高速ツアーバス7月末で廃止、8月1日どう変わる高速バス?

8月10日更新】 去年4月の関越自動車道の高速ツアーバス事故のあと、国は安全対策を強化し、高速ツアーバスの制度は7月末で廃止される。 8月1日より新制度「高速バス」が始まる。 その一方で、事業からの撤退が相次ぎ、この夏の帰省ラッシュにバスが不足し、路線によっては予約が取りづらいといった影響が出ることも予想されている。 なにがどう変わるのか?

高速ツアーバス7月末で廃止4
乗客を乗せて高速道路を走るバスはこれまで次の3タイプだった――

● 高速ツアーバス
● 観光バスや以外の貸し切りバス
● 路線バス

関越自動車道事故を受け、国土交通省は高速ツアーバスを対象に安全基準を厳しくし、去年7月、運転手が夜間1人で乗務できる距離を670キロから、原則400キロに見直した。 さらに去年12月には、観光バスやそれ以外の貸し切りバスも厳しい安全基準が適用された。 今年8月1日からは路線バスも対象となり、乗客を乗せて高速道路を走るバスは全て厳しい安全基準が適用されることになった。

なぜ、運転手が夜間1人で乗務できる距離が400キロなのか? それは、国交省が安全基準の見直しに先立って2700人余りの運転手を対象におこなったアンケート調査の結果を踏まえたものだ。 調査に対し約80%の運転手が、「夜間、安全に運転できる距離」について、「400キロまで」と回答した。

さらに、国交省が高速ツアーバスの運行会社を調べたところ、全体の64%の会社が、運転手に必要な休憩をとらせなかったり、長時間運転させたりしていたというこが判明した。 このため、国交省は前述の3タイプのバスを「高速バス」に統一し、ツアーを企画し客を集める会社が運転手の健康管理といったバスの運行についても責任を持たせることにした。

しかし、新制度の「高速バス」で認可を受けるには、これまで高速ツアーバスを手がけてきたバス会社にとっては、運転手の増員などを迫られ、新たな経費が必要になる。 また、停留所の設置も義務づけられたためハードルが高くなった。 このため、事業からの撤退が相次いでいる。 国土交通省によると、高速ツアーバスを手がけていた合わせて286社のうち、高速バスとして事業を継続するのは、今の時点で111社と、全体のおよそ40%にとどまっている。

このため、多くの高速ツアーバスが運行されてきた東京と、大阪や名古屋、それに仙台を結ぶ路線は、この夏の帰省ラッシュにバスが不足し、予約が取りづらいといった影響が出ることも予想されている。

(参照 NHKニュース「高速ツアーバス廃止 影響も」(7月23日21時1分)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130723/k10013244643000.html)

要点や問題をまとめると――

高速ツアーバスは、旅行会社が乗客をツアー客として集め、バス会社に運行を委託する事業形態。 旅行会社が安全責任を負わないため、その安全性が問われた。 一部で、安全管理体制がずさんなバス会社へ委託していた実態も明らかになった。

高速ツアーバス7月末で廃止1制度の改正で、都市間の輸送をする高速バスの運行は、国から許可を得たバス会社に限定される。 全て路線バスに変更される。

高速ツアーバス7月末で廃止2
新制度でバス会社には、

● バス停の設置が義務づけられる
● 運賃や便数なども事前に届け出が必要
● 一人の運転手が夜間運転できる距離は、原則400キロまでに制限
● 運転手の体調管理も求められる
● バスの運行を記録する装置(デジタルタコグラフなど)の設置が設置が奨励されている
高速ツアーバス7月末で廃止3

☛ 高速バス運行を断念したバス会社の多くが出くわした問題がバス停の確保だった。 路線バスを運行するには、採算の見合う場所でバス停を確保しなければないのだが、そのためには警察の許可や周辺住民の同意などが必要になる。 しかし東京駅や横浜駅など、都市部でバス停を確保するのは不可能だという。

☛ 高速ツアーバスを運行してきた286社のうち6割が撤退する。 また、事業を継続するバス会社でも大幅に便数を減らさざるを得ない。 NHKが報道した例でいうと、8月の1か月間で953台の運行実績があった会社が今年8月に設定している便数は186台、と運行するバスは5分の1なっている。 なぜなのか? それはこういう事だそうだ――

「高速ツアーバス」は、路肩などにバスを止めて、何便ものバスを発着させてきた。 それが出来なくなる、なぜなら、制度の改正でバス停を使うことが義務づけられたからだ。 この会社では、他の旅行会社4社と、大手バス会社が持つ停留所を使わせてもらう契約を交わした。 しかし、バス停は空いている時間しか使うことができない。 そのため、1日6便の枠しか確保できなかった。 限られた便数で利益を上げるため、値上げに踏み切りざるを得なくなり、平日3,500円だった路線の8月運賃はは4,370円。 2割の値上げとなっている。

(参照 NHK特集まるごと「どう変わる?高速バス」(2013年7月23日)http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2013/07/0723.html)

国交省の高速バスの新制度に関する資料を抜粋して掲載しよう(画像クリックで拡大)――

高速乗合バスと高速ツアーバス(国交省資料)

高速乗合バスと高速ツアーバス(国交省資料)

高速ツアーバスの問題点(国交省資料)

高速ツアーバスの問題点(国交省資料)

新たな高速乗合バスへの移行(国交省資料)

新たな高速乗合バスへの移行(国交省資料)

新たな高速乗合バス規制による安全の確保(国交省資料)

新たな高速乗合バス規制による安全の確保(国交省資料)

(出典: 国交省資料 http://www.mlit.go.jp/common/000210606.pdf)

続報 8月10日

国土交通省によると、高速ツアーバスを手がけていた合わせて286社のうち、およそ200社が撤退し、高速バスとして事業を継続するのは80社にとどまっている。 多くの高速ツアーバスが運行されてきた東京と、大阪や名古屋、それに仙台を結ぶ路線は、この夏の帰省ラッシュにバスが不足し、予約が取りづらくなると懸念されていたが… 制度変更での高速ツアーバス会社の苦戦をNHKニュース(8月10日)はこのように伝えている――

「高速ツアーバス」制度変更で苦戦
(NHK 8月10日17時25分)

格安の運賃が魅力で帰省客にも人気があった高速ツアーバスは、安全対策を強化するため高速道路を走る路線バスと統一され、今月から新たな制度で運行されています。 路線バスと同じように停留所の設置が義務づけられ、高速ツアーバスを手がけてきた会社の中には、利便性の高い場所に停留所を確保できず、利用客を思うように集められないところが出ています。

10日午前8時すぎ、東京・新宿の高速バスの停留所では、帰省客が名古屋や仙台に向かう便に次々に乗り込んでいました。 この高速バスを運行しているバス会社は、これまでは新宿駅の西口近くにバスを横付けして乗客を乗り降りさせていましたが、新たに停留所の設置が義務づけられたため、新宿駅からおよそ1.5キロ離れた場所に停留所を確保しました。

10日は厳しい暑さのなか、新宿駅から大きな荷物を抱えて停留所に向かう人たちの姿が見られ、名古屋行きのバスに乗って帰省する41歳の男性は「暑くて荷物が重いのに、停留所が遠くて分かりづらく、以前より不便になりました。価格も上がっているので、新幹線で帰ればよかったかなと思います」と話していました。 この会社には利用客から不便になったという声が相次いで寄せられていて、お盆の期間中の予約が埋まらない状況になっているということです。

また、別のバス会社は、これまで東京から地方に向かうバスの出発場所にしていた新宿駅周辺に停留所を確保できず、出発場所を東京駅近くに変更した結果、固定客が離れてしまったということです。 さらに安全基準が強化され、夜間に運転手が1人で運転できる距離が短くなったことなどに対応するため、この時期の価格を平均で10%程度上げたことも影響し、予約が埋まらない状況が続いているということです。 このバス会社の天野正幸社長は「帰省ラッシュのピークの11日も予約が埋まらず、大変です。サービスを充実させて何とか集客を図りたい」と話していました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130810/t10013690571000.html

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