<太陽極域磁場反転を捉えた衛星「ひので」> 太陽の4重極構造で地球は寒冷期に入っていくのか?

今日の朝日朝刊36面「社会」欄に、約11年周期起きる太陽の極域磁場反転が今回は極めて稀な状況――4重極構造――になると予想され地球が寒冷期に入るかも知れないという記事が掲載されていた。 太陽の南極・北極は地球の南極・北極と同じく+/-の磁場を構成している。 地球の場合と違くのは約11年周期で+/-の磁場が入れ替わってしまう事だ、「極域磁場反転」というらしいが。 朝日の記事は「太陽が冬眠? 地球に低温期到来の可能性」と題していた。

そこで調べてみた。 日本のJAXAが打ち上げた太陽観測衛星「ひので」の磁場データを国立天文台の常田佐久教授(太陽物理学)らが分析し、その研究成果を4月19日に発表したが、それによると、

  • 今年1月の時点で太陽北極の磁場がほぼゼロの状態になっている。 ここしばらく北極の磁場はマイナスであったが、これがゼロに近づいたということは、やがてプラスに転じると予想される。 (反転が始まるということ。)
  • 一方、驚いたことに、南極の磁場には反転の兆候がほとんど見られず、安定してプラスが維持されていることも観測された。
  • このままだと太陽の北極・南極ともプラスという磁場になってしまい、マイナスの磁場が北極と南極の間にできる「4重極構造」になってしまう可能性がある。

  • 4重極構造になると太陽の活動は停滞する。 それは太陽黒点の観測でわかる。
  • 極めてまれに起きる太陽の磁場「4重極構造」だが、現状の太陽黒点の活動データーを過去のデーターと比較研究した。 人類にはガリレオが太陽黒点の観測を始めてから約400年間の黒点観測データーがあるが、そのデーターと比較すると17世紀に70年間続いた寒冷期――「マウンダー極小期」や「ダルトン極小期」――に似てきている。 今後、引き続き観測し磁場の推移を明らかにする。
  • 2012年10月頃に北極域の集中観測を実施し、今後の推移を明らかにする計画。 「ひので」による研究の進展により、太陽のダイナモ機構に関する基礎研究や太陽の地球環境への影響の理解が進むと期待される。

という事なのだが、朝日の記事はこんなふうだった。

太陽が冬眠? 地球に低温期到来の可能性
(朝日朝刊 2012年4月20日36面「社会」)

太陽の周期的な活動に異変が起き、「冬眠」に入って地球に低温期が到来する可能性があることがわかった。国立天文台や理化学研究所などが19日発表した。太陽の黒点の様子にも、過去に地球の気温が下がった時期と同様の変化が見られるという。

太陽には南北両極に正と負の極があり、約11年周期で同時に反転する。2013年5月に次の反転が始まると予測されていたが、太陽観測衛星「ひので」で観測したところ、北極では約1年早く反転に近づいていることがわかった。南極はそれほど変化がなかった。

このペースだと、12年5月に北極のみが反転し、太陽の赤道付近に別の極ができる「4重極構造」になるという。

磁極の反転に関係する黒点の現れ方にも異変が観測された。 黒点活動はガリレオの時代からの観測の蓄積があり、調べたところ、17世紀に起きた異変時と様子が似ていた。

このとき、太陽はその後約70年間の「マウンダー極小期」と呼ばれる冬眠期に入り、地球ではロンドンでテムズ川が凍ったり、京都の桜開花が遅くなったりした。日本では別世紀後半より約2・5度気温が低かったという。 (田中誠土)

実は、前述の朝日の記事を読んだ私の娘が質問してきた、「お父さん、なんかこの記事イマイチ分かりずらい。 それに、「太陽が冬眠」って、なんか氷河期にでもなりそうな書き方だけど..」。 父曰く、「アノナー、今時のマスメディア情報というのは検証せんと、自分でネットで調べれるなら調べておいた方がエーヨ。 例えば「国立天文台」が参照されているけど、そういう時は国立天文台がどう発表してるか当たってみた方がエー。」

話しの行きがかり上、私が調べるはめになった。 余計な事を言わなければよかった…

先ず、国立天文台に行く前に電子版で他紙はどう報道しているか見てみた。 読売電子版は「太陽磁場、来月に4極化か…300年前は寒冷に」、日テレNEWS24は「約10年後に異常気象?太陽の“異変”観測」、その他、まーそんな感じ…..オイオイ

やはり、国立天文台 (NAOJ = National Astronomical Observatory of Japan) のHPを調べないと。 ホームページ http://www.nao.ac.jp/ へ行くと以下のようにこの件の情報を掲載していた。


今の所、HPのトップページの「最新ニュース」に載っているのでそれをクリックするすると、このように概略を説明しているページに飛ぶ(右サムネイル画像クリックで拡大)。

そのページの一番下に『詳しい内容 ●太陽観測衛星「ひので」、太陽極域磁場の反転を捉えた』というのがある、それをクリックする。

そうすると、国立天文台「ひので」HP http://hinode.nao.ac.jp/ の中のニュース詳細ページ『太陽観測衛星「ひので」、太陽極域磁場の反転を捉えた』にジャンプする。 右のサムネイル画像がそれだが、スクロールダウンして行くと「発表資料」というのが二つリストされている。

その2番目『「ひので」による今回の観測の意義と最近の太陽活動について』(常田 佐久教授)のPDFがメディアが報道した記事の情報源となっているようだ。 プレゼン用PDFスライドなので分かり易い。 教授の皆さんの努力の賜物です、感謝しております。

「こんな行き方くどくど書かないで、なぜもっと簡単に直リンクをのっけない!」と思う人が多いと思うが、余計なお世話で相済まないが直リンクは簡単だが…情報の探し方を覚えない。 チョット手間だが探し方を覚えると、検索でヒットしない時に役に立つ…..というのが私の経験則なのだが。 余計なお世話で申し訳ない。

日本の電子版の新聞記事とアメリカのそれとを比べると明らかな違いがある――日本の場合は不親切というか、ケチケチしている。 「XXXの発表によると」と書くのはいいが、その情報源が特に公的機関の場合はウェブ掲載されるのだが、まずリンクされることはない。 URLも掲示しない。 しかし、アメリカの記事の場合はリンクとかURLの掲示は非常に多い。 日本のメディアは不親切というより情報を独占したがっているように思えてならない。

配布資料の二つのPDFフライドを読んで非常に勉強になった。 娘に見せたら、「新聞の記事で納得いかなかった部分が、国立天文台のスライドでかなり理解できたョ」と言っていた。 配布資料を用意された皆様に感謝いたします。

新聞もケチなミエを張らないで、「紙面の関係上、十分説明できなかった部分があるかもしれない。 国立天文台のサイト http://hinode.nao.ac.jp/news/120419PressRelease/ の発表資料のスライド解説を参考される事を勧める」ぐらい書いてもいいんじゃないかと思うが…..頭が固いのか、プライドの問題なのか、日本の新聞では無理な話しか。

勉強になったスライドから多少ピックアップして紹介したい。

「ひので」太陽極域磁場の反転を観測    (スライドは左から右の順で)

■ 太陽の黒点は強い磁石        ■ 太陽は大きな磁石                          

■ 太陽大規模磁場は極性が反転    ■ 極域磁場は黒点数が最大の時に反転
                     

■ 磁場を増幅させるダイナモ機構         ■ 極の磁場が次の極大期の大きさをを決める
                     

■ 入れ替わる磁力線                  ■ 反転しつつある北半球の磁場
         


「ひので」による今回の観測の意義と最近の太陽活動について

 「ひので」の極域観測の意義
1. 初めて太陽極域の精密俯瞰観測が可能となる
2. 極域に多数の黒点並み磁場を発見
3. 太陽がこれまでにない4重極構造に遷移しつつあることを発見

■ 太陽のダイナモが停止?        ■ 遅れに遅れた太陽活動の上昇

■ 黒点周期

■ 太陽は活動の停滞期 に入ろうとしているのか?

◇          ◇          ◇

特別付録
太陽観測衛星 「ひので」 が撮影した
太陽の最新X線画像
(毎日12時に自動更新される)

「ひので」に搭載されているX線望遠鏡(XRT = X-ray Telescope)で撮影されたもの
国立天文台「ひので」科学プロジェクトHPに掲載されているGIFなので
天文台の衛星送信画像更新に連動しているこの画像も更新される
表示日時はUT (Universal Time = 世界時)

この太陽のX線画像もこのブログに掲載されているデーターや画像もすべて
日本が世界に誇る太陽観測衛星
「ひので」
によって成し遂げられているのを忘れないで欲しい
そして、 「はやぶさ」 と同じように 「ひので」 も応援して欲しい

「ひので」の正式名称は「SOLAR-B」

SOLAR-Bには以下の観測装置が搭載されており
それらの装置から送られてくるデーターが
今、太陽がどうなっているのかを我々に語ってくれる

左から「可視光・磁場望遠鏡 (SOT = Solar Optical Telescope)」」、
真ん中が「極端紫外線撮像分光装置 (EIS = EUV Imaging Spectrometer)」
右端が「X線望遠鏡 (XRT = X-Ray Telescop)

これらの装置はこのようにSOLAR-B (ひので)に搭載されている

JAXA HP 「ひので」のサイトは
http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/hinode/index.shtml
太陽観測衛星SOLAR-B(ひので)解説スライドPDFはここから
http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/hinode/image/data/data.pdf

◇    La fin    ◇

当ブログ関連投稿記事

■ <太陽の活動、過去20年低下|地球は寒冷化へ向かうのか?>衛星「ひので」の観測データーの件もある、「マウンダー極小期」の寒冷期再来はあるのか…  (投稿日 2012-6-1)

■ <太陽極域磁場反転を捉えた衛星「ひので」> 太陽の4重極構造で地球は寒冷期に入っていくのか? (投稿日 2012-4-20)

■ NHKスペシャル<宇宙の渚|天空の女神 オーロラ>5/20夜9時、見ませう。 宇宙から見たオーロラ。金環日食前夜、オーロラが教える太陽の異変…オーロラが姿を消した時代の謎  (投稿日 2012-5-20)

■ <太陽は今、2013年の極大期に向かっている> 3月8日の太陽嵐、予想外に穏やか (投稿日 2012-3-10)

<太陽極域磁場反転を捉えた衛星「ひので」> 太陽の4重極構造で地球は寒冷期に入っていくのか?」への2件のフィードバック

  1. このような太陽の異変が、人間の精神構造に影響を与えるものなのかどうか。
    最近の交通事故、特に通学中の学童の列に突っ込む事故が多すぎないか。
    民主党の決められない態度もひょっとして。

    • コメントありがとう御座います。 太陽や月が自然界に及ぼす影響には科学で未だ解明されていないものが沢山あります。 ご存じのようにウミガメは満月に散乱します。 また、新月に関しては「新月切り」という伐採方法があります。 スイスの樵(きこり)の間では古来より言い伝えらた伐採方法で、新月の時に切った木は通常の伐採に比べて燃えにくくまた10ぐらい長持ちするそうです。 この新月切りを取り入れてハウジング会社を作った人がスイスに居ます。 自分の子供がシックハウス症候群になったのですが、樵(きこり)だった父や爺さんの「新月切り」の話を思い出し「新月切り」伐採した材木で家を建て直したそうです。 子供のシックハウス症候群は治ったそうで、「これだ!」と思い新月切りの材木で家を建てるハウジング会社を興したそうです。 数年前にBBCのドキュメンタリーで見ました。 実は新月切りは日本でも古来からあるそうです。 神社仏閣の材木は新月の日に伐採したそうです。 日本の古代木造建築が長持ちしているのはヒノキの長い生命力にもよりますが、新月切りも一因かもしれません。 ちなみに、伊勢神宮の遷宮に使われる木材は現在でも新月の日に伐採するそうです。 

      自然界のバランスが崩れると色々な事が起きます。 事故が多くなったのも、政治が混乱しているのも太陽の変動と関係しているかもしれません。 科学的には何ら証明できませんが…. Hashigozakura by Buni94.

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中