<太陽の活動、過去20年低下|地球は寒冷化へ向かうのか?>衛星「ひので」の観測データーの件もある、「マウンダー極小期」の寒冷期再来はあるのか、さむ…

今年は太陽の話題が多い。 私も衛星「ひので」の観測データーの件でこのブログで取り上げたが、3千近くの閲覧があった。 それだけ皆さんの関心が高いのだろう。 特に日本人の宇宙、太陽、月に対する関心は非常に高いそうだ。 国民性として関心が高い…不思議な国民だ。 6月1日に、太陽の活動に関する日米天文台の観測データの分析結果が発表されたが、太陽の活動がこの20年間低下していることが確認された。 やはり、「マウンダー極小期」の寒冷期が再来するのだろうか? 報道記事と研究発表資料とを追ってみたい。

このブログ記事を読む前に、私が4月20日投稿した「<太陽極域磁場反転を捉えた衛星「ひので」> 太陽の4重極構造で地球は寒冷期に入っていくのか?」を読んで頂ければ、いま太陽に何が起こっているのかが更によく分かると思う。 また、今回の投稿記事が分かり易くなると思う。 もしまだお読みでなかった、是非おすすめする。

因(ちな)みに、今回の国立天文台・野辺山太陽電波観測所(長野県)の発表をまとめるとこういう事になると思う――

    • 過去20年間の太陽の電波画像、磁場画像なのど分析の結果、20年間わたって太陽全体の活動が次第に低下していることが確認された。
    • 太陽の北半球が太陽活動の極大期に達している一方で、南半球の太陽活動は極大期を迎えていないことが今回のデータで確認された。 よって、衛星「ひので」の観測データーによって報告されている「太陽北極・南極の磁場反転の崩れ」を裏付けることになる。
    • 過去20年間の観測結果に基(もと)づけば、太陽活動低下の傾向は今後も継続すると思われる。 どこまで低下するのか、マウンダー極小期が再来するのか、太陽活動がいつ回復するのかは現時点で根拠をもって回答することはできない。

      ========================================================
      ☛ 「マウンダー極小期」につては前出の4月20日のブログ投稿記事を参照されたい。 端的にいうと、太陽活動低下によって地球(特にヨーロッパを中心に)が寒冷期だった時期をいう、1650年ごろから60~70年ぐらい続いた。 「小氷河期」と表現されることもある。 現在の学説の一説によると、太陽の活動が低下(黒点の減少)すると地球に降り注ぐ宇宙線の量が増加し、宇宙線は地球の大気と反応して雲を大量量発生させる。そのため地球は雲に覆われた状態になり、地上に届く日射量が減り気温が低下する――と言われている。 この時期にはオーローラが観測されなくなる(以上の説明は<NHK特集 宇宙の渚「オーロラ」>を参考にしました)。=========================================================

では、電子版報道記事(朝日、産経、アストロ・アーツ)、国立天文台ニュースリリース、国立天文台提供「記者会見資料」の順でこのブログ記事を進めたい――

先ずは電子版報道記事

太陽の活動、20年前から低下? 日米の天文台が観測
(2012年6月1日9時13分)

太陽の活動が20年前から低下していることが、日米の天文台の観測データの分析でわかった。太陽は最近、日本の人工衛星が「冬眠入り」の兆候を観測したが、実はかなり以前から眠りにつこうとしているらしい。国立天文台や米航空宇宙局の研究者などが米天文誌「アストロフィジカルジャーナル」に発表した。▼太陽の活動度は電波や磁場の強さでわかる。国立天文台野辺山太陽電波観測所(長野県)の太陽電波望遠鏡が観測した電波の強さと、米キットピーク天文台(アリゾナ州)が観測した磁場のデータを、今回改めて研究者が調べたところ、いずれも過去20年間、活動の低下が続いていることを示していた。▼日本の衛星「ひので」は昨年、一緒に反転するはずの太陽の北極と南極の磁場の反転周期が乱れていることを観測。過去に太陽が30~70年の「冬眠」に入る直前と同じパターンであることをつきとめたが、両天文台も同じ乱れを観測していた。▼国立天文台の柴崎清登教授は「周期が乱れた太陽は、いわば『不整脈』を起こしている状態。活動の低下傾向は10~20年は続くだろう」と話した。 <http://www.asahi.com/science/update/0531/TKY201205310472.html>

太陽の活動、過去20年で低下 地球寒冷化への影響は不明
(産経 2012.6.1 00:17)

太陽の活動が過去20年間で次第に低下していることが分かったと国立天文台と米航空宇宙局(NASA)の研究チームが31日、発表した。今後10~20年は低下傾向が続くとみられる。地球の寒冷化や温暖化抑制への影響は不明としている。▼太陽は黒点が増えて活動が活発化する極大期と、黒点が減り静穏になる極小期を約11年周期で繰り返す。▼研究チームは国立天文台の電波望遠鏡(長野県)で観測した平成4~24年のデータを解析。12年4月の極大期の前後について北極・南極周辺の活動を比較した結果、最近の約10年間はそれ以前と比べて活動の強さが約3割低下したことを突き止めた。▼太陽活動が低下すると、地球を包む太陽の磁場が弱まり、地球に届く宇宙線が増加。大気中の水蒸気と反応して雲ができやすくなり、日射量の減少などで地球が寒冷化するとの説がある。現在の太陽は17~18世紀の寒冷期と同じ磁場の異変が起きているとの研究も先月発表された。▼今回の解析結果について同天文台の柴崎清登(きよと)教授は「気温との因果関係はまだ不明。地球の気象は複雑で、寒冷化の根拠になるとはいえない」としている。<http://sankei.jp.msn.com/science/news/120601/scn12060100180000-n1.htm>

太陽活動が20年間で低下 南北半球の周期ずれも
(アストロ・アーツ 2012年5月31日)

金環日食や金星の太陽面通過などで観察の機会が増えてきた太陽。その電波と磁場の20年間にわたる観測から、太陽活動が徐々に低下し、また両半球で周期のずれが起こっていることがわかった。

NASAおよび国立天文台野辺山太陽電波観測所の研究者らは、野辺山電波ヘリオグラフ(画像1枚目[クリックで拡大])による電波観測と米キットピーク国立天文台などによる磁場観測データを用いて、過去20年間にわたる太陽の活動を、極域を含む全球レベルで追跡した。

画像2枚目[クリックで拡大]は、太陽磁場(上図)と電波(下図)の強度分布の変化を表したものだ。磁場観測では、よく黒点の数で表されるような低緯度での活発度を、電波観測では、磁場では観測が難しい極域の活発度を、それぞれ見ることができる。

縦の点線は太陽活動の極小期にあたる時期を示しているが、下図を見ると、極域での活発度は1996年よりも2008年の方が低くなっていることがわかる。

また2012年3月には、極域での電波減少と磁場のN極S極の逆転から、北半球では太陽活動がピークになっていることがわかる。一方で南では高緯度での電波強度は高いままで、南半球全体としては未だ活動ピークに向けて上昇中のようだ。

また、北半球では「高緯度の電波が強いときは低緯度で弱く、高緯度が弱いときは低緯度で強い」という逆相関性が見られるが、南半球ではそれも崩れてしまっており、高緯度と低緯度の活動がずれていることもわかった。

これらの結果は、太陽観測の技術環境が整って以来初めて見られるものだという。今後もこの傾向は継続すると思われるが、17世紀~18世紀の「マウンダー極小期」のような時期が再来するのか、いつ回復するのかといったことは、はっきりとは予測できない。活動の正体である磁場(黒点、極域)の生成機構やその変動の原因は不明であり、現時点で根拠をもって回答することはできないという。

今回の結果は太陽物理学の問題であるとともに、太陽活動に依存している惑星間空間や地球上層大気への長期間にわたる影響にも関わる。長期間にわたる安定した高品質のデータを得るとともに、太陽、惑星間空間、地球大気を総合した研究が必要であると研究チームでは述べている。

http://www.astroarts.co.jp/news/2012/05/31solar_cycle/index-j.shtml

◇    ◇

以上は報道記事。 こういう場合やはり国立天文台(NAO = National Astronomical Observatory of Japan)に行ってみないと。 ホームページ<http://www.nao.ac.jp/>のニュース・リリースからたどっていくと「野辺山電波ヘリオグラフが明らかにした太陽のグローバルな活動状況」へのリンクが掲載されている。 国立天文台の発表はさすがに詳しいのでさっそくクリップ――

野辺山電波ヘリオグラフが明らかにした太陽のグローバルな活動状況

概要

NASA及び野辺山太陽電波観測所の研究者を中心とした研究チームは、野辺山電波ヘリオグラフによる電波画像とキットピーク国立天文台(米国)などによる太陽磁場画像等を用いて、過去20年間にわたる太陽のグローバルな活動(太陽の黒点の活動だけでなく、極域の活動を含めた太陽全体の活動)を追跡しました。その結果、この20年間で太陽全体の活動が次第に低下してきていることを明らかにしました。また、現在、北半球が太陽活動の極大期に達している一方で、南半球の太陽活動は極大期を迎えていないことをデータは示しています。つまり、太陽の北半球と南半球で、活動の同期が崩れていることになります。

太陽活動の大幅な低下および北半球と南半球で活動の度合いが大きく異なる状況は、人工衛星や地上での太陽専用大型観測装置が揃ってからは初めてのことです。野辺山電波ヘリオグラフ装置の長期にわたる安定した運用によって得られた高品質かつ均質なデータから導かれた本研究の結果は、これまでの太陽活動に対する我々の理解に疑問を投げかけることになりました。これは太陽物理学の問題であるとともに、太陽活動に依存している惑星間空間や地球上層大気への長期間にわたる影響の問題にもなります。

詳細

黒点数と太陽活動の周期
太陽の比較的低緯度(30度以内)の活動度を表す指標として、黒点数がよく利用されます。黒点数は、ほぼ11年の周期で増減を繰り返し、黒点磁場の極性(N極、S極)の並び方は1周期毎に反転します。周期には番号が付けられ、現在は第24活動周期の上昇期にあたります。第23周期の極小期には太陽表面に黒点の全く見られない日が長く続きました。また、第23活動周期は通常より約2年長かったことが知られています。最近の太陽活動は今までとは異なった状況を示しているのです。

高緯度付近の活動
高緯度の活動も11年の周期を示します。しかし、高緯度では、太陽活動が極小になる時期は黒点数が最大の時期、つまり、低緯度での活動極大期に対応します。極域は太陽の縁に近く、観測するためには高い空間分解能を持つ観測装置が必要です。活動が極小になる時に磁場の極性が反転することが知られていますが、反転の時には磁場が非常に弱くなり、そうでなくても難しい極域の磁場観測がますます難しくなります。そのため、高緯度付近の観測は、ひので衛星による高精度観測によって、つい最近可能となりました。

電波観測
一方、マイクロ波帯の電波で観測すると極域が明るく見え、その明るさが極域の活動度を示すことがわかってきました。八ヶ岳山麓の野辺山高原に設置されている電波ヘリオグラフ(*)は、1992年から20年間周波数17GHzで太陽の全面像を撮像してきました。20年分の電波の明るさの分布を並べたものが(下段)の図です。低緯度帯では黒点を含む活動領域からの強い電波が観測されており、太陽活動の進行とともに赤道方向に移動していくようすが見られます。その形から(電波)蝶形図と呼ばれます。

この図で特徴的なのは極域が非常に明るいことです。しかも明るい時期は、低緯度の暗い時期(太陽活動極小期)に対応しています。これを同時期の磁場分布図(上段)と較べると、極域磁場の強いときに電波も強くなっており、定量的にも相関がよいことが示されました。この電波蝶形図と磁場図から、第22~24太陽活動周期における太陽全面の活動は極域・低緯度帯ともにここ20年間次第に低下していることがわかります。また、2012年3月現在、北極の明るさは極小期(低緯度帯の極大期に対応)を迎えていることも示しています。つまり、北極では太陽活動の11年の周期が保たれています。しかし南半球ではそのような気配はうかがえません。

このように太陽活動の周期が南半球と北半球で太陽活動周期がずれているという状況は、衛星や地上での太陽専用大型装置が揃ってからは初めての経験です。本研究成果は、これまでの太陽活動に対する我々の理解に疑問を投げかけることになりました。これは太陽物理学の問題であるとともに、太陽活動に依存している惑星間空間や地球上層大気への長期間にわたる影響の問題にもなります。

本研究成果は、アメリカの天体物理学専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル」に掲載されています。

(*)「野辺山電波ヘリオグラフ」:国立天文台野辺山太陽電波観測所が運用している太陽電波観測専用の電波干渉計。口径80cmのパラボラアンテナ84基からなり、1992年から20年間、周波数17GHzで太陽の全面像を撮像している。

太陽磁場(上図)・電波(下図)の強さの分布の時間変化。低緯度帯(北緯30度から南緯30度付近の緯度帯。黒点が出現するのは、ほぼこの辺りとなる)が黒点の活動を表し、高緯度帯(北緯60度から北緯90度付近及び南緯60度から南緯90度付近の緯度帯)が極域の活動を表している。低緯度帯で観測されている強い磁場・電波が、太陽活動の進行とともに赤道方向に移動していくようすがわかる。その形から、これらの図は蝶形図と呼ばれる。

上図は、キットピーク国立天文台(米国)他のデータから作成された太陽面磁場の20年間の変動(磁場蝶形図)。縦軸は太陽面緯度、横軸は年、黄色がN極、青色がS極。

下図は、野辺山電波ヘリオグラフによる電波画像から合成された電波の強さの20年間の変動(電波蝶形図)。座標軸は上図(磁場蝶形図)のものと同じ。電波の強さを濃淡と等高線で示したものである。南北の極域が明るく、上図(磁場蝶形図)の磁場の強さとよい相関を示している。

両図において、点線は低緯度帯における黒点の活動が極小となっている時期を示している。低緯度帯の活動が低調な時期には、高緯度帯の活動が活発になるが、下図において、点線で示している低緯度帯の活動が極小となっている1996年と2008年で高緯度帯の明るさを比較すると、2008年のほうが1996年に比べて暗くなっていることがわかる。

(国立天文台 http://solar.nro.nao.ac.jp/120531PressRelease/index.html)

「国立天文台(NAOJ)記者会見資料」のスライドをクリップ(画像クリックで拡大)▼

■ 概要 (スライド、左⇒右)

■ 野辺山電波ヘリオグラフ

■ 太陽からの電波放射

■ 発表論文について

■ 電波蝶形図の合成

■ 電波蝶形図から読み取れること

■ 高緯度と低緯度の関係

■ 北半球での高緯度と低緯度の関係

■ 結果のまとめ|今後の太陽活動について|柴崎清登教授の私論

■ 惑星間空間への影響|地球への影響|今後の観測と研究

(国立天文台・記者会見資料PDFへのリンク http://solar.nro.nao.ac.jp/120531PressRelease/nobeyama_20120531.pdf

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