<中国、北朝鮮に軍用車両 昨年8月 安保理決議に違反> (朝日6/13)

中国、北朝鮮に軍用車両 昨年8月 安保理決議に違反
(2012年6月13日03時00分)

中国が昨年8月、弾道ミサイルの運搬・発射用の大型特殊車両4両を北朝鮮に輸出していたことがわかった。日本政府が昨年10月、車両を運んだ貨物船で輸出目録を発見し、入手した。車両は今年4月、北朝鮮の軍事パレードで新型の弾道ミサイルを搭載して登場した。この輸出は、北朝鮮への大量破壊兵器関連物資の輸出など… (朝日デジタル http://www.asahi.com/international/intro/TKY201206120755.html?id1=2&id2=cabcagbd

上記のリンクは朝日デジタル版で続きは会員でないと読めない。 そこで朝日の紙面版を入手し記事をクリップした。 どうやら、この件は朝日がスクープしたようだ、今日の朝刊一面に掲載されていた。

中国、北朝鮮に軍用車両
(朝日新聞朝刊 6月13日 1面)

安保理決議に違反
日米間が把握、公表せず

中国が昨年8月、弾道ミサイルの運搬・発射用の大型特殊車両4両を北朝鮮に輸出していたことがわかった。日本政府が昨年8月、車両を運んだ貨物船で輸出目録を発見し、入手した。車両は今年4月、北朝鮮の軍事パレードで新型の弾道ミサイルを搭載して登場した。この輸出は、北朝鮮への大量破壊兵器関連物資の輸出などを禁じた国連安全保障理事会制裁決議に違反する。決議に反する対北支援を一貫して否定してきた中国の主張が崩れた。

複数の日本政府関係者が朝日新聞の取材に明らかにした。

日本と情報を共有した米国と緯国の計3カ国は、北朝鮮が3回目の核実験に踏み切る可能性があるなか、北朝鮮に強い影響力を持つ中国との関係を良好に保つ必要性があると判断。米国の主導で一連の経緯を公表せず、結果的に制裁決議の空文化を招いた。

4両を運んだのは、カンボジア船籍の貨物船「HARMONY WISH」(1999トン)。日米韓の情報衛星は、この船が昨年8月1日に上海を出港、3日後に北朝鮮西部の南浦に到着した事実を確認した。

その後、昨年10月3日に大阪港に入港していたこの船に対し、第5管区海上保安本部が任意で立ち入り検査を実施。不審な積み荷はなかったが、上海の輸出代理店が発行した輸出の詳細な目録が見つかった。内閣情報調査室を通じて外務・防衛両省、首相官邸に報告された。

目録によれば、輸出した貨物は、中国軍系の「中国航天科工集団公司」の子会社が昨年5月に開発・製造した大型特殊車両「WS51200」(全長21メートル)4両。中国軍はWS系と呼ばれるオブロード型車両を弾道ミサイルの運搬・発射用に開発してきた。「51200」型は、ミサイルの大型化に対応するため、従来の12輪の「2900」型を改造して16輪にしていてる。大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風31」(射程約8千キロ)の運搬を一念頭に置いた開発とみられている。

輸出元は、中国の「武漢三江輸出入公司」で、中国航天科工集団公司の関連会社とみられる。輸入元は北朝鮮の「リムモク総合貿易会社」。日本政府がリストアップしている北朝鮮の武器輸出入関連企業の極秘ファイルには掲載されていない。同社は、北朝鮮が制裁を逃れるために作ったペーパーカンパニーの可能性が高いという。

北朝鮮は4月15日に平壌で行われた故金日成国家主席の生誕100年を祝う軍事パレードで、新型の弾道ミサイルを搭載した16輸の大型車両8両を公開し
た。北朝鮮には発射台を搭載したこれらの車両を独自に開発する技術はなく、形状がWS51200に酷似していることから、日米韓は中国が輸出した4両と同一だと断定した。

そのうえで、日米韓は今回の輸出が、2009年の2度目の核実験を契機に、小火器や軽火器を除く全兵器と、その関連物資の北朝鮮への輸出を禁じた国連安保理の制裁決議1874号に違反すると結論づけた。

制裁決議は安保理の最も強い意思表明手段で、加盟国に対して法的拘束力を持つ。

中国はこれまで対北朝鮮制裁決議に違反した事実はないと説明してきた。今回も公式には関与を否定していたが、米国が4月、中国に非公式にこの事実を提起したところ、初めて輸出の事実を認めたという。ただ、「伐採された大型木材を運搬する目的での輸出だった」として、あくまで民生用の輸出と釈明しているという。

政府関係者によると、中国の貿易実態をまとめた中国税関統計には、4両の輸出に関する記載はない。 WS系車両はミサイル起立装置の装着を前提に開発されており、中国が国際社会の批判をかわすために強弁している可能性が高い。

(牧野愛博)

日米韓 背信の黙認
疑惑の船 日本が物証
(朝日朝刊 6月13日 2面)

中国による北朝鮮への弾道ミサイルの運搬・発射用の大型特殊車両の輸出の事実は公表されることなく、閣に葬られていた。背景には、3度目の核実験をちら
つかせる北朝鮮と、暴発を恐れる関係国との聞の虚実ない交ぜの駆け引きがあった。

やはり、中国は北朝鮮への軍事関連物資の輸出にからんでいた――。 昨年10月に初めて得た物証に、日本政府の関係者たちは沸き立ったという。弾道ミサイル運搬車両を運んだ「HAR MONYWISH」は、以前から北朝鮮との関係が取りざたされる「疑惑の船」だった。

政府関係者によれば、この船はカンボジア船籍だが、船員のほとんどは中国人。過去4年間で10回近く、北朝鮮の清津、元山、南浦などに寄港し、中朝貿易に深く関わってきた。中国が運航するカンボジア船籍の船舶は、北朝鮮やミャンマー、ラオスなどへの「闇」の支援に使われているとの疑惑が絶えなかった。

日本政府はこの船が日本に入港する機会を狙い、船長の同意の下に立ち入り検査を繰り返してきた。

過去、中国は北朝鮮に、ロケット推進燃料としても使えるヒドラジンやケロシン、原子力関連施設に必要とされる鉛ガラスなどを輸出。いずれも民生用とも弁明できるもので、国際社会の批判をかわしてきた。、

国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議の履行状況を監視するため、常任理事国5カ国と日韓の専門家でつくるパネルでも、中国の港が北朝鮮の武器輸出の中継港になっているという疑惑が何度も指摘されてきた。

だが、中国の専門家はこうした指摘をことごとく否定。「税学的根拠に乏しく、メディア報道に依拠しすぎている」などとして、安保理に提出された専門家による報告書の公開をほぼ認めず、報告書への署名自体を拒んだこともある。

今回、輸出の事実が明らかになった大型特殊車両「WS51200」は、ミサイルの起立装置の装着を前提に開発した軍事関連物資。近隣諸国に脅威を与える弾道ミサイルに関係する物資でもあり、中国に対する国際的な非難や釈明を求める声が強まりそうだ。

北朝鮮の暴発恐れる
緊張緩和優先 米に追従

4月15日の北朝鮮の軍事パレード後、車両が中国製ではないかとの疑惑が持ち上がった。政府関係者によれば、米政府は日本が通報した事実を中国に非公式に提起したという。これに対し、中国側は輸出の事実だけは認めたが、「民生用だった」と釈明したという。日米韓は国連安保理で追及を続けることを断念した。

「中国を追い詰める時ではなかった」。政府関係者の一人はこう語る。当時、日米韓の最大目標は、北朝鮮の3度目の核実験を防ぎ、朝鮮半島の緊張を緩和
することだった。中国は、日本政府に「我々が(核実験を防ぐために)どれだけ努力しているかわからないだろう」とまで説明していた。

特に4月23日に北京であった胡錦濤(コ・キントウ)国家主席と北朝鮮の金永日(キム・ヨンイル)朝鮮労働党国際部長との会談でのやり取りが大きく影響したという。

この1週間前の16日、国連安保理は北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射に対し、再発射や核実験に踏み切れば「安保理として相応の行動を取る」と警告する議長声明を全会一致で採択。予想外に強い中国の姿勢に慌てた北朝鮮は急きょ、金氏を北京に派遣した。

突然の訪問に中国も驚いた。外遊中だった中国共産党の外交を担う王家瑞・党中央対外連絡部長が急きょ帰国したほどだった。

胡主席は会談で金氏に対し、北朝鮮の一連の行動が日米韓の防衛態勢の強化を招いている点を指摘。「中国の安保に影響を与えている」と述べ、強い不快感を示した。そのうえで、北朝鮮が核実験を強行した場合、「中朝関係は決定的に強い影響を受けることになる」と予告。北朝鮮が望む支援や経済協力が白紙に戻る可能性を示唆した。

これに対し、金氏は「我が国の平和なロケット発射に不当な対応をするなら、我々も相応の対抗手段を取ると国際社会に警告。一方で、「現状が維持される以
上、我々も強硬な手段は取らない」とも語ったという。

中国はこの後、北朝鮮に対する姿勢を軟化させた。日韓が国連安保理の北朝鮮制裁委員会で、北朝鮮企業・団体約40社を新たな制裁対象とするよう求めたが、中国が反対し、最終的に3社に限って同意した。日米韓は中国が金氏の提案を受け入れた行動を取ったと判断。同時に、北朝鮮が当面、3度目の核実験に踏み切る可能性は低くなったと分析した。

制裁をやり尽くし、北朝鮮に対する有力な外交手段がない日本には、中国との妥協を決めた米国に従う以外に選択肢はなかった。日本は2002年4月、大量
破壊兵器の開発につながる製品・部品輸出を制限する「キャッチオール規制」を導入し、大型トレーラーの北朝鮮への輸出などを未然に防いできた。日本の努力に水を差す中国の行為を明確に指摘する機会を逸した。

日米韓は制裁委傘下の専門家パネルを通じて、車両輸出に関する情報を公表することを断念。パネルが5月にまとめた最新の報告書は「北朝鮮に軍事パレードで使用したミサイル運搬車両の製造能力はなく、調査を継続する」と記述されるにとどまった。

(牧野愛博)

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