スマホにクーリングオフ導入、悪弊排除に本気の総務省⇒13年度に全国の消費生活センターに寄せられた携帯電話サービス関連の苦情・相談件数は1万件超。実際はこの数十倍のトラブルが起きているとみられる。

携帯電話回線をめぐるトラブルの多さに業を煮やした総務省が、クーリングオフ規定の新設を打ち出した。早ければ2015年の通常国会で法改正される可能性があるという。 携帯電話サービス関連の苦情・相談件数は、13年度に全国の消費生活センターに寄せられたものだけでも1万件超。実際にはこの数十倍のトラブルが起きているとみられる――「付けないと割引にならないと言われ渋々オプションサービスを申し込まされた」「うっかり更新月を逃したばかりに多額の違約金が課せられた」――。 こうした業界慣行がまかり通る現状を改め、クーリングオフ導入によって消費者を保護する狙いだ。 以下、日経記事のクリップ――

スマホにクーリングオフ導入、悪弊排除に本気の総務省_1スマホにクーリングオフ 悪弊排除に本気の総務省
(日本経済新聞 2014/6/19 7:00)

携帯電話回線をめぐるトラブルの多さに業を煮やした総務省が、クーリングオフ規定の新設を打ち出した。早ければ2015年の通常国会で法改正される可能性がある。

「付けないと割引にならないと言われ渋々オプションサービスを申し込まされた」「うっかり更新月を逃したばかりに多額の違約金が課せられた」――。こうした業界慣行がまかり通る現状を改め、クーリングオフ導入によって消費者を保護する狙い。店舗販売も対象とし、スマートフォン(スマホ)の返品も視野に入れるなど踏み込んだ内容に、通信各社は戦々恐々としている。

店舗販売も対象に

総務省が導入を検討しているのは、回線契約を巡るトラブルがここ数年増加の一途をたどっているためだ。携帯電話サービス関連の苦情・相談件数は、13年度に全国の消費生活センターに寄せられたものだけでも1万件超。実際にはこの数十倍のトラブルが起きているとみられる。

トラブルが多発する背景には、回線の2年契約や端末の分割払いで契約内容が複雑になったことが挙げられる。スマホの普及で使い方が複雑になり、サービスの多様化でオプションサービスの品目が増えたことも混乱を大きくしている。

購入契約後の一定期間、消費者が無条件で契約を解除できるクーリングオフは、特定商取引法などで規定されている。しかし携帯電話回線や光ファイバーなどの通信サービスは対象となっていなかった。

そこで総務省が主催する有識者懇談会「消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG」は、月内をめどに公表する中間取りまとめでクーリングオフ制度の新設を打ち出す。この内容を電気通信事業法の改正案としてまとめ、早ければ来年の通常国会で法改正するのが総務省のシナリオだ。

制度の中身がかつてないほど通信各社に厳しい内容となっていることから、NTTやKDDI、ソフトバンクをはじめとする通信各社は戦々恐々としている。例えば店頭販売の扱い。特商法におけるクーリングオフ規定は訪問販売や電話勧誘、通信販売など、一般的にトラブルになりやすい販売形態のみを対象としている。つまり店舗での購入・契約には適用されない。ところが今回のWG案は「販売形態によらず」クーリングオフを適用することから、店舗購入も含まれる。

踏み込んだ内容にしたのは、前述の消費生活センターへの苦情・相談のうち、8割強が携帯ショップや家電量販店など店舗での購入だったためだ。スマホなどの現物を見たり店員の説明を聞いたりできる環境でもトラブルが相次ぐことから、店舗購入も含めなければ骨抜きになると判断したようだ。

スマホにクーリングオフ導入、悪弊排除に本気の総務省_2さらにWG案では携帯電話なら端末を返品でき、光ファイバーなら引き込んだ回線を撤去できるとしている。特定の通信会社と契約しなければ使えない「SIMロック」を施した端末を販売した場合、回線契約とともにクーリングオフに応じなければならない。ただ販売店は返品された端末を他の消費者にそのまま売れないため、不良在庫を抱えることになる。保護される消費者にとってはありがたい話だが、経営を圧迫されかねない通信会社や販売店は頭を抱えている。

負担が大きいのは光ファイバーのケースだ。回線の敷設や撤去には人手を要するだけに、クーリングオフが頻発すれば人件費の増加や新設工事の日程遅れなどの影響も出かねない。過度の負担を強いないような配慮が必要だと総務省も認識しており、光ファイバーについては消費者の側に一定の負担を求める可能性があるという。

契約当初のクーリングオフだけでなく、その後の解約にもメスを入れる。携帯電話サービスでは、中途解約金付きで2年契約するのが主流。有識者懇談会では、大手携帯電話会社が2年契約以外の料金プランをほとんど紹介しておらず、更新月が迫ってもその旨を積極的に伝えていない実態を問題視。更新月の案内の義務付けや解約金の額の見直しも併せて求めていく方針だ。

■ 通信会社は防戦するが……

こうした総務省の動きに対し、通信会社は防戦を試みる。懇談会のヒアリングで説明に立った通信各社のある幹部は、影響の大きい店舗購入を対象から外すよう要望。クーリングオフは理由を問わず応じる義務が発生するため、「何となく気に入らない」などの理由で乱用されかねないと懸念を示した。

UQコミュニケーションズ(東京・港)の西川嘉之渉外部長は、クーリングオフに頼らずとも自前で消費者保護を既に実施していると疑問を呈した。同社は契約前に端末を貸し出す、いわゆるお試しできるサービス「Try WiMAX」を、09年7月から実施して効果を上げている。15日間、商用サービスと同じ条件で使ってみて快適に通信できるか確かめられる。期限内に返却すれば費用はかからず、勝手に本契約へ移行されることもない。

「当社への苦情は他社よりはるかに少なく、問題なのは一部の大手通信会社による悪質販売だ。業界全体に対する一律の規制強化は、中小事業者や仮想移動体通信事業者(MVNO)の経営を圧迫する」(西川部長)。消費生活センターがトラブル解決のため通信会社にあっせんを申し出る件数は、一部の大手通信会社で月間30~40件に上るのに対し、UQは13年度通年でわずか4件という。一律にクーリングオフを義務化せず、お試しサービスという選択肢を残してほしいと希望する。

スマホにクーリングオフ導入、悪弊排除に本気の総務省_3ただ総務省が、お試しサービスをクーリングオフの代替策として認めるかは微妙な情勢だ。例えばソフトバンクモバイルも「電波保証プログラム」というお試しサービスをひそかに提供するが、使い勝手の悪さからほとんど使われていない。そもそも店頭でプログラムをほとんど宣伝しておらず消費者の認知度は低い。加えて申し込みには本契約が必要で、解約までの利用料は通常通り課金される。番号乗り換え制(MNP)で他社からソフトバンクに変更した場合は元の通信会社に戻れないからだ。「解約した契約の復活はできず、解約前のメールアドレスや累計契約期間、ポイントなどの情報は引き継げない」(他の通信会社)

WG案ではお試しサービスについて一定の意義は認めるが、「実効性のあるお試しサービスが導入されるかを踏まえて検討する」としている。要は、規制の抜け穴として使われるのを警戒しているのだ。

契約者が専門知識を持たない子供や高齢者まで広がった今、通信会社が「トラブルの原因は契約内容を理解しない消費者にある」と責任を押しつけるのはもはや無理がある。消費者保護に対する及び腰の姿勢を見透かされ、総務省にクーリングオフを突きつけられてから声を上げても消費者が味方するはずもない。端末や回線速度、料金で差異化が難しくなった今だからこそ、先を争って実効性のある消費者保護策を打ち出し信頼される業界へと転身すべきだろう。本気の総務省と通信会社のつばぜり合いは大いに結構だが、骨抜きになった消費者保護策でお茶を濁すことにならないよう願いたい。

(電子報道部 金子寛人)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1701P_X10C14A6000000/

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