<厚生年金基金の国への返済金減額へ、有識者会議報告書> AIJ年金消失問題を受け赤字の年金基金が解散しやすくする改革案だが…

AIJ投資顧問による年金消失問題を受け、厚生年金基金の見直し策などを検討している厚生労働省の有識者会議(座長・山口修横浜国立大教授)は、赤字の同基金が解散しやすくなるよう国への返済額を減額すべきだとした報告書の原案をまとめた。19日の会議で示す。ただ、減額分は厚生年金加入者全体で穴埋めすることになる。民主党は否定的であるため、同省は加入者の理解が得られるかなども踏まえて月内に最終方針を示す。▼厚年基金は公的年金である厚生年金の保険料の一部を国に代わって運用している。だが、運用難から約束通りの年金を払うだけの積立金を保有できていない基金も多い。こうした基金が解散するには、不足分を国に返す必要がある。返済は基金の構成企業が連帯して行うが、資金不足から連鎖倒産する企業が出かねなくなっている。▼このため、有識者会議は、基金の構成企業がすべて倒産した場合の厚生年金財政に与える影響を考慮し、「早急に対応する必要がある」と指摘、返済額の計算方法を見直して金額を小さくするよう求めている。▼厚労省の調査(10年度末時点)では全国578基金の4割近い212基金で厚生年金の給付に必要な資金が不足している。

厚労省有識者会議の報告書案の骨子

● 積み立て不足の基金が解散時に国に戻すお金を減額
● 解散後に企業が債務を連帯返済する制度を廃止
● OBの年金減額の条件緩和は両論併記

厚年基金、解散しやすく 国への返還金減額
厚労省改革案
(日経 2012/6/19 2:00)

AIJ投資顧問による年金消失問題を受け、厚生労働省がまとめた厚生年金基金制度の改革案の全容が18日判明した。厚年基金が解散する際に国への返還が義務付けられている積立金を減額し、加入企業の負担を減らす。解散時に積み立て不足がある基金の加入企業が、連帯して返済義務を負う制度も撤廃する。財務悪化に苦しむ厚年基金が解散しやすくする。

厚年基金制度の廃止や退職した元会社員(OB)が受け取っている年金の減額要件の緩和については結論を保留した。

厚労省が19日、AIJ問題の再発防止を検討する有識者会議で制度の改革案を提示する。改革案を有識者会議で議論したうえで、来年の通常国会への厚生年金法などの関連法制の改正案の提出を検討する。

厚年基金は企業年金と公的年金の一部である「代行部分」を一体で運用・支給している。厚年基金が解散する場合には、代行部分を国に返さなければならない。しかし、運用環境の悪化で、全体の約4割で代行部分への損失「代行割れ」が発生し、代行部分の給付に必要な水準に達していない基金も多い。

代行割れ部分の穴埋めの負担が重いことが基金解散の足かせになっている。厚労省は水準が下がるように計算方法を見直す。

赤字基金が解散する際に加入する全企業が債務の返済に連帯責任を負う制度も改める。解散時に、基金をつくる加入企業すべてに課している返済義務を、個別の企業に課す仕組みに改める。ある加入企業が倒産しても、残った債務をほかの企業が負う必要がなくなる。同じ業種でつくる厚年基金も多く、連帯責任の制度は連鎖倒産を起こす恐れが懸念されていた。

ただ、倒産に伴う債務は企業と会社員の保険料による厚生年金本体の積立金での穴埋めが必要になる。返還金の減額とあわせて、一部の倒産企業の債務を積立金で補うのは公平性を欠くとの反発も予想される。

報告書案では、厚年基金制度の廃止や退職した元会社員(OB)が受け取っている年金の減額については、両論併記にとどめた。厚労省は、厚年基金には450万人近く加入しており、抜本的な制度見直しは影響が大きいと判断した。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS18034_Y2A610C1MM8000/?utm_medium=twitter&utm_source=dlvr.it

企業年金改革、道半ば 厚年基金廃止の結論を保留
(日経 2012/6/19 2:00)

厚生労働省がまとめた厚生年金基金制度の改革案は、これまで手つかずだった企業年金の改革に踏み出した点で半歩前進といえる。一方で、課題も多く残した。焦点だったOB減額基準の緩和や将来の厚年基金制度の廃止は両論併記する形で判断を保留し、今後の検討課題とした。

有識者会議は今回明らかになった報告案を軸に、6月末に最終報告をまとめる。右肩上がりの高度経済成長期につくられた厚年基金制度は株式市場の低迷が長引き、約束した利回りを確保することが難しくなっている。AIJ投資顧問の年金消失問題の背景となったこうした構造問題の解消を目指し議論してきた。

報告書では、年金基金の解散を促す対策を盛り込んだ。予定利率を引き下げやすくする仕組みの導入、中小基金の資金を集めた共同運用といった基金の財務改善策も継続検討案件とした。

OB年金の減額基準の緩和については、委員の意見が対立した。OBへの年金支払いに現役会社員が苦しむ構造は、厚年基金だけでなく、大企業の確定給付企業年金でも共通の課題。企業を代表する厚年基金の委員は減額基準の緩和を強く要請した。一方、労働組合の代表者が受給権保護の立場から反対し、意見は集約できなかった。

現行制度でOB年金を減額するには、企業はOBの3分の2以上の同意を得た上で、厚労省から認可の同意を得る必要がある。企業の経営が著しく悪化した場合や現役社員の掛け金(保険料)が著しく上がってしまう場合に認可は限られる。このため、多くの企業は、OBに年金給付額の減額を求めることに二の足を踏んできた経緯がある。

厚労省は同意基準を3分の2から2分の1以上に緩める案も検討した。OBの同意を取りつけやすくなるとして、多くの企業が議論の行方に注目していた。

民主党が4月に提言した厚年基金の廃止も議論した。厚年基金を解散しやすくする一方、確定拠出企業年金などへの移行を促す内容だ。ところが、有識者会議で東京乗用旅客自動車厚年基金の永山善二常務理事が廃止に反対した

AIJ問題は企業年金を改革するきっかけをつくったが、利害関係者の対立が根深い問題が検討課題として残った。厚労省は今秋以降、社会保障審議会でOB減額基準の見直しや厚年基金制度の存廃を議論する方針だ。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1803H_Y2A610C1EE8000/

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