先進国の病 経済縛る「歴史のトラウマ」 (ザ・コラム、朝日紙面版4月1日)。 一読に値する、クリップ。

今回の朝日の西井編集員のザ・コラムの記事、有用なご意見である。 しかし、「では、どうするんだ」には沈黙している。 当然沈黙するだろう、なぜなら我々は今「誰にも分からない、やってみないと分からない」、そういう世界状況の中にいるのだから。

しかしながら、一読に値する記事である。 とういう事でクリップ。

ザ・コラム

先進国の病 経済縛る「歴史のトラウマ」

(朝日紙面版8面 2012年4月1日 【西井 泰之(編集員)】)

20年近く前の4月、ホワイトハウスの会見室。宮沢喜一首相と並んで立ったクリントン大統領の言葉に、私は思わずメモをとる手を止めてしまった。

「貿易不均衡の改善でいい結果が得られそうな第一は円高(ドル安)。 そして分野ごとに焦点を合わせた(市場開放の)アプローチだ」。 異例の発一言が伝わると、円は急騰し、当時の戦後最高値を更新した。 会談で決まった日米包括協議はその後、米国が自動車部品などの購入を迫る揚――。

「ほんの昨日のこと」のように思い出したのは、再選をめざすオパマ大統領の語り口がそっくりだからだ。 「自動車産業は再び雇用を生み始めた。 米国製品の市場を開くためなら、私は世界のどこの国にも出向く」。 03月に訪れたロールスロイスの新工場では「こういう揚所に来れば我々は確実に前進していることがわかる」。

為替で揺さぶりながら市場開放を求める相手は中固などに代わったが、超金融緩和による「ドル安」のもと、輸出倍増戦略を掲げて成長と雇用を追う姿は、当時と重なる。 ドルが流入しインフレが進む新興国からは、自国のことしか考えていないと批判があがるが、気にする様子はない。前政権が減税などで膨らませた赤字で財政は使えないとなれば、為替や貿易政策を総動員してでも、ということなのだろう。 共和党でも民主党でも大統領が誰のときでも「成長第一の国」なのだとつくづく思う。

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「ワイマール時代の悪夢がドイツをインフレに寛容でなくしたのと同じように『大恐慌』は米国を(景気の)ほんのわずかな休止、不確実にも寛容でなくした。 成長が休まると、根本にある恐怖感が金融市場で千倍にも拡大され、景気刺激策を求める米国の永遠の傾向が倍加する」と喝破したのは英国のローソン元蔵相だった。

経済が引きずる「歴史のトラウマ」というのがあるのだろうか。

収束がみえない欧州債務危機ではインフーレを警戒するドイツのかたくなさが軋轢を生む。 この週末のユーロ園周務相会合。 周縁国を支える安全網の拡大にやっと合意したが、「安易に支援を増やせば歳出削減の努力をしなくなる」というドイツの姿勢は共同債導入の壁になっている。 昨年秋には、欧州中央銀行が周縁国の国債買い取りを決めたことにドイツ出身の理事が「抗議の辞任」。 足並みの乱れを見透かされてユーロやイタリア国債が投げ売りされた。

ドイツ国民の思いを象徴するのが、メルケル首相のこんな発言だろう。

「ギリシャ人やスペイン人は、早くリタイアして年金もたくさん受けている。 (支援を欲しいなら)我々と同じように働くことだ。 休んでばかりの人がいるのでは共通通貨だって維持できない」

敗戦後の巨額の賠償負担に耐えかね国債発行に走ったのが超インヲレを招き、ナチス台頭につながった悔恨からぺ国民も政府も堅実にやってきた。 他国の放蕩の尻拭いをすることに国民は不満を強めている。 統合欧州の中で生きる道を選び、市場が広がった恩恵を最も受けているのに、ときに過去にとらわれた「小さなドイツ」が顔を出す。 周縁国に配慮する大国の度量をみせたら、危機の展開も違ったのではないか。

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さて日本のトラウマとなればニクソン・ショック以来の「円高恐怖症」だろう。 2月に日銀は円高で金融緩和を一段と強めた。 割安な固定為替のもとで戦後の成長を享受できた。 それゆえ円高が進むたびに輸出が減っては大変という「恐怖感が拡大」され、産業界の声にあわせ対策がうたれる「永遠の傾向」が続いてきた。

だが、ここでも現実とのズレがでている。

3月下旬、横須賀港の日産自動車の埠頭に陸揚げされたのはタイで作られたマーチ。 部品の大半も海外製で、安い車種は1台100万円を切る。 かつて米国に向けてブルーパードが積み出された埠頭は逆輸入車や内外からの部品の中継地に変わり、日産やホンダはすでに4分の3を海外で作る。

「欧米で売ろうと高性能を追いかけてきたが、値ごろ感を追求してグローバル市場で多くの人に乗ってもらえることをめざそうという発想の転換」(マーチの開発責任者の小林毅さん)だという。 となればコストの安い海外で作って日本に持つできたり、海外からの部品調達を増やしたりするのには円高はプラスだ。 1ドル=75円でも、製造業全体(2011年度下期)では、原材料のドル建ての輸入が多い素材産業や食品を中心に約300億円、収益が増えるという試算(日本総研)もある。

安い逆輸入車が新しい顧客を増やし、6年ぶりに国内の二輪事業が黒字に戻ったホンダ。 大山龍寛専務は「新興国は消費も部品供給の力もつけてきた。 かつてのような成長が難しくなった先進国の消費者も価格にこだわるようになった。 国内の雇用維持は頭が痛いが、そのためにも円高をもっと生かしていくことだ」と語る。 貿易収支の赤字転落も変化にあわせ発想を切り替えれば、進む道も見えるはずだ。 歴史の教訓は大事だが、「慣性」からは道は開けない。

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