富士山・大雪崩でスバルライン分断|古文書が警告する巨大スラッシュ雪崩

更新4/12】 3月14日に富士山・山梨県側の中腹で大規模な雪崩が発生し、富士山の5合目につながる有料道路(富士スバルライン)が、分断されるといった被害が出ているとメディアが報道したのは3月18日だった。 この富士山で起きた巨大雪崩はスラッシュ雪崩と呼ばれるもので、山梨県が作成した地域防災計画(本編)の中の「富士山の主な災害の歴史」にも“雪代”(ゆきしろ)として古文書を参照して掲載されている。 古文書が警告する巨大スラッシュ雪崩なのだ――過去には富士山麓の村々を飲み込む被害をもたらしている。 今年2月、歴史的大雪にみまわれた甲州・山梨県、その地域防災計画に記載されているようにスラッシュ雪崩は要注意。

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4月12日追記】 それでは雪崩で被害を受けた富士スバルライン「大沢駐車場」一体はどうなっているのか? スバルラインはいつ開通するのか? 富士山7合目で新たな雪崩確認(山梨放送2014-4-9)☛ 続報投稿記事「雪崩被害の富士スバルライン、いつ開通できるのか?GWまでの開通は微妙なようだ…」(2014/04/12)(クリックで記事へジャンプ)。 また、山梨放送の報道によると―富士吉田市は富士山の雪が多く雪解けで雪代と呼ばれる土石流が市街地に流れ込む恐れがあるとして「雪代警戒本部」を設置した。本部設置は初めて―となっている。
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■ 今回の富士スバルラインを分断した雪崩をメディアは大きく取り上げていなかったが、大規模災害の可能性への警鐘を鳴らす報道をするつもりはないのかな。 報道こうだった――

● 雪崩被害現場の航空写真(山梨日日新聞WEB版)
富士山4合目_スバルライン雪崩(山梨日日新聞2014-3-18)_雪崩画像● 富士山の山梨側中腹で大規模な雪崩 「富士スバルライン」も分断
(FNN 03/18 12:09)

富士山の山梨側中腹で大規模な雪崩_富士スバルラインも分断(FNN2014-3-18)富士山の山梨県側の中腹で、大規模な雪崩が発生し、富士山の5合目につながる有料道路が、分断されるといった被害が出ている。 富士山有料道路管理事務所によると、3月14日午前、富士山の山梨県側の中腹で、大規模な雪崩が発生しているのが確認され、「富士スバルライン」が分断されて、4合目にある休憩所や展望台なども破損しているという。 今回の雪崩は、気温の上昇によるものではなく、前日の朝から降り続いた大雨が原因とみられている。 「富士スバルライン」は、例年、3月から4月にかけて利用が可能になるが、現在、復旧の見通しは立っていない。

http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00264943.html

● 富士スバルライン 雪崩で被害
(NHK 3月18日18時50分)

富士スバルライン 雪崩で被害(NHK2014-3-18)_記事画像富士山のふもとと5合目を結ぶ山梨県の有料道路、富士スバルラインの4合目で、雪崩が起き、展望台や休憩所などの施設が壊れる被害が出ていることが分かりました。

雪崩が起きていたのが確認されたのは、現在雪のため閉鎖されている富士スバルラインの4合目です。 道路を管理する山梨県道路公社が開通に向けて除雪作業を進めるなかで、今月14日に雪崩の跡を確認したということです。 4合目では沿線の斜面から雪が崩れて道路を塞いでいて、長さおよそ100メートル、最も高いところは10メートルほどに及んでいるということです。 この雪崩で、4合目にある展望台が壊れたほか、売店を備えた休憩所やトイレも壁の一部に被害が出たということです。

富士スバルラインは、雪のため2月5日以降、1合目から5合目にかけて閉鎖されていて、この雪崩によるけが人はいないということです。

県道路公社によりますと、富士スバルラインの沿線で雪崩が発生し、建物が壊れる被害が出たのは、平成10年4月以来だということです。

県道路公社では除雪作業を進め、例年どおりの来月中旬の開通を目指していますが、今後の天候や復旧作業の状況次第では開通の時期が遅れる可能性があるとしています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140318/k10013069371000.html

● 雪崩被害現場は2か所で、富士山4合目の大沢駐車場付近。 その被害状況は以下の画像(クリックで拡大)。一番最後は被害現場を指名した富士山の地図――
富士山・大雪崩でスバルライン分断_被害状況画像01 富士山・大雪崩でスバルライン分断_被害状況画像02 富士山・大雪崩でスバルライン分断_被害状況画像03
富士山・大雪崩でスバルライン分断_被害状況画像06 富士山・大雪崩でスバルライン分断_被害状況画像04 富士山・大雪崩でスバルライン分断_被害状況画像05
富士山・大雪崩でスバルライン分断_被害状況画像07 富士山・大雪崩でスバルライン分断_被害現場の富士山画像 富士山・大雪崩でスバルライン分断_被害現場の地図

■ さて、富士山で懸念される「スラッシュ雪崩」とは何なのか?

その前に少々。 気象解説者/気象予報士でテレビで解説なさっている森田正光市がそのブログで「富士山・スラッシュ雪崩の危険性」と指摘していた。 今年の大雪の影響を懸念しての指摘だが、さすがですね。

前述した山梨県HPの地域防災計画(本編)ページ http://www.pref.yamanashi.jp/bousai/00083064279.html へ行ってみる。 そこに「第4編 火山編」((6)291~297頁(PDF:3,238KB))というのがあるが、それをクリックしてPDFを開き292ページの最下段を読むと「富士山の主な災害の歴史」という一覧表があり次のページまで続いている(以下にスナップショット掲載)。

富士山の主な災害の歴史一覧_古文書の警告「富士山の主な災害の歴史」という一覧表に赤線を引いておいたが、江戸時代に大規模な“雪代”(ゆきしろ)が二度あったことを古文書は指名している。 また、1951年、昭和になって大災害が起きている――

  • 1559(永禄2.2.) この月の申の日、富士の雪代出水し、田畑集落を押し流す (妙法寺記)
  • 1572(永亀3.2.) 上吉田村(現富士吉田市)、富士山雪代の災害を避け、全村古吉田から現在地に移り屋敷割りを行う (新地割付帳)
  • 1951(昭和26.3.6) 富士山麓に大雪代発生し、忍野村50年来の大被害

「富士山の雪代”(ゆきしろ)」を山梨県地域防災計画(本編)「第4編 火山編」(294ページ)ではこのように解説している――

雪泥流(せつでいりゅう) - 雪代(ゆきしろ)・スラッシュ雪崩(なだれ)ともいい、融雪期の降雨、急激な気温上昇等により融雪が進むことによる流水が引き金となり、雪や土砂が混じって流下する現象である。富士山では、中世や江戸時代には麓の村をおそった大規模な雪代があったことが古文書に記録されている。

図解すると分かりやすい――

出典: 平成24年度やまなし再発見講座&埋蔵文化財センターシンポジウム 「自然災害と考古学~過去からの警告~」 第2回「富士山の災害~雪代(土石流)~」 (平成25年2月14日(木) 篠原武・富士吉田市教育委員会)

出典: 平成24年度やまなし再発見講座&埋蔵文化財センターシンポジウム 「自然災害と考古学~過去からの警告~」 第2回「富士山の災害~雪代(土石流)~」 (平成25年2月14日(木) 篠原武・富士吉田市教育委員会)

この富士山の”雪代”(スラッシュ雪崩)に関しては、【速報】富士山スラッシュ雪崩災害(平成19年3月25日発生)も参考になる。

平成19年3月25日8~9時にかけて、富士山大沢崩れにおいてスラッシュ雪崩が発生した際に、国土交通省中部地方整備局富士砂防事務所が記録した動画が国交省によって公開されいる。 猛威のスラッシュ雪崩(雪代)の動画――

http://www.cbr.mlit.go.jp/fujisabo/movies/2007_03250801(640×480).mpg
http://www.cbr.mlit.go.jp/fujisabo/movies/2007_03250846(640×480).mpg

また、富士山の麓に住まわれて富士山を観察し写真を多数掲載しているブログ「まぁの写真館」さんによると過去のスラッシュ雪崩の災害記録をこのように掲載している――

  • 御殿場市では、1927年3月9日、宝永山斜面で巨大スラッシュ雪崩が発生し、標高差1,700m、距離16㎞において砂沢を走り、神場地区まで26分で土砂雪崩が押し寄せられました。
  • 1995年3月17日には、御殿場登山道太郎坊から須走両登山道を通り、流動幅3.5㎞、高度差1.1㎞の規模で、標高1,200mまで雪崩に襲われました。
  • 2007年3月25日には、滝ヶ原駐屯地付近の表富士周遊道路に雪崩となった土砂が道路まで襲い、県道が通行止めとなりました。
  • 富士吉田市では1834年4月、4つの村の田畑47%、そして流失家屋130軒が土砂で埋没されました。
  • 1801年、1835年、1836年、1860年、この間に当地域においては家屋の7割、人口の65%が減るという雪崩の大被害が生じております。

図解の出典: 平成24年度やまなし再発見講座&埋蔵文化財センターシンポジウム 「自然災害と考古学~過去からの警告~」 第2回「富士山の災害~雪代(土石流)~」 (平成25年2月14日(木) 篠原武・富士吉田市教育委員会)のPDFには古文書から調べた過去の富士山雪代(スラッシュ雪崩)災害が詳しく解説されている ☛ http://www.pref.yamanashi.jp/maizou-bnk/sinpo-ziumu/documents/sateraito2.pdf

とかく、富士山というと富士山噴火や噴火による火山灰の広域被害ばかりをメディアは報道するが、巨大スラッシュ雪崩による富士山麓の地元の大被害が過去には幾度となくあったのだ。そして、それはこれからもありうると古文書は警告している。

■ 古文書が警告する大災害と防災に取り組む気鋭の歴史学者

東日本大震災・巨大津波の被害による教訓から、防災のために古文書を検証し役立てるということが見直されている。 また、液状化被害や河口での津波被害の防災のために古地図に記された地形なども防災のために研究され始めている。

磯田 道史(いそだ みちふみ)という歴史学者をご存じだろうか? 現在、静岡文化芸術大学文化政策学部准教授として静岡に移り住まわれているが、静岡に移住したのは南海トラフ地震等を古文書から研究するためだ。 そのきっかけとなったのは、東日本大震災だそうだ。 彼は私の好きな学者の一人だが、NHK・BS「歴史館」と番組によく出演している。 また、映画にもなった「武士の家計簿」の著者である。

その磯田道史氏が朝日新聞の土曜版beという紙面で、2013年4月から毎週連載している「磯田道史の備える歴史学」という連載記事がある。 災害に関する記述を古文書から読み解き分かり易く解説してくれており、また文章が上手い。 毎週楽しみにしている。

東日本大震災3年前後に「大船渡小に学ぶ:上、中、下」と3週連続で記事を掲載されたが、これは唸るものがあった。 会員でないと全文は読めないが、以下にWeb版のリンクを掲載しておこう――

近々、クリップして掲載しようかと思っているのですが。 ついでに、「磯田道史の備える歴史学」の今まで連載された記事一覧のリンクを掲載します――

http://digital.asahi.com/article_search/s_list3.html?keyword=%A1%CA%B0%EB%C5%C4%C6%BB%BB%CB%A4%CE%C8%F7%A4%A8%A4%EB%CE%F2%BB%CB%B3%D8%A1%CB&s_title=%A1%CA%B0%EB%C5%C4%C6%BB%BB%CB%A4%CE%C8%F7%A4%A8%A4%EB%CE%F2%BB%CB%B3%D8%A1%CB%B0%EC%CD%F7&inf=&sup=&page=1&to=&from=&rel=1

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