<魚の値段|世界では上昇、日本では下落 なぜなのか?> 世界のトレンドに逆行する日本の魚価低迷、そこには根深い問題があるようだ…

魚の値段は世界的には上昇しているのだが日本では下落しているのだそうだ。 例えば、日本の輸出するサバは世界最安値なのだそうだ。 世界のトレンドに逆行する日本の魚価。 なぜなのか? 日本の魚価低迷には根深い問題があるようだ。 そのへん事情を日経の「価格は語る」というシリーズの記事が解説している――

世界では上昇、日本では下落 魚の値段に潜む悪弊
(日経「価格は語る」 2012/6/21)

「魚価の低迷」が叫ばれて久しい。築地を代表とする東京都中央卸売市場で取引される水産物の平均価格は1990年台前半の1キログラム996円をピークとし、2009年には2割安い802円まで下落した。新興国の消費増加による魚価上昇が国際トレンドとなっている近年、世界屈指の水産国であるはずの日本の生産者は、なぜその恩恵を受けられないのか。

景気低迷や値下げ圧力だけではない

 外食チェーンの低価格化や長引くデフレで安い食材が増えているため、消費者の実感は薄いかもしれないが、魚価は確実に下がっている。今年発行の「水産白書」によれば2000年からの10年間で国内水産物の生産額は20.9%減少し、生産量の16.8%減を上回る。一方、FAO(国連食糧農業機関)が発表した世界の「魚価指数」(02~04年=100)は11年の推定値が154。供給を上回るペースで需要が増え続けている。

世界のトレンドに逆行する日本の魚価。要因は複数考えられる。景気の低迷による高級魚の売り上げ不振、スーパー主導の値決めによる値下げ圧力の増大……。『魚の経済学』の著作がある明海大学の山下東子教授は「もともと高水準にあった日本の魚価が国際価格の方向に収斂(れん)していく過程ともいえる」と指摘する。

だが、魚価低迷にはさらに根深い問題も見え隠れする。

「世界最安値のサバ」を輸出する日本

ある築地の仲卸は「行き場のない魚が築地に送られてくることが増えている。築地は元来、一定以上の品質の魚が集まる場所だったのだが……」と漏らす。水揚げされたものの、市場外での相対取引などが成立しなかった商品価値の低い魚が増え、魚価下落の一因になっているというわけだ。

価格が下がっているのは築地だけではない。2005年以降、エジプトやナイジェリアなどアフリカの国から日本産のサバへの引き合いが急増した。理由は「世界最安値のサバ」(水産商社)だから。05年当時、ノルウェー産のサバが1キロ240円だったのに対し日本産は40円。原発事故以降、輸出は激減したが「小型が多く、肉質も劣る日本産はそれだけ評価が低い」(同)のだという。

値段上がる前に乱獲

 何がこうした事態を引き起こしているのか。マルハニチロ水産のバイヤーとして海外からの買い付けに長年携わり、『日本の水産業は復活できる!』の著書もある片野歩氏は「日本が正しい資源管理政策を取ってこなかったことに尽きる」と言い切る。「産卵する大きさに成長する前の魚を無秩序に取り続けた結果、親魚が減り、水揚げ量が減ったうえに安価な小型の魚ばかりが増えてしまった」

一般的に、魚は大型になるほど価値が増す。例えば北海道や三陸などで漁獲されるキチジ(別名キンキ)。成魚になれば卸値で1キロ3000円程度になるが、築地では「豆キンキ」などと呼ばれる小型のものが数百円で出回っている。

メジと呼ばれる1歳のクロマグロは1キロ500~1000円程度だが7歳の成魚になれば1キロ5000円以上になることも。体重が3キロから100キロに増えたとすると、1匹あたりの金額は2000円から50万円になる可能性がある。実際は自然死する魚もいるわけだが、金融商品に例えれば、6年で100倍以上の利率が付く定期預金を、早々と解約しているのに等しい。

ルール不在の「早い者勝ち」

問題は「商品価値が低い魚の乱獲を防ぐルール」が不在なことにある。ノルウェーやニュージーランドなどの漁業先進国では漁業者ごとに漁獲枠が決められている。魚種ごとの資源状況に応じて取れる重量が前もって決められているため、網の目を大きくするなどして商品価値の高い大型の魚だけを、水揚げが少なく相場が高い時期に取ろうとする。

対照的に日本の漁業は基本的に“早い者勝ち”。自分が取らなくても他の誰かが取るので、漁師は商品価値が低くても「取られる前に取る」というスタンスにならざるをえない。水揚げ時期も集中しやすく、相場は一段と崩れやすくなる。漁師同士の競争に勝つことばかりにエネルギーを費やし、商品価値を最大限に引き出すための戦略は立てられないのだ。

日本にも漁獲枠はある。しかしサンマやサバなど7魚種と少ないのに加え、実際の漁獲実績を大きく上回る枠が設定されている。豊漁ならば期中に漁獲枠が増えることもあるので実際は“取り放題”に近い。約100魚種に控えめな枠を設定しているニュージーランドなどとは比べるべくもない。

『漁業という日本の問題』などの著書がある三重大学の勝川俊雄准教授は「サイズの規制もない日本の漁獲枠制度では効果が薄く、先を競って未成熟魚を巻き網で一網打尽にしているのが実情。現行のルールでは漁師が頑張れば頑張るほど業界全体が疲弊していく」と警鐘を鳴らす。

「上手に取らない」実践できるか

かつて水産資源の枯渇問題に直面したノルウェーなどでは現状維持を望む漁業者の猛反対を押し切って個別の漁獲枠制度を導入した。漁獲量を抑えた結果、資源の回復と相場の上昇につながり水産業が復活した。

カツオ一本釣りで知られる高知のベテラン漁師は言う。「昔から名のある漁師は良い値段で売るために釣れる魚も釣らずに帰ったもの。それが結果的に生産調整と資源保護につながっていた」。低迷する魚価を押し上げるカギが「どれだけ上手に魚を取るか」にあるのではなく、「どれだけ上手に取らないか」にあることは、一部の当事者たちも気付いている。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDJ1401Z_V10C12A6000000/

 

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