消えゆく政党へのレクエイム<民主党政権・失敗の本質>(3)年金争点 遠のく改革

「民主党政権・失敗の本質」を掲載しているブログは結構あるので、遅れて掲載したこのブログ投稿を読む人はあまりいないだろうと思っていたのだが…..それなりあるようで。 「小沢無罪判決」のせいか、いささかアクセスが増えているようです。 「民主党政権・失敗の本質」(2)でストップしていましたが、(3)を掲載します

「民主党政権 失敗の本質」(1) 「脱官僚」の裏で握手   (2012-4-5)
「民主党政権 失敗の本質」(2) マニフェスト文化 挫折    (2012-4-6)
「民主党政権 失敗の本質」(3) 年金争点化 遠のく改革  (2012-4-7)
「民主党政権 失敗の本質」(4) 政府と与党 一元化の幻  (2012-4-8)

「民主党政権 失敗の本質」(3) 年金争点 遠のく改革
(朝日新聞施肥面板3面掲載 2012-4-7)

■ 年金争点化 遠のく ―― 野党にくさび 強調進まず

民主党政権「消えた年金」を暴いて自公政権に迫り、「ミスター年金」と呼ばれた民主党の長妻昭は、政権交代最大の功労者の一人だった。 その長妻は今、「年金を争点化させるつもりはなかった」という。 「天下りと並ぶ官僚任せの古い政治の弊害として取りあげた。 年金そのものは与野党で協議すべき課題だと今も思う」

民主党の代表や幹事長として政権交代を目指してきた鳩山由紀夫に聞くと、明け透けな返答で驚いた。

「年金がこのままではボロボロになって、年を取ってももらえなくなるという語りかけは、非常に政権交代に貢献してくれた」

年金のありょうを探る現場の政治家の思いと、有権者の支持獲得を優先する党指導者の思いは、大きくかけ離れていたのだ。

有権者のなかで年金受給者の割合は加速度的に増えている。 2000年は6人に1人だったが、今は4人に1人を超え、2020年
には3人にl人になる。 選挙に命運がかかる政治家が「年金の魔力」に敏感なのも無理はない。 経済のグローバル化が進むなかで、野党時代の民主党の議論は有権者に身近な社会保障など内向きな政策に偏った。 なかでも最大の政治争点に掲げた「年金」は、2大政党の間に打ち込まれ、抜くに抜けない「くさび」になってしまった。

 ■      ■

年金に取りくんできた与野党議員の聞には、政治争点にしてはならないという共有認識があった。

「年金は『国家百年の「計』。 対立をあおり、不信感をあおって、制度を崩壊においやるような愚は避けたい」。 民主党参院議員だった今井澄は02年、著書に記した。 与野党合意で年金改革をしたスウェーデンを一視察。 同国は90年代にパブ一ルが崩壊して失業率が8%を超え、戦後最悪の経済危機に陥った。 少子高齢化も進み、国民の危機感が与野党協議の背中を押した。

今井が02年にがんで亡くなると、民主党参院議員の山本孝史が年金一元化案をつくり、03年総選挙のマニフェストに「提言」として控えめに載せた。 山本はこの案を強くアピールしなかった理由について「年金は超党派で議論が必要だ」と説明していた。 その山本も07年にがんで亡くなった。

与野党の接点を探る彼らの努力は「選挙」で吹き飛んだ。 国会議員の年金未納問題で沸いた04年参院選は大きな節目となった。 「年金不信」は自公政権を直撃し、民主党が勝利。 民主党は「年金改革など対立争点を明確にし、マニフェスト選挙を展開することで支持拡大を図れるという『成功、体験』」と総括した。

自民党はこの後、年金の争点化を恐れて抜本改革も先送りし、05年に与野党が年金制度を話しあう「両院合同会議」を提案した。 私はこうした動きを「争点隠し」と感じたのを覚えている。 朝日新聞も「合意形成より、次の選挙の選択材糾の明示に徹するべきだ」との識者談話を掲載。 世論調査で、選挙で「年金を重視」と答える人は04年は47%、07年はに85%上った。

両院合同会議は05年総選挙を機に霧消し、07年参院選は「消えた年金」で民主党が圧勝。 政権交代すれば年金制度は良くなるという「物語」がつくられた。

副総理の岡田克也は05年当時、党代表として党内の反対を封じ、両院合同会議の開催に応じた。 2大政党が年金で折り合えない理由を尋ねると、岡田は珍しく考え込んで答えた。

「残念ながら、日本の民主主義が成熟していないということなのかな」

 ■      ■

圧倒的支持で政権についた民主党は、年金を巡る対立を決着させることもできたはずだ。 だが、政権運営は迷走し、政界は今も「年金の魔力」に支配されている。 年金財源の安定化などを目的とした消費増税について、今度は民主党が与野党協議を呼びかけて争点化を避けようとし、自民党は解散・総選挙を要求して応じない。 2大政党は攻守を変え、対立を繰り返す。

大阪市長の橋下徹にも魔力は及びつつある。 2大政党の決められない政治をよそに橋下が打ち上げた掛け捨て年金」案は、中身がはっきりしないうちから期待を集めている。 朝日新聞の声欄ではこんな感じだ。

「今の若者たちは、数で勝る高齢者たちに選挙で負け、経済力でも負けて、絶望している」(25歳男性)

「高齢者が多額の蓄えをしなくなる世の中をつくってくれる政治家の出現を待っている」(67歳男性)

「年金」が選挙の大きな争点になる限り、政党がその魔力から解き放たれるのは難しい。 政党が競い合うことと協力しあうことをど
う仕分けるのか。 民主主義が試されている。 =敬称略 (蔭西晴子)

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