深海生物に木くず分解の酵素⇒廃棄物からバイオエタノール生産! “画期的”研究成果だ!!!

この新酵素の発見は凄い! トウモロコシなどの穀類ではなく、木材等の天然バイオマスや廃紙等から常温でのグルコース生産の可能性を大きく前進させる新規酵素を発見した世界初の画期的な成果だ!!!   海洋研究開発機構(JAMSTEC)、やるじゃないか――

深海生物に木くず分解の酵素
(NHK 8月16日 6時3分)

深海にすむエビに似た生物が、木くずを分解して栄養分を作り出す特殊な消化酵素を持っていることが、独立行政法人・海洋研究開発機構の研究で明らかになり、廃棄物から燃料を効率的に作り出す技術の開発につながると期待を集めています

特殊な消化酵素を持っているのが見つかったのは、世界で最も深い太平洋・マリアナ海溝の、水深およそ1万メートル付近に生息する、エビに似た生物「カイコウオオソコエビ」です。

深海生物に木くず分解の酵素⇒カイコウオオソコエビ

海洋研究開発機構の小林英城主任研究員たちのチームは、3年前から、この生物が、餌がほとんどない深海で、どのように栄養を摂取しているのか研究を進めていました。
その結果、この生物は、体内にある特殊な消化酵素で、深海にたまった木くずなどの、セルロースと呼ばれる成分を分解し、グルコースという栄養分に変えていることが分かりました。

グルコースは、再生可能エネルギーの一つ、バイオエタノールの原料で、従来は複数の酵素を使わなければ、木くずからは作り出せないと考えられていました。 カイコウオオソコエビの酵素は、これだけでグルコースを作ることができる特殊なもので、研究を進めれば、廃棄物から燃料を効率的に作り出す技術の開発につながると、期待を集めています。

海洋研究開発機構・小林英城主任研究員

小林主任研究員は「現在、大量に廃棄されている木や紙から、バイオエタノールを生産できるようになると考えられる。新たなエネルギーの確保につながるのではないか」と話しています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120816/k10014309921000.html

独立行政法人・海洋研究開発機構(JAMSTEC = Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology)、ご存じだとは思うが「しんかい6500」もJAMSTECがやっている。 早速、JAMSTECのホームページに行ってみた。 http://www.jamstec.go.jp/j/

8月16日のプレスリリースで詳細記事が掲載されていた。 以下、プレスリリース記事のクリップ――

2012年 8月16日
独立行政法人海洋研究開発機構

マリアナ海溝世界最深部に生息する超深海性ヨコエビの特異な生態の解明と新規セルラーゼの発見

1.概要

独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 平 朝彦)海洋・極限環境生物圏領域の小林英城主任研究員らの研究チームは、マリアナ海溝チャレンジャー海淵の世界最深部(深度、10,900 m)に生息するヨコエビ(学名:Hirondellea gigas, 和名:カイコウオオソコエビ)の生態解明に取り組み、その食性究明において、タンパク質、脂質、多糖類などに対する分解活性を解析したところ、新規で有用性の高い消化酵素の検出及び精製に成功しました。

その結果、カイコウオオソコエビは、植物性多糖を分解するセルラーゼ、アミラーゼ、マンナナーゼ、キシラナーゼといった酵素を保持し、それら酵素の反応生産物であるグルコース、マルトース、セロビオースを大量に体内に含有しており、超深海において植物を分解、栄養としていることが明らかになりました。

また、各酵素の性質について調べたところ、これら酵素は高い反応性を有しており、特にセルラーゼについては、オガクズやコピー用紙等を分解して直接ブドウ糖(グルコース)に転換する、極めて生産効率の高い新規酵素であるとともに、酵素として優れた安定性を有していることを見いだしました。

本成果は、未だ明らかではない世界最深部に生息する超深海生物の生態を解明するとともに、トウモロコシなどの穀類ではなく、木材等の天然バイオマスや廃紙等から、その上常温でのグルコース生産の可能性を大きく前進させる有用な新規酵素を発見した世界初の画期的な成果です。 セルラーゼ以外の酵素についても、その特性解明を進めているところですが、それら酵素は安定性に乏しいため、解析等に時間を要していますが、今後、解析方法等について多角的に検討を進め、生活・社会に期待される成果に結び付けていきたいと考えています。

本成果は、平成24年度科研費 基盤研究(C) :カイコウオオソコエビが持つ新規セルラーゼの遺伝子解析とその工学的利用(課題番号:24580153)を用いた成果であり、8月16日付け(日本時間)のPublic Library of Science One (PLoS One) (電子版)に掲載される予定です。

なお、本研究により新規に同定されたセルラーゼについては、特許出願を行っています。

2.背景

1998年、当機構の前身である海洋科学技術センターの11,000m級無人探査機「かいこう」によって、海洋の最深部(日本の南方約2,500 km離れたマリアナ海溝チャレンジャー海淵)での探索が行われました。一般に、深海海底は非常に水圧が高く、また貧栄養であるため、生物の生息は困難な環境であることが知られていますが、「かいこう」の探索では、世界最深部にはカイコウオオソコエビ(図1)が多数生息していることが確認されました。しかし、これら超深海生物が何を食べて超深海で生息できるのかわかっていませんでした。

そこで本研究では、2009年の調査潜航(Cruise ID: YK09-08)において、当機構が作成・保有するフリーフォール式のカメラ付き採泥システム(図2)を用いて、カイコウオオソコエビを採取するとともに、その食性を解明するため、消化酵素を解析しました。

3.成果

カイコウオオソコエビが、貧栄養環境下で生息するための生態解明に取り組み、その消化酵素に着目し、タンパク質、脂質、多糖類などに対する分解活性を解析したところ、セルラーゼ、アミラーゼ、マンナナーゼ、キシラナーゼなどの植物性多糖分解酵素の検出に成功しました(図3)。これら4つの酵素は、それぞれセルロース、でんぷん質、ヘミセルロース(植物細胞壁に含まれるセルロース以外の多糖類)であるマンナンとキシランを分解することが知られており、同時に採取した海底泥から、木片も見つかったことから、カイコウオオソコエビは、世界最深部の海底で流木や枯れ葉、タネなどの植物片を食べると予想されました。

そこで、消化酵素の酵素学的性質を検討するため、カイコウオオソコエビから抽出した消化酵素と、でんぷん、カルボキシメチルセルロース(以下、CMC)、グルコマンナン、キシランを反応させ、その反応生産物について調べた結果、以下の通り物質が検出されました。

・でんぷん:分子量がマルトテトラオース以下のオリゴ糖

・CMC:グルコースとセロビオースのみ(図4)

・グルコマンナン:低分子量の各オリゴ糖

・キシラン:キシラナーゼ活性が不安定だったため、同定に至らず

上記結果のうち、CMCからグルコースとセロビオースを生産するセルラーゼの報告例はなく、新規セルラーゼであると期待されました。

このセルラーゼについて、カイコウオオソコエビ10個体分を精製し、一般的な分子生物学的手法を用いて酵素学的な性質を検討した結果、カイコウオオソコエビのセルラーゼは一種類であり、分子量は約59,000、反応至適温度は25-35℃、反応至適pHは5.6である新規セルラーゼであり、CMCとの反応において、グルコースとセロビオースを2:1の割合で生産することが明らかになりました。

カイコウオオソコエビが本セルラーゼを用いて、木片を消化しているかを検証するため、本セルラーゼをオガクズと反応させたところ、グルコースの生産が認められ、さらに、カイコウオオソコエビは、植物由来の生産物であるグルコース、セロビオース、マルトースを多く保有しており、特に、グルコースは乾燥体重の約0.4%も含まれていることが分かりました。

以上の結果より、生物の少ない超深海環境では、カイコウオオソコエビは、他の生物の死骸が落ちてくる間、流木などの植物片を食べて命を繋いでいると推測されます。

セルラーゼ以外の酵素についても、その特性解明を進めているところですが、それら酵素は、不安定であり酵素学的な性質等の解明は今後の課題です。

なお、本研究により新規に同定されたセルラーゼについては、特許出願を行っています。

4.今後の展望

本成果は、カイコウオオソコエビが保持するセルラーゼが、木材や紙類を含めた多種多様なバイオマス全般に対して、高いグルコース生産性を有していることを明らかにしたものですが、木材等と反応させることによって、エタノールの原料であるグルコースを容易に取得できることから、再生エネルギーとして期待されているバイオエタノールの生産等に大きく寄与することが期待できます。

また、エネルギーを利用せず、枯れ木等から直接グルコース生産が可能であることから、生産したグルコースを食品に加工することで、世界の飢餓地域の栄養改善にも利用できると考えられます。さらに、本セルラーゼは天然由来のセルロースだけでなく、一般紙のような加工されたセルロースでも、室温でグルコースを生産できることから(図5)、本酵素の利用範囲が非常に広いことを示しました。今後、セルラーゼ遺伝子を取得し、大量生産を行うための研究を推進していく予定です。

また、カイコウオオソコエビからは、セルラーゼ以外の酵素も検出され、有意かつ多様な特性が期待されるところですが、それら酵素は不安定であるため、研究の進展速度がセルラーゼに比べ遅れていますが、今後、解析方法等について多角的に検討を進め、生活・社会に期待される成果に結び付けていきたいと考えています。

超深海性ヨコエビの特異な生態の解明(JAMSTEC)

http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20120816/

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中