<線量計に鉛カバー強要、作業員の被ばく隠しか>厚労省が立入調査

東電福島第一原発復旧工事での下請企業「ビルドアップ」による被曝偽装――鉛カバーで線量計を覆い計測被曝量を少なくする。 これは氷山の一角なのではないか。 東電は工事を発注すれば元請に丸投げで下請業者の実態を把握していない、というより見て見ぬ振りをしているのではないか。 以下、報道記事――

東京電力・福島第一原子力発電所の事故の収束作業で、工事を請け負った会社の役員が、作業員に対して線量計に放射線を 通しにくい鉛のカバーをして被ばく線量を少なく装うよう指示していたことが分かった。 厚生労働省は、21日朝から作業員の被ばく線量のデータを保管して いる原発の敷地内にある事務所に立ち入り調査を行っている。

線量計に鉛カバー強要、作業員の被ばく隠し

線量計に鉛カバー強要、作業員の被ばく隠し

被ばく線量を少なく装うよう指示していたのは、福島県浪江町の設備メンテナンス会社「ビルドアップ」の役員。 ビルドアップは、東京電力が発注した福島第一原子力発電所の放射線が高い現場で、配管が凍結しないための工事を請け負っていたが、会社の社長にると、去年12月、役員が作業員に対して、それぞれが身につける線量計に放射線を通しにくい鉛のカバーをして被ばく線量を少なく装うよう指示したという。

役員は社長に対して「工事の始まる前に現場に下見に行った際、放射線量が急速に上がっていることを示す線量計のアラーム音に驚き、被ばく線量を少なく見せかけようとした。9人の作業員が一度鉛のカバーを使った」と説明。

このため厚生労働省は、作業員の安全確保のため線量計を正しく使うよう定めた労働安全衛生法に違反する疑いもあるとして、21日朝からビルドアップに工事を発注した企業の原発の敷地内にある事務所に立ち入り調査を行い、作業員ごとの線量計のデータを確認するなどして当時の状況を詳しく調べている。

立ち入り調査について「ビルドアップ」の和田孝社長は「調査を受けていることについて事の重大性を深く受け止めています。現在、社内でも調査を行っていて事実関係を明らかにしたい」と話した。   (NHKニュース「被ばく線量偽装疑い 立ち入り調査」7月21日12時48分 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120721/k10013750711000.html

▼ この件を東京新聞は以下のように報じている――

線量計に鉛カバー強要 作業員の被ばく隠しか
(東京新聞 2012年7月21日13時59分)

 東京電力福島第一原発事故の収束作業をめぐり、作業を請け負った福島県内の建設会社の役員が昨年十二月、作業員が個別に装着する警報付き線量計(APD)を鉛板のカバーで覆うよう強要していたことが二十一日、関係者への取材で分かった。これまでにカバーの使用を認めた作業員はいない。

累積被ばく線量が高くなった役員が、遮蔽(しゃへい)効果が高いとされる鉛でAPDを覆い、被ばく線量を偽装しようとしたとみられる。厚生労働省は労働安全衛生法違反の疑いもあるとみて調査を開始、福島労働局などが同日、第一原発内の関係先を立ち入り検査した。

関係者によると、装着を強要していたのは、東電グループの東京エネシス(東京)の下請け企業「ビルドアップ」(福島県)の五十代の役員。昨年十二月一日、作業員宿舎で約十人の作業員に鉛板で作ったカバーを示し、翌日の作業で装着するAPDをカバーで覆うよう求めた。

役員だけが装着した場合、一人だけ極端に被ばく線量が低くなって偽装が発覚するのを恐れたとみられる。

ビルドアップが請け負っていたのは、汚染水を処理する設備の配管が凍結しないようホースに保温材を取り付ける作業。作業現場付近の空間線量は毎時〇・三~一・二ミリシーベルトだった。工期は昨年十一月下旬から今年三月。

東京エネシス広報室によると、ビルドアップからは「(役員は)カバーを作ったが、作業員は使っていない」と連絡があったという。東京エネシスは「事実だとすれば非常に問題だ」としており、役員が単独で作製したかなどを調べている。

<原発作業員の被ばく線量> 原発で働く作業員の被ばく線量限度は、通常作業時が「5年間で100ミリシーベルトかつ年間で50ミリシーベルト」。事故などの緊急時は「年間100ミリシーベルト」としている。東京電力福島第一原発事故では、作業時間を確保するため特例として100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げたが、収束作業の進展に伴い、昨年12月から原則として通常時の基準に引き下げられた。一般人の年間被ばく線量限度は1ミリシーベルト。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012072190135915.html

☛ APDとは何か? APDは Audible alarming Personal Dosimeter の略称で「警報付き積算線量当量計」のこと。

☛ 【ビルドアップ】 福島県の中堅建設会社。1983年設立で和田孝社長。登記上の本社は浪江町。原発事故で郡山市に移転。大手プラントメーカーや東電グループ企業などの下請けとして、新潟県や福井県など各地の原発で配管工事などを重ねてきた。青森県六ケ所村にも事務所があり、日本原燃の核燃料再処理施設にもかかわる。従業員は約100人。一般労働者派遣事業の許可も受けている。

この問題を朝日新聞がスクープして今朝(7月21日)の朝刊1面と2面で取り上げている。 1面記事のクリップ (画像クリックで拡大)――

線量計に鉛板、被曝隠し
福島原発復旧  東電下請けが指示

東京電力が発注した福島第一原発の復旧工事で、下請け会社の役員が昨年12月、厚さ数ミリの鉛のカバーで放射線の線量計を覆うよう作業員に指示していたことがわかった。法令で上限が決まっている作業員の被曝(ひばく)線量を少なく見せかける偽装工作とみられる。朝日新聞の取材に、複数の作業員が鉛カバーを装着して作業したことを認めた。役員は指示したことも装着したことも否定している。厚生労働省は、労働安全衛生法に違反する疑いがあるとして調査を始めた。

朝日新聞は、福島県の中堅建設会社である下請け会社「ビルドアップ」の役員(54)が偽装工作したことを示す録音記録を入手した。昨年12月2日夜、作業員の宿舎だった福島県いわき市の旅館で、役員とのやりとりを作業員が携帯電話で録音していた。

役員はその前日、作業チーム約10人に対し、胸ポケットに入るほどの大きさの線量計「APD」を鉛カバーで覆うよう指示した。だが3人が拒んだため、2日夜に会社側3人と話し合いがもたれた。役員は録音内容を否定するが、この場にいた複数の作業員が事実関係を認めている。

□     □

役員が口火を切った。

「年間50ミリシーベルトまでいいというのは、原発(で仕事を)やっている人はみんな知っている。いっぱい線量浴びちゃうと、年間なんてもたない。3カ月、4カ月でなくなる。自分で自分の線量守んないと1年間原発で生活していけない。原発の仕事ができなかったらどっかで働くというわけにはいかねえ」

作業員の被曝限度は「年間50ミリシーベルト」などと法令で定められている。被曝限度を超えれば、原発では当面働けない。

役員は続けた。

「線量がなくなったら生活していけねえんだ。わかる? 50ミリがどんどん目減りしていくわけだから」

今回の工事は、東電がグループ会社「東京エネシス」に発注し、ビルド社が一部を下請けした。ビルド社員や、業者の紹介で各地から集まった人ら約10人の混成チームで、汚染水処理システムのホースを保温材で巻く。現場は、福島第一原発1~4号機の間近だ。

鉛カバーで記録上の線量が下がることは、放射線にかかわる人には常識だ。作業員の一人が「俺はやってはいけないことを……」と言うと、役員は遮った。

「やってはいけないってのは百も承知。やりたくない人は無理にやらなくたっていいんだよ」

別の作業員が「これって犯罪に近いと思う」と言うと、役員はこう反論した。

「私、無理押しした? 自分のために納得してやってもらえるんだったらやってください、ということなの。俺は自分の線量を守りたいからやるよ」

この役員は、実質的な現場責任者も兼ねていた。各地の原発で工事を仕切るため、「あそこ(福島第一)で全部(線量を)使い果たすわけにはいかねえ」とも語った。

同じ現場で鉛カバーを着ける人と着けない人がいたら、線量の記録がばらついて不正が見つかる。役員は自分の線量を少なく見せるため、全員に鉛カバーの装着を求めているのだろう――。作業員たちは納得できず、「なぜ鉛で隠すのか」と重ねて反論した。

役員は語気を強めた。

「鉛で隠さないと、線量なくなったら仕事にならないんだ」(佐藤純、藤森千秋)

朝日朝刊(7月21日)2面クリップ――

■ 「高線量のところ、お金が高い」

複数の作業員の証言によると、ビルド社の役員は話し合いの前日にあたる12月1日朝、福島第一原発から約20キロ離れたJヴィレッジで、防護服に着替えた作業員たちに淡々と告げた。

「今日は線量の高い所に鉛の箱を着けて入る」

役員が説明した段取りはこうだ。原発構内の免震重要棟まで各社乗り合いのバスで行って東電のAPDを受け取り、防護服の下のシャツの胸ポケットに入れる。そこからビルド社専用の車に乗り換え、車内で一人ひとりに鉛カバーを渡す。防護服を破ってAPDを覆い、防護服の裂け目にテープを貼る――。

役員は身ぶり手ぶりを交えて装着方法を説明。一人ずつ「くれぐれも見つからないように。わかったか。やるだろ」と声をかけた。

メンバーは次々に同意した。しかし、一部の作業員は拒否し、押し問答になった。役員にとって想定外の事態だったようだ。

「強制はしない。いやなら帰ってくれ」

役員はそう言い残し、同意した作業員たちと原発行きのバスに向かった。一方で、チームからひとりの男を選び、拒んだ作業員らを車でいわき市にある宿舎に送り届けるよう指示した。

その車中、役員から指名された男はこう話した。

「高線量のところは誰もやんねえ、他の業者は。だから、ビルドとかにまわってくるわけ。その代わり高いのよ、お金が」

■ 不正拒否に「原発向いていない」

朝日新聞が今月取材したところ、鉛カバーを着けて作業したと認めた20代の作業員は、「やらなかったら仕事ができない。カネがもらえなくなる」と当時の心境を振り返った。

ベテラン作業員は「1日だけ着けた。(現場の)ホースの水を抜いたら線量が下がったので、その後は使わなくなった」と語った。だが、ビルド社役員から電話が入った後は「着けたか着けなかったか、わからない」と口が重たくなった。

宿舎に戻った別の作業員が当時、「鉛を着けても線量が高かった」と話すのを聞いた関係者もいる。

APDの画面では、作業員がその日に浴びた線量の積算が刻一刻と更新されていく。元請けの東京エネシスは毎日、このデータに基づいて各作業員の線量が限度を超えないように注意する。作業員が持つ放射線管理手帳にも記入される。APDは設定した線量に達すると警報が鳴るため、高線量の現場では「命綱」だ。

セシウム137のガンマ線は、厚さ7ミリの鉛で半分、22ミリで10分の1になるとされる。APD前面のセンサーが鉛でふさがれれば正しく測定されず、線量が非常に高くても警報が鳴らない恐れもある。

鉛カバーを着けたとみられるビルド社のある作業員の外部被曝(ひばく)は記録上、12月の1カ月間で十数ミリシーベルトだった。東電の記録に照らすと、同時期の作業員約5千人の上位約1%に入る。それほど厳しい環境で作業していたことになる。

健康障害の恐れがある環境で働かせる場合、企業は防止対策をとるよう労働安全衛生法で義務づけられている。線量計を鉛カバーで覆って作業させれば、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金。実際に装着しなくても上司が不正行為を迫れば、刑法の強要罪にあたる可能性がある。

□     □

現場を下見した際に「被曝隠し」を決断した――。作業員らが、ビルド社役員の発言をそう受け止めた場面がある。

鉛カバーの装着を拒んだ作業員らとの話し合いが行われた12月2日夜のことだ。やりとりの録音によると、いわき市の旅館の一室で、役員はビルド社のチームが1~4号機付近の作業現場を下見した11月下旬の出来事を話し出した。爆発で飛び散ったがれきがまだ残る中、APDの警報が「ピピピ」と鳴った。

「こりゃあ(線量が)高いなっていうのは、すぐわかった。あのエリアやるときはこうしようと、私なりの判断で決めた」。役員の発言を聞いた作業員らは、「こうしよう」が被曝隠しのことを指すと確信したという。

さらに、役員は「自分の線量は自分で守るため、今までそうやったこともある」とも語り、それ以前にも「被曝隠し」をした経験があることをほのめかした。

作業員たちは納得しなかった。役員は次第に説得をあきらめ、口調を強めた。

「原発は向いてないかもしんない。地元に帰って別な仕事やりな」

「線量の高いときはそれなりにいろいろやってきてんの。それがさ、あんたの生き方間違っているって、俺は言われたくねえんだ」

1時間に及んだ話し合いは折り合わなかった。作業員らは仕事を離れ、翌日にそれぞれの地元へ帰った。

野田佳彦首相が原発の冷温停止状態の達成を宣言したのは、それから約2週間後のことである。(青木美希、鬼原民幸、木原貴之)


ビルド社の和田孝社長は役員が指示したことを認めている一方、指示したといわれる役員は「やっていない」と否定している
元請けである「東京エネシス」は「使用していない旨の報告を受けている」と…

【続報7/22】

朝日新聞7月22日の朝刊1面に続報が載っていた。 鉛のカバーは役員が指示して作業員に作らせ、使用後は原発構内に投棄させていた。 厚生労働省は投棄された鉛カバーの回収に動いている。 また、役員はビルドアップの和田孝社長に21日朝、電話で鉛カバーの使用を認めたという。 以下、朝日の記事クリップ――

作業員に鉛カバー作らせる
被曝隠し  使用後構内に投棄

東京電力福島第一原発の復旧工事に参加した下請け会社ビルドアップ(福島県)の役員(54)が昨年12月、線量計を覆うために用意した鉛のカバーは、事前に作業員自身に作らせたものだった。 役員は作業後、鉛カバーを原発構内に投棄させており、厚生労働省は本当の被曝線量を調べるため回収を目指している。

「APD」と呼ばれる線量計は縦97ミリ、横58ミリ、厚さ16ミリ。防護服の下のシャツの胸ポケットに入れ、ガンマ線やベータ線を前面のセンサーで感知し、全身にどれだけの放射線を浴びたかを測る。

作業員らによると、昨年11月30日、ビルド社の作業チーム約10人の半数ほどが原発構内の作業場に集められた。役員は厚さ数ミリ、縦横1メートルほどの鉛板を用意していた。通常は汚染水の配管を覆って放射線を遮るために使う鉛板とみられる。

役員はAPDの実物を使ってサイズを測り、鉛板に油性ペンで線を引かせて金属用のはさみで切断させた。作業員たちは万力やハンマーでAPDの前面、両側面、底を覆うカバーの形に整えた。「手で折り曲げた」と話す作業員もいる。

作業員の一人は「鉛のカバーを12個作り、一つ一つに1から12まで番号を書いた」と証言する。朝日新聞の取材後、作業員らから聞き取りしたビルド社の和田孝社長は「9個作ったと聞いている」としている。

役員が鉛カバーの用途を説明しなかったため、作業員の一部はその場で尋ねたが、明確な回答はなかったという。役員は完成したカバーを土嚢(どのう)に使うような白っぽい袋に詰め、原発構内のビルド社専用の車の後部座席の下にしまった。

役員は翌朝、作業員の拠点「Jヴィレッジ」から原発へ向かうバスに乗り込む直前に「昨日、鉛(カバー)を作った。あれを装着して入る」と指示。製作に加わった作業員は「そんなふうに使うのかと思った」と驚いたという。3人はその場で拒否し、仕事を外された。役員は現場の放射線量が高いと判断し、線量計を鉛カバーで覆って被曝(ひばく)線量を小さく見せかけようとしたとみられる。 (佐藤純、青木美希)

指示・使用 役員認める

ビルドアップの和田孝社長は21日、福島第一原発で昨年12月1日に鉛カバーで線量計を覆って作業員9人を約3時間働かせていたことを朝日新聞の取材に認めた。20日までは役員が鉛カバー装着を指示したが、実際は着けていないと説明していた。役員が21日朝、電話で認めたという。

和田社長によると、役員は「事前に現場に行ったときにAPDの警報音に驚いて考えついた」と説明。1号機西側の高台で資材を運ぶ作業などをする時に鉛カバーを装着したという。役員は「大変なことをしてしまった」と謝罪しているという。  厚生労働省は21日、労働安全衛生法違反の疑いで福島第一原発の現場などに立ち入り調査した。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中