<福島原発事故>米、原子炉建屋内爆破を検討(ガーウィン博士)(共同)、彼が何者なのか調べてみたかい?

東日本大震災1年、共同通信は2012/03/16 10:46 の電子版記事で福島第1原発事故に関し「米、原子炉建屋内爆破を検討 福島、注水冷却難航に危機感」というニュースを配信した。 こういう内容である――

米、原子炉建屋内爆破を検討 福島、注水冷却難航に危機感
2012/03/16 10:46   【共同通信】

東京電力福島第1原発事故の直後、米エネルギー省内に、チュー長官に助言する専門家組織が設けられ、難航していた原子炉への注水冷却を強化して事態を打開するため、爆発エネルギーが一方向に集中する軍事用の「指向性爆薬」を原子炉建屋内で爆破させ、原子炉格納容器に注水用の穴を開けるよう提案していたことが16日、分かった。

最終的に採用はされなかったが、こうした「奇策」が真剣に検討された事実は、原子炉が十分冷却できなければ事態悪化を招くという米政府内の危機感を示している。

http://www.47news.jp/CN/201203/CN2012031601001171.html

共同通信の英文記事はこうである――

U.S. gov’t adviser proposed using explosives to tackle Fukushima crisis
TOKYO, March 16, Kyodo

An informal panel of experts in the U.S. Department of Energy suggested using military explosives to bring the crisis under control at the Fukushima Daiichi nuclear plant, one of the panel member and physicist Richard Garwin told Kyodo News.

”I wanted to make a hole through the great shielding slabs, which are more than a meter of reinforced concrete, and one of the opportunities was to use the military shaped charge,” Garwin said in a telephone interview, referring to the proposal he made to Energy Secretary Steven Chu at the panel meeting on April 5.

Although the idea was not adopted in the end, such an extraordinary proposal of using a shaped charge, an explosive shaped to focus the blast energy in one direction, reflects the sense of alarm within the U.S. government that the situation at the Fukushima complex would worsen if the cooling system failed.

http://english.kyodonews.jp/news/2012/03/147419.html

■ なぜこのニュースが駆け巡る? この共同通信の記事は47ニュースに掲載されるやいなや100以上もツイートされた。 リツーイトもかなりされたのだろう。 恐らく、『軍事用の「指向性爆薬」を原子炉建屋内で爆破させ..』という文言が日本人にはかなりインパクトがあったのではないか。 しかし、あのアメリカならば現実的にあらゆる可能性を模索するという事を知っておくべきだ。 常に「Plan B」を考えておく、それがプラグマティズムの国、アメリカなのだ。

この共同通信の記事は短文の概要だけで、写真が併載されて「リチャード・ガーウィン博士」と書いてあるが記事にはその関係は全く書いていない。 私はこの記事は変だと思った。 そこで、共同通信の英語版を調べてみた。 そこには、物理学者・リチャード・ガーウィン氏が共同通信に語った話である事、「指向性爆薬を使う提案」は昨年の4月5日であることが書かれている。

午後、13:36になって、47ニュースは別のページでこの記事の詳細版(ブログ文末に掲載)を掲載したが、こちらのツイート数は少ない。

なぜ、詳細不明の概要記事が駆け巡るのか? 私には不思議でならない。 真実よりもデマの方が大衆に流布されやすいそうだが、そういう危険性をTwitterが内包していることを認識してツイートを読むことが必要だろう。 少なくとも、何の説明も載っていない「リチャード・ガーウィン博士」が誰なのか検索してみる必要があると思うが。

「リチャード・ガーウィン博士」とは誰なのか?

英語版のWikipedia ではこう紹介されている。 Richard Lawrence Garwin (born April 19, 1928 in Cleveland, Ohio[1]), is an American physicist. He received his bachelor’s degree from the Case Institute of Technology in 1947 and obtained his Doctor of Philosophy from the University of Chicago in 1949, where he worked in the lab of Enrico Fermi. Garwin is IBM Fellow Emeritus at the Thomas J. Watson Research Center in Yorktown Heights…..

….. Garwin is a member of the Board of Sponsors of The Bulletin of the Atomic Scientists.[7] He also served on the Commission to Assess the Ballistic Missile Threat to the United States in 1998. He is also a member of the JASON Defense Advisory Group. http://en.wikipedia.org/wiki/Richard_Garwin

また、米国科学者連盟 (FAS = Federation of American Scientists)のサイトではWikipediaより更に詳しく紹介されている。 http://www.fas.org/rlg/

そのFASには「福島第1原発事故の教訓から学ぶ」と題した2011年8月20日付のリチャード・ガーウィン博士の論文が掲載されいる。 私は物理の門外漢であるが、博士の英文の論文は詳細に今回の事故の原因、問題点を説明していると思う。 「Learning More from Fukushima Dai-ichi」 by Richard Lawrence Garwin  http://www.fas.org/rlg/2011%20Erice%20Fukushima1a.pdf

共同通信の第二配信記事はこうだった。

【米、原子炉建屋内爆破を検討】 注水冷却難航に危機感 福島事故打開へ提案 米長官アドバイザー 
(2012/03/16 13:36 共同通信)


東京電力福島第1原発 事故を受け、米エネルギー省内に専門家組織が設けられ、原子炉への注水冷却が難航していた事態を打開するため、爆発エネルギーが一方向に集中する軍事用の「指向性爆薬」を原子炉建屋内で爆破させ、原子炉格納容器に注水用の穴を開ける 提案が出ていたことが16日、分かった。

外部アドバイザーとして専門家組織に参加した物理学者のリチャード・ガーウィン博士が共同通信の電話インタビューで語った。最終的に採用はされなかったが、こうした「奇策」が真剣に検討された事実は、原子炉が十分冷却できなければ事態悪化を招くという米政府内の危機感を示している。

ガーウィン博士によると、事故を受けてチュー長官 に助言する専門家組織が非公式に設けられ、省内の専門家20人以上に加え、博士ら数人の外部専門家が参加した。

指向性爆薬を使う方策は博士が昨年4月5日、長官室で開かれた会合で提案した。約7~18キロ程度の火薬を詰めた指向性爆薬を、格納容器を覆うコンクリートから1メートル離れた場所で爆破させる案で、直径約5センチの穴を開けた上で、格納容器内に注水管を通し、溶融した燃料がたまっている圧力容器を冷却することを狙った。

博士は「(当時は)冷却がそれほど順調でなかった。エネルギー省傘下の研究所が試すか、検討してくれればいいと思った」と語った。

博士はほかにも研磨材を混ぜた水を高速高圧で吹き付ける「ウオータージェット」で穴を開ける方法を提言したという。

博士は米IBM名誉研究員。1952年に同社入社後、米政府内の各種専門家委員会のメンバーを務め、核兵器の設計にも関与した。(太田昌克)

◎ガーウィン博士発言要旨 

東京電力福島第1原発事故を受け、米エネルギー省のチュー長官の専門家組織に参加したリチャード・ガーウィン博士の発言要旨は次の通り。

一、専門家組織は極めて非公式なもの。エネルギー省内の専門家20人以上と数人の外部専門家が頻繁にやりとりをした。今も存続するが、あまり協議はしなくなった。

一、軍が使う指向性爆薬で、格納容器を覆うコンクリート壁に穴を開けることを提案した。格納容器上部で1メートル離れた場所に15ポンド(約7キロ)の爆薬を置けば、約5センチの穴が開き、コンクリートを1メートル貫通する。40ポンド(約18キロ)なら1・5メートルを貫通できる。

一、当時は(溶融した燃料がたまっている)圧力容器の冷却がそれほど順調でなかった。注水ラインが限られていた。

一、開けた穴からノズルの付いた管を通し、圧力容器に水を噴射する。提案は昨年4月5日にチュー長官の部屋で開かれた会合で行った。エネルギー省傘下の研究所がこれを試すか、検討してくれればいいと思った。

一、研磨剤を混ぜた超高圧の「ウオータージェット」を使うやり方も提案した。

◎米エネルギー省と原発事故 

米エネルギー省と原発事故 米国で原子力政策を進めるのはエネルギー省で、安全規制は独立機関の原子力規制委員会(NRC)が担う。東京電力福島第1原発事故発生直後からNRCとエネルギー省はいずれも専門家チームを日本に派遣。エネルギー省は原子炉冷却作業を支援するための大型タンクや特殊トレーラー、原発敷地内の線量分布を調査するロボットなどの機材を日本側に提供した。また航空機を使った測定によって原発周辺の放射線量マップを作成した。

http://www.47news.jp/47topics/e/226761.php

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【指向性爆薬】
 爆弾を円すい形にし、内部の中心に細い円筒形の穴をあけたり、上部をくぼませるなどして爆薬を詰め、爆発エネルギーが一定方向に集中するよう工夫された爆発物。貫通能力が高いため、戦車の砲弾のほか、対戦車地雷、対戦車ミサイルの弾頭などに用いられる。第二次世界大戦でドイツ軍などが初めて実戦で使用したとされる。ロシア南部チェチェン共和国の武装勢力も連邦軍に対して使用したほか、最近ではイラク武装勢力が米軍の車列などを攻撃するため、路上に仕掛けるケースが増えている (共同)

【指向性爆薬弾頭】 単純な炸裂弾ではなく、爆薬の爆発エネルギーによって前方や下方といった1方向にだけ高速で金属を打ち出す仕組みを持つ。成形炸薬弾頭では高速(7,000-9,000m/s)の棒状金属を打ち出し、モンロー/ノイマン効果により、直近にある口径の6-8倍の厚さの均質圧延鋼板を打ち抜く。前後に2つの成形炸薬弾を並べたタンデム型もある。対戦車ミサイルの弾頭で使用される。自己鍛造破片(Self forming fragment)弾頭では高速(2,000-3,000m/s)の金属塊を打ち出しミズネ・シャルダン効果(Misne-schardin effect)によって、口径の1,000倍の距離までの1倍の均質圧延鋼板を打ち抜く。上面装甲を狙うトップアタック式(オーバーフライ式)の対戦車ミサイルの弾頭で使用さる。また、榴弾弾頭に近い構成で、爆薬に複数の起爆点を持たせて爆発のエネルギーと破片を特定方向に集中させるタイプの指向性爆薬弾頭もある (Wikipedia)
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指向性爆薬の動画 (ディスカバリー・チャンネル)
Shaped Charges (Discovery Channel)

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