「ヤマ場越すギリシャ救済、今さら聞けない疑問に答える」(FT)、では「正直者は馬鹿をみるのか」 ポルトガルの複雑な心境 (日経)

ギリシャ救済絡みのブログ記事掲載が相前後してしまったが、「今さら聞けない疑問」に答えてくれている英フィナンシャル・タイムズの記事が分かり易い。 それを読んでいたら、『「正直者は馬鹿をみるのか」 ポルトガルの複雑な心境』というのを目にした。 ナールホド、分かる、分かる。

ヤマ場越すギリシャ救済、今さら聞けない疑問に答える
(2012年3月8日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

ギリシャ国債を1000億ユーロ以上保有する民間投資家が、ギリシャの巨大な債務再編に参加する意思を表明した。これで大きな関門を突破したことになり、史上最大のソブリン債務のデフォルト(債務不履行)が計画通りに進む可能性が高まった。

■追加支援の条件確保に自信

民間保有のギリシャ債の半分以上を抱える投資家(欧州の最大手クラスの銀行やギリシャ政府系の年金基金の大半を含む)の参加表明で、ギリシャ政府が反対派に債務減免を強制するのに必要な最初の基準をクリアした。

参加総数は7日に大きく増えた。32の欧州銀行から成るコンソーシアムが合計840億ユーロ分の債券(2060億ユーロに上る民間保有のギリシャ債の41%に相当)について同意を表明したのだ。ギリシャの複数の年金基金とその他政府系機関による同意を加えると、総計は1000億ユーロを超えた。

ギリシャ債を保有するすべての民間投資家は8日夜までに意思表明しなければならない。当局者たちは、様々な強制的手段を通じて、1300億ユーロの追加支援の実施に必要となる95%の債券保有者の参加を確保できるとの自信を見せた。

■なぜギリシャは債務を再編するのか?

2年近くにわたり、救済資金を使ってギリシャ債保有者に元利払いを満額実施してきた後、ユーロ圏の当局者たちは昨年になって、多くのアナリストが何カ月も前から主張してきたことを認めた。すなわち、ギリシャ政府がすべての債務を返済するのは無理だということだ。

民間の債券保有者は2度の再交渉を余儀なくされた末に、ギリシャおよびユーロ圏当局と合意に達した。投資家は保有債券を額面価値が半分以下の新発債と交換し、基本的に、ギリシャが抱える総額3500億ユーロの債務のうち、1000億ユーロを帳消しにするという内容だ。

この債務再編と救済融資の金利の引き下げにより、ギリシャは2020年までに債務水準を国内総生産(GDP)比120.5%まで削減できると予想されており、当局はこれでギリシャが支払い能力を取り戻せると見ている。ベニゼロス財務相はギリシャのラジオで「債務交換によって経済が息を吹き返す」と語った。

■なぜ債券保有者はこれほどの損失負担に同意するのか?

経済と財政の状況が悪化するに従い、ギリシャ政府が「ハードな」デフォルトを余儀なくされる可能性が高まっていった。つまり、債権者に返済する現金が底を突き、債券保有者が完全に丸損する事態だ。

債務減免を受け入れやすくするために、ユーロ圏の当局者たちは、300億ユーロの現金プールをはじめとしたインセンティブを提供している。参加者はそれぞれ、保有債券の額面価格の15%に相当する現金支払いに加え、31.5%相当の新発債を受け取る。

こうした新発債は従来の債券よりずっと安全だ。新発債は英国の法律の下で発行され、ギリシャ議会が将来、デフォルトを強要することが不可能になるからだ。また、新発債は救済融資と同等の扱いを受ける。将来損失が発生した場合、ユーロ圏の各国政府が分担しなければならないということだ。

■参加しない投資家はどうなるのか?

ギリシャ政府は、ほぼすべての債券保有者に参加を強制する法律を制定し、実行に移すと警告してきた。ギリシャ債の約86%はギリシャの法律に基づいて発行されている。政府は先月、投資家の圧倒的多数が同意すれば、債務減免などの措置を全員に強要できる手段である「集団行動条項(CAC)」を新法に盛り込んだ。

CACを発動するためには、ギリシャ法に基づく債券の保有者の半数以上が投票し(この基準は7日にクリアした)、投票者の3分の2が参加に同意しなければならない。3分の2の基準を達成できる可能性は高く、当局は、この基準を超えたら、ギリシャ法に基づく債券すべてについてCACを発動する意思を表明している。

外国の法律(大半が英国法)に基づいて発行された残り14%のギリシャ債については、事情はもっと複雑だ。ギリシャ政府は基本的に、外国法に基づくギリシャ債で参加を拒む投資家には、一切カネを払わない戦略を取っている。こうした投資家が参加しなければ、債券の元利払いを止めるとギリシャ政府は脅している。

■債務減免がうまくいかない可能性は?

CACの基準がクリアされれば、次にカギとなるのは、外国法に基づく債券の保有者に参加を促し、95%の参加率を達成することだ。この数字は、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)のアナリストが、ギリシャの債務水準を2020年までにGDP比120.5%に引き下げるために挙げたものだ。

外国法に基づくギリシャ債の多くはヘッジファンドが保有しており、一部のファンドは法的措置を検討している。こうした投資家には、決断するまでまだ時間があるため、当局は8日夜になっても、早急に95%の基準を達成できるかどうか分からないかもしれない。だが専門家は、参加しない投資家への支払いを削減することで、不足分は埋められるはずだと語った。

http://www.nikkei.com/biz/world/article /g=96958A9C9381959FE2EAE2E7868DE2EAE2E1E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2; p=9694E3E7E2E0E0E2E3E2E6E1E0E2

「正直者は馬鹿をみるのか」 ポルトガルの複雑な心境
(日経 2012/3/9 11:16)

ギリシャ国債民間保有者の債務削減交渉の進展を複雑な心境で見守ってきた国がポルトガルとアイルランド。

自分たちは欧州連合(EU)提示の条件を受け入れ、血のにじむような緊縮努力を続けてきた。市場も「殊勝である」として好意的な態度。国債利回りも下がってきた。

一方、自分たちよりはるかに巨額の借金を積み上げたギリシャの借金は7割棒引きされる。

「正直者が馬鹿(ばか)を見る」のでは納得できない。「次は我々の国債も棒引きを」との声が既に強まっている。

これに対し、メルケル独首相は「ギリシャは例外」と突っぱねてきた。債務削減により当面のギリシャ火事は何としても消火する。しかし、スペイン・イタリア両国への延焼を防ぐ防火壁(十分な救済資金)構築のメドが立てば、ドイツ国民感情を考慮せざるを得ず、ギリシャ火事消火作業からは身を引く、というただし書きつきであろうか。

既にアイルランドでは、国内緊縮策に欧州景気後退のダブルパンチで今後の経済動向には再び黄信号がともり、早速、「我が国にも救いの手を」との声を高めている。

ポルトガルにしても、緊縮の手を緩め、借金を膨張させれば、紆余(うよ)曲折はあろうが、いずれギリシャの如く借金棒引きされると考えても不思議ではない。モラルハザードがまん延せねばよいが。

マーケットは株も商品も、第2次ギリシャ救済協定合意直後同様に、暫時安堵感が流れ、再びリスク・オンの買いとなりつつある。

金価格も前回は「ギリシャ救済プレミアム」で1トロイオンス1800ドルに接近したが、今回は戻しても1750ドル程度か。前回と今回と異なることは中国要因。目標経済成長率が7.5%にまで引き下げられた負の余韻がいまだに市場には残っている。

米国の量的緩和第3弾(QE3)に関しては、今晩の雇用統計で予想通り良い数字が出れば、QE3後退と解釈されるはずだが、昨日本欄に詳述した新型QEが米連邦準備理事会(FRB)内で検討されているとすれば、相場的には大きな動きにはならぬやもしれぬ。新型QEに関しては、あくまで報道のみで、当のFRBは音なしの構えだ。深読みすれば、あえてリークすることで、雇用統計が良くても、QE後退とするは早計との市場へのアナウンスメント効果を狙ったのであろうか。

市場の潮流としては、4月(あるいは5月初旬に延びる可能性もあるが)のギリシャ総選挙、そしてフランス大統領選挙を控え、再び、欧州発のリスク・センチメントに振れるは必至である。

Sell in May and go away (気候の良い5月には売って相場のことは忘れ人生を楽しもう、という相場格言)という流れになりそうな雲行きだ。

http://www.nikkei.com/money/gold/toshimagold.aspx?g=DGXNMSFK0900C_09032012000000

当ブログ関連記事
■ <ギリシャ債務強制削減> 「問題先送り」と欧米メディア懸念。 では、ギリシャ債務なぜ強制削減されるのか? 国債市場への影響は?  (2012/03/11)
■ 「ギリシャCDS、清算事由に該当 事実上のデフォルト認定 -> CDS、ギリシャ国債に発動 債務不履行の損失保証」 (2012/03/10)

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