大学受験願書受付の全面オンライン化⇒東名阪の大手私大|紙の願書は受け付けない、そういう時代なんだな~!他の大手私大にも波及して行くのだろう…

東洋大、中京大、近畿大など東京・名古屋・大阪の大手私大が相次ぎ大学受験願書受付の全面オンライン化に踏み切ったことで、一定以上の規模がある私大にも同様の動きが波及するとみられている。 大学案内も紙に印刷したものはやめて、ペーパーレス化するという。 背景には少子化と経費節約がある。 また、ネットに慣れ親しんでいる現代の受験世代には出願オンライン化への抵抗はないだろう。 タブレットPCやスマホを使い5分で出願申込み…そういう時代へと移行しつつあるわけだ。 以下、日経コンフィデンシャルのスペシャルリポートをクリップ(画像、クリックで拡大)――

紙の願書を受け付けない大学のサバイバル事情
(日経「スペシャルリポート」 2013/5/22 7:00)

受験者数が多いことで知られる東名阪の私立大学が相次ぎ、願書受付の全面オンライン化に踏みきった。近畿大学(大阪府東大阪市)が2014年春の入試から紙の願書を廃止してネット出願に完全移行すると宣言したのを皮切りに、複数の私立大学も追随の動きを見せる。デジタル機器の扱いに慣れ親しんだ受験生を意識し、大学が「ネットフレンドリー」に脱皮しようとする事情とは――。

■ スカイツリーの3倍の高さ

日経_紙の願書を受け付けない大学のサバイバル事情 1(小)「近大へは願書請求しないでください。」

今年1月、大阪のJRや地下鉄駅にこんな刺激的なポスターが貼られた。大書されたキャッチコピーの下をよく読むと、「あ、誤解しないでくださいね。我々はもちろん受験生の皆さんに近大を受けて欲しいんです。」と小さな文字で説明が続く。資源の無駄遣いにつながる紙の願書を使わず、なるべくネットでの出願を使ってほしいと呼びかけた。

4月中旬、全国で初めてオンライン出願への完全移行を公表した近畿大は08年からネットでの出願の仕組みを導入し、紙による出願と併用していた。「近大エコ出願」と銘打ってオンラインで申し込めば受験料を割り引く制度も採用。今年の入試では64%の受験生がネット経由で申し込んだ。

少子化にもかかわらず、近畿大を志望する高校生・浪人生は増え続けている。13年春の入試では過去最多の志願者数(推薦入試も含む)を集めた。その数、実に12万6923人。毎年印刷していた約13万部の願書セットを横に寝かせて重ねていくと、「東京スカイツリー(高さ634メートル)3本分の高さに匹敵する」(近畿大)という。

紙の印刷をやめると、どれぐらいのコストを節約できるのだろうか。近畿大は、「年間約5000万円の費用が浮く」と予測する。これまで送られてきた願書の仕分け費用に2400万円、紙・印刷代が2600万円程度かかっていたという。

また、紙の願書では複数学部を併願する受験生が合計受験料の計算を間違えやすく、払い戻しや追加振り込みといった精算業務などにプラスアルファで手間がかかりがちだった。ネット経由だと、入力時にこうしたミスも自動アラート機能で防ぎやすいという。近畿大は浮いた費用を受験料の値下げを通じて受験生や親に還元するほか、高校生に向けた広報活動を活発化することに回す。

電子化はパソコンやスマートフォンの操作に慣れた受験生にとっても利便性の向上につながる。オンラインで出願するには、サイト内の指示に従って(1)受験する学部・学科の選択→(2)個人情報の入力→(3)決済手法の選択のプロセスを経ることが一般的。大学によってつくりは違うが、「A学科とB学科を受けると、同じ受験料でC学科も受けられます」などといったリコメンド(推薦)機能がついている事例も少なくない。

オンライン出願のシステム開発・運用会社最大手、河合塾グループのKEIアドバンス(東京・千代田)によると、受験生が画面を操作する時間は「1大学につき5分から15分ぐらい」。タブレット(多機能情報端末)を使って通学途中に出願、といったことも可能だ。

■ 大学案内もペーパーレス化

近畿大に続くように、東洋大学(東京・文京)や中京大学(名古屋市)も出願書類の紙での受け付けを来春入試からとりやめ、ネットに完全移行することを決めた。

東洋大は近く、願書に加えて大学案内のパンフレット発行も打ち切るという。例年、願書は約14万部、大学案内は約50万部を発行していた。パンフレットは毎年、最新号を全国の高校や予備校などに配布してきたものだが、そこまで一気に紙媒体を打ち切ってしまっても大丈夫なのだろうか。

東洋大入試部の加藤建二部長は、「今の学生の気質や行動を見ていると、紙よりもウェブを見て頂く方がいいんですよ」と明かす。

日経_紙の願書を受け付けない大学のサバイバル事情 2(小)大学受験の主役である現在の18歳世代が生まれたのは1995年前後だ。日本の商用インターネットが産声をあげたのとほぼ同時に生を受け、物心ついたころには家や学校にもパソコンが幅広く普及。従来型携帯電話やスマートフォン(スマホ)も身近にあったためか、他人とのコミュニケーションや情報を摂取する媒体として、ネットや情報機器をあたかも身体の一部のように使いこなす人が多い。

そこで、東洋大はPR戦略も今どきの受験世代により響く手法に切り替えることにした。6月1日から「TOYO Web Style(東洋ウェブスタイル)」と呼ぶサイトに、高校生や浪人生の閲覧を想定した大学案内コーナーを立ち上げる。各学部や学科の教授らが出演して「マーケティングとは?」「財務諸表とは?」など、入学したら実際にキャンパスで学べる学問をかみ砕いて伝える動画もふんだんに掲載する。

加藤部長は「紙の大学案内だと制作時間がかかるため、配られるころには掲載情報が古くなりがち。その点、最新情報を随時更新できるネットの方が受験生のニーズにもあっている」と話す。動画共有サイト「YouTube(ユーチューブ)」や「ニコニコ動画」に慣れ親しんだ10代には、大学の全体像を直感で理解してもらいやすいとにらんでいる。

東洋大は職員が手分けして、全国各地の高校への説明会で年間およそ1200校を訪ねている。ネットでの積極的な情報発信に乗り出すことで今まで回りきれなかった学校の受験者にも関心を持ってもらうなど、新たな層を掘り起こすことにつなげたいと考えている。

費用でみると紙の願書と大学案内の発行に年数千万円かかっていた。完全ネット化により圧縮した費用は、コンテンツ制作やIT投資などに重点的に回すという。

 少子化でコスト意識に目覚める

日経_紙の願書を受け付けない大学のサバイバル事情 3(小)今回、東洋大と中京大、近畿大の東名阪での大手私大が相次ぎ出願の完全ネット化に踏み切ったことで、一定以上の規模がある私大にも同様の動きが波及するという見方も出ている。大学への「入り口」である出願や大学案内のあり方で、民間企業並みのコスト意識が生まれてきた背景には、少子化による18歳人口の減少への危機感もありそうだ。

もっとも、今回ネット化への完全移行を決めた3大学は受験者数や入学者数も多く、財務が比較的健全な大学が多い。一方で、日本の私大の約4割は定員割れにあえぎ、赤字の大学法人も4割程度ある。少子化が一段と進めば、競争力に乏しい大学は淘汰の波にさらされる。

構造上、大学の収入は授業料や受験料への依存度が大きい。例えば中京大の場合、2011年度実績で企業の年間売上高に相当する「帰属収入合計」は194億3000万円で「消費支出」(185億4000万円)を上回り黒字経営だ。帰属収入の内訳を見ると、授業料などで構成する「学生生徒納付金」(167億7000万円)と入試の検定料を含む「手数料」(4億7000万円)の合計は89%にも達する。中京大も志願者は3万人規模と過去最高水準にある。こうした大学もこの先、志願者や入学者が減ることになれば収支バランスが大きく崩れかねない。オンライン化はこうした事態も見据えた効率運営への第一歩といえる。

リクルートホールディングスが発行する「カレッジマネジメント」の小林浩編集長は、「17年までの数年間は大学にとって改革の好機で、本格的なマーケティング戦略が問われる時代」だと解説する。それはマクロ的な構造に目を転じると、今が大学経営にとってつかの間の「凪(なぎ)」時代にあたるからだ。18歳人口は現在約120万人で、17年ごろまでは横ばいが続くとみられる。これまではほぼ一本調子で減少を続け、団塊ジュニア層が大学受験をしたピーク時の1992年(205万人)を4割強下回る水準が足元の水位だ。

■ 改革のリミットは2017年

いまはいったん底入れし、「18歳=120万人」の水準は17年ごろまでは横ばい。しかし、2018年から再び下降線をたどる。小林編集長によれば20年には117万人、25年には109万人と目に見えて減少していく見通しだという。18~25年には「定員規模500人の大学が100校なくなってもおかしくない」と警鐘を鳴らす。

大学にとっては、それまでの猶予期間に取り組むべき課題は少なくない。留学生の受け入れや海外提携校を拡大する国際化戦略、「出口」である就職率のアップ――。大学の収入の柱の一つとなってきた補助金行政も踊り場にさしかかっている。行政側は大学が応募するプランをふるいにかけ、メリハリをつけ補助金を配分する方向にかじを切っているためだ。

すでに就職活動の現場では、大学の願書にあたる「エントリーシート(ES)」をネットで受け付ける流れが事実上の標準になっている。この点、デジタル化への意識や体制で後れていた大学がようやく重い腰をあげたようにも見える。

出願のネット化は単なる「入り口」の合理化に過ぎない。近畿大や東洋大は今回の改革について、「紙への信仰が根強い親世代には慎重論もなくはなかった」と明かすが、前例にとらわれずに一歩前に踏み出す方を選んだようだ。リミットまでの5年間にいかに固定観念に惑わされず、改革を継続するかの手腕が試される。 (産業部 杉本晶子)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1601B_W3A510C1000000/

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