<中国からの挑戦状:「日本に負ける気がしない」>挑発する中国企業…技術立国日本の存亡を揺るがす特許の戦い。

日本がたかをくくっているあいだに、中国は“パクリ天国”から“特許大国”へと変貌を遂げつつある。 2011年の中国の特許出願件数は約52万6千件、日本の約34万2千件や米国の約50万3千件)を抜き去った。 世界知的所有権機関(WIPO)2011年の国際特許登録の出願件数は、企業別で前年首位のパナソニックを抜いて、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)が1位に躍り出た。

「特許紛争で日本に負ける気がしない」、と中国ZTEの幹部は挑発する。 日本人よ、うかうかしてはいられない、特許という戦場でも技術立国日本の存亡かけた戦い始まっているのだ…

【特許ウォーズⅢ ~中国からの挑戦状(上)】
「日本に負ける気がしない」挑発する中国企業
(MSN産経West 2012.5.25)

今年3月、日本と中国の間の「逆転劇」が世界の注目を集めた。

世界知的所有権機関(WIPO)が2011年の国際特許登録の出願件数を発表し、企業別で前年首位のパナソニックを抜いて、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE、中国語読み・ゾンシントンシン)が1位に躍り出たのだ。

中国で特許法が成立したのは、1984年。明治18(1885)年に同法が施行された日本とはおよそ1世紀の開きががある。それにもかかわらず、2011年に中国の特許庁が受理した特許出願件数は10年比34%増の約52万6千件と日本(約34万2千件)、米国(約50万3千件)を抜き去った。中国は今、有名ブランドなどの模倣品があふれる“パクリ天国”から“特許大国”へと変貌を遂げつつある。

「特許紛争で日本に負ける気がしない」。中国ZTEの幹部はこう挑発する。

同社は独自技術を早く市場に広めるため、特許取得とほぼ同時に、その特許を活用した製品を完成する戦略を敷く。これに対し、日本では特許取得から製品化までに10年以上も要する企業が目立つ。特許庁国際課の担当者は「海外企業のように特許にかかわる社員が幹部に出世するケースが日本企業では少なく、特許戦略強化の足かせになっている」と指摘する。

特許の活用には複数の手法がある。自社の特許を使った製品を流通させ、他社に同様の製品を作らせることを防いだり、一方で特許を他社に販売することで収益をあげることも可能になる。しかし、特許を持つだけでは、何の利益も価値も得ることはできない。

「日本には特許を数多く取得すればいいと勘違いしている人が多い。特許を活用しないと世界で生き残れないのに不思議だ」。ZTE日本法人の大和敏彦副社長(57)はあきれた表情で話す。

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 特許活用に“不慣れ”な日本の姿が浮き彫りになったデータがここにある。

特許庁が昨年12月にまとめた、2010年の知財関連の年間訴訟件数が中国は5785件に対し、日本は146件。特許に関して日本はもめず、紳士的な国ともいえるが、言い換えれば十分に活用しきれていない表れでもある。逆に中国の訴訟攻撃の標的にされる例も多く、一方で中国の模倣品に悩まされている日本企業も少なくない

ソニー知的財産センターの内山信幸・パテント部担当部長(50)は「訴えられても、中国訴訟に強くなるための学ぶ機会とも考える」と割り切る。中国企業などに特許関連で提訴されるたびに、中国のどの地域の裁判所で戦えば、有利に進行するかなどを研究してきた。さらに「防衛」のための特許取得にも力を入れ、昨年の中国での特許出願件数は外国企業で首位の2430件にのぼる。

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 「今の中国は“特許バブル”。特許を取得しないとビジネスの世界で生きていけない」。ある中国企業の経営者は打ち明ける。

中国での特許件数が増加した背景には、国策として掲げる「報奨金制度」がある。日本の特許庁によると、北京市の一部の特区では海外の特許を1つ取得するだけで、自治体から10万元(約130万円)が支払われ、法人税も40%近くカットされるという。

特許はもうかる-。こう気付いた中国企業、中国人は日本企業の特許情報などが検索できるホームページに連日アクセス。特許庁の外郭団体が毎年開催する日本の特許制度を紹介する講座には中国の国会議員が参加するなど日本の特許システムを貪欲に研究している

特許戦略で教師の立場だった日本は、アジアで急成長した“生徒”に追い越されようとしている。

http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120525/wec12052510000000-n1.htm

【特許ウォーズⅢ ~中国からの挑戦状(中)】 
狙われた「クレヨンしんちゃん」 泥沼化する商標権バトル
(MSN産経West 2012.5.26)

「私たちこそ本物だ。偽物はあなたたちの方だろう」

平成16年夏。国民的な人気を誇るキャラクター「クレヨンしんちゃん」の権利を管理する出版社の双葉社(東京都)に、中国・上海市から思いも寄らない連絡が入った。

その日、双葉社がクレヨンしんちゃんのデザインされたグッズを上海市内のデパートで販売していたところ、別のアパレル会社が同じデパートでクレヨンしんちゃんの靴を販売していることが発覚。慌ててその会社に問いただすと、デザインなどについて中国内で商標権を取得していると主張し、双葉社側の商品こそ「偽物」だと訴えてきた。

当時、模倣品や海賊版で中国での知名度は高かったものの、クレヨンしんちゃんの本格的な市場はまだ立ち上がっていなかった。このため、双葉社は中国で商標権を登録しておらず、その“すき間”を狙われたのだ。相手会社の商標権の登録取り消しなどを求める訴訟を約8年間繰り返し、今年3月までにようやく商標権と著作権が認められた。

「誰の目から見ても商標権はうちにあるのに。取り戻すまでに、これほど時間がかかるとは…」と双葉社の箕浦克史・事業局次長(48)は振り返る。

□  □

 中国は、商標権について類似した内容が異なる出願人によって行われた場合、国内で先に出願した方に登録を認める「先願主義」を採用している。“早い者勝ち”の論理で、企業の実態にかかわらず、先に登録した中国企業が有利になる。クレヨンしんちゃんや米アップルのiPadなど商標権をめぐる問題が中国内で頻発してきたのもそのためだ。

ただ、実は日本も商標権は同じ先願主義で、審査の厳しさも大きな違いはない。海外の知的財産に詳しい専門家は「日中のルールは同じだが、権利を行使する発想が中国企業はずば抜けて高い。日本が低いだけのこと」と指摘する。

日本国内でビジネスを展開するメーカーにも中国の商標権問題は忍び寄る。

鹿児島県垂水市。桜島から約10キロメートルの海沿いにある酒造会社「森伊蔵酒造」。国内のみで販売される人気芋焼酎「森伊蔵」の名称が平成19年11月、福岡県の企業によって中国の商標局に商標権を申請された。

当時、森伊蔵酒造も模倣品対策のため中国で商標権を申請したが、その4カ月前にすでに申請されていたという。異議申し立てを行ったが、今年1月に商標局は認めない判断を下したことが分かった。

その理由として、森伊蔵酒造に中国での販売実績がないことをあげた。特許庁の商標権担当者は「クレヨンしんちゃんの場合は、日中ともに知名度が高かったことが判決に有利に影響した」とした上で、「日本でいくら有名でも中国でそうでなければ、先に申請された商標権をくつがえすのは困難」と話す。

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 「需要がない国だからといって、商標登録をしないのは甘い。先手を打たないとやられる」。資生堂の守川一郎・商標グループリーダー(55)は、危機感をあらわにする。同社は「資生堂」の名称とロゴマークを欧米や中国にとどまらず、トルコやモロッコなど120カ国以上で商標出願しており、その範囲はビジネスを展開していない国にも及ぶ。進出直前になって会社名が商標登録される事態を防ぐためだ。

実際、中国1号店を上海市に今秋出店する予定の高島屋も、計画中に中国の業者に「高島屋」の商標を知らない間に申請されていたことが明らかになった。

「日系企業に商標権を売却して利益を得ようとするビジネスが流行していると聞く。それに巻き込まれてしまった」。高島屋の関係者は悔しさをにじませる。

法を巧みに活用して、攻めてくる中国の商標権戦略の“嵐”に、日本企業は圧倒されている。

http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120526/wec12052607000000-n1.htm

【特許ウォーズⅢ~中国からの挑戦状(下)】 
「見知らぬ相手から決闘を申し込まれる衝撃」怯える日本の経営者
(MSN産経West 2012.5.27)

知的財産大国の米国には特許対策が一時、急激に弱体化した“魔”の歴史がある。世界大恐慌後、米政府は恐慌をもたらした要因の1つが、大企業などの過度な「独占」と判断。1940年~70年代にかけて国内特許の権利を弱める対策に乗り出した。

結果、特許権を行使して裁判所に訴えても敗訴する確率が高くなり、特許を取得する意欲が下降。米国で発明を行う企業が減り、研究開発が縮小した。ある専門家は「当時、米国外で開発を進める企業が増えたと推察される」と分析する。

国内特許の弱体化-。日本にも今、同様の危機が訪れている。

現在、日本の特許庁に在籍する特許審査官は約1700人。このうち約3割が任期付きの審査官で、徐々に任期満了となり、2014(平成26)年4月から年間約百人ずつ減少すると予測されている。一方、中国は11年から特許審査官を増やし、15年には日本の5倍以上の9千人体制を目指している。

審査官が減れば、審査期間は長期化し、企業が国内特許の取得を避ける恐れがある。それは日本企業の研究開発拠点の海外移転につながり、「技術や研究が日本に残らない悪夢のような現実が起こる」。特許庁の澤井智毅・国際課長(50)は不安を口にる。

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 空洞化は、大企業だけの話ではない。近年、中国進出を目指す中小企業も多いが、知財戦略の面で無防備な会社も少なくない。

「特許戦略の準備もないまま、中国に出たら痛い目に遭いますよ」。知財の活用方法などを企業にアドバイスする業務を担う特許庁所管の団体職員、渡辺勇氏(37)はこう話す。

実際、日本の中小企業が自社技術について中国で特許取得などの対策を取っていなかったため、中国企業が技術を横取り。同じ製品を作られ、逆に権利を侵害していると提訴され賠償責任を負わされたりするケースが少なくないという。

渡辺氏は「大企業は訴訟に巻き込まれても生き残れるが、中小企業は体力がなく、撤退せざるえない」と強調する。最近は知財力を磨くため、社員に知財の資格を取得させる中小企業も増え始めた。

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 昨年6月。東京で開催された日米欧中韓の特許庁長官が国際特許の今後などについて話し合う「五大特許庁会合」。岩井良行・特許庁長官は、それぞれの特許制度の手続きの相違点を調整する必要性を進言し、各庁の賛同を得た。日本企業の知財戦略が押されぎみな中、日本が米中を引っ張る珍しい光景だった。

各国の特許制度は、出願や公開の手続きが異なることが多く、同じ技術の特許を取得する場合でも、企業は国によって別の方策をとらなければならない。

現在、日本の特許庁を中心に各国の特許制度の相違点を整理する作業を進めており、今年6月にフランスで開催される同会合で、まとめたデータを元に話し合いが行われる。

「ビジネスには世界の壁がないのに、特許には壁がある。この現状を打破してほしい」。パナソニックの知財開発センターの内藤浩樹所長(50)は期待を寄せる。ただ、一方で別の企業からは「世界を引っ張る前に、特許の弱体化の不安要素を取り除くべき」との声も上がる。

「突然、見知らぬ相手から決闘を申し込まれるような衝撃を受ける」。特許や商標権で、中国企業の戦略に巻き込まれた経営者は異口同音にこう話す。

知財紛争を仕掛けてくる海外企業への危機感に乏しい日本企業とともに、特許審査官の減少など、国としての特許戦略のまずさも浮き彫りになっている。中国を軸とする新たな特許戦争を勝ち抜くためには、国も企業も知財活用の重要性を改めて認識すべきときにきている。

http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120527/wec12052707000000-n1.htm

 

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