米国干ばつ被害深刻化、「食糧危機に直面するする恐れあり」(FAO)

アメリカの干ばつ被害が深刻になってきている。 とうもろこし、大豆の相場が急騰、やがて我々の食品価格に影響が出てくるだろう。 日本の新聞記事はアメリカの干ばつ被害が深刻になってきていることは報道しているが、ビジュアルな情報を提供していないようだ。 実はネブラスカ大学リンカーン校(www.unl.edu)には「国立干ばつ軽減センター」(NDMC=National Drought Mitigation Center)というものがあり、米国農務省(USDA)、商務省(USDOC)、国立海洋大気庁(NOAA)と協力してアメリカの「干ばつ監視」(U.S. Drought Monitor)サイトを設け「干ばつ監視マップ」を公開している。 例えばこれ、過去12週間の干ばつの推移を地図で表示するアニメーションGIF ――

(2秒間隔ぐらいで画像が推移する。 注意して見てみよう。)

過去12週間の米国の干ばつの推移ニメーションGIF (U.S. Drought Monitor )

これを5月24日と8月7日の静止画像で比較してみると干ばつ被害の広がりとその深刻さがよーく分かる(画像クリックで拡大)――

米国干ばつ被害12週間の比較 (画像クリックで拡大)

こうして比べると、大変な状況になってきているのがよーく分かるのではないか?
「干ばつ監視」(U.S. Drought Monitor)サイト http://droughtmonitor.unl.edu/ では概要解説も掲載している、一度行ってみる価値はあると思うが….

ちなみに、「国立干ばつ軽減センター」(NDMC)のホームページは http://drought.unl.edu/

さて、このアメリカの干ばつは穀物相場を高騰させ世界の食料価格の上昇となって行く。 事はそれだけだ無い、ひいては原油価格の高騰へとつながって行くのではないか。 というのは――

  • トウモロコシの不作は米国のガソリン規制に影響を及ぼす。 米国では燃料供給業者に対してガソリンに一定割合のエタノールの混合を促す規制があり、トウモロコシの約4割はエタノール原料向けなのだ。 規制を緩和しない限りトウモロコシ不足はガソリン価格の上昇をもたらす。
  • このためアメリカのハゲタカ投機筋は穀物相場へ投機し、価格高騰をもたらす。 さらに、投機が集中するとその投機資金は穀物相場からあふれ出て今度は石油への投機へと向かう。
  • もう一つ、干ばつで水不足が起きているがこれがシェール・ガスやシェール・オイルの生産減少を引き起こす。 シェール・ガスやシェール・オイルの生産には「フラッキング」という高水圧を掛ける方法を使うので大量の水が必要だ。 水が無いと生産できないのだ。

私は専門家でない、上記はあくまでも私見だが…この秋から影響が顕著になってくるのではないかとと思う。 報道記事を下に列挙するが、これを読んだ後だと受け取り方が違ってくるかもしれない。

米南部アーカンソー州の農場で今月1日、干魃で干からびたトウモロコシ(AP)

米国干魃被害が深刻化、市況下方修正で
(産経 2012.8.12 21:57)

歴史的な大干(かん)魃(ばつ)に見舞われた米国が一段と苦境に立たされている。世界生産量の4割を占めるトウモロコシなど農産物市況の最新予測が大幅に下方修正され、穀物相場が急騰。世界各国の食料・飼料価格の高騰に拍車がかかる恐れが強まっている。▼「政策を総動員するときだ。さもなければ、全米の国民が窮地に立たされたと感じ始めるだろう」 オバマ大統領は週末恒例の国民向けビデオ演説で、1956年以来の大干魃がもたらす被害の拡大に強い危機感をにじませた。▼中西部の穀倉地帯で6月以降深刻な干魃が続き、農務省は10日発表した8月の農産物需給見通しで、トウモロコシの今季の収穫年度末(2013年8月)在庫が前月予測に比べ45%減の1650万トンと、17年ぶりの低水準に落ち込むと予測。大豆も12%減の313万トンと下方修正した。▼それを受け、世界の穀物価格の指標となるシカゴ商品取引所でトウモロコシ先物価格が最高値を更新。週明け以降、各国で食料や飼料価格がさらに高騰する恐れが増している。国連食糧農業機関(FAO)も「2007、08年に匹敵する食糧危機に直面する恐れがある」と警告した。▼米政府はこれまでに32州1500郡以上を被害地域に指定、農家への低金利融資や給水支援などを打ち出した。だが、後手を踏み続ける政府への農家や消費者の不満は根強く、オバマ政権のバイオ燃料奨励策への風当たりも増している。▼米国では燃料供給業者に対してガソリンに一定割合のエタノールの混合を促す規制があり、トウモロコシの約4割はエタノール原料向けだ。FAOのダシルバ事務局長は「速やかに奨励策を停止すべきだ」と訴えている。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/120812/amr12081222010003-n1.htm

食料価格の高騰、米国干ばつの影響
(National Geographic 2012-8-6)

 アメリカ中西部、イリノイ州エルドラド(Eldorado)の農場のトウモロコシは、干ばつの影響で実がやせ細っている。アメリカの多くの地域では、過去50年以上で最悪クラスの干ばつが続く。干ばつ情報を提供するWebサイト「アメリカ干ばつモニター(U.S. Drought Monitor)」によれば、国土の約50%は深刻度が中程度のD1以上、約40%が深刻なD2以上、約17%が非常に深刻なD3以上に該当している。

同サイトの運営に携わる気候学者ブライアン・フュークス(Brian Fuchs)氏は7月26日のレポートの中で、「中西部から南部のイリノイ、アイオワ、ミズーリ、インディアナ、アーカンソー、カンザス、ネブラスカで特に被害が大きい。先週には、深刻な干ばつの範囲がワイオミングとサウスダコタの一部まで拡大した」と述べている。

アメリカのトウモロコシ生産地帯「コーンベルト」全体が大打撃を受けており、価格が高騰している。収穫量が30%も減少した1988年以来、最悪の作物被害となる可能性が高いという。専門家の予測では、トウモロコシ、大豆、小麦などの主要穀物の供給不足により、間もなく食料の流通価格が上がり、その状況が2014年ごろまで続く。家畜の餌でもある穀物の価格が上昇すると、やがては食肉や乳製品の値段にも転嫁されることになる。

また、アメリカで生産されるトウモロコシの40%はエタノール用に使用されており、エタノール製造量も約2年間の最低レベルまで落ち込んだ。トウモロコシの価格高騰による供給不足への不安から、今年のエタノール価格は約22%上昇している。

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2012080601&expand#title

シェールガスに暗雲、米国干ばつの影響
(National Geographic 2012-8-8)

 アメリカ、ペンシルバニア州ブラッドフォード郡で、埋蔵天然ガスの水圧破砕(フラッキング)作業を行う採掘業者。干ばつの影響で河川の水量や地下水位が低下し、同州の多くの地域ではフラッキングの水使用が停止されている。

取水停止措置がとられたのは、サスケハナ川流域のペンシルバニア州13郡とニューヨーク州1郡。2008年6月にフラッキング用の取水が許可されて以来、最も厳しい制限だという。

フラッキング1回あたり、約1万5000キロリットルの水と複数の化学物質が消費される。地下に高圧注入して岩石層を砕き、クラック(割れ目)を作って天然ガスを噴出させる手法が普及。埋蔵量の豊富なアメリカでは、新しい国産エネルギー源「シェールガス」として近年注目されている。

しかし、環境保護団体からは、「水供給や健康への悪影響など、危険性を看過できない」と非難の声が上がっている。

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2012080801&expand#title

【動画】アメリカで約60年ぶりの大干ばつ 8割のトウモロコシ枯れる(12/07/26)

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