株急落を増幅する「プログラム売買」の実態(日経「スクランブル」)…

株式相場が株価指数先物取引によって振れやすくなっている。 振幅を大きくしているのが、あらかじめ決められたプログラムによって自動売買するコンピューターの存在だ。 先物が主導したという今回の急落の水面下はどんな実態だったのか。 以下、日経「スクランブル」の記事をクリップ――

株急落を増幅する「プログラム売買」の実態
証券部 藤原隆人
(日経「スクランブル」 2013/6/3 21:15)

株式相場が株価指数先物取引によって振れやすくなっている。3日の日経平均株価は前週末比512円安と今年3番目の下げ幅に達した。振幅を大きくしているのが、あらかじめ決められたプログラムによって自動売買するコンピューターの存在だ。瞬間の取引のスピードでは、もはや人間はコンピューターにかなわない。先物が主導したという今回の急落の水面下はどんな実態だったのか。

株急落を増幅する「プログラム売買」の実態(日経)1    株急落を増幅する「プログラム売買」の実態(日経)2
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3日、日経平均株価は大引けにかけて下げ足を速め、終値は前週末比512円(3.7%)安の1万3261円で取引を終えた。日経平均は5月23日に1143円安と急落したのを手始めに30日に737円安と下げ幅が大きくなっている。背景には「コンピューターによる売りをきっかけに、投資家の投げ売りが出て、売り乗せが広がる構図がある」。東洋証券の中川祐治デリバティブ・ディーリング室長はこう指摘する。

そもそもコンピューター売買はどのようなアルゴリズム(計算手順)になっているのだろうか。ヘッジファンドと長く取引し、今年5月に病気で急逝した草野豊己氏によれば「コンピューターによるロボットトレードの基本は4パターン」と分類している。一つ目は「トレンドフォロー型」。相場が上昇すると買い上がり、下落すると売る、相場の流れに追随する取引方法。人間と異なりコンピューターは「震えない、喜ばない、疲れない」。相場が1000円、2000円と大きく下げたときにも怖くなって売れなくなったり、値ごろ感から買ったりするという「投資家心理」を挟まずに、機械的に追随売りを出す。5月23日以降の下げ局面で中心となったプログラムといわれている。

2つ目がブレイクアウト型。相場が新高値を更新すると買い、新安値で売るなど、相場が節目を突破するとさらに同じ方向に勢いづかせるプログラム だ。日経平均は3カ月間の平均売買値である75日移動平均(1万3034円)に接近しており、この節目を下回るようなら、「ブレイクアウト型」がさらに売 り乗せしてくる可能性が大きくなる。売買高や価格の変化率上昇に応じて売買を拡大してくる「ボリューム・モメンタム型」も値動きを激しくするのに一役買っ ているようだ。

今後、調整局面が落ち着き、株価が反騰する局面で登場しそうなのが「カウンタートレード型」だ。トレンドフォロー型の逆の タイプで、上昇トレンドのもとで買われすぎたり、下落トレンドが続いて売られすぎたと判断すると、安値買いや高値売りを繰り返しながら、トレンドの最後に 起こる反落、反騰を利用して収益機会を広げようとする。

株急落を増幅する「プログラム売買」の実態(日経)3CTA(先物投資顧問)とも呼ばれる、こうしたコンピューター売買のマネーは世界で数十兆円あるとみられている。ヘッジファンドに詳しい市場関係者によれば、そのうち1~2割が現在、日本株に向かっているという。安倍政権の経済政策「アベノミクス」を機に、海外投資家の注目度が一気に高まり、収益機会がぐんと増えたためだ。

コンピューター売買が増幅した日本株相場の急落は、グローバルマクロ型など人間の相場観も加味して投資判断を下すヘッジファンドも「日本株の持ち高をいったん圧縮する」(ゴールドマン・サックス証券の宇根尚秀エクイティデリバティブトレーディング部長)要因となった。投資家は一般的に、保有する株式の価格にボラティリティーと呼ばれる予想変動率を乗じてリスク量をはじいている。市場が織りこむ相場の先行きの変動率を示す日経平均ボラティリティー・インデックスは5月半ばの20%台から37.4%と急上昇。相場に強気の投資家でも、リスク許容度の低下で日本株を持てる量が上限に達し、機械的な「投げ」が出て、さらに値が下がるという循環になっている。

3日、日経平均株価は大引けにかけて下げ足を速め、終値は前週末比512円(3.7%)安の1万3261円で取引を終えた。日経平均は5月23日に1143円安と急落したのを手始めに30日に737円安と下げ幅が大きくなっている。背景には「コンピューターによる売りをきっかけに、投資家の投げ売りが出て、売り乗せが広がる構図がある」。東洋証券の中川祐治デリバティブ・ディーリング室長はこう指摘する。

そもそもコンピューター売買はどのようなアルゴリズム(計算手順)になっているのだろうか。ヘッジファンドと長く取引し、今年5月に病気で急逝した草野豊己氏によれば「コンピューターによるロボットトレードの基本は4パターン」と分類している。一つ目は「トレンドフォロー型」。相場が上昇すると買い上がり、下落すると売る、相場の流れに追随する取引方法。人間と異なりコンピューターは「震えない、喜ばない、疲れない」。相場が1000円、2000円と大きく下げたときにも怖くなって売れなくなったり、値ごろ感から買ったりするという「投資家心理」を挟まずに、機械的に追随売りを出す。5月23日以降の下げ局面で中心となったプログラムといわれている。

CTA(先物投資顧問)とも呼ばれる、こうしたコンピューター売買のマネーは世界で数十兆円あるとみられている。ヘッジファンドに詳しい市場関係者によれば、そのうち1~2割が現在、日本株に向かっているという。安倍政権の経済政策「アベノミクス」を機に、海外投資家の注目度が一気に高まり、収益機会がぐんと増えたためだ。

コンピューター売買が増幅した日本株相場の急落は、グローバルマクロ型など人間の相場観も加味して投資判断を下すヘッジファンドも「日本株の持ち高をいったん圧縮する」(ゴールドマン・サックス証券の宇根尚秀エクイティデリバティブトレーディング部長)要因となった。投資家は一般的に、保有する株式の価格にボラティリティーと呼ばれる予想変動率を乗じてリスク量をはじいている。市場が織りこむ相場の先行きの変動率を示す日経平均ボラティリティー・インデックスは5月半ばの20%台から37.4%と急上昇。相場に強気の投資家でも、リスク許容度の低下で日本株を持てる量が上限に達し、機械的な「投げ」が出て、さらに値が下がるという循環になっている。

相場の急変動に乗じて収益機会を最大化しようとするプログラム売買の世界では、想定外に打ち出される規制は厄介な存在だ。急落後の5月28日、麻生太郎副総理・財務・金融相は「1日にこれだけ乱高下するというのは、あの機械のおかげだ」とコンピューター売買が相場の乱高下の大きな要因と認めながらも、「痛い目にあわないと治らない」と述べ、当局による規制にはなじまないとの意向を示した。甘利明経済財政・再生相も規制には言及せず、これが「コンピューター売買を容認したと受け止められた」(中川氏)。突然の規制というリスクを気にせず、売買できる環境が続くと受け止められたというのだ。

米国では2010年5月、ごく短時間にダウ工業株30種平均が大幅安になった「フラッシュ・クラッシュ」取引の後、いったん決まったはずの約定が取り消されるという異例の事態が起きた。約定を取り消しされる恐れがある市場環境は、損益が確定しないという事態が起きうるため、コンピューター売買にとってはリスクが大きい。以後、米国ではコンピューターによる派手な売買が影を潜めたといわれるなか、株価の振幅そのもので稼ごうとする一部のマネーは今、日本市場を狙っているという。

コンピューターは過去の相場の「ビッグデータ」を機械的に学習し、従来は人が「勘と経験」でこなしていた判断を身に着けているだけではなく、注文スピードも早い。10~20年の経験に裏打ちされたベテランディーラーも「もはや日中に場中の一瞬のサヤを狙う売買は太刀打ちできない」と舌を巻く。

プログラム売買が相場の振幅を大きくする環境は当面続くだろう。では、投資家はどう身を守ればいいのか。コンピューターが持ち合わせないのは、想定外の規制発動という突発事態などに対処し、総合的な判断で戦略を変えていく柔軟性かもしれない。中川氏は「高速取引とは時間軸を変え、コンピューターが持たない中期的な相場観で持ち高を形成して勝負する」と話す。個人投資家にとってはコンピューター売買が演出する短期的な変動に動揺せず、デイトレードより中長期の視点に立った投資で着実に収益を上げる道を探るほかなさそうだ。

http://www.nikkei.com/markets/column/scramble.aspx?g=DGXNMSGD03056_03062013000000&df=3

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