<食材偽装表示>牛脂注入肉とは何なのか・その2、朝日新聞「牛脂注入肉 製造現場ルポ」記事より…

「食材偽装表示または食材虚偽表示の問題で頻繁に出てくる「牛脂注入肉」――牛脂を注入して霜降り肉にしたりすることは知っているが、その実態となるとよくわからん、というのが多くの消費者の姿ではないか? 私だけかも知れないが…」と書きだして、「<食材偽装表示>牛脂注入肉とは何なのか・その1、日経記事より…」を11月14日に投稿した。 これはその続きの投稿「<食材偽装表示>牛脂注入肉とは何なのか・その2、朝日新聞「牛脂注入肉 製造現場ルポ」記事より…」です。

朝日新聞の11月14日一面の見出し欄に掲載されていた「牛脂注入肉 製造現場ルポ」というのが目を引いた。
牛脂注入肉 製造現場ルポ(朝日2013-11-14)28面「生活」欄に掲載されていた記事は以下にクリップの如くだが、前出の「その1」の日経記事と比較して読むと各新聞社の問題へのアプローチの違いが分かり、非常に興味深い――

牛脂注入肉 製造現場ルポ(朝日2013-11-14 28面「生活」記事)では、記事本文のクリップ(画像クリックで拡大)――

パサパサ肉、1分で霜降り
(朝日2013-11-14 28面「生活」)

ホテルなどで次々に発覚する食材偽装表示。「牛脂注入肉」などを使いながら、加工肉と示さずビーフステーキなどと表示していたことが問題となっている。そもそも牛脂注入肉は、どうやって作られるのか。製造現場を見た。

牛脂注入肉 製造現場ルポ(朝日2013-11-14 28面「生活」記事)_牛脂注入肉  牛脂注入肉 製造現場ルポ(朝日2013-11-14 28面「生活」記事)_牛脂注入原料肉

■ <牛脂注入 製造現場は> 200本の針で 「おいしくする技術」に誇り

ほとんど脂のない赤身の肉が、剣山のような機械を通り抜けると、霜降り肉のような姿に変わっていた。その間、わずか1、2分。

ここは牛脂注入肉の製造工場。匿名を条件に東日本の食肉加工業者が取材に応じた。

赤身肉の塊がベルトコンベヤーを流れていく。主に豪州産とニュージーランド産の、出産を経験した「経産牛」を原料に使うという。

剣山のような機械は「インジェクター」と呼ばれる。下向きに長さ20センチほどの針が200本以上あり、下を通る肉を突き刺しては上がる。この動作を肉が通るたびに整然と繰り返す。突き刺したときに注入される牛脂は国産牛の脂を精製したもの。風味がよくなるアミノ酸などの添加物も入っているという。

肉は業務用として卸業者へ。レストランや弁当屋などに幅広く流通する。

加工前と後の肉を焼いてもらって試食した。加工前の肉はかたく、かみきれない。食感もパサパサで、うまみがほとんどなかった。

牛脂注入肉は一度でかみ切れるやわらかさ。何よりジューシーで、うまみが口に広がった。

牧草で育った外国産牛は肉質がかためだ。牛脂注入でやわらかい肉を和牛より安く提供できる。「おいしい肉にする技術。自分の子どもにも食べさせている」と開発に携わる幹部は強調した。社長はイメージ悪化を心配する。「後ろめたいものは作っていない。誇りを持っている」(久永隆一)

■ 80年代から開発、BSE後広がる

農林水産省や食肉加工業者によると、牛脂注入肉は1980年代、乳が出にくくなったホルスタインなどをおいしく食べようと開発が始まった。91年に牛肉が輸入自由化され、日本人の味覚に合わせるため開発が盛んになった。穀物飼料の改良で米国産の肉質がやわらかくなってからは、豪州産などが多いという。

牛脂注入肉の生産量に公式統計はないが、転機になったのはBSE(牛海綿状脳症)問題だ。2003年に米国産牛肉が輸入停止に。代わりにとファミリーレストランのほか居酒屋、焼き肉屋、弁当屋へと販路が広がった。

一方、今回の食材偽装問題で登場したもう一つの加工肉「成型肉」は60年代から製造されてきたという。

ある国内業者は、骨の周りの「くず肉」や内臓をかまぼこなどに使う食品添加物を使って固める。顧客の要望で比較的よい肉だけで作る場合も。「成型肉が悪いわけではない。捨てられかねない肉を有効活用している。成型肉と表示し、見合った値段で出せばよかったのに」と憤る。

「穀物飼料の高騰で牛肉の値段が上がっており、値上げを避けたい飲食店側は加工肉を使う」と話すのは大阪府内の食肉卸業者だ。サーロイン1キロの仕入れ値は牛脂注入肉1400~2千円、成型肉700~800円。1割をプラスして飲食店などに販売する。A3等級の和牛なら5千円以上だという。

AUSやわらかサーロインステーキ■ 「注入」明記、人気落ちず バークジャパン

湯気をたてて調理場から運ばれてきた「AUSやわらかサーロインステーキ」。メニューには「和牛脂注入肉」とある。中国地方中心のステーキチェーン「ミスター・バーク」は加工肉を明確に表示する。牛脂注入豪州産肉180グラムがライス付き1299円。加工していない米国産ステーキより人気が高い。

注入肉を「霜降サーロインステーキ」と表示していた2年前、和牛脂注入肉と明示しているミスター・パーク景品表示法違反として消費者庁の措置命令を受けた。表記を改訂したが、「売り上げは減らなかった」と運営会社「バークジャパン」(岡山市)の遠藤剛一社長(54)は話す。

「フォルクス」(運営会社「どん」・東京)も05年、景表法違反として公正取引委員会から排除命令を受けた。今は成型肉をやめ、注入肉も扱っていない。

一方、09年に成型肉の角切りステーキが原因とみられる食中毒が発生した「ペッパーランチ」(同ペッパーフードサービス・東京)。成型肉と注入肉の扱いをやめたが、注入肉ステーキを惜しむ客が多く、1年ほど前に復活させた。注入肉と書かず、「味を調えるための加工をしております」と表記する。

食品業界に詳しい流通ジャーナリストの内田裕雄さんによると、注入肉や成型肉は味や大きさが安定し、歯ざわりも調節できるため飲食店などで使われてきたが、表示する店は少なく「やわらか加工」などわかりにくい表示もあるという。「注入肉はスーパーなどの小売店では見ないが、総菜や弁当に使われている可能性がある」と話す。

(カラー画像は朝日電子版より ⇒ http://www.asahi.com/articles/OSK201311130183.html)

食材偽装のどこが問題になるのか? 手っ取り早く把握するには、この記事がよさそうだ――

なにが問題? 食材偽装 法律に照らしてみると
(朝日 2013年11月12日)

食材偽装のどこが問題になるのか?

食材偽装の問題点一覧表

食材偽装問題で、事実と違うメニュー表示をしていたと公表したホテル、百貨店、レストランなどは400カ所を超えた。誤りの内容も、不当さの度合いも様々だ。外食メニューには食品表示の規制は適用されない。そこで、表示に関わる法制度と照らし合わせ、どこに問題があるのか、改めて考えてみた。

■ どの程度「実際よりよく見せた」か

一連の偽装でとりわけ目立つのは牛肉とエビの表示だ。

ステーキという表示は「1枚の牛肉の切り身」という意味だ。細かい肉や脂身をつなげた成型肉や、霜降り部分を増やすために牛脂を注入した肉は「加工肉と表記しないと、景品表示法上問題」と消費者庁はサイトなどで見解を示していた。これまでも同法違反で排除命令を出したことがあり、今回もクロに近い。

景表法は、消費者をだます不当な表示を禁ずる法律。単に事実と違うだけでは違反と言えず「優良誤認」にあたるかがポイントだ。消費者庁の片桐一幸・表示対策課長は「その表示があることで実際のものより、すごくよく見えるかどうか」と解説する。

この点からすると、エビは品種によって判断がわかれそう。安いエビを高級感のある車エビと偽る表示は不当度が高い。一方、「芝エビはあくまでエビの一種」と、ある消費者庁職員。バナメイエビを芝エビと表記して「すごくよく見える」という基準を満たすかどうかは、不透明だ。

なお、水産庁の小売業者向けガイドラインでは、魚介の名称を細かく規定している。

ブランド名で実際よりもよく見せかけるブランド偽装は、景表法に抵触しそうだ。ただ、料理の中でブランド食材の占める割合が少ないと見なされれば、行政処分にならない。例えば白ネギと青ネギを使っていた大阪新阪急ホテルの「若鶏の照り焼き 九条ねぎのロティと共に」。「九条ねぎ」と銘打ったことで、どれだけよく見えたかが判断の分かれ目になりそうだ。

ロシア産ホッケを「羅臼産」と表記した産地表示は違反の可能性は高い。過去に、カナダ産ボタンエビを「北海道産」として違反とされた例がある。ただ、岩手県産豚肉を「宮崎県産」とした例などは「大差があると思えない」との専門家の見方もある。

■ 「鮮魚」「自家製」定義なし

「鮮魚」「自家製」などの表現も問題になった。

市販品を使って「フレッシュ」ジュース。JAS法に基づく「果実飲料品質表示基準」では、パック詰めのジュースには生やフレッシュなど新鮮であることを示す用語は使えないと決められている。

景表法やJAS法で定義がない言葉もある。

冷凍魚を解凍調理した料理を「鮮魚」としたケース。売り場ならJAS法で「解凍」と表示する義務がある。しかし、「鮮魚」は一般用語でもある。公表した阪急阪神ホテルズは「お客様がどう思われるかを重視した」。関係者の間には「冷凍は鮮度を保つための技術なのに」の声も。

近鉄ホテルシステムズのホテルも一部で同様の表示があったが発表資料は作らなかった。「牛脂注入肉の場合などとは異なると考えた。しかしお客様に混乱を与えた点は間違いなく、今後は『鮮魚』と表現しない方向で検討中」

ハムや漬物などを「自家製」とうたいながら実際は市販品などを使った例も相次ぐ。「自家製」の定義はJAS法にもない。公表したホテルは「メニューと異なっていたことは、お客様に伝えるべきだった」と口をそろえる。

「長野県のホテルなどで『高原野菜』と表示したが、高原をイメージさせる長野県産でなく他県産」と6月に発表をしたプリンスホテル。米国産ホワイトアスパラを信州産とした同社の他の事例に比べ「高原野菜」の定義はあいまいだが「お客様が満足しなかった可能性があるケースをすべて公表した」と同社。

■ 法整備や業界指針を 消費者は流されずに

「違法」といえるものから「社会常識的に不適切」なものまでまとめて発表されている。消費生活コンサルタント森田満樹さんは「食品表示制度に対する理解不足の表れ」と指摘する。あいまいな表現は業界がガイドラインを作るなどして整理し、守る体制を整えるべきだという。

「雰囲気を重視した語句で消費者受けを狙うのは、食品表示全体の傾向」と元全国消費者団体連絡会事務局長の日和佐信子さん。社外取締役を務める雪印メグミルクでは改善のため、商品パッケージの任意表示に関するマニュアルを作成。「自家製」「特上」などは根拠がない言葉として禁じる。「消費者もイメージに流されず、表示の言葉の本当の意味を、少し斜めの目線で考えてみて」

食品表示の理解不足は、行政側の問題でもある。食品表示に詳しい技術士の藤田哲(さとし)さんは「法の不備と取り締まりの不十分さがある」と指摘する。NPO法人「食品安全グローバルネットワーク」事務局長の中村幹雄さんは、2015年施行の食品表示法の規制対象に外食や持ち帰りの中食も含めるよう、主張する。

キーワード

JAS法と景品表示法> 生鮮食品や加工食品を販売する際、原材料や産地表示などはJAS(日本農林規格)法のルールがあり、違反した場合、罰則もある。外食のメニューは対象外で、商品、サービスなどの表示全般を規制する景品表示法が適用されることが多い。JAS法などを一元化した食品表示法が2015年に施行されるが、外食は対象外。

http://www.asahi.com/articles/TKY201311110524.html

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