非正規労働者の5人に1人が「望まない非正規雇用」(総務省調査)|10年以上非正規で働く人の現状はどうなのか…

総務省は、増加傾向にある非正規雇用の実態を把握するため、ことし1月から3月までの平均の労働力調査で、パートや派遣社員などの非正規労働者を対象に、その仕事に就いた理由を初めて調査した。 正規の仕事がないという理由から望まずに非正規の仕事に就いている人は348万人で、非正規労働者のおよそ5人に1人に上ることが明らかになった。 以下、統計グラフ⇒NHKニュース⇒NHK Web特集・特設記事⇒「雇い止めをどう防ぐかという朝日新聞記事クリップの順で掲載。

では、非正規雇用の労働者数はどのくらいなのか? 総務省「労働力調査(詳細集計)」(平成24年平均(速報))と「労働力調査(基本集計)」(平成25年1月分(速報))によれば、役員を除く雇用者数(全産業)は5,154万人で、正社員が3,340万人、非正規雇用労働者が1,813万人である。 実に、35.2%が非正規雇用となっている。 1985年から2012年までの、正規・非正規雇用の推移をグラフにすると以下のようになる(画像クリックで拡大)。

以下は、総務省の非正規雇用理由調査結果を伝えるNHKニュースクリップ――

5人に1人が「望まない非正規雇用」
(NHKニュース 5月14日17時54分)

5人に1人が望まない非正規雇用(NHK13-5-14)01総務省が、パートや派遣社員などの非正規労働者を対象に、その仕事に就いた理由を初めて調査したところ、正規の仕事がないという理由から望まずに非正規の仕事に就いている人は348万人で、非正規労働者のおよそ5人に1人に上ることが明らかになりました。

5人に1人が望まない非正規雇用(NHK13-5-14)02総務省は、増加傾向にある非正規雇用の実態を把握するため、ことし1月から3月までの平均の労働力調査で、パートや派遣社員などの非正規労働者を対象に、その仕事に就いた理由を初めて調査しました。 それによりますと、非正規労働者の数は1870万人で、多い理由の順に、「自分の都合のよい時間に働きたいから」が418万人、「家計の補助や学費などを得たいから」が390万人、「正規の仕事がないから」が348万人となり、正規の仕事がないという理由から、およそ5人に1人が望まずに非正規の仕事に就いていることが明らかになりました。

5人に1人が望まない非正規雇用(NHK13-5-14)03また、男性の理由では、「正規の仕事がないから」が171万人で最も多く、次いで「自分の都合のよい時間に働きたいから」が120万人、「専門的な技能などを生かせるから」が67万人などとなっています。

5人に1人が望まない非正規雇用(NHK13-5-14)04一方、女性の理由では、「家計の補助や学費などを得たいから」が324万人で最も多く、次いで「自分の都合のよい時間に働きたいから」が298万人、「正規の仕事がないから」と「家事や育児、介護と両立しやすいから」がいずれも177万人などとなっています。

厚生労働省が3年前に行った推計では、望まずに非正規の仕事に就いている人は339万人で、今回の結果はこれを9万人上回っており、総務省は「厳しい雇用情勢が続いていることが改めて裏付けられた」としています。

■ 日本企業の競争力低下も

今回の調査結果について、非正規労働者の雇用問題に詳しい「みずほ情報総研」の小曽根由実さんは、「非正規で働く人たちは、正社員に比べて、仕事の内容も期間も限定的なため、十分な職業能力を身につけられない。企業は厳しい経済情勢のなかで人件費を抑えようと非正規労働者を増やしてきたが、このまま多くの若い人たちが不本意に非正規を続け能力を身につけられなければ、日本企業の競争力の低下にもつながりかねない」と話しています。

こうした非正規労働者を減らす対策については、「国は、職業訓練に力を入れて正社員化を後押ししようとしているが、訓練では基礎的な能力しか身につかず、それだけでは必ずしも正社員に結びつかない。働きながら実践的な能力を身につけられる、トライアル雇用などをもっと充実させるべきだ」と指摘しています。

また、正社員と非正規労働者の中間的な働き方については、「安定的な雇用も確保されるし、正社員に向けたステップアップにもつながるので、非常に有効な手段で、今後、広げていくべきだ」と話しています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130514/k10014568721000.html

上記の総務省の「非正規雇用の理由」の調査結果のニュース関連して、NHKWEB特集では「望まぬ非正規雇用の実態明らかに」(5月15日)というのを掲載していた。 それを抜粋クリップして以下に掲載――

■ 雇用の厳しさ改めて裏付け

今回の結果は、「景気の調整弁」とも言われる非正規労働者の置かれている現状を浮き彫りにしたもので、総務省は、「非正規労働者の数が過去最高を更新するなど、厳しい雇用情勢が続いていることが改めて裏付けられた」と受け止めています。

■ 10年以上非正規で働く人の現状は

望まぬ非正規雇用の実態明らかに(NHK Web特集)1東京・新宿区に住む井島亨さん(38)は、14年前に美術大学を卒業後、正社員を目指しながら10年以上、非正規雇用で働いています。 井島さんは、大学で学んだ技術を生かしてゲームのデザインの仕事に就きたいと30社以上受けましたが、当時は就職氷河期ということもあり、就職できませんでした。 井島さんは、パソコンの技術を習得すれば正社員への道が開けるかもしれないと、パソコンのレンタル会社で非正規雇用として10年以上働きましたが、リーマンショックのあと、業績の悪化などを理由に会社から契約を更新しないと、突然、告げられました。 今はスーパーで週5日、レジ打ちのアルバイトをしていて、手取りは月およそ12万円です。 正社員を目指して1年間、国の職業訓練を受け、ホームページの作成などを学び、50社以上に応募しましたが、いずれも即戦力にならないことを理由に採用されませんでした。 井島さんは「非正規雇用を続けても結婚や家族を持つことはできないので、どうしても正社員になりたい。 アルバイトでもいいから信用を積み上げて正社員になれるよう道を開いていきたいと考えているが、企業の求める即戦力のレベルに達するのはなかなか難しい」と話しています。

■ 国の支援の現状は

望まぬ非正規雇用の実態明らかに(NHK Web特集)2国はこれまで、こうした人たちの正社員化を図るため、ハローワークでの支援や職業訓練を行ってきました。 平成23年度に、国の職業訓練を利用した人は、およそ41万人。 しかし、ここでも企業が求める高いスキルが壁になって、正社員などの安定的な仕事に就けた人は、就職した人のうちの6割から7割程度にとどまっています。 委託を受けて国の職業訓練を行っている千葉県の専門学校では、きめ細かい面接や、企業への実習など工夫を重ねていますが、企業の求めるスキルとの差を埋めるのは簡単ではないということです。 専門学校の校長は「授業で知識や技能を学ぶだけでは受講者が企業の求める即戦力になるのは難しく、コミュニケーションなども加えた教育を行う必要がある」と話しています。

■ 企業の新たな取り組み

こうしたなか、即戦力としての高いスキルを会社の中で身に着けることで正社員に近づいてもらおうという企業の動きが出ています。

JR京都駅でカフェを運営する大阪・吹田市の企業では、1年契約ごとの非正規の人は3年以上働けばそのスキルを評価して契約更新なしに定年まで働き続けられる「無期雇用」に切り替える制度を導入しています。 給与は正社員より低いままですが、これまでより安定した正社員と非正規労働者の中間的な働き方です。 さらに、一部の人には正社員の試験を受けられるようにしています。

望まぬ非正規雇用の実態明らかに(NHK Web特集)3このカフェで働く藤井理恵子さん(29)は7年前に大学を卒業しましたが正社員にはなれず、アルバイトとしてこの職場に入りました。 1年ごとにやってくる契約更新のことを考えると、いつ仕事を失うか気がかりだったといいます。 藤井さんは2年前、無期雇用に切り替わり、仕事への意欲が高まり、今は正社員を目指して、さまざまな工夫を打ち出しています。 その1つが客足が鈍る寒い日などに店先で始めた暖かい飲み物の試飲サービスです。 カフェは吹き抜けのため冬場は売り上げが落ち込みますが、それを食い止めるのに一役買いました。

望まぬ非正規雇用の実態明らかに(NHK Web特集)4藤井さんは、50人近いアルバイトの指導も一手に引き受けていますが、そこでも新しい試みを始めました。 職場のやる気を上げるため、お客さんにかけられてうれしかったことばを「ありがとうカード」と名付けた名刺ほどの大きさのカードに記して、その内容を共有しています。藤井さんは「正社員になれるチャンスをもらったので、チャンスをつかめるように、仕事を頑張るとともに、専門的なことも勉強していきたい」と話しています。

会社の人事担当者は「人を採用して教育すると企業もコストもかかるので、同じ人が長く勤めると会社にとっても採用や教育のコストが省けメリットを感じている」と話しています。 国もことし4月、法律を改正して同じ企業で5年を超えて働く場合、労働者が希望すれば契約更新なしに働き続けられる「無期雇用」とすることを企業に義務づけるなど後押しを進めています。 今の日本では非正規雇用を続けるとなかなか正社員になりづらいという二極化が進んでいます。 不本意非正規の人たちが少しでも安定して働ける無期雇用に転換するという「階段」を設けることが、二極化の解消につながると感じています。

http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2013_0514.html

国は3月1日、契約社員やパートなど契約期間が定められた「有期」雇用の人たちの実数を初めて公表した。 その数は、全国でおよそ1400万人。有期雇用者のほとんどは非正規雇用で、不安定な雇用の規模が明らかになっているなか、5年を超えて同じ職場で働き続ける人を「無期雇用」に切り替える法律が、4月に施行された。 無期雇用は広がるのか… NHKニュース特設「変わる 私達の働き方 ―― “無期雇用”で直面する課題」(3月1日)をクリップ――

■ 明らかになった有期雇用の実態

総務省はことしから労働力調査の方法を改め、契約期間を定められた有期の労働者の数を調べました。それによりますと「有期」雇用者は1410万人。厚生労働省が公表していた1200万人という推計を200万人も上回り、農業・林業を除いた雇用者全体の4人に1人が不安定な状況の中で働いていることが明らかになりました。 有期雇用のほとんどを占める非正規労働者の雇用を安定させるために国が今、取り組んでいるのが非正規労働者を期限を区切らずに雇う「雇用契約の無期化」です。 4月に施行された改正労働契約法では、同じ企業で5年を超えて働く場合、労働者が希望すれば雇用契約を無期化することが義務づけられます。 「雇用契約の無期化」で何が変わるのか。

明らかになった有期雇用の実態(NHK-Web特設)1福岡県にある「エフコープ生活協同組合」では、去年4月、およそ300人いる1年契約の職員全員を「無期雇用」に切り替えました。

明らかになった有期雇用の実態(NHK-Web特設)2その1人、配達担当の春山敬介さん(26)は20歳からこの仕事を続けていますが、無期雇用に変わったことで仕事への意欲や責任感が高まったといいます。 雇用が安定したことで結婚が決まったという春山さん。生活と将来への手ごたえを感じています。「(有期雇用だと)ちゃんとしたローンとかが組めないじゃですか。だから、やはり今は無期雇用に変わったので自信を持って、やる気も変わったのでこれからはエフコープだけで頑張っていきたい」(春山敬介さん)

■ 無期雇用の効果は

この生協が「無期雇用」に切り替えた理由の1つに、有期雇用では途中で辞める人が相次ぎ、定着しなかったことがあります。その数は多い年で半数近くに上り、求人広告や新人研修などに経費がかさんだといいます。さらに、不慣れな職員による交通事故や、ことばづかいへのクレームなどが相次いだということです。

明らかになった有期雇用の実態(NHK-Web特設)3このため去年4月、無期雇用に切り替えたところ退職者は10%以下まで減少。交通事故はほぼ半分に減ったということです。 また、退職率は4分の1に低下し「利用者からはマナー、ことばづかい、やる気とすべての面で過去最高の評価をいただいている」(担当者)とのことです。

一方、課題は人件費の増加です。この生協では正職員の年功序列を廃止してスキルに応じて支払う仕組みに改めて、無期雇用の導入で増加した賃金を確保しました。このため正職員だった人のおよそ半数の給与がほとんど上がらない状況になっているということです。

明らかになった有期雇用の実態(NHK-Web特設)4非正規労働者の「無期雇用」は広がるのか。専門家は、「無期化することによってより安定的に働くことができ、仕事のやりがいも感じられるようになる。広い意味でのサービス業・専門的な仕事も、無期化がかなり広がってくるのではないか。業種によって使い分け方も違うだろうが、それぞれの会社が最適な配分、組み合わせを考えていくのが1つの課題」と指摘しています。

明らかになった有期雇用の実態(NHK-Web特設)5増え続ける非正規雇用の人たちの中には、正社員を希望しながらなれない“不本意非正規”の人もたくさんいます。こうした人たちにとって雇用契約の無期化は大きな一歩です。一方で、5年を超える前に雇い止めにあう人が多く出るのではないかという指摘もあり、今回の法律の改正が非正規労働者の人たちの雇用の安定にどこまで結びつくのか、今後も取材を続けていきたいと思います。(社会部・榎園康一郎)

http://www3.nhk.or.jp/news/2013koyou/2013_0412_3.html

5年を超えて同じ職場で働き続ける人を「無期雇用」に切り替える法律が施行されたのはいいが、5年を超える前に企業が行う「雇い止め」の問題がある。 朝日新聞5月11日朝刊31面「生活」面でこの問題が取り上げられていて、どう防ぐかが書かれていた。 クリップして掲載――

5年で無期雇用_雇い止めどう防ぐ(朝日2013-5-11)雇い止め、どう防ぐ 「5年で無期雇用」のはずが「契約更新しない」通告
(朝日新聞 5月11日朝刊31面「生活」)

改正労働契約法が4月に施行され、有期雇用の「5年ルール」が始まった。契約社員など雇用期間が決まっている人も、通算5年を超えると無期雇用になれる。副作用として心配なのが、直前での「雇い止め」だ。

■ 法施行直前、不更新に

5年で無期雇用_雇い止めどう防ぐ(朝日2013-5-11)1「今回の契約をもって最終の雇用契約とし、以降の反復更新は行わない」

3月下旬、ハウス食品で契約社員として働いている女性は5月以降の契約書に驚いた。これまでない一文が入っていたからだ。6カ月だった契約期間も9月末までの5カ月間に。

5年で無期雇用_雇い止めどう防ぐ(朝日2013-5-11)2ハウスで働いて20年以上。契約は何回も更新されてきた。仕事は「店舗フォロー業務」で、スーパーなどを回って、ハウス製品の陳列を工夫する。現場の売れ筋情報を集める役割もある。担当は東京都内の約40店。売り場を知り尽くしている自負もある。

ハウスが新しい契約書に加えた一文は「不更新条項(ふこうしんじょうこう)」。有期雇用の「5年ルール」がスタートしたことで、その適用を避けようとする会社がこうした条項を入れる心配がある。

女性は、新しい契約書に印鑑を押すように求められたが応じなかった。同僚と労働組合をつくり、3月末、これまで通りの契約で更新するよう会社に申し込んだ。

ハウスによると、店舗フォロー業務は10月以降、外部の会社に委託する。89人いる契約社員のうち、希望者全員をその会社が受け入れる。1年間はハウスと同じ労働条件だが、2年目からはその会社と委託契約を結ぶ個人事業主になり、社会保険は適用されない。

労働組合は不更新条項の撤回を求めて団体交渉を2回したがハウスは受け入れず、「『5年ルール』適用を避けるためではないか」という指摘も否定する。

女性は新しい契約書に印鑑を押さないまま、契約が終わる4月30日を迎えた。ぎりぎりになってハウスは5月以降も仕事を続けてもらうと伝えてきた。ただ、10月以降の方針は変えていない。

ハウスの広報担当者は「今後も会社の方針と考え方をご理解いただけるよう努める」という。

■ 「すぐに印鑑押さない」

上限がなく何回も更新されてきたのに、突然「不更新条項」付きの契約書を見せられたら、どうすればいいか。

「すぐには印鑑を押さない。新しい契約書を持って帰って、これまでの契約書と比べてみる。交渉でこれまで通り契約できる可能性がある」。こう話すのは労働問題に詳しい菅俊治弁護士だ。

交渉で使えるのが改正労働契約法の19条に入った「雇い止め法理」だ。契約内容や更新回数、働き方によっては、契約満了を理由にした「雇い止め」は認められない。これまでも裁判では確立していたルールだ。それが法律になったことで、これまで通りの契約で更新を申し込めることがはっきりした。

これまでは、不更新条項付きの契約書に印鑑を押してしまうと、後で裁判で争っても「『契約は今回限り』に合意した」とされ、「雇い止め法理」が適用されないことがあった。

働きぶりが評価されていれば、不更新条項が撤回されることがあるし、会社がお金での解決を提案するかも知れない。団体交渉をしたり、裁判をおこしたりする道もある。「会社側は『印鑑を押して下さい』と言っているだけ。まず『困ります』と言ってみることが大事だ」と菅弁護士はいう。 (編集委員・沢路毅彦)

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