中国防空圏、習近平への急激な権力集中の産物 ⇒ 習金平の仕掛けた罠に日本はどう対する…

中国の防空識別圏設定は、習近平総書記への急激な権力集中の産物だという。 軍歴を持ち、同じ高級幹部の子弟である軍人に知己が多い習近平総書記は軍に配慮する。 重要決議の主要起草者から党内序列2位で経済担当の李克強首相は外され、「リコノミクス」で注目された李首相の影は薄くなっている。 防空識別圏設定は外交ルートの事前伝達なし軍ルートで一方的通告された。 一体、何がどう決められていたのか――

中国防空圏、習近平氏への急激な権力集中の産物」
(日経 2013/12/15 3:30)

11月22日の北京。中国国防省は在中国日本大使館付き駐在武官に「明日土曜日、国防省に来てほしい」と言い渡した。 休日呼び出しの用件は告げず「来ればわかる」との口ぶりだ。翌日午前、武官が国防省で通告を受けた30、40分後、中国は東シナ海への防空識別圏設定と即時施行を発表した。

習近平氏へ権力集中・図解国防省は政府機関だが、窓口にすぎず、実態は共産党中央軍事委員会が指揮する人民解放軍だ。 つまり中央軍事委主席の習近平党総書記(国家主席)が決め、軍ルートで一方的に通告した形になる。 外交ルートの事前伝達はなかった。

「防空識別圏はトップへの集権の産物。 経済が目玉の11月の党中央委員会第3回全体会議(3中全会)も習氏の独り舞台だった」。党関係者は解説する。 集権の象徴は3中全会で新設した2組織。 トップ直轄で内外の危機に備える中国版NSC「国家安全委員会」と、総合改革を進める「全面改革指導小組」だ。

習氏は重要決議の主要起草者から党内序列2位で経済担当の李克強首相をはずし、思想・宣伝担当の劉雲山・政治局常務委員を重用する。 9日、日本経済新聞などアジアの記者に会った劉氏は、習氏の名を何度も挙げ「全面的改革を進める」と繰り返した。 経済の構造改革に重点がある「リコノミクス」で注目された李首相の影は薄くなった。

「安全委と改革小組の下に最高指導部7人に割れる権力を集め、トップが直轄する。 習氏は最高指導部をほぼ掌握した」。 ある地方指導者は内幕を披露した。 就任1年の習氏は、10年かかってようやく地位を固めた胡錦濤前総書記を追い越す勢いだ。

一党支配下の総書記は独裁権限を持つと誤解されるが、重要事項を決める政治局常務委員会の招集役にすぎない。 各常務委員は担当内で大統領的な権限を握り互いに干渉しない。 独裁者、毛沢東の言葉を好む習氏は1年前から集権へ手を打ってきた。 常務委員数を9から7に減らし、浮いた絶大な公安、武装警察、司法の指揮権を総書記に集める妙手が内外の危機に備える安全委。 習氏は米ロ大統領並みの権限を手に入れた。

防空識別圏は軍の宿願だが、集団指導の胡前指導部は慎重だった。 外交、経済への悪影響を懸念する部門が反対した。 習氏は違った。軍歴を持ち、同じ高級幹部の子弟である軍人に知己が多い。思考回路は軍に近い。 「集権によりブレーン内で軍系統の影響力が増した。 習氏は権力固めを狙い軍に一定の配慮もする」。 北京の政治学者の分析だ。

伏線は習氏が6月の訪米でオバマ大統領に語った言葉に潜む。 「広い太平洋には米中両大国を受け入れる十分な空間がある」。 空母を持つ中国海軍は東シナ海から西太平洋をめざすとの宣言だ。 今後、空軍力で艦隊を援護するには太平洋への道に浮かぶ尖閣諸島付近の空域を制し、米軍機の大陸接近を阻む必要がある。 防空識別圏は危機演出で領土問題の存在を日本に認めさせるにも有効と見た。

訪米の翌月、習氏は長年口にしてきた海洋強国を主題に指導部の学習会を開く。 尖閣へ送る軍以外の船も「海警」に統一。残るは空から海を支援する前提の防空識別圏だけになった。 3中全会決議には安全委とともに「海と空を守る管理体制づくり」が盛り込まれた。 会議閉幕11日後、国防省が発表に踏み切る。

日本は仕掛けられたワナにどう対するか。 偶発衝突を避ける防衛当局間の緊急連絡体制構築でも中国は防空識別圏や領土問題の存在を認めるよう迫るだろう。 産声を上げた日本版NSCの知恵の見せどころだ。

(中国総局長 中沢克二)
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO64115040V11C13A2SHA000/

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