iPS細胞から立体構造・腎臓組織作成、世界初(熊本大)!⇒腎臓移植が必要な人の皮膚や血液から新腎臓組織をつくり、正常な機能を取り戻す再生医療の足がかりとなる。成功は「ダメだろう、でも念のため」という試みから生まれた..

体のさまざまな組織になるヒトのiPS細胞から、腎臓の組織を作り出すことに熊本大学の研究グループが成功した。ヒトの体内にあるのと同じように尿を作り出せる構造をもった腎臓の組織ができたのは、世界で初めて!

iPS細胞から立体構造・腎臓組織作成、世界初(熊本大)0iPS細胞から立体構造・腎臓組織作成、世界初(熊本大)1熊本大学の西中村隆一教授らのグループは、マウスの体内で腎臓が形作られる過程を詳しく調べ、「アクチビン」というたんぱく質など5種類の物質が関わっていることを突き止めた。

iPS細胞から立体構造・腎臓組織作成、世界初(熊本大)2iPS細胞から立体構造・腎臓組織作成、世界初(熊本大)3 iPS細胞から立体構造・腎臓組織作成、世界初(熊本大)4

そして、ヒトのiPS細胞にこの5種類の物質をいくつかの段階に分けて加えたところ、試験管内で大きさ2ミリほどの立体的な腎臓の組織ができた。この腎臓の組織には、糸球体や尿細管と呼ばれる管など腎臓の主な組織が含まれていて、体内にある腎臓と同じように尿を作り出せる構造を持っているという。 こうした腎臓の組織が作られたのは、世界で初めて。

iPS細胞から立体構造・腎臓組織作成、世界初(熊本大)5iPS細胞から立体構造・腎臓組織作成、世界初(熊本大)6西中村教授は「腎臓が機能するには立体的な構造が欠かせないが、試験管内で作るのは不可能に近いと思われていた。将来は、移植用の小さな腎臓を作れるようにしたい」と話している。

iPS細胞から立体構造・腎臓組織作成、世界初(熊本大)7 iPS細胞から立体構造・腎臓組織作成、世界初(熊本大)8

(ニュースソース: NHKニュース「iPSから腎臓組織作成 世界で初めて成功」(12月13日4時18分) http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131213/k10013798971000.html)

今回、複雑な立体構造の腎臓組織を作ることに初めて成功したことによった、老廃物をこしとる「糸球体」と栄養分や水分を吸収する「尿細管」が再現できた。これは、腎臓移植が必要な患者の皮膚や血液から新たな腎臓組織をつくり、正常な機能を取り戻す再生医療の足がかりとなる快挙だ。

糖尿病などで腎機能が低下し、重症になると人工透析が必要となる。国内の人工透析患者は31万人とされ、年間の医療費は1兆円に及ぶとされる。腎臓を移植する方法もあるが、提供者は不足している。完全な腎臓組織を再生できれば、移植に使えるとみている。

腎臓は血液をろ過して老廃物などを体の外に出す働きなどがある。哺乳類の腎臓は構造が複雑で、どのようにできるのかが分かっていなかった。今後、完全な腎臓をつくるには膀胱(ぼうこう)と腎臓をつなぐ「尿管」も不可欠。糸球体や尿細管も3カ月の胎児の頃の大きさで、さらに成iPS細胞から立体構造・腎臓組織作成、世界初(熊本大) - 米科学誌セル・ステム・セル(電子版)長させる必要がある。

再生医療研究に関する国の工程表では、再生した腎臓細胞を治療に使う研究は2022年以降とされていたが、大幅に前倒しできる可能性が出てきた。 研究成果は12日付で、幹細胞分野を専門とする米科学誌セル・ステム・セル(電子版)に掲載されている ⇒ http://www.cell.com/cell-stem-cell/abstract/S1934-5909%2813%2900501-8

 JST(科学技術振興機構)のサイトにこの研究成果の詳しい解説が、12月13日付けで掲載されている
世界で初めてヒトiPS細胞から3次元腎臓組織作成に成功 ~腎臓再生医療への扉を開く~> http://www.jst.go.jp/pr/announce/20131213/

 

それの末尾に掲載されている「今後の展開」によると――「現段階では再生組織を移植することで血管を含む3次元構造までは形成されていますが、実際にそこから尿を産生する程度に機能的に成熟させるには至っていません。 今後はこの成熟化をいかにして試験管内もしくは移植組織で実現するか、また尿が産生されたとしてその尿を排出するための組織(尿管芽)をどのようにして作成するかという課題が残されます。 また、これらをすべて実現できたとしても、そこから大人の体を維持するのに必要な大きさの腎臓にまでどのように大きく成長させるのかを含めて考えると依然臨床応用には相応の時間が必要と考えられます。 とはいえ、今回の成果をきっかけに、これまで困難と考えられてきた腎臓の再生医療研究、さらには腎臓病の原因解明と新薬の開発が一気に加速するものと期待されます。

今回の世界初の成功をもたらした熊本大学・西中村隆一教授らのグループの研究を報じる記事では熊本日日新聞と朝日新聞が詳しいようだ。 では、記事をクリップして掲載――

iPS細胞から腎臓組織 世界初、熊本大チーム
(くまにちコム 2013年12月13日)

iPS細胞から腎臓組織 世界初、熊本大チーム(くまにちコム2013年12月13日)熊本大発生医学研究所の大学院生、太口[たぐち]敦博さん(31)と西中村隆一教授(50)=いずれも腎臓発生学=らの研究グループが、ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から大きさ2ミリの腎臓組織を作り出すことに世界で初めて成功した。西中村教授らは、遺伝性腎疾患の原因解明や創薬、将来の再生医療につながる一歩としている。

研究成果は12日付で、幹細胞分野を専門とする米科学誌に掲載された。

腎臓は、血液から老廃物をろ過して尿の元を作り、水分やタンパク質、糖分などを再吸収して尿を生産している。構造が複雑で、作るのが最も難しい臓器とされる。今回作り出すことに成功したのは、血液から尿をこし取る糸球体と、再吸収の役割を果たす尿細管。

腎臓はこれまで、発生の過程で中間中胚葉と呼ばれる部分から形成されると考えられ、太口さんもこの細胞にさまざまなタンパク質を与えて腎臓細胞の前身となる前駆細胞の作製を目指していた。

しかし、うまくいかないため、実験過程で処分していた「体軸幹細胞」と呼ばれる下半身の元となる部分を試しに使ったところ、昨年9月に前駆細胞を作製できた。腎臓が体軸幹細胞から作られることを特定したのも世界初という。

さらに、前駆細胞を誘導するために必要なタンパク質など5種類の物質を特定。この方法を応用し、ヒトのiPS細胞から作製した前駆細胞の培養を続けたところ、胎児の腎臓と同様の糸球体と尿細管が数十組できたという。

太口さんと西中村教授は、腎臓内科医として糖尿病など腎不全患者の治療に取り組んだ経験があり、より多くの患者を救おうと腎臓再生の研究を志した。

太口さんは「これまで分かっていなかった腎臓の発生過程を説明する道筋を見つけることができた。今後は腎臓を構成する他のパーツ作りに取り組みたい」。西中村教授は「多くの可能性を試したことで結果が出た。大きく成長させる壁に挑みたい」と話した。
(山口尚久)

■画期的な研究だ 東京大大学院医学系研究科の南学正臣教授(腎臓内科学)の話 腎臓が作られる元となる部分が違っていたことを発見したことを含め、画期的な研究だ。完全な腎臓を作り出すのはハードルが高いが、今回作製できた部分で、病気の原因や薬の効果を確認することもでき、個人に合わせた医療につながる可能性がある。

http://kumanichi.com/news/local/main/20131213002.shtml

「駄目だろう…念のため」捨てるはずの細胞が 熊本
(朝日 2013年12月13日03時00分)

研究について語る熊本大大学院の太口敦博と西中村隆一教授熊本大で成功したマウスのES細胞とヒトのiPS細胞から試験管内で腎臓組織を作る研究。同大学院生の太口(たぐち)敦博さん(31)が大きな役割を果たした。もっと患者を救いたいと臨床医から研究の道に転じて4年。成功のきっかけは、捨てるはずの細胞を使ってみたことだった。

熊本に来る前は、東京の病院に腎臓内科医として勤務。腎移植ドナーの不足から、人工透析の患者を救えないことにむなしさを感じていた。そんな時、同大の西中村隆一教授(腎臓発生学)の研究室を知った。試験管の中で腎臓組織を作るという、前人未到の研究に取り組んでいた。

腎臓発生の研究は、他の臓器と比べ特に遅れていた。「できるわけがない」と周りの医療関係者から冷ややかな言葉を投げられ、逆に「やってやろう」という気持ちが湧いたという。

2009年、同大学院の博士課程に進学。これまで研究では腎臓の元となる「腎臓前駆細胞」の発生過程そのものが解明されていなかった。

まず、腎臓前駆細胞の起源といわれていた細胞を機械で分けて育てる研究を進めた。だが、思ったような成果が出ない日が続いた。

「駄目だろうけど、念のため」

12年3月。腎臓には育たないとみられ、普段は捨てられていた細胞を使ってみようと思った。

「まさか」。1週間後、顕微鏡をのぞくと、腎臓前駆細胞が育っているのがわかった。すぐに西中村教授も確認。2人で握手して喜んだという。

西中村教授も、腎臓内科医から研究者に転じた経歴を持つ。「感無量でした。患者たちの思いも、背負ってきたつもりでしたから」

そこから半年ほどでマウスのES細胞から腎臓組織をつくることができた。成功のかぎは「そこまでやらなくてもいいだろうというところまで試す太口さんの姿勢」と西中村教授。今後は今回の研究を生かし、遺伝性の腎臓病の患者からiPS細胞を作ることで病気の解明・新薬の開発などに役立つ可能性がある。

太口さんは「細胞がきちんと機能するかなど、まだ課題はある。今後も研究を続けていく」と話した。 (日高奈緒)

http://www.asahi.com/articles/photo/AS20131213000231.html

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