大間マグロ「初セリ史上最高値1億5540万円」始末記、減る本マグロ回遊量、増える養殖マグロ

大間マグロ「初セリ史上最高値1億5540万円」始末記、減る本マグロ回遊量、増える養殖マグロ

大間のクロマグロが初セリ史上最高値1億5540万円で競り落とされた。皆さん既にご存じのように、ゲットしたのは築地に本店を持つ寿司チェーン店「すしざんまい」を運営する「喜代村」の木村清社長。そのマグロをを釣り上げたのは大間の漁師・竹内大輔さん、第38美吉丸の船長だ。このブログでも「築地初セリ、青森「大間」産クロマグロ1億5千万円で落札!」と題して5日に投稿している。 2008年から4年連続、香港系すしチェーン側の仲買人が初セリの大物クロマグロを最高値で競り落としており、今年は尖閣の問題と絡めて1億を超すだろうとの予想があった。 この「中国 vs 日本」という構図はNHKのニュースにも表れていた――NHKニュースは「落札したすしチェーン側」、「香港グループ側」と表示して初セリでの競り合いとキロ70万円での落札の瞬間を放送していた。

このブログ投稿は昨日の「築地初セリ、青森「大間」産クロマグロ1億5千万円で落札!」の続きだが、年々エスカレートする本マグロの築地初セリ最高値の話と減少しきている本マグロ回遊量の話を書こうと思う――

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追記、2013-1-12】 末尾に朝日朝刊2013-1-10 33面「社会」ニュースQ3の記事「覚悟のマグロ競り合い 『相手は青天井だった』」をクリップして追加した。 読んで損はない……..
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■ 1億5540万円、2分間の攻防…

1月6日の朝日朝刊は29面社会で「攻防2分 高値更新」と題し大きく報じていた。 通常、マグロの一本のセリは数秒で終わるそうだが、このクロマグロは1キロ2万円で競りが始まり70万円で落札するまで2分間の攻防だったそうだ。 そのセリの映像ををNHKニュースはこう放送していた――

1億5540万円クロマグロ競り開始直後

1億5540万円クロマグロ競り開始直後

日本側と中国系側の競り人

日本側と中国系側の競り人

中国側競り人が右手を挙げて競り値を上げている

中国側競り人が右手を挙げて競り値を上げている

日本側が対抗して右手を小さく挙げてキロ70万円の競り値を示し落札

日本側が対抗して右手を小さく挙げてキロ70万円の競り値を示し落札

キロ70万円、1本1億5540万円で落札されたマグロ

キロ70万円、1本1億5540万円で落札されたマグロ

この競りの模様を含めて朝日朝刊の記事はこう報道している――

攻防2分 高値更新東京都中央区の築地市場で5日、水産物の初競りがあり、222キロの生鮮本マグロが史上最高値となる1億5540万円(1キロあたり70万円)で競り落とされた。最高値の更新は3年連続で、昨年の5649万円を大幅に上回った。競り合いの過熱ぶりに、関係者からは疑問の声も上がっている。

競り落としたのは、築地を中心に全国で50店舗を展開する「すしざんまい」の運営会社。同社は2年連続の最高値獲得となった。

競りは1キロ2万円で始まり、約2分かかった。通常だと、1匹の競りは数秒で終わるという。「白熱したね」と木村清社長(60)。「今年こそ景気がよくなってほしい。マグロに高値がつくとわくわくするでしょう」と話した。7千万~8千万円で落とせると踏んでいたが、競り合った相手がなかなか降りなかったため、つり上がったという。

築地市場の関係者によると、最後まで競り合ったのは、香港ですしチェーンを展開する実業家。近年、東京・銀座の高級すし店と共同購入する形で最高値争いに加わり、すしざんまいと「デッドヒート」を繰り返している。

■ 釣ったのは大間の36歳

最高値をつけた222キロのマグロを釣り上げたのは、青森県大間町の漁師で第38美吉丸(19トン)の船長、竹内大輔さん(36)

「値段で『すごい』ということはわかりますが……。ピンときません」。ただただ驚く。

マグロ漁師の3代目。父親の竹内薫さん(62)も2001年、当時の最高値2020万円を獲得している。親子2代の快挙に、薫さんは「よほど運がいい親子なんだろうなあ」と顔をほころばせた。大輔さんも「おやじを超えるのが目標だった」と喜ぶ。 今季は津軽海峡で大しけが続く中、積極的に出漁。昨年末の終漁前日の29日に「大魚」を釣り上げた。

築地初競りの最高値といえば、例年、大間の指定席だった。ところが、一昨年、津軽海峡を挟んだ対岸の北海道・戸井にその座を奪われた。大間漁協はその翌年から、年明けの出漁日を早めて3日夜にし、築地の初競りに送り込むチャンスを増やしてきた。昨年はそれが奏功して4日に水揚げした魚で王座を奪還している。 大間漁協の浜端広文組合長(71)は「今年も1位を守れてよかった。注目の初競りで最高値をとれば、黙っていても、大間ブランドの宣伝になる」と話した。

■ 「宣伝費」冷ややかな声も

異様な高値を疑問視する声もある。

築地市場のある大手荷受会社は「今回は当初から『1億円を超えるのでは』と言われていた。そうでないとマスコミにもインパクトがないから」。競りの予算に宣伝広告費を充てる会社もあるといい、「純粋なマグロの評価による値段ではない。宣伝だからと、冷ややかに見ている」

この日、大間産の本マグロは他に3本あったが、1キロ2万8千~4万3千円で、最高値のマグロの20分の1程度だった。

食文化研究家の熊谷真菜さん(51)は「日本人はとにかく初物好き。1年間、初競りで最高値をつけた店という箔(はく)が付く。広告費と考えれば安いのではないか。こんな高額の競り合いは経済的に突出した東京ならではの現象です」と指摘する。「冬はフグやカニなどおいしい海の幸がたくさんある。今回の最高値のマグロが目の前にあれば食べるだろうが、私は足を運ぼうとは思わない」と語った。

マグロの生態に詳しい近畿大学の熊井英水(ひでみ)教授(77)は「ご祝儀という面があるにしても、驚異の値段だ」。本マグロは資源の枯渇が懸念され、国際的に漁獲枠が定められている。「これだけの高値がつくほど希少な資源なんだという認識が広がるのではないか」と話した。


築地初セリの本マグロの最高値の推移をグラフと表で見てよう――

マグロ競り値グラフ(日経)マグロ競り値グラフ(朝日)2001年の本マグロ不漁だった年のキロ10万円・1本2千20万円は別として、2008年頃から競り値の高騰が始まる。この年は香港の「香港の寿司王」リッキー・チェン氏率いる「板前寿司」グループが参入し、276kgの大間産本まぐろをキロ22,000円、1本607万円で落札した、前面に出たのはグループ会社の「板前寿司ジャパン」(東京都中央区入船)ではあるが。

中国が日本の最高級本マグロをかっさらっていくというメディアの大々的報道もあり、反発を回避しようとしたのか2009年から「板前寿司」は競り相手であった老舗の寿司屋「銀座・・久兵衛」と共同戦線を組むようになる。 「仲卸・やま幸からの提案」だったと「板前寿司ジャパン」の中村桂社長は自分のブログで書いているが…(http://ameblo.jp/itamae-nakamura/entry-11131589782.html)。

その年から新興勢力の「すしざんまい」喜代村の木村清社長が参入してデッドヒートが始まり、更にマカオの寿司チェーンも参入して本マグロ初競り落札競争は激化する。


本マグロの初セリ最高値が急騰した理由は上記の中国勢の参入による過激な競争だろうか?

実のところ、5日の初セリでは大間産こそ大幅な高値となったが、輸入生鮮クロマグロの最高値(スペイン産養殖物)は1キロ当たり4800円と昨年の初セリの最高値を26%下回った。国産の養殖物も最高値が同9500円と高値がついたが、入荷した24匹のうち、15匹がセリで買い手がつかず、その後の相対取引(個別商談)で割安な値段で引き取られた。

ではなぜ?

マグロの最高値が急騰した要因は何か。初セリは冬で漁獲の少ない時期でご祝儀相場も重なって高値がつきやすいが、今回の最大の要因は年末から年明けにかけての寒波の影響だ。海が荒れて出漁機会が減ったため、津軽海峡で4日に漁獲し、築地市場に入荷したクロマグロは1匹もなかった。初セリにかかった国産の天然クロマグロは大間産の4匹を含めて15匹。昨年の初セリより大幅に減った。ほかに養殖クロマグロが24匹入荷したが、いつもの初セリに比べ国産が大幅に減った。

築地市場の関係者からは日本近海を回遊する「マグロの数が減っているのではないか」(中央魚類)と心配する声も聞こえてくる。青森・大間と並ぶブランド産地、北海道の戸井漁協(函館市)は今年の築地の初セリにクロマグロを1匹も出荷できなかった。同漁協によると、海がしけて出漁できなかったほか、最近の傾向としてはえ縄漁でマグロを狙う餌に使うイカが不漁なのも影響したという。 (参照: 日経記事「破格の高値は例外 マグロを取り巻く逆風」(2013/1/5) http://www.nikkei.com/article/DGXNASDJ0500C_V00C13A1000000/?dg=1)

マグロを取り巻く逆風1マグロを取り巻く逆風2

乱獲による資源枯渇を懸念した世界的な漁獲規制の下で養殖マグロの生産量は増えている。水産庁によると11年の出荷量は11年で9044トン。ブリ・ハマチの14万トン台には及ばないが、まとまった規模に成長している。卵をかえし育てる完全養殖は商業化の途上だが、小型魚をとっていけすで育てる養殖物は確実に供給が増えている。

一方で、養殖マグロ用に幼魚を取ってしまうため大間のクロマグロが取れる津軽海峡に回遊しくるクロマグロが激減している。 2012年の漁獲量は5年前の半分程だ。 しかも「大間ブランド」といっても超高値は一部。養殖の普及で、マグロ全体は安値傾向にある。養殖向けの幼魚の取りすぎを批判する漁師や漁協関係者は多い。水産庁は幼魚の乱獲を防ぐため、今年の養殖免許切り替えで、イケスの拡大を認めない方針だ。

築地を中心に全国に50店舗を展開する「すしざんまい」は、昨年の築地初競りで最高値の本マグロを競り落とし、店では大トロ1貫398円、中トロ298円の定価で出した。 今年も最高値の本マグロを競り落とし、最高級の大トロ1貫を398円(税込418円)と普段と変わらない値段で出した。木村清社長(60)によれば、安定供給のために地中海のイケスで太ったマグロも仕入れている。

朝日朝刊2013/1/13、35面社会 「幼魚乱獲に批判」

朝日朝刊2013/1/13、35面社会 「幼魚乱獲に批判」

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〈本マグロの養殖〉 水産庁の11年の調査によると、14府県に137の養殖場があり、出荷量は約9千トン。鹿児島が1位、長崎が2位。卵の孵化(ふか)から始める完全養殖はごく一部で、天然魚をイケスで育てる蓄養が大半。知事の免許が必要で、5年に1回切り替えがある。前回08年に商社や水産大手の参入、拡大が相次いだ。太平洋のマグロ漁獲量(匹数)の9割は0~1歳の幼魚で国際的な批判もある。一方、地中海からの輸入は1万トンとピークの06年から半減した。
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本マグロの養殖はどうやって始まったのか? 今年1月3日の朝日新聞朝刊の35面「社会」の一面にでかでかと「ルポルタージュ現在: マグロの子、離島の稼ぎ、トロまで太れ」という記事が掲載されていた。 その中の「相次ぐ参入者」という記事で「本マグロの養殖」のパイオニアの経緯を紹介していた。 抜粋する――

■ 相次ぐ参入者

2011年に国内に流通した本マグロは4万トン。そのうち養殖物は6割を占める。天然から養殖へ。そのきっかけは、一人の日本人の挑戦にあった。

「誰もがそんなこと成功するはずないと言ったよ」。千葉県船橋市の平原秀男さん(78)は振り返る。

東京・築地市場の大手荷受会社でマグロを担当。退社後、スペインに渡った。

1995年のことだ。

地中海は200キロにもなる大きなマグロがとれる漁場だ。ただ、まとめて取れる時期は産卵前後。身はやせていて、ツナ缶の原料が関の山だった。平原さんはその群れを巻き網船でとり、生きたままイケスに移すことに成功した。数カ月間えさを与えて太らせ、トロの乗った身を日本に空輸した。

当時の水揚げの写真がある。海が真っ赤に染まっている。マグロの頭を銃で撃って、死なせてからダイバーが取り上げていたからだ。暴れられると身が傷むため、巨大なマグロの価値を損なわないように考案したという。

ツナ缶がトロに化ける。地中海の沿岸国に養殖に参入する業者が相次いだ。飛行機で魚群を探すような大がかりな漁が広がり、日本への輸出は98年から8年間で4倍にふくらんだ。

「計画的に、大量に出せるからみなさんが口にできる。それがなければ、ものすごい値段だよ」。平原さんは話す。

だが、その結果、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)で漁獲枠が大幅に削減され、3年前のワシントン条約締約国会議では禁輸が審議されるに至った。国内の養殖が過熱したのは地中海の規制を強める動きが出た後だ。

マグロの子、トロまで太れ
最後に、太平洋のクロマグロ減少、資源危機、養殖の総量規制に関する一連の日経記事を紹介したい――

太平洋クロマグロ減少 国際委評価、規制継続なら回復へ
(日経 2012/12/15)

太平洋クロマグロ減少(日経)太平洋クロマグロの資源量がほぼ20年ぶりの水準まで減っていることが14日、わかった。国際機関による2008~10年を対象にした最新の評価では、産卵する親マグロの減少が懸念される水準にまで落ち込んだ。日本を含む漁獲国は11年から漁獲量を大幅に減らしており、現在の規制を続ければ資源量は回復するとみられている。

北太平洋まぐろ類国際科学委員会が資源量を評価しており、近く結果を公表する。日本も加盟する中西部太平洋まぐろ類委員会はこの評価を踏まえ、来年9月に14年以降の規制を議論する。

日本で消費するクロマグロの7割は太平洋産。科学委の評価では、親マグロの量が資源動向を判断する目安となる歴史的な中間値を大きく下回ったようだ。中間値を下回ると資源の減少懸念が強まるといわれる。前回の07年までの評価では中間値をやや下回る水準にとどまっていた。


「庶民のマグロ」の資源危機 巻き網漁規制、具体策カギ
(日経 2012/12/11)

巻き網漁船が増える仕組み 日米欧などが加盟する中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)は先週、マニラで年次総会を開いた。メバチの過剰漁獲を抑える規制強化は具体策を来年に持ち越す格好になった。

未成魚の漁獲抑制などクロマグロの資源管理にも課題はある。だが、太平洋域で最も深刻な問題は量販店などで手ごろな価格の刺し身になる「庶民のマグロ」、メバチ資源の減少だ。

刺し身用のマグロを狙うはえ縄漁は2009年から漁獲量を01~04年平均より3割削減し、科学調査で効果が確認されている。課題は魚群を丸ごと取り、缶詰の原料を供給する巻き網漁だ。現行は集魚装置を使う漁の制限が中心で、漁獲量は減っていない。

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各国の漁業、流通団体で構成する、責任あるまぐろ漁業推進機構(OPRT)の原田雄一郎専務は「未成魚もまるごと取ってしまう巻き網漁は踏み込んだ規制が不可欠だ」と指摘する。

厳格な規制でクロマグロ資源が回復し始めた大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)に比べ、世界のカツオ・マグロ類の半分を漁獲する中西部太平洋域は資源管理が甘い。

世界に5つある資源管理機関のうち、WCPFCは設立が04年と最も歴史が浅い。ただ、厳しい資源管理を阻む最大の要因は、新興国と島しょ国の利益が絡んだ構図だ。

2000年前後から急速に増えた巻き網漁船は台湾などの企業が資金を出し、バヌアツやマーシャル諸島など島しょ国の船籍で建造することが多い。

巻き網で漁獲したメバチとカツオはタイなどで缶詰に加工され、欧米や新興国市場に向かう。缶詰の需要は旺盛で、原料になる水産物は国際市場で高値取引が続く。島しょ国には入漁料などの形で新興国マネーが流れ込む。巻き網漁船はまさに「ドル箱」だ。

会合で島しょ国は自国海域で利益を得て経済成長していく権利を主張する。そもそもマグロ資源を減らしたのは先進国だ、と。

10年のワシントン条約会議では生物保護のために大西洋・地中海産クロマグロの禁輸を主張する欧米に対し、新興国は日本とともに反対に回って禁輸案を否決した。WCPFCでは日欧などが規制強化を主張し、島しょ国などと対立する。

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先週の会合で加盟国は13~17年の5年間でメバチの過剰漁獲を解消し、資源を回復する計画を来年中に作成する総論には合意している。しかし、収入の抑制を意味する漁獲量規制などで島しょ国の合意を取り付けられるかどうか、大きな宿題は残った。

庶民のマグロの資源危機巻き網漁の規制が遅れればメバチやカツオ資源の減少は続く。「三陸沖のメバチ、高知、宮崎のカツオ漁獲量が減少するなど日本にも影響は出ている」(宮原正典・水産庁次長)

ワシントン条約会議に影響力を持つ環境保護団体は「太平洋メバチの資源保護でWCPFCの取り組みは失敗している」と警告する。現状では、その警告は否定できない。日本が先導して島しょ国に資源持続の重要性を分かってもらい、思い切った漁獲規制を具体化する以外に道はない。


クロマグロ、養殖も総量規制 未成魚保護で水産庁
(日経 2012/8/19)

クロマグロ、養殖も総量規制1 水産庁はクロマグロの資源保護を強化するため、養殖用の未成魚の漁獲を規制する。2013年から国内漁場の新規開設やいけすの規模拡大を制限する。未成魚の乱獲で成魚の数が減る懸念が強まっているため、最大の消費国として、未成魚の漁獲量が現状以下に収まる総量規制を導入する。

太平洋クロマグロの沖合での「巻き網漁」については、国際的な取り決めで、未成魚の総漁獲量を02~04年の平均実績未満に制限している。ただ、沿岸での養殖は規制クロマグロ、養殖も総量規制2の対象に含まれていない。このため、出荷できる大きさまで育っていない未成魚を養殖場に持ち込むケースが急増している。

このため水産庁は沖合での漁だけでなく、未成魚の受け皿となっている養殖についても規制をかける。来年9月に全国一斉に実施される漁業権の免許更新時に、新たな漁場の設定や養殖用のいけすの規模を拡大する申請は受け付けないように都道府県知事に要請する。

水産庁は29日に都内で開く会議に自治体や養殖業者などを集めて、こうした方針を伝える。クロマグロの養殖場は全国に137カ所あり、長崎県と鹿児島県で全体の56%を占めている。

太平洋クロマグロは産卵後3年程度で一部、5年でほぼすべてが成魚になり大きいもので300キログラム程度まで育つ。産卵する成魚に育つまで漁獲を待てば資源量は維持できる。一方、養殖は小さな未成魚の段階で漁獲して成魚になる前に出荷するのが一般的だ。水産庁は養殖の規模拡大を放置すれば「成魚の資源量の地盤沈下につながる」(幹部)とみている。

10年の太平洋クロマグロの国内生産量は1万4600トン。このうち養殖による生産は6500トンで44%を占める。11年は9千トンまで急増している。養殖クロマグロは主に回転ずしのネタに使われている。総量規制の導入で価格には上昇圧力がかかりそうだが、持続的な供給体制づくりを優先する。

クロマグロを巡っては10年3月のワシントン条約締約国会議で、大西洋・地中海産の国際取引を禁止する案が提出(同案は否決)されるなど、乱獲防止に向けて規制を強化すべきだとの声が強まっている。日本は輸入を含めて世界の総漁獲量の約8割を占めており、厳しい視線が向けられている。

国内の養殖用の未成魚漁獲に踏み込んだ資源保護を示し、一段の規制強化を回避する狙いもある。

追記、2013-1-12

第一報の投稿記事から早や一週間が過ぎようしている。 もうこのマグロの話に関心を持つ人もいないだろうが、朝日の1月10日の朝刊33面に結構中身のあるこのマグロの記事が載っていた―「板前寿司」、「やま幸」サイドからの競りの内輪話とか、釣り上げた漁師・竹内船長には1億4500万円ぐらい入る話とか。 クリップして掲載する――

マグロQ3(朝日13-1-10)覚悟のマグロ競り合い 「相手は青天井だった」
(朝日朝刊 2013-1-10 33面「社会」ニュースQ3)

最高値の付いたマグロマグロ1本に1億5540万円。東京・築地の魚河岸は新年早々、景気のよい話に沸いた。なぜそれほどの高値になったのか。

● 二つのチェーン、6年連続で対決

初競りは毎年5日。今年は競り場に約650本のマグロが並んだが、最高級とされる「青森・大間産」は不漁で4本のみ。唯一の200キロ台の大物に、熱い視線が集まった。 ここ6年間、初競りで最高値をつける本マグロは、二つのすしチェーンが競り合う構図で、史上最高値を更新し続けている。 築地を中心に50店舗を展開する「すしざんまい」。 香港を中心に日本でも5店舗を出す「板前寿司(すし)」。

板前寿司の依頼を受けて競りに参加した築地の仲卸「やま幸(ゆき)」の山口幸隆社長(50)が振り返る。

「1億円を超えてくるかどうかの勝負だった」

昨年はすしざんまいが5649万円で競り落とし、「宣伝効果は1億円以上」ともいわれた。今回、その額までは出してくる可能性があると予想。依頼人から1億2千万円という上限をもらって勝負に臨んだ。 競るのは1キロあたりで、2万円から始まった。 競り合った1本は222キロ。 1キロ換算で55万円が上限ラインだが、軽く超えていった。 超過分はかぶる覚悟で競り続け、これが限度と迷ってつけた68万円を即座に70万円で更新された。 「相手は青天井だ。もうやめようと思った」

 「中国対日本」誤解解きたい

そこまで張り合ったのには、訳があるという。

板前寿司は日本出店を機に2008年から初競りに参加。翌年からは東京の高級すし店「銀座 久兵衛」と共同購入の形で、11年まで4年連続で最高値をとって存在感を示した。 「日本で一番のマグロ」は一部、香港にも持って行った。

だが昨年は、香港のリッキー・チェン代表(45)の発案で、最高値をとって被災地の宮城県気仙沼市で振る舞う予定だった。 競り負けた後、すしざんまい側の「海外に行くよりも国内で食べてほしい」とするコメントが報道された。

板前寿司ジャパンの中村桂社長(40)は「中国対日本の構図が作られ、苦労した。 今年は1番をとり、私たちの取り組みを伝えたかったのだが」と悔しがる。 競り勝ったすしざんまいの木村清社長(60)は、「ここまで上がるとは予想外」と苦笑した。

最高級の松阪牛でも、地元の品評会でついた過去最高値は02年の1頭5千万円(678キロ)だ。その3倍を超える今回の大間マグロ。 釣り上げた漁師の手元にはいくら入るのか。 落札額に消費税5%が上乗せされ、そこから競りを担当した荷受会社と出荷した地元漁協への手数料それぞれ5・5%(約900万円)が引かれ、約1億4500万円になる計算だ。

 一獲千金狙って、危険な漁の恐れ

あまりの高値に、負の側面を指摘する声もある。

やま幸の山口社長は「初競りに出そうと漁師が無理をして海に出るようになると危険。 引き時だと思う」と自戒を込めていう。

国際的なマグロの資源管理に携わる「責任あるまぐろ漁業推進機構」の原田雄一郎専務は「海外でも扇情的に報道され、高値を追って最後の1匹を食い尽くすまで取られてしまうと誤解を招いている」と警鐘を鳴らす。

(井上恵一朗)

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大間マグロ「初セリ史上最高値1億5540万円」始末記、減る本マグロ回遊量、増える養殖マグロ」への2件のフィードバック

  1. 地方で漁師をしていますが近年益々漁獲量の減少があり浜値も安いです。近海違法の夜の巻き網などを良く耳にしたり、実際に見たりもしますが個人漁師は生活が出来ず年金を食いつぶす漁しか出来ない現状が見られます。だからと言って、検認を受けずに使用しているもの{無線機}も多く見かけ真面目に行っている方の迷惑にもなっています。(遊漁船の方々情報収集に違法での無線機設置が多いです)

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