アルツハイマー病、患者のiPS細胞で病態の一部解明に成功|低濃度DHAが、一方のタイプの病変を抑えるケースがあることも細胞実験レベルで確認した…

PS細胞を使いアルツハイマー病を再現し、原因物質の蓄積場所が異なるタイプがあることを京都大学と長崎大学の研究チームが見つけた! 患者のiPS細胞を使って、認知症の原因ともなっているアルツハイマー病の発症のメカニズムの一部を解明することに成功! 青魚に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)が低濃度で投与されると、一方のタイプの病変を抑えるケースがあることも細胞実験レベルで確認。 iPS細胞で患者を分類しタイプ別に最適な薬を選ぶ治療法や早期発見につながる成果だ。
アルツハイマー病|iPS細胞3アルツハイマー病は脳の神経細胞が死滅するなどして認知機能が低下する。 脳に蓄積するたんぱく質「アミロイドβ(ベータ)」が原因物質の1つといわれ、国内患者数は約200万人。 ほとんどは原因不明だが約2000人は遺伝が原因だといわれている。

この京都大学と長崎大学の研究チームの研究成果は、米科学誌セル・ステム・セル(Cell Stem Cell)(電子版)に2月21日(米・日付)掲載された(後段に詳報掲載)。 日本でも2月22日に報道されたが、“遅ればせながら”記事をクリップして掲載しよう。 先ずは分かりやすいNHKのニュースから…それにしても山中教授のiPS細胞は凄い、医学の分野で次々と活用されその発展に大いなる貢献をしている、人類史に残る偉業にではないか――

アルツハイマー iPSで病態の一部解明
(NHK 2月22日2時7分)

アルツハイマー病|iPS細胞1  アルツハイマー病|iPS細胞3 アルツハイマー病|iPS細胞2アルツハイマー病|iPS細胞4

体のあらゆる組織や臓器になるとされるiPS細胞を使って、認知症の原因ともなっているアルツハイマー病の発症のメカニズムの一部を解明することに京都大学などの研究グループが成功しました。 病気の予防や新たな治療法の開発につながる可能性があると注目されています。

この研究を行ったのは京都大学iPS細胞研究所の井上治久准教授などの研究グループです。 研究グループでは、アルツハイマー病の患者4人からiPS細胞を作り出し、脳の神経の細胞に変化させて詳しく調べました。 その結果、病気の原因とされる「アミロイドベータ」という特殊なたんぱく質が神経細胞の内部に蓄積しているのを初めて確認したほか、このたんぱく質がほかのたんぱく質ができるのを阻害するなどして神経細胞を死滅させることが分かったということです。

アルツハイマー病は「アミロイドベータ」が、神経を傷つけることが原因とされていますが、神経細胞の内部で「アミロイドベータ」がどのように働き病気を引き起こすのかそのメカニズムの一部が明らかになったのは初めてだということです。

研究を行った井上准教授は「高齢化で増えることが予想されるアルツハイマー病の予防や治療、それに新薬の開発につながる第一歩となる成果だ」と話しています。

アルツハイマー病|iPS細胞5 アルツハイマー病|iPS細胞6http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130222/k10015698371000.html

独立行政法人科学技術振興機構(JST)が運営している科学技術に関するニュースサイト「SciencePortal」では、この件をさらに詳しく報道している――

【アルツハイマー病、患者のiPS細胞で病態解明】
(SciencePortal 2013年2月22日)

進行性の記憶障害を伴う認知症疾患「アルツハイマー病」について、実際の患者のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を基に大脳の神経系細胞を作って調べたところ、同疾患に特徴的なタンパク質の細胞内蓄積が、64歳以下の若年発症タイプと、65歳以上の高齢発症タイプのどちらにも共通してみられることが、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の井上治久准教授や大学院生の近藤孝之さん、長崎大学薬学部の岩田修永教授などの共同研究で分かった。このタンパク質の蓄積により細胞死が起きやすくなったが、サバやイワシなどの魚類に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)などの適度な投与によって抑制することができたという。研究成果は米医学誌「セル・ステム・セル(Cell Stem Cell)」(オンライン版、21日)に発表された。

アルツハイマー病は、老年期認知症のうちで最も多い疾患で、その病理的な特徴として、脳内に「老人斑」と呼ばれるタンパク質の蓄積が見られる。老人斑の主成分は「アミロイドベータ(Aβ)」というタンパク質で、その過剰な蓄積がアルツハイマー病の発症に深く関わっていると考えられている。

アルツハイマー病|iPS細胞7研究チームは、アミロイドベータの基となる「アミロイド前駆体タンパク質」(APP)を作る遺伝子に変異のある若年発症タイプ(家族性)の患者2人と、家族歴のない(身内に同じ病歴者のいない)高齢発症タイプの孤発性患者2人、さらに比較(コントロール)として健常者3人の皮膚からiPS細胞を作り、大脳の神経系細胞に分化させて調べた。

その結果、APP遺伝子の特定部分に変異があると、アミロイドベータが「Aβオリゴマー」と呼ばれる集合体になって細胞内に蓄積し、正常にタンパク質が作られなくなる「小胞体ストレス」や、活性酸素によってDNAや細胞自身が傷つく「酸化ストレス」を引き起こして、細胞死を生じやすくすることが分かった。その対応として細胞内では、酸化ストレスに応答する遺伝子群の働きも増していた。

これらの細胞内ストレスは、アミロイドベータの合成を阻害する「βセクレターゼ阻害薬」を投与すると改善した。また、低濃度のドコサヘキサエン酸(DHA)を添加して培養すると、神経細胞での小胞体ストレスや酸化ストレスを減らし、細胞死も抑制することができたが、高濃度の場合は、逆に小胞体ストレスを増強した。さらに若年発症タイプだけでなく、家族歴のない高齢発症タイプの孤発性患者(1人)でも、APP遺伝子の変異やAβオリゴマー、細胞ストレスが見られ、低濃度DHAで細胞内ストレスを除去することができた。

これらのことは、DHAには適切な有効濃度が存在し、DHAによる処置が有効であるアルツハイマー病の集団と有効でない集団が存在する可能性を示すという。研究者らは「一見同じに見えるアルツハイマー病でも、背景にひそむ病態は多様であり、病態の特性に応じた治療戦略が必要である」と述べ、先制的な病態診断に基づいて適切な治療を行う「先制医療」の開発が今後の課題だとしている。

http://scienceportal.jp/news/daily/1302/1302221.html

アルツハイマー病|iPS細胞8科学技術振興機構のプレスリリース(平成25年年2月22日)は「患者さん由来iPS細胞でアルツハイマー病の病態を解明|iPS細胞技術を用いた先制医療開発へ道筋」と題して京都大学 iPS細胞研究所(CiRA)と長崎大学の共同研究発表を掲載している。 この件を詳細を読んで見たい方にお勧めである、リンクは⇒http://www.jst.go.jp/pr/announce/20130222-2/index.html

アルツハイマー病|iPS細胞9米医学誌「セル・ステム・セル(Cell Stem Cell)」(オンライン版、21日)に掲載された研究成果はこのリンクから閲覧できる
⇒ http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S193459091300012X

研究成果のSummary(概要)は英文でこのように掲載されている――

Modeling Alzheimer’s Disease with iPSCs Reveals Stress Phenotypes Associated with Intracellular Aβ and Differential Drug Responsiveness

Summary
Oligomeric forms of amyloid-β peptide (Aβ) are thought to play a pivotal role in the pathogenesis of Alzheimer’s disease (AD), but the mechanism involved is still unclear. Here, we generated induced pluripotent stem cells (iPSCs) from familial and sporadic AD patients and differentiated them into neural cells. Aβ oligomers accumulated in iPSC-derived neurons and astrocytes in cells from patients with a familial amyloid precursor protein (APP)-E693Δ mutation and sporadic AD, leading to endoplasmic reticulum (ER) and oxidative stress. The accumulated Aβ oligomers were not proteolytically resistant, and docosahexaenoic acid (DHA) treatment alleviated the stress responses in the AD neural cells. Differential manifestation of ER stress and DHA responsiveness may help explain variable clinical results obtained with the use of DHA treatment and suggests that DHA may in fact be effective for a subset of patients. It also illustrates how patient-specific iPSCs can be useful for analyzing AD pathogenesis and evaluating drugs.

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