<水循環変動観測衛星「しずく」、H2Aロケットで打ち上げ>日本初の商業衛星である韓国の多目的実用衛星「アリラン3号」も搭載…

[更新 2012-5-20]  水循環変動観測衛星「しずく」、韓国・多目的実用衛星「アリラン3号」に関する追加投稿。[更新 2012-6-14] 韓国・アリラン3号で撮影した試験撮影映像を追加。

H2Aロケットを打ち上げ 初受注の韓国衛星載せ 日本の「しずく」も搭載
(産経 2012.5.18 01:45)

 三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は18日午前1時39分、日本初の商業衛星である韓国の多目的実用衛星「アリラン3号」とJAXAの水循環変動観測衛星「しずく」を搭載した国産大型ロケット「H2A」21号機を種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げた。

アリラン3号は韓国航空宇宙研究院が開発した地球観測衛星。地球を南北に周回し、光学カメラで地上を撮影する。三菱重工が初の商業衛星として平成21年に打ち上げを受注した。

他国や民間から衛星の打ち上げ業務を受注し、収益を得る商業打ち上げは欧州の大型機「アリアン5」とロシアの同「プロトン」が世界市場の大半を占める。13年に実用化したH2Aはロケットとしての実績が乏しく、コストも円高で割高なため市場参入できない状態が続いていた。

H2Aは増強型を含め年間2、3機の政府衛星の需要に依存してきたが、商業衛星の受注が拡大すれば打ち上げ回数の増加につながり、機体の大量生産によるコスト削減などのメリットが生まれる。顧客はロケットの信頼性を重視するため、初回の打ち上げに成功すれば今後の事業展開に弾みがつく。

一方、しずくは電波で全世界の降水量や海水温、土壌の水分量などを調べ、気候変動の研究や気象予測などに役立てる。開発費は180億円。

http://sankei.jp.msn.com/science/news/120518/scn12051801460003-n1.htm

[追加 2012-5-20] やはり、水循環変動観測衛星「しずく」に関することを加えなければ….

水循環変動観測衛星「しずく」とは

■ 水の動きで環境異変をチェック             (画像クリックで拡大)

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2012年5月18日、鹿児島県の種子島宇宙センターからH-2Aロケットで水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)を打ち上げた。

「水循環変動観測」というのは聞き慣れない言葉だが、海洋や地表、大気中に存在する水分子の動向を長期的にモニターすることを意味する。具体的な調査対象は、地表の降水量、大気中の水蒸気量、海洋上の風速や水温、土壌に含まれる水分量、積雪の深さなどで、これらを全地球的に調べてデータを蓄積し、そこから気候変動の兆しを発見するというスケールの大きいプロジェクトだ。

地球全体のデータを集めるため、「しずく」は赤道上の静止軌道ではなく、高度が約700キロという低軌道(静止軌道の高度はおよそ3万6000キロ)を早いスピードで周回する。軌道は地球を南北に回るコースだが、地軸に対して傾斜をつけて設定されているため、周回ごとにコースが横にずれていき、およそ2日でほぼ全地表面のデータを集めることができる。

わたしたちの日常生活に直結する役目を果たしている通信衛星や気象衛星と違い、「しずく」は細かいデータを大量に集め、長期の研究プロジェクトに提供するという地味な任務を割り当てられている。ただ、「しずく」のデータは地球規模の気候変動の解析だけでなく、海水温の変動や流氷の動き、地中の水分量などを把握して狭いエリアの気象予測にも役立つ可能性が高い。このため、JAXAは「しずく」の観測データをインターネット上で公開する方針で、公的機関や研究者だけでなく、民間企業が商業的にデータを活用することも可能だ。

例えば、北極海の流氷の動きをモニターしておけば、船舶の安全な航路を見つけられ、大量の貨物を早く輸送することが可能になる。また、土壌中の水分量をチェックすれば、干ばつの危険性をいち早くつかむことができるので、農作物の被害を最小限に食い止めることもできる。海水面の温度分布から魚の行動を予測して、遠洋漁業の効率を高めるといった使い方も考えられる。

なお、JAXAは米航空宇宙局(NASA)やフランス宇宙研究センター(CNES)とも協力し、同一軌道上を複数の観測衛星が時間をおいて周回するように設定。およそ10分間隔で同じ地点を観測し、データの欠落を防ぐ仕組みを構築するなど、水循環変動観測プロジェクトは国際的な枠組みで進められる予定だ。

■ マイクロ波で水分子を観測

 地球上は太陽から降り注ぐエネルギーの恩恵を受けているが、太陽エネルギーの大半は地表面で受け止められる。これを大気中を含めた全環境中に再配分する上で、水の循環が重要な役目を果たしている。まず、海洋や地表面にある水と氷は太陽熱で蒸発し、水蒸気となって大気中に上昇していく。大気は太陽熱で直接暖められるのではなく、水蒸気中の熱エネルギーが移転して温度が上昇していくので、水が存在しなければ、人間が生存できる温暖な環境も成立しないことになる。

大気中で冷やされた水蒸気は降雨や降雪となって再び地表面に戻るが、これらは河川、湖沼、海洋にため込まれるほか、積雪や土壌中水分としても蓄えられ、そこで周囲の温度や湿度といった基本環境を決定する重要な要素になる。その結果、どんな場所にどれだけの水がいかなる形状で蓄えられているかによって、生物の生存環境は大きく左右される。つまり、水分の状況を調べれば、環境の現状が把握でき、データを蓄積していけば、どのように環境が変化しているかも分かるようになる。

 「しずく」は高性能のマイクロ波放射計を搭載し、それを利用して水の存在を感知する。マイクロ波は電子レンジに利用されていることでも知られる電磁波で、水の分子運動に伴って発生するため、マイクロ波を観測すれば、どこにどんな水分が存在するかが分かる。

マイクロ波は周波数が300メガヘルツから300ギガヘルツの帯域に属する電磁波のことだが、周波数によって「見え方」が異なる。波長の短い高周波数帯は大気中の雲や降水を観測するのに適している一方、低周波数帯は上空の雲を透過して地表面の水を観測することができる。このため、「しずく」は6.9ギガヘルツ、10.65ギガヘルツ、18.7ギガヘルツ、23.8ギガヘルツ、36.5ギガヘルツ、89.0ギガヘルツの6つの帯域を観測し、それらのデータを組み合わせることで、環境中の水循環の実相が明らかになる。

「しずく」搭載のマイクロ波放射計で得られたデータからは、大気中の水蒸気量、雲に含まれる水分量、降水量、土壌水分量のほか、海面水温や海上風速、海氷の密接度、地表の積雪深などが分かる。いずれも、その場へ行けば計測できるデータだと言えばその通りだが、人間が居住できない地域も含め、地球の全表面を2日間でスキャンするような離れ業は、人工衛星でなければ実現できない。しかも、このプロジェクトは10~15年のスパンで進められるため、地球温暖化問題に対応する上で極めて重要なデータベースが構築されることになる。

■ 世界最大の衛星用回転アンテナ

 「しずく」の機体で最も特徴的なのは、上部に設けられた大型の回転アンテナだ。直径約2メートルのサイズは人工衛星搭載用のセンサーとしては世界最大級で、大きい分、微弱なマイクロ波でも高い精度で観測することができる。

「しずく」はおよそ700キロの高度で地球を周回しながら、アンテナを1.5秒に1回のペースで回転させることにより、進行方向の前下方を約1450キロの幅で円弧状に観測する。周回軌道は地軸と同じ南北方向に設定され、約100分で地球を1周するが、飛行コースは周回ごとに東西方向にずれていくので、「しずく」が搭載するマイクロ波放射計は、地球の表面をくまなく走査することになる。

「しずく」の観測結果は、各周回で必ず通過する北極圏の上空でノルウェーのスバルバードにある地上局に無線で送信し、そこから地上回線で日本のJAXAに送られる。また、日本周辺のデータだけは、「しずく」から千葉県勝浦市と茨城県つくば市の地上局に直接送信される。

観測データは、JAXAと協定を結んだ機関には優先的に提供され、それぞれの研究や事業に生かされる。気象庁では「しずく」のデータを予報の検証や天気図の解析などに利用、漁業情報サービスセンターでは、データを利用しやすいように解析した上で、漁業関係者に提供する予定だ。そのほか、農業環境研究所は作物の収穫予想に関する研究にデータを応用、民間気象会社のウエザーニュース社では、「しずく」の観測結果を使って北極海の航路予測モデルを作成する予定だ。

「しずく」の機体はパワーは限定的ながら推進機構を搭載している。この推進機構はヒドラジンを燃料としたモノプロペラントブローダウンと呼ばれる方式で、固定型のスラスターから高圧ガスを噴射して、機体の姿勢制御や軌道変更を行う。「しずく」の周回軌道は700キロという低高度で、その付近には非常に希薄ではあるが大気が存在している。そのため、飛行を続けているうちに大気の抵抗を受け、高度が徐々に下がって来てしまう。

「しずく」は周回軌道に投入された後、定期的にスラスターをふかして飛行高度を維持しなければならない。「しずく」の運用寿命はおよそ5年とされているが、これは観測機器の耐用年数というよりは、軌道維持に使う燃料を使い切る期間を意味している。低高度での周回は、地表の観測をしやすいというメリットはあるものの、衛星の使用期間が短くなるという問題も抱えている。

JAXAは10~15年の長期観測体制を実現するため、水循環変動観測用の人工衛星「GCOM-W」シリーズを「しずく」を含めて3基打ち上げることにしている。「しずく」の後継機は、「しずく」の耐用年数が残っているうちに軌道に投入し、最短でも1年程度は2基でマイクロ波の観測を同時に進め、データを比較しながら後継機のセンサーを調整し、最適の観測態勢を整えることにしている。

なお、「しずく」の打ち上げに使用されるH-2Aロケットには、空いたスペースに3基の人工衛星を搭載する。これらはJAXAの小型実証衛星「SDS-4」、九州工業大学の実験衛星「鳳龍」、韓国の多目的実用衛星「KOMPSAT-3」で、H-2Aロケットとしては初めて海外の衛星の打ち上げを受注した。

(参照 Jijicom 【特集】 水循環変動観測衛星「しずく」 http://www.jiji.com/jc/v4?id=20120513jaxa_sizuku0001)

では、韓国の「アリラン3号」とはどんな衛星なのか? 多目的実用衛星といっているが、超高解像度観測衛星がその実態らしい。 朝鮮日報が解説記事を5/19に掲載したので、その記事を読んで見ると――

アリラン3号、日本のH2Aで「格安」打ち上げ
(朝鮮日報 2012/05/19 11:51)

アリラン3号衛星の打ち上げに成功
世界で4番目にサブメートル級解像度の衛星を保有する国に
午前にアリラン2号、午後には3号が韓半島を撮影
今年7月には夜間の偵察が可能な5号を打ち上げ

韓国初のサブメートル級地球観測衛星「アリラン3号」が、18日午前1時39分に鹿児島県種子島から打ち上げられ、軌道投入に成功した。サブメートル級衛星とは、1メートル未満の物体を識別できる精密な衛星のことを指す。

韓国航空宇宙研究院(航宇研)は「アリラン3号が18日午前、日本のH2Aロケットから切り離されて軌道に進入し、大田の航宇研地上局と初の交信にも成功した」と発表した。

アリラン3号衛星は、縦横0.7メートルの物体を識別できる超高解像度観測衛星だ。サブメートル級の民間観測衛星を保有しているのは、イスラエル・米国・欧州だけだった。

アリラン3号衛星は、中型車と小型車を見分けられる上、道路に描かれた交通表示も識別できる。建物と道路をかろうじて識別していたアリラン1号(1999年に打ち上げられ任務終了、6.6メートル級)より89倍、バスと乗用車を識別できたアリラン2号(1メートル級)より2倍以上の精密度を誇る。現在、全世界の民間商業用衛星の中で解像度が最も高い観測衛星は、米国のGeoEye(解像度0.41メートル級)で、野球場のホームベースまで捉えることができる。

アリラン3号が日本のH2Aロケットを打ち上げ手段に選択したのは、日本が格安の打ち上げ費用を提示したからだ。衛星打ち上げ市場に初めて参入した日本は、アリラン3号の打ち上げロケット選定をめぐってロシアと競争し、100億ウォン以上も安い発射費用(193億ウォン=約13億円)を提示した。

既存のアリラン2号にアリラン3号が加わったことで、韓国政府は北朝鮮を含む韓半島(朝鮮半島)全域を1日に2回以上、精密観測できるようになる。

アリラン2号は毎日午前10時30分、アリラン3号は午後1時30分前後に韓半島を通過し、映像を撮影する。アリラン3号の打ち上げ時刻が深夜だったのも、韓半島通過時刻を午後に合わせるためだった。

しかしアリラン2号と3号だけでは、韓国の地上観測能力は「まだ半分」にすぎない。可視光線を感知するアリラン2号と3号は、夜間や雲の多い天気の日には観測が不可能だ。2010年11月に北朝鮮による延坪島砲撃事件が起きた際、アリラン2号が衛星画像を即座に提供できなかったのも、曇天が原因だった。

航宇研は、今年7月に全天候対応型の地上観測衛星「アリラン5号」を打ち上げる予定だ。航空大学の張永根(チャン・ヨングン)教授は「電子ビームを照射し跳ね返ってくる信号から地形の変化を探知するアリラン5号は、昼夜や天候に関係なく、24時間地球観測が可能」と語った。

アリラン2号・3号・5号が全て稼働すれば、1日に3.5回以上韓半島の映像を撮影できるようになる。さらに、熱感知が可能な赤外線観測衛星「アリラン3A号」が14年に打ち上げられれば、核実験など北朝鮮の軍事的な動きも事前に感知できるようになる。

■ 衛星の解像度

衛星のカメラが地上の物体をどれだけ精密に把握できるかを表す尺度。解像度1メートルとは、縦横1メートルの物体が衛星写真で1ピクセルとして現れることを意味する。本格的な偵察・情報衛星とされるサブメートル級は、1メートル四方よりも小さな物体を識別できるという意味だ。米国の軍事衛星「キーホール(Kye Hole)」は、0.15メートルという超精密解像度を誇る。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/05/19/2012051900540.html

追加情報】 アリラン3号で撮影した試験撮影映像が6月14日に公開された。 どの程度のものか興味のあるところだ…

日本で打ち上げ「アリラン3号」の試験映像を初めて公開
(韓国・中央日報2012年06月14日16時37分)

先月18日に日本種子島宇宙センターで打ち上げられた「アリラン3号」が軌道に入った後、初めて撮影した映像が14日に公開された。 今回の公開された映像は、「アリラン3号」打ち上げの約1週間後、初めて撮影した鬱陵島(ウルルンド)苧洞(チョドン)港と米フィラデルフィア空港の0.7メートル高解像度映像。 衛星の性能点検のために撮影した試験映像で、アリラン2号(解像度1メートル)に比べて地上物体が鮮明で、物体がはっきりと区分されて見える。 韓国航空宇宙研究院は今後、本体および搭載体の細部校正・補正を完了し、9月からは本格的な映像サービスを提供する計画で、韓国でも本格的なサブメートル級衛星映像時代が開かれる、と明らかにした。

鬱陵島苧洞港を解像度1メートルの「アリラン2号」衛星で撮影した左側と解像度0.7メートルの「アリラン3号」衛星が撮影した右側の比較/航空宇宙研究院提供)。

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