<貿易赤字「陰の主役」は薬 輸入超過、10年前の5倍>開発競争で後手に…

財務省が5月10日発表した2011年度の国際収支速報をは経常収支は52.6%減、過去最大の下げ幅だ。 日経の記事を追ってみよう――

貿易赤字「陰の主役」は薬 輸入超過、10年前の5倍
開発競争で後手に
(日経 2012/5/14 0:04)

医薬品の輸入が拡大している。新薬開発で米欧の後手に回り、海外から高額な抗がん剤などを買う必要があるためだ。輸入が輸出を上回った額(輸入超過額)は2011年には10年前の5倍の1兆3660億円で、日本の貿易赤字(2.5兆円)の隠れた主役になっている。40兆円規模に膨らんだ日本の医療費を支える税金と保険料は、海外に流れ出ているのが現状だ。

技術が流出

慢性骨髄性白血病治療薬のグリベック、乳がんのハーセプチン――。がんだけを狙い撃ちにする分子標的薬は2000年代に急速に広がったが、患者1人当たりの薬剤費が月数十万円程度と高額なものが多い。ほとんどが海外メーカーの開発で、医薬が進歩すればするほど、輸入が膨らむ構図になっている。

日本で画期的な新薬が生まれにくいのは、米欧で開発の担い手になっているベンチャー企業が資金や人材の不足で育ちにくいことが大きい。大学の研究室と企業との橋渡し役の不在もあり、有望な技術の海外流出をみすみす許してきた。

大規模な臨床研究ができる施設が限られているうえ、薬の審査・承認に時間がかかり過ぎるとの指摘もある。研究開発資金を回収しにくい薬価制度や法人税率の高さなどが投資の妨げになり、製薬会社の「日本離れ」を招いた面も見逃せない。

「中国や韓国に追いつかれるのも時間の問題だ」。武田薬品工業の長谷川閑史社長は10日、首相官邸で開かれた国家戦略会議で危機感をあらわにした。大規模なバイオポリスを建設して世界中から研究者を集めるシンガポールを筆頭に、アジア各国は国を挙げて新薬の開発に取り組む。

「財政が厳しいのなら安い医薬品という選択肢になぜ目を向けないのか」(インド政府高官)。医薬産業の育成に力を入れるインドは、日本との経済連携協定(EPA)を機に後発薬などの売り込みを加速させる。先端の医薬品以外でも、海外勢の日本市場への参入はじわり広がる。

縦割りの壁

政府は日本再生戦略の柱の一つに医薬品の開発支援を据える。だが、政策の目玉として当初予定していた「創薬支援機構」の設立は事実上見送られ、既存施設の連携強化にとどまることになった。古川元久国家戦略相は「箱物に時間をかけるより、今の仕組みでやれることからやっていく」と説明する。

機構設立の旗振り役だった政府の医療イノベーション推進室の中村祐輔室長が昨年末、省庁間の調整の難しさなどを理由に退任した経緯もある。厚生労働、経済産業、文部科学という霞が関の縦割りを乗り越え、基礎研究から薬の承認までを一貫して支援していく発想も必要になる。(石川潤、柳瀬和央)

http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E3E2E2E1E78DE
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薬、高齢化進行で輸入拡大も
(日経 2012/5/14 0:04)

医薬品の輸入は日本の国際収支にも影響を及ぼしつつある。通関ベースで31年ぶりとなった2011年の貿易赤字は東日本大震災という特殊事情が最大の要因。ただ医薬品の輸入増は高齢化という構造問題が背景にあるだけに、震災の影響が払拭できたとしても、貿易収支の赤字圧力になり続ける公算が大きい。

11年の約2.5兆円の貿易赤字は輸出が前年比2.7%減る一方、輸入が12.1%増えたことが原因だ。部品供給網の寸断で自動車の輸出が1割減り、原発の停止で火力発電用の液化天然ガス(LNG)の輸入が4割近くも急増。製造設備の被災でプラスチックも輸入が増えた。

内閣府のリポートでは、LNGとプラスチックの輸入、自動車の輸出がそれぞれ10年と同額だったと仮定すると、11年の貿易赤字は約1000億円まで縮小。「震災という特殊要因が大きく影響した」(担当者)。

ただ医薬品の輸入は5年間で約7300億円も増えた。抗がん剤など高額の薬を中心に米国やドイツなどからの輸入に頼っているためだ。輸出は3700億円前後で5年前とさほど変わっていない。

国立社会保障・人口問題研究所の推計では、65歳以上の高齢者は10年の約2948万人から20年には約3612万人に達する見込み。医療品産業の構造が変わらなければ、薬を多く使う高齢者が増えるとともに輸入も増え続ける公算が大きい。

燃料輸入の高止まりで貿易赤字が続いても、年間10兆円を超す海外からの配当といった所得収支の黒字が穴埋めし、経常収支は当面は黒字を維持するとの見方が多い。ただ医薬品という伏兵が、日本を経常赤字国へじわじわと押し込む可能性がある。

http://www.nikkei.com/news/headline/related-article  /g=96958A9C93819481E3E2E2E08B8DE3E2E2E7E0E2E3E09C9CE3E2E2E2;  bm=96958A9C93819481E3E2E2E1E78DE3E3E2E7E0E2E3E09C9CE3E2E2E2

経常黒字、11年度52.6%減 過去最大の下げ幅
震災で輸入減、燃料高が追い打ち
(日経 2012/5/10 10:47)

財務省は10日、2011年度の国際収支速報を発表した。モノやサービス、配当、利子など海外との総合的な取引状況を示す経常収支は前年度比52.6%減の7兆8934億円となった。黒字額は15年ぶりの低水準。減少率も、リーマン・ショックで輸出が落ち込んだ08年度を上回り、過去最大となった。東日本大震災の影響で輸出が減少する一方、燃料高で輸入額が増えた。

貿易赤字は3兆4495億円だった。現行方式では初めての赤字。単純比較はできないものの、旧基準のデータを遡ると1979年度以来32年ぶりの貿易赤字となった。

輸出額は2.8%減の62兆6272億円。東日本大震災でサプライチェーン(供給網)が寸断し、輸出に響いた。欧州債務危機による欧州経済の停滞や円高も足を引っ張った。輸入額は66兆767億円で、14.0%増えた。燃料高に加え、発電の原発から火力への代替で液化天然ガス(LNG)などの輸入が増えたのも輸入額を押し上げた。

企業が海外投資から受け取る利子や配当などを示す所得収支は13.3%増の14兆2883億円と4年ぶりの増加となった。旅行や運送などのサービス収支は1兆8525億円の赤字だった。海運の市況悪化が響いた。

震災の影響が大きく出た11年度全体と比べ、足元の貿易収支はやや改善傾向にある。米国向けの自動車輸出などで改善がみられ、2~3月はわずかながら黒字だった。財務省が同日発表した4月上中旬の貿易統計(通関ベース)でも、収支は赤字だが、輸出額は前年同期比15.6%伸びた。

http://www.nikkei.com/news/headline/related-article /g=96958A9C93819481E3E2E2E2918DE3E2E2E7E0E2E3E09F9FE2E2E2E2; bm=96958A9C93819481E3E2E2E1E78DE3E3E2E7E0E2E3E09C9CE3E2E2E2

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国際収支[ international balance of payment ]
☛ 外国との国際経済取引で一定期間に生じた貨幣の受け払いをまとめた勘定。モノやサービスの取引から生じる経常勘定と証券投資などを示す資本勘定に大別でき、経常勘定収支は貿易・サービス収支と所得収支などで構成される。国際収支は1996年1月から改定され、以前より国民所得統計との整合性が高まった。

経常収支[ current account ]
☛ 経常勘定ともいう。国際収支のうちモノやサービスの経常取引による収支。(1)モノの輸入と輸出のバランスを表す「貿易収支」、(2)サービス取引を表す「サービス収支」、(3)対外直接投資や証券投資の収益を表す「所得収支」、(4)政府開発援助(ODA)のうちの医薬品など対価を求めない移転を表す「経常移転収支」――の4つで構成される。
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