の水準に合わせて統一した。最上位は柳井会長で4億円。将来は対象を2段階下の約60人いる部長級にも広げる計画という。

そのほかの「グローバル総合職」のうち、上位8~14段階にあたるスター店長ら約1千人(海外採用は約300人)についても「実質同一賃金」にする。店長以上なので、残業代は出ない。国によって名目の額は違うが、それぞれの国の物価水準などを考慮し、実質的にはどの国でも同じ生活ができる水準にする。少なくとも各国の同業の上位企業の賃金水準までは引き上げる。調整が複雑なため、具体的な制度づくりには時間がかかる見通しという。

役員らと同じように賃金を名目で同一額にしないのは、対象人数が多いからだ。各国間の賃金の差は大きく、先進国の水準に合わせると新興国の賃金が大幅に上がり、収益を圧迫する。逆に新興国の水準に合わせれば、先進国で優秀な人材を集められなくなる。

ただ、当面は「実質同一賃金」にしない社員も含め、「グローバル総合職」の約4900人(同約2200人)はすべて、評価基準を一本化した。国境を越えた人事異動をやりやすくするためで、職歴や将来目標など社員のデータも一括管理し、同じ基準で競わせる。

新制度を導入する狙いは、「世界各国で優秀な人材を確保する」(柳井会長)ことにある。2020年までに店舗数をいまの4倍の約4千店に増やし、そのうち約3千店を海外店にすることを計画している。短期間で海外店舗網を急拡大するには、高水準の給与を払い、これからは新興国でも優秀な人材をひきつける必要があるとしている。

グローバル化のもとで、生産や消費の中心になり始めた新興国では賃金が上がり、先進国では逆に下がったり伸び悩んだりすることがいわれてきたが、ファーストリテイリングの新制度は、「賃金のフラット化」を企業の賃金体系のなかで具体化させることになる。

ただ現段階では、例えば中国で採用された店長は、米国や日本の店長になれば賃金を上げるが、逆の場合は「誰も行きたがらなくなる懸念もある」と賃下げはしない考え。日本の賃金水準自体も「賃下げは考えていない」(山口徹人事部長)という。

だが、競争激化や中国などアジアの賃金の上昇で、全体の収益が圧迫される可能性もあり、これまでのような高収益が確保できなくなった時は、新興国に比べて割高な賃金水準が下がる可能性について「今は考えていないが、理屈上はありうる」(山口徹人事部長)という。

「世界同一賃金」の対象は社員全体約2万人の4分の1にあたる。

新制度について、柳井会長は朝日新聞のインタビューで「世界どこでも、やる仕事が同じだったら同じ賃金にするというのが基本的な考え方。海外にも優秀な人材がいる。グローバルに事業を展開するのに、あまりに賃金が違いすぎるのでは機能しない」と話す。

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〈企業の賃金体系〉 従業員の給与を決める基準やルールのことで、昇格や昇級の仕組み、評価制度なども含まれる。海外で手広く事業をするグローバル企業は通常、各国に現地法人を設け、それぞれの国の事情に合わせた賃金体系をもつ。新興国で賃金の安い社員を雇えば、人件費を抑えてもうけを増やすことができるからだ。だが、ユニクロの新制度は逆に、どの国で雇っても同じ賃金体系にして、新興国でも日本でも同じ評価なら実質同額の賃金を払う。大手企業では極めて異例の制度といえる。
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両刃の同一賃金、社員選別

世界規模のふるい、成長か死か ユニクロの同一賃金
(朝日朝刊 2013年04月23日)

ユニクロ海外店舗急拡大世界のグローバル企業の仲間入りをめざし、ファーストリテイリングが「世界同一賃金」を打ち出した。優秀な人材を登用するため、世界規模で社員たちをふるいにかけていく。だが国内では、社員を酷使することへの批判が根強い。現場の疲弊をさらに強めることにならないか、心配する声もある。

■ 両刃の同一賃金、社員選別

「快干POLO 149元」(ドライポロシャツ、約2235円)

中国・華南地方のショッピングモールにある「ユニクロ」の店内。漢字表記が目立つ以外は日本の店と変わらない。明るい照明、カラフルな商品を色別に並べる陳列、新製品を着たモデルの特大ポスター。ユニクロの商品で身を包んだ店員がてきぱきと服をたたみ、客を試着室に案内する。

20歳代の女性店長は「日本の本部からの要求は厳しいが、やりがいはある」と話す。月給6千元(約9万円)は、この地域の法定最低賃金のほぼ5倍で、中国では高給だ。

入社して1年ほどで店長に昇格した。残業も増えたが「仕方がない」と割り切る。「仕事ができるようになれば権限も増える。やりたいことを自由にやれるチャンスがある会社だ」

こんな中国の女性店長がやがて日本で働く日がくるかもしれない。

「世界中で同じ仕事ならば同じ賃金にし、いつでも異動できるようにする」。柳井正会長兼社長は「世界同一賃金」を導入するねらいをこう語る。日本から新興国へ、あるいはその逆、そんな国境を越えた異動を想定している。

平均年収2千万円のランクに今年3月に昇格したばかりの日本人の男性本部長(38)は「プレッシャーは感じてますよ。世界中どこに行っても、すぐに同じ能力を発揮することを求められるわけですから」という。

広告会社から転職し、入社2年後には小型店の店長に昇格した。その後は、異動するたびに社内キャリアをステップアップ。朝7時から翌朝3時まで売り場づくりに没頭することも苦にならなかった。快活に話す表情からは、企業エリートの充実感が漂う。

入社2年で、評価グレードが高い「スター店長」に抜擢(ばってき)された24歳の女性店長もその一人だ。

新卒で採用され、半年で店長を任された。約20人のスタッフをまとめ、商品の発注から閉店後は店の伝票の整理や店のあと片付け――。半年ごとに店を移り、いまはスタッフ50人がいる4店目の店長だ。「ものすごくしんどいけど、ちゃんと報われる。私はこの会社が好き」。ここでずっと働き続けたいと考えている。

■ 高まる要求、増える競争相手

しかし、短期間で店長になれなかった元社員らの口からは、華やかに見える職場の別の「現実」が聞こえてくる。

「燃え尽きてしまった」。20歳代の男性の元社員はユニクロでの日々を振り返る。会社が決めた月間勤務時間の上限は残業も含めて計240時間だが、とても仕事を消化しきれない。パソコン上で入力する出退勤時間を上限内に収まるよう日々「調整」し、残業代が出ない「サービス残業」の毎日だった。繁忙期の勤務は300時間を超えた。

半年おきの「店長代理資格」の取得試験も苦痛だった。何回受けても通らず、「次第に給料を下げられ、最後は入社時より年収で50万円ほど減った」。

本部や、複数店舗を統括する幹部たちから日常業務について指示を受けると、言い訳しにくかった。「上からの詰められ方が非常に厳しい。僕たちはそれを『追及』と呼んでいた」

周囲には、うつ病になって突然出社できなくなる同僚がいた。「このままでは自分も精神状態がもたない」と退社を決めた。

別の東海地方の20歳代の元店員も、膨大な仕事量と店長代理資格取得の重圧に押しつぶされそうだった。勤務時間中も仕事の合間にレジ打ちやミシンの練習、店舗レイアウトも研究した。休日も暇があれば厚さ10センチほどのマニュアルの勉強に費やした。

海外で働きたい夢はあったが、あこがれていたグローバルな仕事は遠のいてゆく。心の中の違和感は次第に大きくなり、仕事のミスが目立つようになる。入社8カ月後に「うつ状態」と診断され、退社した。

同社の新卒社員が入社後3年以内に退社した割合(離職率)は、2006年入社組は22%だったが、07年入社組は37%に、さらに08~10年の入社組は46~53%と高まっていった。直近の入社組は、同期のおよそ半分が会社を去る計算になる。休職している人のうち42%がうつ病などの精神疾患で、これは店舗勤務の正社員全体の3%にあたる。

社員を酷使する「ブラック企業」との批判は、こうした中で高まってきた。

「さすがに半分が辞めていくのは問題だと認識している。ちょうどその時期は、入社して半年で店長に育てようとした時期。その後の店長らの悩みや課題を聞いたりするフォローをきちんと手厚くやるべきだった」とファーストリテイリングの山口徹人事部長は言う。店長の仕事を減らすほか、全店長が対象の相談制度も導入するなど「改善措置」を取り始めた。

ユニクロの高収益を支えてきたのが、低賃金の中国などに専門工場をつくって一括発注し、低価格の商品を大量に売る事業モデルだった。だが最近は、中国などの賃金も上がってきた。収益を維持しようとすれば、販売の第一線に売り上げ増や店舗運営の効率アップを求めざるを得ない。その圧力は、賃金が割高な国内により強くかかり、現場を疲弊させる。

柳井会長も「問題がなかったわけではない。グローバル化に急いで対応しようとして、要求水準が高くなったことは確かだ」と認める。だがその一方で、「グローバル化は、Grow or Die(グロウ・オア・ダイ)(成長か、さもなければ死か)という時代。正社員でいる以上、効率をあげ、がんばってもらわないと生き残っていけない」と国内社員を叱咤(しった)し続ける。

新興国の社員らと同じ土俵に乗せられ、競争相手が増える分、ふるい落とされる社員も多くなる。待っているのは、今よりもっと激しい「効率アップ」の号令か、厳しい「賃下げ」となる可能性がある。

■ 国境超える企業、政府と食い違う利害

グローバル経済のもとで国内の雇用や成長の土台を根底から覆すかのような変化が起き始めた。新興国が世界経済の生産や消費の中心になるなかで、企業は国境を超え、拠点を海外へと移している。

国内に残された働き手たちの立場は厳しくなる一方だ。「追い出し部屋」に集められて社内失業を強いられる問題に加えて、「賃金のフラット化」で賃下げへの圧力が強まる。

政府がいくら、「円安誘導」や法人税の引き下げで企業や雇用を国内にとどめようとしても、空洞化の動きは止まらない。内需拡大のための賃上げ要請も、むなしく響く。旧来型の政策の限界は明らかだ。

グローバル化が進むなかで、国内の雇用を守り、経済成長を続けるにはどうすればいいのか。政府と利害が食い違う「超国家企業」の問題と正面から向き合わなければ、答えは見いだせない。

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超国家企業 工場や販売店を海外につくるといった従来の「多国籍企業」の海外進出にとどまらず、国家の垣根を越えて大規模に活動する企業。特定の国と結びつきがなく、利益を求めて世界に事業を展開する企業のことを一部の専門家らが「超国家企業」と呼ぶようになった。世界を一つの市場とみなし、雇う人の国籍や生産する場所を選ばない。母国の市場で働く人たちに対して、政府をしのぐ影響力をもち始めている。
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このユニクロのブラック企業の実態を暴く記事も是非読んで頂きたい――

「柳井正は人として終わってる」 鬱→休職→退職の新卒社員が語るユニクロの人材使い捨てぶり (My News Japan  2012-12-18)

サービス残業をしないと終わらない、そうかといって会社に通報すれば店長が降格になるから言えない――。そんな「完全犯罪」とも言える巧妙な仕組みで長時間労働を常態化し、その結果、うつ病を患う休職者が続出しているユニクロ。“モーレツ病で超ワガママ”なトップが現場を振り回し、社員の健康を利益に換えつつ、2020年に売上高5兆円でアパレル世界一を目指すという壮絶な経営が進行中だ。「休職者をこれだけ出しておいて平気でいられるなんて、柳井社長は人として終わってると思います。いったい、他人(ひと)の人生をなんだと思ってるのか」と訴える元社員に、2010年の入社から倒れて退職に至るまでの日々を、詳細に振り返ってもらった……(以下、リンクに続く http://www.mynewsjapan.com/reports/1734