南シナ海、中国海軍艦船急接近で米巡洋艦が緊急回避⇒衝突寸前のニアミス、米国務省は中国に抗議;【更新2013-12-22、記事追加】

更新2013-12-22、記事後段に追加―「中国空母が南シナ海で発する「表と裏」のメッセージ」(ロイター12/20)】 南シナ海公海上で作戦行動中の米海軍のイージス巡洋艦「カウペンス」に中国海軍艦船が急接近し進路を妨げた。 衝突を避けるため米イージス艦「カウペンス」が緊急回避行動を取るという事態が12月5日に起きていた。 接近距離は460mを切っており、中国による極めて危険なニアミス状況だったといえる。 米海軍太平洋艦隊が13日にこの事態を明らかにした。

中国が先ず制覇を目指す東シナ海から南シナ海に至る第1列島ラインでの攻防は、これから更に緊張度が高まって行くだろう。 後に引かぬ中国…偶発的衝突が起きうる可能性は高まっている。 日本国民は分かっているのだろうか。 南シナ海、波高し――

南シナ海を公開中の米海軍イージス巡洋艦「カウペンス」(2013-12-24)

南シナ海を公開中の米海軍イージス巡洋艦「カウペンス」(2013-12-24)

南シナ海で米巡洋艦に中国艦船が急接近
(NHK 12月14日12時0分)

南シナ海で米巡洋艦に中国艦船が急接近_01アメリカ海軍は、南シナ海の公海上を航行していたイージス巡洋艦が今月初め、中国海軍の艦船と急接近したことを明らかにし、中国側が国際的な基準に合わない行動で接近してきたとして批判しました。
南シナ海で米巡洋艦に中国艦船が急接近_01アメリカ海軍の太平洋艦隊は13日、声明を発表し、今月5日、イージス巡洋艦「カウペンス」が南シナ海の公海上で、中国海軍の艦船と急接近したことを明らかにしました。
南シナ海で米巡洋艦に中国艦船が急接近_03  南シナ海で米巡洋艦に中国艦船が急接近_04
太平洋艦隊は詳しい状況について明らかにしていませんが、声明の中で「最高レベルの航行の安全を確保するため、どの国の海軍も国際的な基準を守ることを最優先しなければならない」と述べ、中国側が国際的な基準に合わない行動で接近してきたとして批判しました。
南シナ海で米巡洋艦に中国艦船が急接近_05これについて、アメリカの一部のメディアは当局者の話として、巡洋艦は南シナ海で中国の空母が行った訓練の情報を収集していたと伝えています。
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巡洋艦は中国側から停船を求められましたが、公海上だったため国際法に基づいて従わなかったところ、中国軍の艦船が進路をふさぎ、衝突を避けるため緊急回避行動を取らざるをえなかったということです。南シナ海で米巡洋艦に中国艦船が急接近_09今回の発表は、中国が先月東シナ海の広い範囲に防空識別圏を設定し、アメリカ政府が批判を強めるなか、南シナ海でも米中の緊張が高まっていた可能性を示唆しています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131214/t10013831711000.html

この件に関し英文記事(Stars & Stripes, CNN, ABC, etc.)をあれこれ調べてみた。 英文記事の参照は後で列記する。 CNN日本語版が、経緯を書いた英語版を簡潔にまとめているので先ずそれを読んでみましょう――

米中軍艦が接近、衝突は回避 南シナ海
(CNN日本版 2013.12.14 10:23)

米海軍のミサイル巡洋艦「カウペンス」が今月5日、南シナ海の公海上で中国海軍の艦船との衝突を避けるための回避行動を取っていたことが明らかになった。情報筋は、中国による極めて異例かつ意図的な行動だとしている。

米軍関係者によると、カウペンスが公海上を航行中、中国の艦船が突然、空母「遼寧(りょうねい)」を含む中国海軍艦の編隊から離れ、カウペンスに近づいてきたという。カウペンスは接近しすぎだと無線で警告したが、中国の艦船は停止しなかった。

中国の艦船がカウペンスの船首から約450メートルの距離まで接近したため、カウペンスの艦長は「全面停止」の命令を出した。その後、中国の艦船はカウペンスの前を無事に通過した。同関係者は「海上で衝突を避けるための回避行動を取るのは異例」と付け加えた。

また別の軍関係者は、2隻の船が接近している間、両艦の艦長間で無線交信が続いていたとし、「中国艦船の接近は意図的だった」と指摘した。

今回の事件は平和的に解決されたが、中国は最近、公海を含む地域の領有権を主張したり、防空識別圏を設定するなど、強硬な姿勢を見せており、米国や周辺国との緊張が高まっている。

http://www.cnn.co.jp/world/35041412.html?tag=cbox;world

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中国軍艦、米軍艦阻む_南シナ海、米軍が衝突回避 (朝日2013-12-15)2013-12-15 記事追加

朝日新聞紙面版記事「中国軍艦、米軍艦阻む|南シナ海 米軍が衝突回避」(12月15日)をアーカイブして追加。 画像クリックで拡大。
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英文記事の参照

中国の反応】 中国政府はこの件に関し、今のところ公式に何も反応していいない。 来週にでも何らかの反応があるかもしれない。 その場合は後段に続報を追加するでしょう。 12月14日時点では、日経が環球時報の記事を引用して以下のような記事を配信している――

「米軍、航行の自由口実に監視」 中国メディアが批判
(日経 2013/12/14 20:16)

中国政府は米中艦船が異常接近したとの米国の報道に関して公式な反応を示していない。一方、中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は14日、米報道を紹介する記事の中で「長年、米軍は公海の航行の自由を口実に中国の門前まで近付いて偵察し、中国軍の正常な軍事活動を監視してきた」と米国を批判した。中国国営の中央テレビも同日夜、米報道を引用する形で短く伝えるなど関心は高い。

中国初の空母「遼寧」は11月23日の東シナ海への防空識別圏設置後、母港の山東省青島を出航して南下。海南省の基地を経て12月3日ごろから南シナ海で初の演習に入っていた。

中国は南シナ海への防空識別圏の設置も視野に入れており、米中両軍のつばぜり合いが激しくなっている。米中間では2001年に海南島付近で米軍の早期警戒機と中国機が接触する事故が起きている。

(北京=中沢克二)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM14022_U3A211C1FF8000/

さて、英文記事の参照をあれこれリストアップしたが、こういう事案の場合は直接英文記事を読んだ方がまともな情報を入手できる。 NHKはスタッフが揃っているし、海外にそれなりに特派員を置いているので海外の情報収集能力と質は高い。 しかし、それ以外の日本の民放メディアや大手各紙は外電に頼っているのでドングリの背比べで大したことがない。 特に記事を書く記者たちは、英語が堪能でないようで、英文記事を読んで記事を書いているとはとても思えない程度の日本語記事を書いている。 共同通信、時事通信、AP、とかの翻訳配信記事に頼っているのだろう。 さらに、ネットで収集した外電記事の要約転載も多いが、何せ英語能力に些か問題があるので誤訳して配信している場合も多々ある。

おっと、余計な話が長くなった。 さて、英文記事を読んで二、三書こうかと思います――

米海軍イージス艦「カウペンス」は排水量9600トン、全長173mのタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦 (USS Cowpens, CG-63)です。 米海軍太平洋艦隊の第7艦隊戦闘部隊(横須賀基地)の原子力空母・ジョージワシントン打撃群(George Washington Strike Group)に所属します。

GW打撃群は、11月に入り海上自衛隊との沖縄沖での合同演習の予定でしたがフィリピンの台風被害救援のため、11月14~22日の間フィリピンに急派されました。 その後、海上自衛隊と西太平洋で約2週間、共同演習を行っていました。 11月29日には中国が宣言した防空識別圏の近くの東シナ海で、7千人以上を動員して海上自衛隊と演習をしています。 同時期に、中国海軍の空母「遼寧」(りょうねい)が駆逐艦「瀋陽」「石家荘」とフリゲート艦「烟台」を引き連れて南シナ海に進出し、訓練を実施しています。

不思議なことは、GW打撃群は2013年の任務を終えて横須賀に12月5日に帰港しています。 カウペンスと中国海軍艦船のニアミスがあったのが12月5日ですから、カウペンスはGW打撃群から離れ南シナ海をパトロールして空母「遼寧」(りょうねい)艦隊の監視に赴いたと思われます。 カウペンスの監視に頭にきた中国海軍が、公海上だったにもかかわらず意図的に異常接近して、「南シナ海は中国の海だ」と示威行動に出たという構図ではないでしょうか。

英文記事によると、ニアミスを起こした中国海軍の艦船は「One of two small amphibious craft escorting the carrier approached the Cowpens」となっており、small amphibious craft(揚陸艦)が接近したものと思われる。 「遼寧」に随行している駆逐艦やフリゲート艦ではなく小型の揚陸艦。 Global Security Orgの中国海軍のリストを調べてみて、あたりを付けてみたが――

Global Security - Chinese Warships List - Amphibious Warfare CraftLSM (Landing Ship Medium) Type 074 Yuhai (排水量812トン、全長58.4m)、中国名玉海型揚陸艦 (ぎょくかいがたようりくかん)クラスの艦船ではないかと思う。

玉海型揚陸艦(ぎょくかいがたようりくかん)

排水量9600トンのミサイル巡洋艦「カウペンス」の進路に排水量812トンの揚陸艦が立ちはだかるのは無謀もいいところなのだが、そこに中国の意図をなおさら感じる。 「遼寧」に随行している駆逐艦やフリゲート艦がカウペンスの進路妨害をしようものなら、武力衝突になりかねない。 公海上でということで、その場合は中国が完全に国際的に避難されるだろう。 しかし、兵装が貧弱で排水量が比べ物にならないくらい小さい玉海型揚陸艦なら米海軍は攻撃をしないだろうと見越してこれを使った。 もし、衝突して揚陸艦が沈没でもしたら、中国はお得意のプロパガンダで米海軍「カウペンス」をあらゆる理屈を付けて非難するだろう。

このニアミスは12月5日に起きた。 バイデン副大統領が習近平と北京で会談したのが12月4日で、12月5日は韓国に行きオバサンと会談している。 だが、アメリカは発表していない。 中国はバイデン副大統領の当たり障りのない対中姿勢をみて、オバマ政権は弱腰とみたに違いない。 この米中艦船のニアミスで、事の深刻さを認識したかもしれない。 そこで、中国牽制のため、安倍首相が出席している東南アジア諸国連合の特別首脳会議にぶっつけて発表したのではないか?

中国の膨張する野望は止まらないだろう。 南シナ海にも時機を見て防空識別圏を設定するだろう。 第一列島ラインの確保は中国膨張の前哨戦でしかないのだ。

幸いなことに、今回の南シナ海でのニアミスを各国メディアは、東シナ海に中国が設定した防空識別圏の問題と合わせて報道し、中国の野望に対する懸念を書き始めている。 日本は、国際世論を味方にし、東南アジア諸国やオーストラリア、もちろんアメリカと共に中国に対処しなければならない。 中国を侮ってはならない。 どんなに時間をかけても目的を達成しようとするしたたかな国なのだ。 そして、中華による世界を信じて疑わない中国は常に自国中心的な価値観で行動する。

東シナ海上の防空識別圏図

東シナ海上の防空識別圏図

2013-12-22 記事追加】 12月5日に横須賀に帰港した米空母ジョージ・ワシントン打撃群から離れて、南シナ海をパトーロールしていた米海軍のイージス・ミサイル巡洋艦「カウペンス」の目的は、南シナ海で演習する中国海軍空母「遼寧」(りょうねい)とそれに随行するフリゲート艦らの監視が目的なのは見え見えだ。 中国艦船がカウペンスの進路妨害にでたのは、「遼寧」の演習行動をとにかく見られたくないからだろう。 なぜか? 中国海軍空母「遼寧」は殻を割って孵化したばかりのヒヨコに過ぎないからだ。 果たして成鳥になれるものか、中国自身がまだ分かっていない。 国内向けには大々的に宣伝しているが、対外的には張り子の虎「遼寧」の未熟な姿を何としても見られたくない。 そんなところだろう。 そうい言う意味で、以下のロイター記事はなかなかいい所を突いている――

焦点: 中国空母が南シナ海で発する「表と裏」のメッセージ
(ロイター 2013年12月21日 08:50)

中国人民解放軍海軍部_空母「遼寧」(りょうねい)写真[香港/北京 20日 ロイター]  中国初の空母「遼寧」に随行する戦艦が今月初めに米国のミサイル巡洋艦と異常接近し、米国側に衝突回避行動を取らせたのは、軍事的かつ政治的に重要な訓練を守る目的があったと言える。

アジア地域の軍当局者や専門家らによると、山東省青島市の基地から出港した遼寧の今回の訓練は、南シナ海で初めての実施というだけでなく、米空母と同様に駆逐艦などを初めて随行して行われた。

豪キャンベラ在住の軍事アナリストで元防衛当局高官、ロス・バベッジ氏は「中国は南シナ海に空母を送り込むことで大国としての地位を地域に誇示し、それに対し米国は『我々は最大の勢力として、まだここにいる』というシグナルを送り返している」と語った。

米太平洋艦隊によると、ミサイル巡洋艦「カウペンス」は今月5日、南シナ海の公海上で活動中に、中国海軍の艦船と異常接近した。これについて、ヘーゲル米国防長官は19日、中国側の行動は行動は「無責任」だと強く非難した。

一方、中国の新華社は、カウペンスは中国海軍の艦船から停船するよう「警告」を受けていたと報道。米国側は遼寧を「意図的に」に監視下に置いていたとしている。

中国海軍は今回の訓練を「科学研究・実験と軍事演習」と称しており、来年1月3日に終了する予定だが、それ以上の詳細はほとんど明らかにしていない。中国国防省には同訓練に関するコメントを求めたが、まだ回答は得られていない。

遼寧は1998年にウクライナから購入して改修した空母で、中国の海軍力増強を象徴する存在。過去20年にわたって国防予算を毎年ほぼ2桁増やしてきた中国は、領有権問題を抱える南シナ海や東シナ海での経済権益を守るべく、遠洋航行能力を完全に備えた海軍力の獲得を目指している。

空母打撃群はその中核となるもので、遼寧の訓練を成功させることは、2020年までに複数の国産空母を展開させるという目標に向けた第一歩となる。

米国防総省は今年発表した中国の軍事力に関する年次報告書で、中国で国産空母が就役するのは早くても2025年だと指摘している。

軍事専門家は、国産空母の予備的な建造は一部始まっているとみているが、中国の空母建造計画は国家機密であり、長興島にある江南造船所で建造が進んでいるという確固たる証拠はまだ報告されていない。

ゼロからの出発

国内外の関心は、遼寧乗組員らが空母航行の中核要素をどれだけ習得しているかに集まっている。空母の運用には、極めて難しい艦載機の離発着だけでなく、多岐にわたる高度な海軍戦略や理論も求められる。

南シナ海で先月訓練を実施した米空母ジョージ・ワシントンに乗船する匿名の米軍高官は、ロイターの取材に「空母は非常にタフで複雑、かつ費用がかかる仕事だ」と説明。「きちんと運用できるようになるまでには何年も何年も要するが、中国はそれをゼロから始めている」と語った。

中国メディアの報道などによると、青島市の基地から出港した遼寧の最初の訓練は、艦載戦闘機「J‐15」の離発着に集中しているもよう。遼寧には過去にも補給艦などが随行することはあったが、11月26日に出港した今回は初めて、駆逐艦2隻とフリゲート艦2隻などが随行している。

アジア各国の大使館付き武官らは、遼寧が海南島三亜の基地を母港にするとすれば、南シナ海を定期的に航行するようになると警戒している。

過度な反応は禁物

一方で、中国のアナリストと一部の国営メディアは、こうした警戒感を解こうと躍起になっているようにも見える。

遼寧が中国海軍の空母として昨年初めての海上試験を実施した際も、中国人民解放軍の当局者たちは、領有権問題の解決に向けて同空母がすぐにでも派遣されるとの一部国民の期待をいさめていた。

復旦大学国際問題研究院の沈丁立副院長は、遼寧は実戦用というよりは訓練目的の空母だとし、「米国は安心していい。向こう50年は寝ていて大丈夫だ。中国は米軍の能力には対抗できない」と語っている。

また共産党が発行する中国青年報は、遼寧が抱える一連の装備面の弱点を指摘。さらに、米海軍のような大規模な空母戦闘群を「有機的に運用する」ことが重要だが、「中国の空母はそのレベルには達していない」と論じた。

遼寧がいつ完全に機能するようになるかについても、多くの疑問が残されている。当初は3-4年で実運用可能になると推測されていたが、コンサルティンググループ「IHSエアロスペース・ディフェンス・アンド・マリタイム」の北京駐在シニアアナリスト、ゲリー・リー氏は、10年先に伸びる可能性も内部から漏れ伝わっていると指摘。こうしたうわさは「(空母に対する)期待をコントロールする側面もあるが、空母戦闘群のような複雑なものを準備が整う前に急いで使いたくないという思惑もあるのではないか」と語った。

http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE9BJ08O20131220?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0

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